ダーク・ファンタジー小説
- Re: 白と黒の魔法戦争 ( No.5 )
- 日時: 2021/04/11 16:06
- 名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳ ◆GHap51.yps (ID: 0bK5qw/.)
-第四話「大図書館」-
朝ごはんを食べ終わり、片付けが終わったレイヴィーは本を持ち、白団の寮を出る。
いつも通りの賑やかで人が多い平和な街。その奥の奥へと進むと、その大きさの割にはひっそりと立っている大図書館がある。
ギィと音をたてて扉を開け、大図書館の中に入る。そのままレイヴィーは迷うことなく、大量の本が積まれたカウンターのような場所に向かった。
レイヴィーよりも背丈がある本の壁を軽くノックする。上の本が少し崩れ落ち、音が鳴る。
積まれた本が、小柄な色白肌な手でどかされる。現れたのは、白髪に近い水色髪に、紅い瞳の本を読んでいる少年――いや、小柄な男性と言った方が正しいか。
「……いらっしゃ、ってレイヴィー‼ おはよう!」
最初はかなり気だるげにしていた男性だったが、相手がレイヴィーだと分かるが否や、パッと笑顔になった。
「相変わらず私とエマさん以外の人にはその態度ですか、バラット」
「今日は何をしに来たの?」
どうやらまったく話を聞いてない様子だ。
レイヴィーはため息をつくと、先ほど積まれた本がどかされたことにより空いた隙間に持っていた本を置く。
「これを返すのと、新しく本を借りに来たんです」
「いつもこんなとこに来て、レイヴィーつまらなくない?」
頬杖をついて微笑みながら問いかける。
「いえ、別に。それに、いつも来たところで迷惑じゃないでしょう? 貴方いつも暇ですし」
「一言多いかなー」
ニコニコしながらレイヴィーの話を聞くバラット。そして、自分が読んでいた本を閉じ、レイヴィーに差し出す。
「これ、オススメだよ。大昔の預言者の話。結構田舎んとこから取り寄せたんだ」
「へぇ。それでは、それとあと何冊か借りて帰ります」
そう言い差し出された本を受け取り、天井まで伸びる本棚が並ぶ方へと進んだ。
☽
本棚の横をゆっくり歩き、興味を引いた本を二冊ほど引き抜く。既にレイヴィーの腕には三冊ほど本が抱かれていた。
そして次に、魔法を使って上の段をあさる。一冊の本に手をかけ引き抜くと、思った以上に本が重く、下に落としてしまった。
魔法を解除し下に落ち、床に触れる直前にふわりと浮き、足をつける。
バラットが読み漁りそのまま放置した本がごった返しており、先ほどの本を見つけるのは苦労しそうだ。
一冊一冊持ち上げ、先ほどの本の重さに該当する物を探す。しかし、何度も何度もやっても、そんな本は見当たらない。どうしたものかと考えていると、これだけ苦労する原因になる張本人が現れた。
「やぁやぁお姫様、何か探し物?」
「えぇ、貴方のせいでかなり大変になっていますが」
「え? 酷くね?」
せっかくだしこいつにも協力させようと思い、さっき起こったことをバラットに説明する。
「あぁ、それ大図書館のお化けの仕業だねー」
「え?」
-第四話「大図書館」終-