ダーク・ファンタジー小説

Re: 「しあわせ」を求めて。 ( No.9 )
日時: 2021/07/23 19:43
名前: ぬこみかん (ID: rXD7GYwx)

ずっと、期待を背負いながら生きてきた。

「奇跡の巫女様がいればこの国は安泰ね!」
「巫女様がいればきっと何万年先も平和なんだろうね」

その期待を、全部倍以上で返すのがボクのお仕事だった。

「大丈夫?痛かったよね、すぐ手当するから」
「国の平和を乱す不届き者め...」

でもね。

表に出さないだけで、とってもとっても辛かった。

だから、王子に...ハーメルンに閉じ込められたとき。

なんでかな、肩の荷が下りたみたいだった。

「天界の国を統べるもの、天界に住まうものは皆、「正義」でなければならない」

どこかの偉い神様が言った。でも、「正義」に定義はないから。

ハーメルンのした仕打ちも、彼の「正義」なら最高神共は咎められない。

それが、今の天界の絶対的信条。法律。

それが心からの正義なら、何をしようと咎められない。


________馬鹿な奴らだな、本当

悪人、それは嫌いさ。善人?それも嫌いだね。

天界では、もうそのどちらもあやふやなのさ。

「正義」のぶつかり合い。勝者は願いを叶え、敗者の多くが押し込まれ、敗者同士で「正義」をぶつけ合うスラム街ができてしまったり。

散々だ。散々だった。

でも、でもね。



孤独の中なら、「正義」も「悪」も関係なかった。

初めての孤独。そこに、恐怖はなかった。


キミが来てから、多分ボクはよく笑うようになった。

「よー、今日も来てやったぞー」
「アンタがなんであれ、責めねえし嫌わねえよ」

あの時のあの子と重ねちゃって。

「また来ましたよ!」
「あなたは善人じゃないですか!だから愛されてるんですよ?」

益々、頭にこびりつくんだ。



あの時の________


「よー、今日も来たぞー」

...はは

「また、来たんだ...もしかしなくても君馬鹿なの?」
「失礼な」


やめよう、益々ひどくなる...

〜第二章  奇跡と人を寄せる少女のお噺〜