ダーク・ファンタジー小説

Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.14 )
日時: 2012/04/05 17:23
名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)

呪怨は前に僕に渡した黒薔薇を持ち、それを見つめながら説明する。
「次は薔薇と蝶についてね。
この黒薔薇は恨みの強さを確かめることが出来、薔薇が変化した蝶の色に現れるの」
「……じゃあ、僕の時の赤い蝶はどれ位強いんだ?」
確り聞いている僕に、呪怨はホッとしている様子。
そりゃあこれを知っておかないと実践する時に困るからな。
「白、黄色、青、緑、紫、黒、赤の順に強くなっていくの。その中でも、色が濃いほどその色の中で恨みが強い。雷葉は一番強かったわ」
「……それ位僕は珍しいのか?」
「まあ黒薔薇無しでも解ったから……。蝶についてはこれだけ覚えておけばいいわ。ただ……」
「ただ?」
聞き返すと、呪怨はさらに深刻な顔になる。
「多分だけど……貴方は恨みが強いだけじゃない。そう思うの」
「それって、どういう事なんだ?」
意味が良く解らない。呪怨は、恐れる様に口を開いた。
「恨みの力は強力な力で、時に自分の周囲を捻じ曲げてしまう。雷葉が商店街のガラスを割ったのが、周囲を捻じ曲げると言う事。
でも、雷葉は違う効力が出ていた。自分の周囲では無く、父親の周囲を捻じ曲げてしまったの。
同じ状況だと、普通は帰る時に海に落ちたビン、あったでしょ?あれが割れるはずなの」
「なのに、僕の場合はビンではなく父が居た商店街のガラスが割れた……?」
「……あんな事が起きるのは、恨みの力以外の力が働いているという事。だから、貴方は恨みの力が強いだけじゃないと思うの」
(もしかしたら、何て……)
呪怨が思っている事は、僕が思っている以上に深刻な事とは、まだ知らなかった。