ダーク・ファンタジー小説
- Re: 神が導く学園生活 ( No.3 )
- 日時: 2022/01/09 23:45
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: hAr.TppX)
第一章 入学式編
入学式が終わり、アインスの俺たちはクラス分けをされ各クラスに新たな学園生活の説明を受けていた。
「ではこの世界の基礎知識から授業したいと思います。この世界には魔素という全ての元になる物質で溢れています。その魔素によって私たちは魔法を使うことができます。」
すると先生が人差し指から小さな炎を生み出す。
アン・フゥル だ。炎系統の灯魔法。初級中の初級魔法だ。俺は炎系統の魔法適正は無いから初級中の初級でも使えないんだがな。
「これはアン・フゥル 炎系統の灯魔法です。」
俺が思っていたことと同じことを先生が言う。
「先生!系統ってなんですか!」
金髪に褐色肌。耳は尖っているためエルフ…だろうか?
「カタバミさん。いい質問です!」
エルフ。天使の突然変異のため、周りからエルフと言うだけでチヤホヤされるうらやめしい種族だ。
「系統というのは魔法の大まかな種類です!魔法を大きく分けると水系統 炎系統 地系統 嵐系統 雷系統 天系統 光系統の6種類があります。そこから派生して氷魔法。風魔法。気魔法があります。黒板に魔法の図を書くのでノートに書いてくださいね。」
そう言うと先生は黒板に文字を図を書き始めた。
『【魔法属性】
青 赤 茶 緑 黄 白 黒
水 炎 地 嵐 雷 天 光
/ / | | \ \ \
氷 火 土 風 電 候 闇
| | \ | /
霜 灯 \ | /
気 』
なるほど水系統は上から水、氷、霜魔法。
炎系統は上から炎、火、灯魔法。
地系統は上から地、土魔法
嵐系統は上から嵐、風、気魔法
雷系統は上から雷、電、気魔法
天系統は上から天、候、気魔法
光系統は上から光、闇魔法。
結構多いんだな。俺は少し焦りながらノートに書き記す。するとじわっとノートに汗が滲む。
俺は闇魔法使いだから光系統は覚えられるが他の魔法。特に天系統や嵐系統が覚えづらい。
「次はこの世界のランクと、学園のランクについて説明しまひゅっ」
先生噛んだ。案外可愛いんだな。俺はクスッと笑うと周りが少しザワつく。特に女子が。
自画自賛になるけど俺って結構顔良いのかな。いや、俺が絶滅危惧種の、牙狼族のハーフだからか。さっきエルフの種族がうらやめしいとか言ってたが、俺も大概だな。
「おっほん!では世界のランクについて説明します!これもノートに書いて下さいね!
この世界にはS〜Hまでランクがあって、ランクが高ければ高いほど強くなります!」
先生が得意げにクルクルと回りながら説明をする。クルクルと回ってるのにスラスラと黒板に文字をかけることに疑問を抱く。
「センセー!Sが1番サイキョーってことですか!」
白い肌に赤髪緋色の目の少年が手を挙げて質問をする。歯がギザギザして目つきなすごく悪い。悪魔みたいだ。ー悪魔ー聞いただけでも吐きそうな存在だな。
「そ、そうですね」
先生も同じことを思ったのか少したじろぐ。
「確かにSが強くて最強ですが、Sは基本神話、伝説級のモンスターに付けられるランクですね。今から先生基準でランクを書いてみますね!」
また先生が、スラスラと黒板に文字を書いていく。
『S 伝説級レベル
A 凶悪モンスターレベル
B 偉人級レベル
C 騎士級
D 成人級
E 学生級
F 学生級
G 幼稚園級
H 老人、赤ん坊級』
ふむふむ、てことはBが人類の最強って所なんだな。俺は人生で Dまで行けたら満足だ。「アレ」をしたらB、もしくはAランクぐらいにはなりそうだ。そうならないように気をつけないと。
そう思いながら俺はノートに書き留めていく。
「皆さんかけましたかね!覚えることが沢山ですが次行きますよ!次は学園のランク、学年についてです!」
先生はチョークを手に空へ突き上げ、片方の手を腰にやってポーズを決める。可愛いけどその歳でそのポーズはちょっと気持ち悪い。ごめん。先生。
「まずは学年について。私達の学年は白色のアインスですね!」
そう言いながら先生は黒板に学年ランクを書いていく。
『1 eins アインス 白
2 zwei ツヴァイ 黄
3 drei ドライ 緑
4 vier フィーア 桃
5 fünf フゥンフ 紫
6 sechs ゼクス 青』
先生は丁寧に学年カラーも一緒に書いていく。もしかして俺たちの制服が白なのも学年カラーが影響してるのか?
