ダーク・ファンタジー小説
- Re: 「しあわせ」を求めて。 ( No.11 )
- 日時: 2021/07/26 17:55
- 名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)
んー...なんか騒がしい...?
「....が.............れた......」
はっきりしない意識の中、重い体を必死に持ち上げる。
「姫が...誘拐された...」
...は、なんで、あいつ一応国の機密じゃ、
「犯人は!?」
「わからん...今調べてるらしい」
「...なあ、詳しく聞かせろよ」
「お前は...ああ、わかった」
それから聞いた話によると、昨日の深夜の見回りまではいたあいつは早朝にはもういなかったらしい。
脱走はありえない、と言われ、一つの疑問が浮かぶ。
「...さすがのあの人でも、私情くらいあるだろ」
「..........そうか、お前は知らないのか...」
「?」
「....あの方には、」
感情なんてないんだよ。
「.....は?」
「いや、正確には「欲望を消されてる」んだ」
「それって、どういう...」
「食欲、睡眠欲、知欲、ありとあらゆる欲をハーメルン様に奪われてる」
「........っ、」
「だから、逃げようなんて欲も湧かない」
「でも、あいつ、前...」
「犯人がわかったらしいぞー!!」
「本当か!?」
「ああ、犯人は...」
「ベルゼブブさ。」
「ハーメルン王子っ!?」
あ、来んなし。
周りのやつは一瞬で跪く。うわー、ベルさんか。厄介そうだな。
「さて、ベルゼブブは誘拐犯...ではない。誘拐したのは別の誰か」
んま、だろうな。ベルさんよっぽどの事ないと自分じゃ確実に動かねえし。
「そして、誘拐犯は...」
「ニズム・クロシーバ」
周りがざわつく。俺は初めて聞く名前だな。
「90年前、国家機密である姫に関与した罪で捕らえられた反逆者さ」
「罪を重ねた以上、ニズムは極刑に処す。これより、ニズムの確保、そして姫の救出任務を遂行せよ」
「「はっ!」」
揃いも揃って...バカばっか。
耳元で言われた。
「君等のことは応援してる。彼女のためにもね」
なんか誤解されてね?
〜第二章 奇跡と人を寄せる少女のお噺 二話〜