ダーク・ファンタジー小説

Re: 白と黒の魔法戦争 ( No.4 )
日時: 2021/04/30 21:15
名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳ (ID: 0bK5qw/.)

 -第三話「朝ごはん」-

 列に並び、朝ごはんを受け取っていく。
「お、3バカ&レイヴィーやん、おはよう!」
 と言って元気に手を振り、四人に朝ごはんを渡す、巫女服の女性。暗い藍の髪色で、左目には傷があった。
「おはようございます、アヴェーニャ姉さん」
「アヴェ姉、おっはよー!」
 レイヴィーとアゲリがそう答える。
 藍髪の女性――アヴェーニャは四人の顔を見回すと、満足したように頷いた。
「うん、今日も調子よさそうで何よりや。今日も一日、超元気に、やで」
 そう言って微笑み、手を振って席を探しに行く四人を見送る。
 レイヴィーを除いた三人は、もう既に座る席を決めていた。走り出しそうな勢いで、レイヴィーを半無理矢理連れて目的の席に向かった。その先には、これ以上ないくらいに美味しそうに食事をしている金髪の女性の姿があった。
「団長!」
「んっ、ふぇいえる(メイヴェル)!」
 そう言うと一度黙り、口の中にあったものを飲み込むと、再び喋り始めた。
「やっほ、一緒に食べようか」
 そう言って、ここに座ってとでも言うように、隣の椅子をぽんぽんとたたく。
 レイヴィーは早く食べ終わって図書館に行きたいのか、急ぎ気味にエマの隣に座った。
「あぁあ~! レイヴィーずるい! エマの隣は私が座る!」
「いや子供か」
 レイヴィーがエマの隣に座ったのを見て頬を膨らませてそう言ったアゲリに、ライトがツッコミを入れる。
 別にエマの隣に座りたかった訳でもないので、朝ごはんを持ち上げて、エマの向かいに座った。
 アゲリは満足そうな笑顔で、レイヴィーが座っていた席に座り、レイヴィーを見る。
「ありがとう!」
「いえ、別に、団長の隣に座りたかった訳でもないので」
「それはそれで私が傷つくなぁ、珍しくレイヴィーが可愛いとこ見せてくれたと思ったのに」
「戦場で爆薬積んでる馬車に火をつけて敵側に吹っ飛ばした人に可愛げを求めないでください」
 そんな会話をしている間に、ライトがメイヴェルにジャンケンで負け、メイヴェルはエマの隣に、ライトはレイヴィーの隣に座った。
「くっ、また負けた……」
「ふふ、ジャンケンで私に勝てるとは思わない方がいいですよ」
 悔しがるライトに、ドヤ顔でそう言うメイヴェル。
 小さい頃からジャンケンで負けなしだった。メイヴェルに勝てるのは、故郷にいるメイヴェルの姉くらいだろう。
「それにしても美味しいなぁ」
「良かったですね、生ハムあって」
「うん!」
 笑顔でそう言い、また一口食べる。
 ライトはそんなエマを見て、微笑んだ。
「さっ、アタシ達も食べよ」
「そうですね! いただきます」
「いただきまーす!」
「いただきます!」
「ごちそうさまでした」
 三人揃って手を合わせ、食べ始めると同時に、レイヴィーはもう既に食べ終わり、片付けに行く。
「レイヴィー食べるの早っ、エマよりも先に食べ終わってる……」
「私はよく味わって食べたいからね、ちょこっとずつ食べれば美味しいのを何回も味わえる」
 と微笑み、自慢げに言うエマ。
「そうですね、私達は特に用事はないですし、このままゆっくり食べましょう」
「そうだな」
 そう言っては、談笑を楽しんだ。

 -第三話「朝ごはん」終-