ダーク・ファンタジー小説

Re: 白と黒の魔法戦争 ( No.7 )
日時: 2021/04/09 20:46
名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳ ◆GHap51.yps (ID: 0bK5qw/.)

 -【第一章最終話】第六話「白き勇者」-

 寮に帰り布団に飛び込むと、借りてきた中の、バラットがオススメだと言っていた物を読み始める。
 本の内容は、どうやらどこかの預言者の日記を無理矢理小説にしたようだった。
「……白き勇者」
 白と黒の戦に終わりを誘われん、か。そんなのが居たらこちとら苦労しないんだよ。
 そう思いながらペラペラとめくっていく。
「……便利そうな魔法。今度マイさんに教えましょうか」
 中には魔法のことが書いてあり、それが中々面白く、あっという間に読み終わってしまった。
 本を閉じ、他の本を手に取ってまた読み始める。それはシリーズ物の小説で、ラジャリスの世界の伝説のお姫様の話が元になっている。ちなみに、まだ完結しておらず絶賛連載中だ。
「……スゥーッ…………今回も最高ですね」
 あそこの大図書館は主の性格はともかく、こういうのが発売されたら即何冊も入荷されてしかも空いているからとてもありがたい。
 次回も入荷したら教えてくれるだろうし、楽しみで仕方がない。
「ただいまー! ってレイヴィー何読んで…………え?」
「どうしたんですかライトさ……ふぁ?」
「何々何して……………………ハァァァ⁉」
 3人が帰ってきて、レイヴィーの読んでいる小説に目を向け、驚いている。
 まぁ仕方のないことだろう。この小説、『羽ばたき姫様』、通称*はねセスは男女関係なく大人気な小説で、手に入れるのがかなり難しい物だからだ。
「え? え? なんで持ってるのレイヴィー⁉」
「あっ分かった! 最近通い詰めの大図書館だな!」
「レイヴィーちゃんズールーいー! 羽セスある大図書館なら早く紹介して欲しかった!」
 困惑した様子でレイヴィーに質問攻めする3人。
 いつもは帰ってくるのはもう少し遅いので、完全に油断していた。
「……教えてあげてもいいですけど、絶対に誰にも言いませんね?」
「分かった!」
「絶対ですよ?」
 と言い、大図書館の奥の方の本棚にあると伝える。
「凄く広いので、迷わないでくださいよ」
 ため息交じりにそう言った。

   ☽

「……気付くかな」
 本を読みながらそう呟く。
「白き勇者。……俺的には、レイヴィーだと思ってるんだけど」
 静かにそう言い、読んでいる本のページをめくった。

 *どうして羽セス?
  姫、は英語でプリンセス。それのセスとタイトルの羽ばたきの羽をとっている。

 -第六話「白き勇者」終-



 第一章【大図書館】-終-