ダーク・ファンタジー小説

Re: 白と黒の魔法戦争 ( No.11 )
日時: 2021/05/01 18:06
名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳ ◆GHap51.yps (ID: 0bK5qw/.)

 -第九話「援助拒否」-

「うっ……」
 左右に手を広げてふらつきながら歩くレイヴィー。
「はいあんよが上手!」
 そう言いながら手をたたく、レイヴィーの少し先に立っているアゲリ。
 二人共ヒール靴を履いており、アゲリは自然に立てているが、レイヴィーはかなり震えていた。レイヴィーの横には倒れてもいいようにライトが一緒に歩いていた。
「頑張れレイヴィー、アタシも六年前にアゲリにしごかれたよ」
 と苦笑しながら言うライト。
「こ、この靴にも、対応しなきゃ、パー、ティー中に、敵襲、があれば、対応、しきれませんし」
「うん、辛いなら喋らなくていいから」
 ふらつきながらも集中しつつアゲリのとこまで歩き続ける。
 かなりふくらはぎが痛い。明日動けるだろうか。いや、明日は一歩も動かない。本を読み漁ってやる。そう思いながら歩いていた。しかし、あと数歩というとこで、エマの声でレイヴィーの集中の糸がちぎれた。
「レイヴィー、アゲリ、ライト、少し話が……ってレイヴィー⁉」
 ばたりと前方方向に倒れ込んだレイヴィーに驚いているエマ。
「エマサイテー」
「え⁉」
「あとちょっとだったのに……バカエマ」
「えぇぇ⁉」
 あまりにも理不尽な罵倒に涙目になっているエマに、容赦なく言葉のチクチク攻撃を仕掛けるライトとアゲリ。
「あの……大丈夫ですので……要件は?」
 倒れたままでエマにそう言うレイヴィー。
「あ、うん、それなんだけどね。……ここじゃなんだから、会議室まで行こうか」
 真面目な顔になったのを見て、少し三人は息をのんだ。

   ☽

「援助拒否?」
 三人は声を揃えてそう言った。
「そ、黒団の強襲の恐れがある村に援助することを知らせたら、なんと援助拒否で帰ってきたわけ」
 青い髪色の少年が、そう言い地図を広げ、村の場所を指さす。そこを見たとき、レイヴィーが少し驚いた表情をしたのを見て、サーラがレイヴィーに話しかけた。
「どした、レイヴィー」
「いや、これバラットが本を取り寄せたって言ってた村です」
「バラットが? どんな本?」
 エマが身を乗り出して聞く。
「預言者の日記でした。後から聞いたらバラットが無理矢理小説にしたそうです」
「へぇ、書いてあったので目立つのは?」
 青い髪の少年――サイネが首を傾げ、聞く。
「うーん……あっ、あの預言ですかね」
 そう言うと白き勇者の預言の話をする。
 その話を聞いたサイネは、困惑した様子で頭をかいた。
「おっとおっとぉ? ……ちょぉっとそれ、話そうと思ってた内容そっくり」

 -第九話「援助拒否」終-