ダーク・ファンタジー小説

Re: 白と黒の魔法戦争 ( No.14 )
日時: 2021/05/29 12:41
名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳ ◆GHap51.yps (ID: 0bK5qw/.)

 -第十一話「出発」-

 先ほど決めた数人を探し、ぞろぞろ引き連れて保健室へ向かった。
「なんやなんや⁉」
 驚いた様子で立ち上がるアヴェーニャ。事情を説明すると、
「それはすぐ行かなあかんな。準備するから待っとき」
と言って保健室の奥に行ってしまった。
「にしてもなぁ、仕事が急すぎるぜ? サーラ」
「しょうがなかよ。もしわー達の見立てが間違いで、もっと早ぐ黒団が来たら大変なことになっちゃ」
 ヴィラという活発そうな少年がサーラに文句を言い、それをサレーナという方言で喋る少年が𠮟る。サーラが苦笑して、二人を見た。
「悪いけど、俺達にとってもけっこう急なことだったんだよね」
「お待たせ、ほな行こか」
 包帯やら薬やらをバッグに詰め込み、それを肩から下げて、杖を持って奥から出てきたアヴェーニャ。皆頷き、寮の正門へ向かった。

   ☽

 正門につくと、見送りのエマがスタンバっていた。
「皆、気を付けてね」
「大丈夫。うちがついてるんやから、心配せんかてええ。あんたこそ、うちがいてへんからってはめ外すんとちゃうよ? あんたのことはマイに頼んでるさかいな」
 優しく微笑んだアヴェーニャの言葉に、エマは苦笑した。
「皆さん、魔法陣の上に」
 エマ達が話していた間に、レイヴィーが広めの転移型魔法陣を地面に描き、その真ん中にあの村の場所に特殊なインクをたらした地図を置き、レイヴィーもその上に立っていた。皆が魔法陣の上に立ったのを確認し、呪文を詠唱し始める。
「偉大なる魔法の女神よ。我らをこの場に導きたまえ」
 長い呪文を詠唱し続けるうち、魔法陣が光り始め、だんだんとその光が強いものとなっていった。
「ほんとに気を付けてね!」
 そのエマの言葉を最後に、彼らはその村に転移した。

 -第十一話「出発」終-