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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 「しあわせ」を求めて。 ( No.3 )
- 日時: 2021/07/20 21:57
- 名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)
「今日も来たのかい...で、今日は大丈夫そうかい」
「ああ、なんとかかいくぐってきた」
今日で多分1週間。毎晩毎晩よく飽きないなあ、俺
「ほんと、よく飽きないよねキミ」
「心でも読まれたか」
「当たってたのか」
こいつといると楽しいから。
なんとなく、笑いが零れる。
「くふ、ふふふ」
「なにさ急に、気持ち悪い」
「うっさいなあ、どーでもいいだろ、ふッw」
「うわあ...」
呆れたような声。そりゃあそうか。急に笑い出してキモいわな。
今日で1週間。この一週間でだいぶ打ち解けて互いに...いや、俺はこいつを拠り所にしている。
「はー...やっぱここは落ち着くわ」
「人の部屋のベッドに寝そべんないで...」
「いやあ、本当に落ち着くんだって」
そう、本当に。
多分俺は、縋るものが欲しかったんだと思う。
仕事の愚痴を吐き出す相手もいないし、かと言ってリフレッシュに外に出ることすらあの暴君クソ王子に禁じられている。
敷地内だけの移動を許されている、所謂軟禁状態。
その方がまだマシだと知ったのはつい最近のことだ。
一体こいつは、どれほどの時間孤独に浸っていたのだろうか。監禁、幽閉されていた時間は何をしていたのだろうか。
深夜の密かな3時間は、俺にとっての唯一の癒しなのかもしれない。
ああ、神って不公平だな。
俺は、こいつに自由を与えてほしかったよ。
〜第一章 名も無き天使の御噺 一話〜
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