ダーク・ファンタジー小説
- Re: なぜ死んだのかわからない弟 ( No.1 )
- 日時: 2012/08/21 19:51
- 名前: バチカ (ID: LuHX0g2z)
- 参照: そして、小説も下手くそだ。
「まったく、使えないなぁ、こいつ。」
使えない道具を、彼は裸足のままで踏みつけた。幼い姿をしているけれど、生き物を残酷に踏みつける残酷な悪鬼のような誰かは、その小さな白い裸足の足から血を流している。それにもかかわらずに道具を踏みつけて体重をかけた。何度も、何度も。自分の体にも痛みは響くっていうのに。
道具と言われる誰かは、その子の足から流れる血で凄惨に染まっていく。
「ふふふっははっ綺麗ッ」
彼はまた、狂喜したように道具を踏みつけた。もちろん、何度も何度も。彼もそれが楽しいのか、一向に止める様子を見せない。血生臭い小さな実験室の中で、彼はずっとずっと道具の背中を踏みつけ続けていた。道具は何も言わずに、耐える様子も苦しむ様子もなく、ピクリとも動かずにただただ床に倒れていた。
しばらくすると、彼は静かに踏みつけるのを止めた。いかったままのその肩は興奮して上がった息を整えるように、上下にゆっくりと動いている。疲れてしまったのだろうか、それとも飽きてしまったのだろうか。
やがてしゃがみこんで、道具に——彼より少し年上に見えるこの少女の耳元に、囁くように、また狂喜した。
「…役立たずはそうやってぐちゃってなってればいいんだ。ぐちゃっぐちゃっぐちゃっぐちゃっぐちゃ!」
狂っている。
歪んでいる。
どこまでも心が枯れ果てている。
残忍な少年だ。
また少女の背中を踏みつける。少女はもう息を途絶えたかのようにじっとしている。その姿にまた腹立たしくなったのか、とにかく彼女の背中をしゃにむに踏んだり蹴ったり。
その頬には、一筋の涙がつたっていた——
陶器のようにどこまでも透きとおった冷たい泪が、床にこぼれ落ちる
今、どうして彼が泣いているのかはわからない。
でも、きっととても悲しい事情なんだ。
どんな事情か?そんなのわからない。