俺たちの制服は白のワイシャツに学年色のブレザーに大きなローブだ。
「では次!学園のランクです!」
そろそろこの授業にも飽きてきた。何個ランクがあって覚えなければならないんだろうか。周りの生徒もうんざりしていたのだろうか。どんよりとした空気が流れる。その時、事件は起こった。
「わっコラ!スライム!」
後ろの席の少年の机からテニスボール程の大きさのスライムが飛び出してくる。きっと授業が退屈で机の中で遊んでいたのだろう。
ースライムー基本テニスボール程の大きさの魔素の塊。確かHランクで幼稚園児でも倒せるモンスターだった気がする。
「こら!授業中にスライム持ってきちゃ行けません!処理しなさい!」
先生は頬をプクーと膨らませ怒る。うん。可愛い。恋愛対象とかにはならないけど愛らしい動物を見ているようだ。俺も牙狼族なんだけどな。
「はぁい。ごめんなスライム。アン・ゥロウ」
アン・ゥロウは水魔法の初心者向け魔法だ。スライムは魔素の塊だから魔素を固めて作られた魔法をスライムにぶつけると消滅するのだ。
「あ、ダメっ!」
先生が何故か焦っている。どうしたんだ?俺は涼しく見ている。
するとスライムがみるみるうちに大きくなっていく。
「スライムは水を吸う性質なんです!大きくなったスライムはCランクにも相当するんですよ!」
Cランク...騎士に相当するってことか?!スライムが!
今そんなスライムがきたら不味い!
スライムはみるみる大きくなり、130cm程になる。これほどになると俺らを覆いかぶせるぐらいだ。
俺はこの状況はまずいと思い立ち上がる。
「闇魔法!ドゥ・オプスキュリテ!」
俺は魔法を唱えると手のひらから小さい玉が複数出てくる。それはスライム目掛けて一直線に飛んでいく。
しかし、その魔法はポヨンとスライムに当たり吸収される。
「なんっで…!」
俺は自慢の魔法が直ぐに吸収されてしまうのをみてプライドと自慢がポッキリと折れる音がする。
「スライムは…自分の魔素量より小さい魔法は…吸収する…」
俺の後ろから白銀の少女が俺の机に乗ってジャンプする。
「氷魔法弐・氷花」
少女がスライムに向かって魔法を打つ。氷魔法の弐って...!上級者の...上位の魔法だ!
スライムは花形に一瞬凍ったと思ったら、パリンっと割れ、ちりぢりになって無くなってしまった。
「凄い...」
俺はその一言しかいえなかった。その少女はふぅと一息つくと顔にかかった髪をすくう。その様子はまるで人ではないような。洗礼された動きであり、それに俺は魅力されてしまった。白銀の髪、毛先は水色に染まってこの世のものとは思えないほどキラキラしている。そこから覗かれた瞳は緋色の何もかもを見通しているかのような吸い込まれるような...
その彼女の姿に俺は一瞬にして魅力されてしまった。
「ローズさん!助かりましたありがとうございます!」
先生は両手を重ね満面の笑みで笑う。
「これぐらい。どうってことないです。」
彼女は何にも興味を示さず冷たい返事を返す。そんな所も美しい。
あれ、これ一瞬でも認めた相手に尽くす牙狼族の性質が出てしまってないか?でも見れば見るほど美しいという文字が似合う少女で...
「何?」
少女は俺に見られていたのが気に食わなかったのか機嫌を悪くして俺に聞く。
「え、いや、なんでもない。君名前は?」
俺はキョドってしまいキモイ人になってしまった。
「名前は自分から名乗るものじゃないの?」
少女は見るからに機嫌を悪くして言う。しかし名乗ったら名前は教えてくれるということに嬉しさを俺は隠せなかった。
「俺は暗狼 牙だ。」
俺はいつもの調子を整えクールにその場を乗り切ってみせる。ふんと、彼女は鼻を鳴らす。
「私はラナンキュー・ローズよ」
ラナンキューか...言い難い名前だな。俺はここで初めて彼女を卑下した。
「ラナンキュー...ラナって呼んでも良いか?」
俺はなるべく爽やかな笑顔で彼女に聞く。彼女は諦めたのかはぁとため息をつくと
「勝手にしたら」
と許可を得る。
「じゃあよろしく。ラナ。」
俺はこの学園に来てから初めて素の微笑みを彼女に向ける。しかし彼女は俺に見向きもせずにノートをとっている。さっきから1度も興味を示されたことは無い。寂しい気持ちはあるがそれよりも彼女への興味で溢れかえりそうである。
「ちょっとぉそこ!夫婦漫才は休み時間にしてください!」
席に戻った俺達に先生が茶化しながら注意してくる。俺はバツが悪い顔で「すみません」といいながら机に向かう。ラナも「すみません」といいながら机に向かった。
「では授業の続きをします!」
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