ダーク・ファンタジー小説

Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.10 )
日時: 2012/04/05 17:19
名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)

「呪怨、此処はアメリカよ」
「……雷葉、父親以外にアメリカにいる知り合いはいる?」
「……いない」
蝶が下へ降りて行った。私達も後に続く為、地に降り立った箱のドアを開けた。
「呪怨、空から降りて来て不審な人と思われないのか?」
雷葉がそう私に聞いたけれど、ルナが答えた。
「その心配は必要ないわ。呪怨は今身につけているネックレスで姿を消しているの。呪蝶屋にいる時は、屋敷に元から掛っている魔法の効力で効果が効かないけど。私は魔法だけど、1時間しか持たない」
「良く解んない……。……じゃあ僕は?」
「雷葉はそのブレスレットで見えない様にしているのよ。私と同じ」
そう言うと、雷葉は右手首に付けているブレスレットの方へ目を移した。

『雷葉、これを』
『これは……ブレスレット?』
『そうよ。魔力を制御する効果があるわ。
それ以外にも効果はあるのだけど、説明は後でね』
『……つまり、付けておけって事?』
『そう言う事。さあ、行きましょう』

ブレスレットを見つめる雷葉を見て、私は何故か『あの人』を思い出した。
……何故、似ているの?
ボーっとしていると、近くのビンを蹴ってしまいそうになった。
「……あ!」
ビンを避けると、雷葉の何かを見つけた様な声。
「どうしたの?」
「僕の……父親が……」
雷葉の指さす手が震えていた。そこには、商店街の道で6人の女性ともめている男性がいた。その意味は、見ただけで解る。
あれが、雷葉の父親なのかしら……。
「酷い……。……母さんの時だって……」
「パリィィン……」
商店街のガラスが割れた。それに続き、商店街に強風が吹き荒れる。
「呪怨、これは何なの!?」
「……恨みの力、よ。力が暴走しかけている……!」
商店街の方から雷葉の方へ目を向ける。
……早くしないと、力が暴走して町を崩壊しかけない!
……崩、壊?
「呪怨、急いで!……呪怨!」
ルナの言葉にハッとする。
「……罪を重ねる罪人よ。恨みを晴らし、魂を封じます!……魂封蝶呪!」