ダーク・ファンタジー小説

荒廃した村 ( No.13 )
日時: 2024/05/02 21:18
名前: 柔時雨 (ID: ..71WWcf)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13011

拠点1階・軍議の間
玄関から入り、向かって左側の壁の1番手前、仲間同士の話し合いをするために設けられた部屋。
テーブルと木製の椅子を4脚を部屋の真ん中に配置し、グレンさんから貰った地図を保管している。

「……昨夜はお楽しみだったようだな。」

俺の前に座っているライザが話しかけてきた。

「…………やっぱり、気付いてましたか。」
「ユーヤの声は聞こえなかったが、シルヴィアの声が……な。おかげで、ちゃんと眠れなかったんだが……
 どうしてくれるんだ?」
「それは俺に言われても……とりあえず、『 この拠点全ヶ所、防音強化 』の設定を追加しておいたから。」
「へぇ、そんなこともできるのだな。」
「ついでに、掃除をするのも面倒だから、皆寝ているであろう『 午前4時に、拠点全土自動清掃 』の
 設定も追加しておこう。」

2つの設定を自分達の居る、土地を含めた拠点全土に登録して、一息吐き……

「……で?どうしたんだ?ライザ。組手の申し出か?」
「ふむ……それも良いな。けど、今回は違う。少し、お前に頼みたいことがあってな。
 作業が終わるのを待っていたんだ。」
「俺に頼み事?」
「あぁ。ユーヤ。アタシと一緒にエギスの村に来て欲しいんだ。」
「エギスって確か……お前が以前住んでいた村だっけ?」
「ふふ……ちゃんと覚えていたんだな。感心、感心。あれから6年……あの村がどうなっているかなど
 興味はないが、育て親の老夫婦が埋葬されているのか……それだけを確認しに行きたいんだ。
 もちろん、あの時のまま放置されて、骨は雨風に晒され、あそこには既に無い可能性だって
 充分考えられる。それでも念のため……な。」
「わかった。帰りは転移石を使えば良いから、行きだけアルガスの町から【 Soul of Centaur 】を使って
 サクッと移動しよう。」
「ありがとう。ユーヤ。」
「あら?2人共、こちらに居らしたのですね。」

この軍議の間の隣に設けた図書室から、【 創造 】のスキルで出した、俺が生前読んでいた
漫画や小説を数冊持ったシルヴィアが扉を開けて入ってきた。

「シルヴィア。いきなりで申し訳ないんだけど、ちょっとエギスの村まで出かけることになった。」
「エギスというと……ライザが育った村でしたね。」
「あぁ。少し……個人的な用事でな。ユーヤに護衛をお願いしたんだ。」
「そうでしたか。えっと……」

シルヴィアは机の上に本を置き、保管していたヴェルスティア大陸の地図を手に取ると、
残りのスペースに地図を広げる。

「エギス……エギス……あぁ、ありました。以前、ライザが言っていたように、かなり
 北方にあるみたいですね。」

そう言いながら、シルヴィアは地図の上の方に描かれているエギスの村の場所を指差す。

「出発地点をアルガスとして、人の住む町などを迂回してエギスへと行く道ですと……主様の
 【 Soul of Centaur 】を使用されても、1日は費やすと思います。」
「なるほど。シルヴィアに聞いておいて良かった。食べ物や飲み物は【 創造 】のスキルで出せるから
 あんまり気にしてなかったけど、どれくらい時間が掛かるかを知っておきたかったからな。」
「シルヴィアも一緒に来てくれるか?」
「私もですか?そうですね……いえ、今回は此処に残ります。主様の世界の書物も読みたいですし……
 それに、主様にはお話しましたが、来訪者がいつ来るか判りません。そして、その者達が敵意を
 持って接してきた場合、此処を防衛せねばなりませんから。」
「なるほど……その話の後で、ユーヤとよろしくやったのか。」

