ダーク・ファンタジー小説

Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.6 )
日時: 2012/04/05 17:00
名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)

「そう……。そんなことがあったのね」
少女(もしかしたら大人かもしれない)は、大きな花瓶から沢山ある黒薔薇を1本抜き、僕に渡した。
「それを数回回してみて」
少女の言う通り、数回回した。すると……。
「うわ!どうなってんだ?マジック?」
真っ黒な黒薔薇が、血の様な赤い色をした蝶になった。
「恨みは、必ず封じます……。その前に、交換条件をしない?」
「交換条件?」
「どういうことだ、呪怨」
魔法のオスネコが喋った。ネコの言葉から、普段は交換条件はしないのだろう。
「貴方の様な恨みが強いお客様は、100年やっているけど1人もいなかった……。
だから、貴方に店員になってほしいの」
「て、店員!?」
「呪怨、何言ってるのよ!人間を店員にさせるなんて……」
魔法のメスネコが声を上げながら訴えた。それほどの事なのか……。
「ここに居れば人間から魂が離れるわ。そうすれば、人間じゃなくなる……。
自分が人間だということにも恨みを持っているのでしょう?」
「…………」
確かに僕は人間だということにも恨みを持っている。
だが、誰がそんな話を信じるか?そもそも「100年やっている」はずが無いだろう。
だが……人間じゃなくなるんだよな?
本当にネコと話しているなら、有り得なくもない。いや、有り得ないけど。
……信じても、良いんだよな?
僕の思考が解ったのか、少女は「裏切らないわ」と言った。
「……店員にさせて下さい。」
そうして僕は『呪蝶屋』の店員になった。