ダーク・ファンタジー小説

Re: 白と黒の魔法戦争 ( No.10 )
日時: 2021/04/30 21:07
名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳ ◆GHap51.yps (ID: 0bK5qw/.)

 -第八話「保健室にて」-

「……ちゃん……レイヴィーちゃん!」
 ゆっくり目を開けると、心配そうにこちらを見るメイヴェルが視界に飛び込む。
 メイヴェルの補助で体を起こすと、訓練場ではなく保健室におり、顔は見えないが恐らく黒笑だろうとオーラでわかるアヴェーニャと隣に居るエマに、正座して震えているサーラが見えた。
「レイヴィー! 起きたんやな。痛いとこや、変な感じするとかないか?」
 後ろを振り返り、レイヴィーのそばに行くと、瞳や、顔色を確認しながら、微笑むアヴェーニャ。
「だ、大丈夫です」
 震えて正座しているサーラの方が気になり、あまり話が入ってこない。チラチラとサーラを見るレイヴィーに気づいたのか、サーラに目を移すアヴェーニャ。
「サーラ?」
 そう言い、ニコリと笑うエマだが、その笑顔からはかなりの恐怖を感じるだろう。
「……すいませんでした……」
「い、いえ。その、頭をあげてください」
 と少し困惑しながら言うレイヴィーだが、アヴェーニャが思いきりサーラの頭を殴る。
「上司やからって遠慮せんかてえぇ。たっく、レイヴィーが無意識に受け身とってなかったら当たり所悪くて死んどったかもしれへんのやでこのダァホ!」
「死⁉」
 大声でサーラを怒鳴りつけるアヴェーニャに、サラッと自分が死んでいたかもしれないことを伝えられ驚愕するレイヴィー。
 心の中でひっそりと、無意識に受け身をとった自分に感謝した。
「まぁまぁ、落ち着いてアヴェーニャ。……サーラ?」
「な、なんでございましょうエマ様……」
「後で気絶するまで私と特訓しよっかぁ?」
「ヒュ……」
 サーラの心にひびが入る音が聞こえたが、レイヴィーは聞こえないことにした。
 後日、ボロボロの副団長が男子寮前の野原でただ呆然と空を眺めているという噂がたったとかたってないとか……。

 -第八話「保健室にて」終-