ライザのその言葉を聞き、シルヴィアの顔が一瞬で真っ赤になった。

「わかった。それじゃあ、留守は頼んだぞ、シルヴィア。用事が終わったら、転移石ですぐ戻る。」
「はい!お任せください!」

俺とライザは転移石を使い、アルガスの町前へと向かった。

◇◇◇

シルヴィアの予想通り、1日ではエギスの村に到着しなかったので、俺とライザは見通しの良い平原で
キャンプすることになった。

「あっ、そうだ。ライザ。」
「ん?何だ?」
「大したことじゃねぇんだけどな、ステータスを見せてくれないかなって。」
「そんなことか。もちろん、構わないぞ。」

そう言ってライザはステータス画面を表示してくれた。


【 ライザ 】 Lv・52
種族・半人半狼ライカンスロープ【 亜人種 】
年齢・16歳
性別・女性
身長・165cm
3Size・B 88 / W 58 / H 87
クラス・アサシン
Range・前衛
職種・傭兵
移動ユニット・【 歩 】
属性・闇

【 使用武器 】


【 ステータス 】
HP・147500
MP・66000
【 STR 】・144500
【 VIT 】・138200
【 INT 】・129000
【 MND 】・135000
【 DEX 】・800
【 AGI 】・47800

<< 適正 >>
【 歩兵 】 SS+ 【 騎兵 】 D 【 弓兵 】 D 【 海兵 】 A 【 空軍 】 F
【 魔導師 】 D 【 工作兵 】 C 【 商才 】D 【 間諜 】 SS+ 【 軍師 】 A
【 築城 】 F 【 統率力 】 S+

【 剣術 】SS+ 【 短剣術 】B 【 槍術 】D 【 弓術 】D 【 格闘術 】SS+
【 銃撃 】G 【 投擲 】S+ 【 魔術 】A+ 【 召喚術 】G 【 防衛術 】S+ 
【 生産職 】E 【 罠工作 】D 【 機械操作 】G 【 交渉術 】B+
【 推理力 】A+ 【 軍略 】A+

<< スキル >>
〇 闇に染まりし者 『 パッシブスキル 』
属性:闇
消費MP:-
*自分が使用する属性・【 闇 】の攻撃スキルの威力が3倍になる。
*【 荒野 】【 廃墟 】【 墓地 】での戦闘で、自分の【 STR 】【 VIT 】【 AGI 】の値を
 戦闘終了時まで5倍にする。
*職種・【 聖騎士 】【 白魔導士 】【 聖職者 】の敵と対峙したとき、自分の【 STR 】【 VIT 】の値を
 戦闘終了時まで5倍にする。
*属性・【 光 】の敵と対峙したとき、自分の【 STR 】【 VIT 】の値を戦闘終了時まで
 5倍にする。

〇 静かなる奇襲『 パッシブスキル 』
属性:闇
消費MP:-
*移動中、【 隠密状態 】が発動し、敵から完全に視認されず、攻撃の対象にならなくなる。
 立ち止まって5秒経過してから、ようやく視認されるようになる。
*1対1の戦闘時、自分の【 STR 】の値を戦闘終了時まで5倍にする。
*『 潜入任務 』『 討伐戦 』『 侵攻戦 』『 攻城戦 』に参加した時、戦闘終了時まで
 自分の【 STR 】【 VIT 】【 AGI 】の値を5倍にする。

〇 神をも処す魔狼の血統『 パッシブスキル 』
属性:闇
消費MP:-
*自分が使用する属性・【 氷 】【 闇 】の攻撃スキルの威力が3倍になる。
*1対多数の戦闘時、自分の【 STR 】【 VIT 】の値を戦闘終了時まで5倍にする。
*種族・【 人間 】【 妖精 】【 天使 】の敵と対峙した時、自分の【 STR 】【 VIT 】【 AGI 】の値を
 戦闘終了時まで5倍にする。
*職種・【 勇者 】【 聖騎士 】【 白魔導士 】【 聖職者 】の敵と対峙したとき
 自分の【 STG 】【 VIT 】の値を戦闘終了時まで5倍にする。
*属性・【 光 】の敵と対峙した時、自分の【 STR 】【 VIT 】の値を戦闘終了時まで5倍にする。
*『 討伐戦 』『 侵攻戦 』『 攻城戦 』に参加した時、戦闘終了時まで
 自分の【 STR 】【 VIT 】【 AGI 】の値を5倍にする。

