ダーク・ファンタジー小説
- Re: 銀色の君は、 ( No.1 )
- 日時: 2022/01/28 20:13
- 名前: 名前は未だ無い。 (ID: Ch4ng4i/)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「梨瞳さん、おはようございます。今日の体温と心拍数は正常です。今朝はピザトーストとバナナスムージーを摂るようにしてください」
「分かった」
私は朝起きて、O:Rangeといつものように会話を交わす。
O:Rangeは朝、昼、夜の一日3回健康についてのアトバイスをくれるマシン(機械)だ。
どの家庭にも普及されており、昔は1万円を超えるのが当然だったという事が信じられない。現在は500円くらいで購入できる商品だ。
「いただきまぁす」
パクッ、とピザトーストをかじっていく。
ホームベーカリーで作られたピザトーストは、随分昔から好まれている朝ごはんの定番だ。
最近では食物繊維が豊富なバナナスムージーもトレンドで、多くの人が愛用しているらしい。
そんな朝ごはんは、一瞬にして体に吸収された。
「ごちそうさまでした」
ヘアスタイルをセットし洋服交換室で着替えをすると、荷物をスクーターに任してスクーターに乗車した。
「仕事場までお願い」
「分かりました」
スクーターに話しかけると、スクーターは地面から浮き羽ばたいて行く。
これで毎日14kmほど離れた仕事場へ向かうのだ。
「着きました」
「ありがと」
荷物をスクーターから受け取ると、目の前にある仕事場の入口に入る。
そこの名は、「白鐘大学附属病院」と言った。
「おはよう、梨瞳」
「ああ、おはよ桃羽。今日はさ、急患の受付だからお昼一緒出来ないかも」
「あー、分かった。全然大丈夫よ」
簡単に言うと、私はこの病院で看護師をしている。主に精神科を担当しているのだが、たまに急患の受付もやったりするのだ。
そして同期の桃羽は、小児科の担当をしている。
彼女は私と違い大学の頃から優秀で、将来を期待されている優れた人材だ。
ー私とは違って。
「おはようございます」
「あ、克田さんもうすぐ急患来るから早く準備して」
「分かりました!」
急患に常駐されている方に無茶振りをされて動揺する。
私は知っている、急患受付は大変だってことを。
「お疲れ様でぇす…」
急患受付が一段落して、精神科に向かう。
もう私はクタクタだった。未だ3時なのに。
「あら克田ちゃんお疲れー。急患大変だったでしょ?」
「ホント、忙しすぎました…」
「弁当食べな?」
「そうですね…頂きます…」
私の事を克田ちゃんと呼んでくれるのは同じ精神科の梅越深華先生。
精神科にいる女性は私と梅越先生だけだから、梅越先生は女性からの評判が凄く良い。
私もあんな風になれたらいいのに、そう考えているとキーが鳴った。
「梨瞳、今精神科行っていい?」
「いいよ…?」
キー…いわゆる連絡装置…から桃羽の焦るような声が聞こえ、何かあったと予測。
「梨瞳ちゃん、どうしたの?」
「いや…同期がここに来たいって…」
「そうなの?じゃあ急ご」
「はい、!」
「失礼しまーす…」
フラフラとした足取りで来た桃羽は、顔が真っ白だった。
「どうしたの桃羽!?」
「それが…
銀色集団についてなの」
私と梅越先生は息を飲んだ。
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