ダーク・ファンタジー小説
- Re: 『記憶の図書館』 ( No.1 )
- 日時: 2021/05/22 01:35
- 名前: 大根味の味噌煮 (ID: T3oqfZAk)
…さて、今日もまたこの時間に起こされる。
まだ5時だってんだ。一体上の奴らは何を考えているんだ?
そんな不満を垂らしながら、今日もまたベットから起きる。
???「ふあ〜あ、こんな朝から汗水垂らして働きたくなんかねえのに。」
俺か?俺はアラル・ストリグル。
この「ラリラード大帝国」の農民だ。
アラル「はは、今年も大凶作か。そりゃあ、そうだよな。」
アラル「はあ、こうなら政府の奴らを殺して、俺が政権を握ってやろうかな?」
なんてったって、この国は特権階級以外、皆奴隷、みたいな状態なんだよ。
「はあ…」
俺が愚痴りながら仕事をしていると、突如その人はやってきた。
???「あのー、すみませーん、アラルさんのお宅ですか?」
こんな朝っぱらになんのようだ?
しかも俺の家に来るなんて、とんだ物好きみたいだな。
アラル「ちょっと待ってろ、今出る!」
???「すみません、私は反帝国軍、『プレッジヴ』の一員、メリッサと申します。」
アラル「…反帝国軍?」
メリッサ「ええ、反帝国軍です。」
まさかの、俺が考えなかった答えが飛んできた。
反帝国軍だって?なんでそんな奴らが俺のところに?
アラル「…すまないが、俺は確かに政府には不満を持っている、だが反帝国軍に入れるような人材じゃないだろ?他をあたるんだな、他を。」
適当に言って追い返そうと思った。
だが、思いの外ヤツはしぶとかった。
アラル「…あーも、いつ帰るんだよ!!いい加減にしてくれ!!」
ついつい怒鳴ってしまった。
メリッサ「引き下がりません!あなたにはこの国を帰る力があります!!」
…相手も怒鳴ってきた。引き下がる気はないみたいだな。
それから数時間、俺たちは睨み合った。
早く帰ってくれないかと、言い訳を考えた。
でもそれでもあいつは引き下がらない。
…疲れてきた。俺が反帝国軍に入るって言えば、あいつらは帰ってくれるか?
…何を考えたのか、俺はそこで、
「…しょうがねえな、入るよ、入ればいいんだろ!」
と、言ってしまった。
「はーい、ありがとうございます、アラルさーん!」
メリッサのやつはそう言って足早に帰っていった。
…これが、俺が命を燃やす決戦に出た、始まりの話だ。