ダーク・ファンタジー小説

Re: そのガラスは多分、赤。 ( No.2 )
日時: 2021/09/02 11:04
名前: 都 ◆ukLdzRqWds (ID: 8cbAvaGA)

気がつくと布団の上で寝ていた。
誰かが運んだのだろうか?
それともー……。ううん、そんなこと考えちゃだめだね。
足音が近づいてくる。とりあえず寝たふりをしてみる。だって起きたってなればなにが起こるかわかんないし。

コツ、コツ。

靴はヒールがあるのかな?いや、革製なのか?
……何故いま大がつくほどピンチなのにそんな余計なことまで考えられるんだ。

がちゃり。と、音がした。
横を向いて薄目を開けていた私でもわかる。
足音の主は今、私のすぐそばにいる。
そして私の顔をのぞきこんでいる。私は額にうっすらと汗がにじんできた。額だけじゃない。手のひらにも、ううん。身体中に。
そして足音の主は一言。
「寝たふりをするほど貴様は弱いのか」
……ああ、ばれたのか。もう諦めよう。そう思い目をあげ上体をゆっくりと起こした。
赤毛のさらさらとしていて腰くらいまである髪が窓からふく風になびいている。
赤いその目で真っ直ぐと見られると小柄ながらも大きく見えてしまう。これが強者とゆう者なのか?
……にしてもこの人、顔が整っている。なんかむかつく。
「ええ。あたしは寝たふりをするほど弱いんです」
やや怒りぎみで言ってしまった。そんな口調で言ったらもうどうなるのかも想像がつくのに。
だが足音の主は想像がつかない一言を言った。
「……そうか」
「えっ?」
以外すぎてつい声が漏れてしまった。
あ、終わった。私の人生、ここで終わったかな。