ダーク・ファンタジー小説
- Re: wonder land ( No.10 )
- 日時: 2022/01/22 14:14
- 名前: ねむねむ (ID: lmEZUI7z)
カランコロン
テラがドアを開けると鈴の音がなった。
「いらっしゃい。おやテラ様か。その小さい子供は誰だい?」
(小さいって……)
「あはは、この子はアリスちゃんですよ」
「アリスちゃん…?近所の子か?名誉な名前だね」
「別世界から来た勇敢なる勇者 アリスですよ」
お店の人は一瞬ポカンとなったが
「はは、テラ様はおかしなことを言うねえ……ま、適当に2階使ってよ。」
と笑い流して、話をかえた
私のことは信じていないようだが、優しそうな人でよかった
「テラ、2階に行こう」
私は階段を指した
「そうですね。行きましょう」
階段に上がると、天井窓があり、机と椅子があった
奥に私が座り、階段に近い方をテラが座った
「さあ、まずはアリスちゃんがこの世界、いやなんでもいいから疑問に思っていることを言っちゃって」
「うん……じゃあ………本当に私は死なないの?後地球はなんで時間が止まっているの?」
「前者は、本当に死なない。これはアリス様の力をもらった後だけどね。アリス様の力をもらう=“ワンダーランド”が救われるまでは死ねない。地球に帰れないと言うわけ。アリス様の力がもらえるのは一回きり、そしてアリスちゃんは力をもらえる性質を持っていたんだ。」
(ワンダーランドにとってもすごい重要なこと……)
「そして後者は僕の…いや僕達の力で止めているんだ。」
「僕達……?テラだけではないの…?」
「うーん。僕の一族の名前は白銀兎族というんだ。 そして白銀兎族は時計…いや時の魔法が使えて、その時の魔法で地球の時間を止めているんだ。まあ時の魔法はさっきのでわかったよね。」
「あの…時空が曲がったこと…?」
「そうそう、その力を使ったんだ」
「すごいね……地球じゃ考えられない…」
「まあね、地球からみると非現実すぎると思うよ」
「あ、白銀兎族ってそんなすごい魔法が使えるって有名な貴族とかなの…?」
(BARの店員も…テラ様と言っていたから有名なんだろうな…)
「まあこのワンダーメロディーの中では2つの大きな貴族がいるんだ。1つは白銀兎族で時計魔法。もう1つは翡翠兎族で自然魔法。これは覚えてくといいよ」
「じゃあ、テラってすごい貴族なんだね…! お城みたいな家を持っているの?」
「お城みたいではないけれど、普通の家を持ってる。僕自体、冒険家だからね。宿によく泊まるんだ。白銀兎族も僕にそんな家をあげるほど良く思ってないしね…」
テラは天井窓を眺めながら言った。その目はどこか悲しそうだった。
「…ごめん。失礼なことを聞いちゃったね…」
「アリスちゃん、別に失礼なんかじゃないよ!ただ、白銀兎族とは仲が良いってほどではないだけ。強い恩恵を受けるのは、貴族の当主とその妻、子供達…つまり次期当主だけなんだよ。」
「そうなんだ。あ、そういえばもう私ってアリス様の力…?って貰っているの?」
この話題を続けない方が良いと思い、力のことについて話を切り替えた
「あー、まだもらっていないんだ。もらう前にワンダーメロディの国王にご挨拶をしないといけないんだよね。それが面倒でさ…。堅苦しい挨拶ってすごいめんどくさくない? 」
「確かに…少し目上の人でさえ息が苦しいのに…国王レベルなんて…どんな言葉使いがいいの?」
国王に無礼なことをしたら…と考えると怖くなり、テラに聞いてみた
「アリスちゃんは特に大丈夫だよ。強いて言えば、ずっと頭を下げていればいいかな。あと自己紹介!
“別世界から来ました。有栖と申します。国王様のお目にかかれて光栄です。”とか“ワンダーランドを救うことを誓います”とか言えばいいだけ!!あとはある程度僕の話に合わせてね」
「わかった」
私は首を縦に振った。