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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 太刀川探偵捕物帖 ( No.4 )
- 日時: 2022/01/25 11:18
- 名前: 緋月セト (ID: TZ3f2J7J)
『鬼の呉島』と呼ばれた警官人生で、部下に終ぞ告げることはなかった最も『残酷な言葉』を。
呆然とする迅を尻目に、中年刑事・呉島は続ける。
「いつか、俺たち警察はこの事件への介入権を失くすだろう。結果、この事件は闇に消し去られる。他の誰でもねェー、『国家権力』によってだ」
呉島の言葉に、迅は目を見開く。
この事件の捜査が打ち切られると言うことは、犯人にとって好都合この上ない状況になる。流石に現行犯は逃れられないだろうが、逆に現行犯で捕らえられない限り、殺し放題と言う事になる。
「太刀川、探偵を始めろ。人間に出てる事件じゃあねェー、深淵に沈んだ事件専門のだ」
呉島は言う
その顔に似つかわしい、荘厳な表情で。
「『運命』って言葉を信じる訳じゃあねーが、『何か』に取り憑かれたやつは、それに向かってただ突っ走る事しか出来ねェ。てめーは、ソイツを救ってやれ」
そう言って、呉島は現場から去って行った。
───その数日後、呉島は死んだ。
死体には数多の傷跡が残されていたが、警視庁は捜査を打ち切り。彼の予想通り、この事件は『深淵事件』として、国家権力によって闇に沈められた。
そして、呉島警部の殺害から10年後───
「所長、行きますよ」
「分かってるよ」
とある二人の探偵によって、事件は再び動き出す。
「さぁ、真実を引き上げる時だ」
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