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ダーク・ファンタジー小説
- Re: ずっと一緒にいたい ( No.3 )
- 日時: 2022/01/30 13:44
- 名前: りゅう (ID: ChGJKnnB)
.....。
眩しくて目を開けると視界に彼女の顔が入ってきた。
1か月ぶりに出会う彼女。
「おはよ、貴斗君!」
「...おはよう、ゆきちゃん..」
寝ている僕の顔を覗き込むと「大丈夫?」と一言。
「え、なにが?...うん、大丈夫だよ?」
ついさっきまで寝てただけなのに..何か心配するようなことでもあったのだろうか?
「そっか、なら良かった!」
そう言うとニパッっと笑い近くの椅子に腰を下ろした。
「ゲホッゲホッ..なんかあった?」
「いや〜なんか病人?と思って。貴斗くん全然「しんどい〜辛い〜」とかの弱音吐かないじゃん?」
...そうだろうか?いや、自分が思ってないだけでそうなのかもしれない。
「う〜ん、だけど僕だって人間だからね。弱音は吐くよ?」
「それもそっかぁ」
なんて呑気に喋っていたのに、こんな早くがんが進行するなんて思ってもいなかった。
どれも種類の違う抗がん剤、分子標的治療薬。
副作用と言う忌々しいもののせいで嘔吐、脱毛、色素付着。
なにが原因でこんなに早く進行が進むのか、訪ねても主治医は相変わらず首を振るばかり。
精神的なダメージを受け更にがんの進行が進む。
追い打ちをかけるように彼女に会えないという日々が続いた。
それの繰り返し。
なんの為に生きてるんだろう。
大学院生だから研究をする為?
副作用がしんどい。
就職して両親を安心させる為?
身体が強張る。
彼女と結婚する為。
吐き気がする。
呼吸がしにくい。
立てない。
全身倦怠感が治らない。
嘔吐ばかりしてしまう。
僕は生きてる意味が見いだせなくなった。
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