ダーク・ファンタジー小説

Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.4 )
日時: 2012/04/05 15:48
名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)

「えっと……この店の店長さん……ですか?」
「ええ。貴方、恨んでいる人がいらっしゃるの?」
は?僕は何を言っているの解らなかった。
その少女は凛としていて大人っぽく見える。だがこんな屋敷で1人で働くものか?
長い黒髪は真っ直ぐに伸びている。赤い瞳はカラーコンタクトか?
その左目は伸ばした前髪で隠しており、その前髪の下に包帯を巻いている。失明のせいか?
フランス人形に見えて来る彼女が怖くなって、扉に走った。が……。
「ガチャガチャ!」
「あ、開かない……?」
「店に入って何もしないで帰るのは許さないって事だ」
振り返ってみると……ネコ……。ん?待てよ。
「ネ、ネコが喋ったぁ!」
「当たり前よ。魔法のネコだもの」
さらにもう1匹出て来た。同じ黒猫だが、太陽の絵ではなく月の絵が白い毛で描かれている。
「魔法のネコ……?」
「そう。呪怨、やっぱり恨みを持ち過ぎてるだけじゃない。私達と喋れる人間なんて居るはずないもの」
「やっぱりね……。貴方の恨みは何?」
「恨み?」
先程聞いた言葉をオウム返しで返す。
「そうよ。貴方には居るのでしょう?」
その見通してる様な瞳に、不信感を抱きつつも。
怪しいと解っているけど。
「……言わないと返してもらえないんですか?」
「ええ」
「……解りました」