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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 何故、弟は死んだのか。 ( No.18 )
- 日時: 2012/08/13 20:08
- 名前: バチカ (ID: LuHX0g2z)
- 参照: 白河夜舟様、(に、書いていただいた詩です)ありがとう。
<bloody,so brighty>
血の付いたナイフが一本。血塗れになった男が一人。
男は数々の罪を犯した。
盗み、犯し、奪い、騙し、偽り、殴った。
だが、それは生きるため。だから、殺す事はなかった。
…目の前の、動かなくなった親友を、たった今刺し殺すまでは。
彼は男の兄貴分。いつも男を見守っていた。
死の間際の微笑みが、未だに顔に貼りついている。
「お前、そろそろまっとうに生きろよ」
ほんの小さな忠告。それが、彼の最期の言葉。
それに逆上した男が理性を取り戻した時、彼の視界にあったのは。
血に沈む親友の姿と。
掌の中の、血塗れのナイフ。
泣きながら、哭きながら、啼きながら空を仰ぐ。膝が反比例して笑い出す。もう立つこともままならない。
雨が、血の付いたナイフを洗い流す。
雨が止んだ。
動かなくなった二人の男と、血の付いたナイフがそこにはあった。
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