ダーク・ファンタジー小説

Re: 白と黒の魔法戦争 ( No.6 )
日時: 2021/04/30 21:33
名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳ ◆GHap51.yps (ID: 0bK5qw/.)

 -第五話「大図書館のお化け」-

「あぁ、それ大図書館のお化けの仕業だねー」
「え?」
 お化け、という単語に反応したレイヴィー。その次には、体が異様な速さで震え始めた。
 その犯人のことを詳しく知っており、それがお化けでもないことは知っているバラット。レイヴィーの大のホラー嫌いを知っているため噓をついたが、中々面白い反応が見れて内心ニヤニヤしながらレイヴィーを見ていると、次の瞬間、頬にかなり鋭い痛みが走った。
「だぁれがお化けじゃこのバカットォォ‼‼‼‼‼」
「ぐえっ⁉」
 頬に思いっきり飛び蹴りをくらい、壁まで吹っ飛び、背中を打つ。
「げっほ、いった⁉ ハァ⁉ ふざけんなバレット!」
 赤くなった頬を手でおさえ、飛び蹴りしてきた相手を見る。
「人をお化け呼ばわりした自分を恨みやがれ!」
 ローブを着たバラットに似ている少年が、そう叫ぶ。
 一方レイヴィーは急に現れた第三者をお化けと勘違いし、しゃがみ込み頭を腕で隠し、震えながらブツブツと何かを呟いていた。
「悪霊退散悪霊退散悪霊退散」
「だから誰がお化けだ! って……お前誰?」
 怒った声でレイヴィーを見やり、首を傾げる少年。
 かなり痛む背中と頬をさすりながら起き上がり、2人に歩み寄るバラット。
「客だよ、客。数少ない人なんだからお前失礼働くなよ」
「は? マジ? あれ噓じゃなかったんだ」
 と顔をしかめる少年。バラットはレイヴィーに手を差し出す。
「すまんすまん、大丈夫だから、な?」
「……」
 まだ少し警戒しながらその手を取り、立ち上がる。
「紹介するよレイヴィー、俺の妹のバレットだ」
「……え? 女?」
「誰が男だ!」
 カッとなりレイヴィーに殴り掛かったバレットを、バラットが捕まえる。
「ごめんな、こいつ女のわりに血の気多くってさ」
「うるせぇ死ねやクソ兄貴」
 そう言うと自分をホールドしている兄の腕に嚙みつく。
「ん゛っ……。まぁ、とりあえずこいつがさっきのレイヴィーの話の真犯人ってとこ」
「実の妹をお化けって……」
「そりゃレイヴィーの面白い反応見たいじゃん?」
「一回天国行って私のこと脅かしに来ます?」
「申し訳ございませんでした」

   ☽

 その後説明されたことによると、バレットは普段2人の家に居るらしいのだが、暇つぶしに大図書館に来てはさっきみたいに本を魔法で重くして落としたり、面白そうなのがあれば読んで帰っていくそうだ。
 ちなみにバラットが小声で、
「鬼! 悪魔! 本当にお前人類を救うための騎士団入ってんのか!」
 と言っていたので軽く(結構強めに)殴っておいた。
「これとこれ、借りていきます」
「はい、500*セダットです……(涙)」
 お金を置いて大図書館を去る。早く帰ってこれらを読もう。

*セダットとは
 ラジャリスの世界共通のお金の単位です。この世界のお金はほぼ全て紙幣で、後は特に模様が描かれていない金貨などです。

 -第五話「大図書館のお化け」終-