ダーク・ファンタジー小説

Re: wonder land  ( No.5 )
日時: 2022/01/22 13:17
名前: ねむねむ (ID: lmEZUI7z)

ドテン!!

10メートルぐらいから私は落とされた
何が起こったのか訳がわからない

ただ視界に広がるのは大きな王国で…私は今、芝生の上に尻もちをついている
よくゲームに出てきそうな世界観…だけど凄い不気味な雰囲気……なんて呑気なこと言ってる場合じゃない!

ここはどこ!!!!って叫びたい!!!!

キョロキョロあたりを見回してもここがどこかわからない

放心状態で、もう怖いという感情すら出ない

そんな時

「僕のアリス。こんにちは」

「え。」

突然、兎の耳がついている銀髪の少年が現れた

(僕のアリスって何…?)

「誰……?」

怖くて手が震えた。一体誰なの

「僕はテラと言います。地球界の物語では“白ウサギ”だね。
 そして君を導く案内人でもあるかな」

(地球界……?白ウサギ…?)

よくわからない言葉を言われて頭で整理するが、怖さで震えて回らない

「まあ、いきなりだから驚くのも無理はないか…。えっとアリスちゃん。この世界は
”ワンダーランド“。本の中のお話で描かれている世界さ。まあ俗に言う異世界っていう認識でいいよ」

「……あっ………」

だめだ。言っていることの意味がわからないし、怖さで声が出ない

ただこんなところから出たい、何が起こってるのか知りたい、非現実すぎて夢なのかもしれない。頭がパンクするほど考えた

「アリスちゃん、僕は君に危害を加えない、寧ろ君を守る役割だからさ安心して」

テラ…という人?兎?は優しい目をしていて…どこか安心できる……だけど、急に話しかけて不審すぎる……もしかしたら殺人犯とか誘拐犯?

「あ……い、ここ……帰りたい………」

変なことしたら殺される…そんな言葉が脳内によぎった
私は、とにかく小さな声で訴えた。こんな場所いたくない、家に帰らせて。精一杯の思いは小さな声にしか届かないのか

「アリスちゃん…悪いけど”ワンダーランド“に入った以上、ここから出ることは不可能だよ。まあアリス様なら可能だけどね…」

(…ここから……出ることは不可能……)

絶望の言葉が私を襲った。そんな…って、ここが現実な訳がないだろう…。きっと夢だ。不思議の国のアリスを読んでいて夢が物語とごちゃごちゃになっているだけ。
私は勢いよく手で頬を叩いた(こんな夢は覚めろ!!)
痛い……現実の鮮やかな痛みが私の頬を刺激する。 これは紛れもなく現実だとそう無理矢理、理解させられたみたいだ

「アリスちゃん…!?大丈夫? 急にほっぺ叩いて…痛くない?」

テラ…は、心配するように私の顔を覗き込んだ
私は何も答えず…いや、答えることができずに黙ってしまった
テラは困ったように慌てる。
きっと私が何かをしなくては進まないのだろう。覚悟を決めるしかなさそうだ。
(これ以上、考えても混乱するだけ…)
私は絡まった糸を一本の糸にするため、この状況を理解するため、勇気を振り絞って、テラに聞いてみた

「ここは……地球……?」

「ここはワンダーランドで、地球とは別の世界なんだ」

科学的にこんなことがあっていいのか、”別の世界“があまりにも非現実的すぎて、理解すべきなのだろうか。薄れた痛みが残る頬を触り、なんとか自分を冷静にさせた。”非現実“というのは一回おくべきだ。じゃないと話が進まない。そもそも”別の世界線“という存在が完全否定できるのは私の狭い価値観ではできないし……ああああ!!だめだだめ。これ以上考えるな。この世には“別世界線”というものがあって、地球人には理解できないことがいっぱいあるのだ。そうなんだ。

「あ……何で私が……ここに……」

当てはまる言葉が思いつかず、カタコトになってしまった

「それは君がアリスの素質にぴったりだからさ。 あ、アリスの素質というのは……
ん〜〜〜、この説明をするためにはまずワンダーランドの現状を知ってもらわなくてはいけないんだよね。」

テラは暫く悩んでいると“そうだ!”という風に手を叩き、ポケットの中から2つの時計を出し、もう1つ大きい時計を鞄から出した

「これが風景の時計でこれが音の時計、そしてこれが記憶の時計
記憶の時計の下に風景の時計と音の時計をはめる場所があって、はめれたら…。記憶の時計の針を回す」

グルグル時計の針は回って、10回を超えてしばらくしたら時計の針は止まった