〇 Phantom Fang 『 魔法攻撃スキル 』
属性:闇
消費MP:5
攻撃威力:狼1匹 = 3000
攻撃範囲:B
移動距離:G ~ SS++
*紫黒の闇で作られた狼を5匹召喚し、対象の敵へ向けて攻撃する。
*召喚された狼は直進したり、蛇行しながら対象の敵に当たるまで追いかけ続け続ける。
*敵にダメージを与えた後、召喚した狼は霧散する。
*1分のクールタイムの後、再び使用することができる。

〇 Celsius calibur 『 魔法攻撃スキル 』
属性:氷
消費MP:2
攻撃威力:6500
攻撃範囲:A
*空気中の水分を集めて冷やし固め、氷の片手剣を作り出した後、左右から1回ずつ斬りつけ、
 斬りつける段階で先端が砕けた氷の剣を対象の身体に正面から突き刺し、冷気でくっついている
 剣の柄の部分めがけて、更に追い討ちで渾身の蹴りを繰り出して、対象大きく吹っ飛ばす。
*この攻撃を受けてHPが0にならなかった敵に、状態異常・【 凍結 】を付与する。
*最後に敵の身体、または装備品に冷気でくっつける氷の剣は対象によって場所が変わり
 大型の種族・【 機械 】【 モンスター 】【 ドラゴン 】【 悪魔 】の頭か背中に突き刺した場合
 最後の蹴りは大きく跳躍してからの踵落としに変化する場合がある。


「おぉ!強いスキルが多いな。」

移動中に敵から視認されなくなるのは、純粋に強いよな。

「これから先、いろいろと頼りにさせてもらうぜ、ライザ。」
「ふふっ……あぁ。任せておけ。」

◇◇◇

夜が明けてからまた移動して、俺達はエギスの村に到着した。

「こ……こいつは……閑散とした……いや、既に廃村と言っても過言ではないかと……」

建物はどれもボロボロ、雑草もこれでもか!というほど伸びきっていて、畑らしき物や何かを
飼育していたのであろう柵は見えるものの、農作物や動物の姿は見当たらない。

この村に住んでいる人達は、一体何で生計を立てているのだろう?

