ダーク・ファンタジー小説
- Re: 死の華が咲く時に1 ( No.2 )
- 日時: 2021/10/28 18:17
- 名前: 絵馬猫 (ID: X6hSb0nX)
死の華が咲く時に 2話
ー朱い華が咲く者は死を超越した存在となる。唯一、蒼い華を抜くことのできる存在。しかしそれにも代償がいる。己の命。朱い華と蒼い花は命の重さで繋がっている。ー
その青年は体を隠すほどの黒いローブを羽織っていた。
"だ、誰…出てって…"
私は震える声で告げる。
青年と私は目が合う。
彼の目はしっかりと生きる意志のこもったっていた。
青年はそっと口を開いた。
"俺は黒羽。眼に朱い華を持つ。大丈夫だ。お前に危害を加える君なんてない。
むしろ、お前を救いに来た。
俺はお前を治せる。俺について来い。
信じないなら来なくて良い。"
凛としていてしっかりとした声。
黒羽の言葉は私の胸に響いた。
彼についてくことで何か変わる?
そんなことはない。
でも、一度見た希望を諦めることなんてできない。
私は彼についてく。窓から出る。
久しぶりに浴びる日光。
眩しい。
仰ぎ見る空は光が満ち溢れていた。
彼は商店街の路地裏から小さなカフェにたどり着いた。
おしゃれな小さなカフェ。温かみのある色。
彼はその中に入りマスターに挨拶をした。
マスターはよく漫画とかに出てくるみたいな優しい人だった。
そしてその眼には白い華が咲いていた。
そしてそのカフェにいる人には全員に共通するところがあった。
全員の眼に華が咲いている。
カラフルな華。
彼はこのカフェについて説明してくれた。
"このカフェには目に華が咲いた人が集まるんだ。俺が紹介した人もいる。眼に華が咲いた人用のカフェだ"
このカフェに居ると心地が良い。
私は彼に質問した。
あなたは何故私のことに気がついたの?
なんでここの人の眼の華はカラフルなの?
彼はちょっと考えるような動作をしていたがこう返してくれた。
"花には色ごとに花言葉があるだろ。この華は綬色華って言うんだ。有名なのが青と赤だけってだけで白だったり、紫だったりするんだ。
正確にはここで華の色を変えてるんだけどな。色素を入れ替えて、死の能力がある蒼い華から違う色に変えるんだ。これでお前を救える。
朱い華の能力は青い花を自分の命と引き換えに抜くことができる。そして蒼い華の持ち主を見つけれる能力。これでお前を見つけた"
わかりやすいように言葉を探して、ゆっくり話してくれた。
彼は"他にも知りたいことがあったら言ってくれよ。まぁまぁ後で詳しく説明するよ。とりあえずマスターのコーヒーでも飲めばいい。まだ完璧に理解したわけじゃないだろ。急がなくていい。自分のスピードで理解してくれていい"
やっぱり彼は優しい人間だ。
私は冷たく凍った心が徐々に熱を手に入れるのを感じた。
続く
