ダーク・ファンタジー小説
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.9 )
- 日時: 2012/04/05 17:20
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
「……すげー」
最初に発した言葉は、これだった。
僕達は今、前を飛ぶ赤い蝶の後を追っている。
……歩きでも走りでもなくて。
ルナが創りだした1階建ての家の半分位の大きさ、つまり大きい箱の中に僕らは居て。
そして、蝶の後を追っている。
壁には窓が数個、床にも柵の中に窓……つまりガラスの床が付いている。
「魔法って凄いな……」
唯、それだけしか言えない。今の僕は、きっと子供みたいだろう。子供だけど。
……こんな楽しい気分なのは、家族で遊園地に行った以来だろう。
「……ところで、何処まで飛ぶんだ?」
先程とは急変、ため息を付く雷葉。
「魔法って凄い」と言って、ルナに魔法は何でも出来る様なミラクルなものじゃないと説明を受けても相変わらずはしゃいでいたのにね。
でも、ため息を付きたくなるのは解る。今、私達が飛んでいる下は青い海だけ。
「日本を抜けたんじゃないか?」
「そのとうりよ」
ルナが雷葉の質問を即答したためか、思わず笑ってしまった。
「呪怨、笑うな」
「ごめんなさい。面白くて……。
でも、恨み相手が海外にいるケースも珍しくないわ」
「そうなのか……。なあ、この方向ってアメリカ?」
納得する雷葉の言葉に私は地図を取り出し、ルナの近くにあるメモとペンを取る。
「……アメリカに止まるかは解らない。でも、確かにアメリカの方角よ」
「良く解るな……凄い。計算大会で優勝できるぞ、呪怨」
冗談だろうが、礼を言うと笑い、けれど深刻な顔になった。
「……父はアメリカにいるんだ。始まりは父からだったから、1番恨んでいる」
「ということはアメリカで止まる確率が高いわね。私もアメリカに良く行くのよ」
「ルナが?」
「ええ。理由は後で教えてあげる」
今思ったけど、雷葉は「父さん」とも「パパ」とも言わないみたいね。
「父」と「父親」としか言わない。
「蝶が降り立ったわ」
「ここは……」
其処は、アメリカの港町だった。
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えーと……。シリアス・ダーク小説なのにほのぼのとしてますね……。
次の次は少しだけですがダークになりますので。
それと、雷葉の性格が変わっているのもすみません。