ダーク・ファンタジー小説

疾風の神威 ( No.3 )
日時: 2022/02/02 21:17
名前: 野良 (ID: JGdWnGzk)

___帰宅後。私は誰もいない家に帰り、団服から部屋着に着替えた。ソファに体を沈め、ふう、と息を吐き出す。

「…疲れた」

時計を見ると、もう日付を跨いでいた。私は立ち上がり、ポットでお湯を沸かし始めた。寝る気はもう、失せていた。しゅー、しゅー、と部屋にポットの音が響く。私は窓から真っ暗な空を見上げ、また、小さくため息をついた。

――――――――――――

「…ふぁあ…」

翌朝。いつも通り制服に着替え、青いマフラーを巻き、私は家を出た。学生鞄を肩にかけ、右手にミニサイズの牛乳を持って。

「おはよう、刹那」

そうあいさつされ、振り返ると、制服姿の杏がいた。私も笑って、「おはようございます」と返す。

「…ん? 佐助は一緒じゃないのか?」

「あぁ、ええ。きっと、またギリギリまで寝てるんでしょう。昨日は任務中にあくびをしてましたから」

「まったく、あいつは…。仕方ない、起こしに行ってやるか」

「ですね」

私と杏は、佐助を起こしに行くため、二人で彼の家へ向かった。
__五分後。

「うわあっ!?」

「わっ…!」

「うおっ」

ちょうど玄関の前に立ったところで、佐助が家から飛び出してきた。私と佐助はぶつかり、杏は私を受け止めた勢いでしりもちをついてしまった。

「いってぇ…って、お前らか! 家の前で突っ立ってんじゃねぇよ!」

「…あなたが寝坊しなければ、私と杏はこんな目に遭わずに済んだんですがね」

「…お前たち、良いから立てよ」

佐助は、制服のほこりを払いながら文句を言う。私たちは言い争いながら、学校へ向かった。