ダーク・ファンタジー小説
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.7 )
- 日時: 2012/04/05 17:02
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
〜第2章 魂封じ〜
「え、いいの?」
少女は驚いた様に目を見開いた。僕は「はい」と静かに言った。
此処から一刻も早く出たいと思っているが、人間じゃなくなるなら良い。
人間じゃなくなると聞いてそう答えてしまったのだろうが……。
それに、あんな思いもしなくて済む。良い事だらけじゃないか。
「だ、駄目よ!人間にこんな事させちゃ!それに、この子は……!」
「この子は?」
メスネコの言葉に疑問を感じた僕の声と、黙れと言わんばかりの目をした少女の声が被る。
そして、少女がまた驚いた様に此方を見る。
「……?」
その瞳は、有り得ないと言いそうに僕を見つめていて、同時に懐かしさと悲しさを持ち合わせた様な色だった。
「……呪怨……」
オスネコが声を掛ける。その声で少女はハッとした顔になり、
「え、ええ。ごめんなさい……」
明らかに戸惑っている声を発した。
僕は何が何だか解らず、首を傾げた。
「……ごめんなさい。困惑してしまって……」
「い、良いんですよ。それより話がつかめませんでしたし」
誤った私に彼はそう答えた。
……不覚だわ。あれだけの事なのに……。
「……此処の店員になるなら『魂封じ』を実際に見た方が良いと思うけど。
恨みの相手を封じる事と交換で店員になると約束したんだし、そもそも恨みを晴らすのが呪蝶屋でしょう?」
不機嫌な態度だけど、私を気遣いながらそう言ったルナに、少し感謝をする。
そしてその内容は何処も間違っていない。
けれど、目の前にいる少年は意味が解らない様だ。
「そうね。……貴方、名前は?」
自分の事をスルーされ、少し怒りの色を見せる彼。
お客様の話を無視するのは無礼だけど、状況が状況なだけに仕方がなかった事。
再び「ごめんなさい」と言うと、怒りの色はあるものの少し焦った様になった。
今までの事を聞いた限り、彼は謝れた事が少ないのかも知れない。
「……川瀬 雷葉です。貴方は……?」
「黒蝶 呪怨よ。人間で言う15歳」
「じゅ、15歳!?同い年何だ……」
……其処まで驚く事かしら?
「面白い驚き方ね。私はルナよ」
「俺はソル。……確かに呪怨は15には見えんが……」
ソルまでそういう。私、何歳に見えるのかしら……。
疑問が浮かび上がったので、其の事を言ってみた。
「私、何歳に見えるのかしら?」