「…………」
「ライザ?」

静かに歩きだすライザに着いて行くと、とある焼け崩れた廃材の前で足を止めた。

「…………此処が、ライザのお家があった場所なのか?」
「あぁ……丁度、此処が玄関で……あの2人は、此処に倒れていたんだ。」

そう言いながらライザはしゃがみ込み、カサカサの罅割れた地面をそっと撫でた。

「ん?なっ!?おまっ、お前!!」

今にも崩れそうな家から出てきた小太りした中年の男性が俺……いや、ライザに気付き、
勢いをつけて詰め寄って来た。

「お前のせいだ!!お前がこの村に来たせいで、何もかもがメチャクチャになったんだ!」
「おっと!おっさん。それ以上、俺の大事な仲間に近づかねぇでもらおうか。」

俺はツヴァイハンダーの剣先を男性の喉元に突き付ける。

「ひぃっ!!おっ……お前!そいつを仲間にしただと!?正気か!?そいつは災いしか呼ばないんだぞ!
 一緒に居るお前だって、この先どうなるか……」
「あぁ?何をもって、ライザが災いを呼ぶなんていう、ふざけたことを言ってやがるんだ?」
「だっ、だって……そいつが村に来た時から、急に作物が育たなくなって……そのせいで、
 家畜にやる餌だって……!」
「はぁ?それって、お前達が畑仕事をサボったか、この土地に合わねぇ作物を育てようとした
 結果じゃねぇのか?」
「なっ!?悪いのは我々だと言うのか!?」
「過去に起きた不作の原因なんざ、資料も無さそうなこの状況で、今から判るワケねぇだろ。
 それでその全ての原因をライザ1人のせいにするなって言ってんだよっ!!他の原因が
 あるかもしれない、自分達に不足があったかもしれねぇって、何で考えられねぇんだっ!!」
「ユーヤ……」

ライザはスッと立ち上がり、俺の隣、男性の前まで歩いて来た。

「ひぃっ!?くっ……来るな……」
「アタシがお前等この村の者に訊きたい事はたった1つだけ……代表してお前が答えろ。」
「な……何だ?」
「お前等が殺した、アタシの育ての親である老夫婦の墓はどこにある?」
「はぁ?そんなモン、無いに決まってるだろ。ずっとお前を匿っていた愚か者共だぞ!
 村八分になっても当然……誰も墓を建てようなどと思わんかったよ!ただ、ずっと村に死体を
 放置しておくわけにはいかんから、そこの森に捨ててやったわ!」

そう言いながら男性は震える手で、俺達の背後に広がっている森を指差す。

「こいつ……!」
「そうか……」

ライザは少し体を捻ると、男性の腹部に渾身の回し蹴りを叩きつけた。

「ぐっ……ごぼぉあぁあぁああぁあああっ!!」

ライザの蹴りを受けた男性が、扉が既に壊れて無くなった今にも崩れそうな家の中まで吹っ飛んだ。
漫画などの作品で、ドンガラガッシャーン!と擬音で表記されそうな音が、男性が吹っ飛んだ
家の中から聞こえてきた。

「……命を奪わないよう、手加減してやったことを、ありがたく思え。」
「慈悲なんてかける必要は無さそうに思ったけどな……どうする?ライザ。この村を地図上から
 消すっていうのなら、幾らでも力を貸すぜ。」
「……いや、この村に住む全員が全員、あんな屑とは限らない……と、思いたい。新たに産まれた
 子ども達には何の罪も無いだろうからな。それに……アタシ達が手を下さずとも、この村はもう
 駄目だろう。」
「……そうだな。ここから再度復興・発展させるのは……とても有能な統治者が来たとしても、
 かなり難しいだろう。」
「ユーヤ。我儘ばかり言ってすまないのだが……一緒に森まで来てくれないだろうか?
 骨を見つけられないだろうということは、重々承知している。ただ……そこの森の何処に居るかは
 判らないが、せめて祈りだけでも捧げてやりたいんだ。」
「そんな……それくらいのこと、我儘のうちに入らねぇよ、ライザ。お前の気が済むまで、
 どこへだって付き合ってやるよ。」
「ユーヤ……ありがとう。」

ライザを先頭に俺達は森へ足を踏み入れ、歩を進めている途中で、立派な大樹の前に出た。
他の場所は荒地だったり、腰の位置まで草が生い茂っていたりするが、
この大樹の周囲だけ、誰かが手入れしているのかと思うくらい短い草が生え揃っていて、綺麗な花も
沢山咲いている。

「此処で良いか……骨なんて、とっくに風化してしまっているだろう。すまない……願わくば、
 どうか2人の魂が、天国で安らかに過ごしてくれていることを……」
「ライザ……ん?」

