ダーク・ファンタジー小説

Re: 「しあわせ」を求めて。 ( No.8 )
日時: 2021/07/22 19:13
名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)

ところで...

「あのー、もしかしてまだ怒って...」
「怒ってる」

なんでだよ...

「自分で考えて」
「言ったそばからバレてるから」
「違う」
「王子t」
「あいつの話はしないで」

神経逆撫でしたらしい。

でもマジでなんでキレてるのこいつ。

「...あの、そろそろ答え合わせ」
「はー..................」

でっけえ溜息...幸せ逃げるぞ。

「...ばか。なんでそんなデカい傷作ってんの。流石に肝が冷えた」
「...へっ?????」

拍子抜けだ。こういうのを豆鉄砲食らった鳩みたいな顔って言うんだ。

俺の心配してたの??

「いや、でも俺マジで大丈夫」
「大丈夫でもダメ。見てるこっちが嫌なの」

どこからか救急箱を取ってきたあいつ。俺の目の前にへたりと座ると慣れた手付きで傷の手当をしてゆく。

こいつ、堕天使なんだよな。

真っ白な羽も、黄金の天使の輪も。

普通の天使と見分けがつかない。

その口元には一体何があるのかな、なんて。

「はい、とりあえず手当済んだけど」
「ん、あんがと」

改めて見ると顔整ってんなーこいつ...

「何ジロジロ見てんの」
「顔整ってんなって」
「あっそ」

あれれ、耳までまっかっかwかーわい...

もういっそ、こいつと一緒に遠くまで逃げられねえかなあ...

そしたら、絶対しあわせにするのに。


でも、ここでこのままなのも

悪くはないかもしれない。

だって






誰にも、奪われずに済むんだし。

〜第一章 名も無き天使の御噺 終話〜