地面に片膝を着いて祈りを捧げるライザを包むように淡い光が舞い上がる。

「これは……」
「此処は……そうか、思い出した。この樹は……」

***

8年前

「良いか、ライザ。この森のこの樹は、あの村を守ってくれておる御神木じゃからな。絶対に
 傷つけてはならんぞ。」
「ん……わかった。」
「うむ。それにな……この樹には不思議な力が宿っておるようでな。周辺の草木や獣や鳥、
 儂等のような者達から、ほんの極僅かな、日常生活に支障をきたさん程度の魔力を一定の周期で
 吸い続けていてな……ある一定の量まで、その魔力が貯まった時……この樹を訪れた物が、
 1番会いたい者の姿を映し出すんだそうじゃ。」
「……父さん。何言ってんのか、難しくて解んない。」
「はっはっは!今のライザには、まだちょっと難しかったか。まぁ、いつかお前にも解る時が
 くるじゃろうて。もっとも……その奇跡に巡り合えるかどうかまでは、判らんがな。」

***

「これが……父さんが言っていた奇跡……」

舞い上がった光はライザの前で集まると、薄っすらと年老いた男女を映し出す。

『ん?おやおや、婆さん。誰かと思ったら、わし等の可愛い娘が来てくれたみたいだぞ。』
『えぇ、えぇ。大きくなったわねぇ、ライザ。』
「父さん……!母さん……!」

勢い良く立ち上がろうとして、前のめりに倒れたライザに、お爺さんが優しく手を伸ばす。

『ほっほっほ!わし等の愛娘まなむすめは慌てんぼうじゃのぅ。』
「父さん……母さん……迷惑かけて、ごめんなさい!ぐすっ……アタシ……アタシ……!」
『大丈夫ですよ、ライザ。私達は迷惑だなんて、これっぽっちも思っていませんよ。』
『まったくじゃ!子宝に恵まれんかったわし等が偶然、あの廃れた教会でお前を見つけた時は、
 どれほど神様に感謝したことか。』

そう言いなら2人は泣きじゃくるライザの頭を、優しく撫でる。

『ありがとうねぇ。私達の所へ来てくれて。』
『こうしてまたお前に会えるまで待ってくださった神様には改めて感謝せんといかんなぁ。
 本当に……無事に生きていてくれて良かった。』
「うん……!うん……!」

ライザを撫でている2人の視線が俺とシルヴィアへ向けられる。

『あんたは、ライザのお友達だね?わし等はもう、行かねばならんのでな。どうか、娘のことを
 よろしくお願いします。』
「はい。大まかな話は彼女から聞きました。もう、絶対にライザを1人にさせないよう!あなた方の
 大事な娘さんは、俺が責任を持ってお預かりさせていただきます。」
「ユーヤ……」
『えぇ、えぇ。よろしくお願いしますね。』

老夫婦は優しく微笑むと、スッ……とライザから離れていく。

「父さん!母さん!……10年間、アタシを育ててくれてありがとうございましたっ!アタシも!
 2人に会えて、一緒に過ごせて幸せでしたっ!」

大粒の涙を流し、張り裂けんばかりの声で感謝の言葉を述べたライザを優しく見つめながら、
老夫婦を映していた光は掻き消えた。

そのまま張り裂けんばかりに声を上げて泣き続けるライザの傍へ歩いていくと
ライザは俺に飛びつき、胸に顔を擦り付けて泣き続けるので、俺は彼女が泣き止むまで頭を撫で続けた。

~ 数分後 ~

「…………みっともないところを、見せてしまったな。」

満足するまで泣いたのだろう。
少し落ち着きを取り戻したライザが、恥ずかしそうにそっぽを向いて呟く。

「何言ってんだよ。泣きたい時に泣けるんだったら、満足するまで泣けばいいんだよ。
 我慢する必要なんて何1つ無いんだから。苦楽を共にしてこその仲間だろ。」
「ユーヤ……本当にありがとう。」
「もう、思い残すことは無いか?」
「あぁ。あの2人に会えて……伝えたかったことを伝えられた。もう、此処でやることは……
 思い残すことは、何も無い。」
「わかった。それじゃ、帰ろうか。」
「あぁ!」

俺の呼びかけにライザが力強く頷き、そのまま転移石を使って拠点へと帰還した。