ダーク・ファンタジー小説

Re: 転生魔王は善行を積む 2 ( No.1 )
日時: 2022/03/20 16:49
名前: かまめしきり (ID: p/lGLuZQ)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

弐話 転生魔王は転生する(って進むの遅くね)

「そんな絶望した顔しなくてもいいのに、こんなに可愛いのよ?」
「...してほしいのだ」
「聞こえなかったわ、もう一度言ってくれる?」
「ブスにしてほしいのだ!!!」
「なんでなのさ!!!せっかくこんなにも可愛くなれたのに。」
頬を膨らませたまま自称女神は言った。
「私にはそんなことできるほど力はもってないわ。それにその姿はあなた本来の姿なのよ。」
「どゆことなのだ?えっ?は?ん?」
予想以上に意味がわからなくて自然と疑問符が多くなる。
「生き物って言うのは魂があるのよ。魂には肉体の情報は入ってない、簡単に言うと魂の成分カムデリテとミテが融合してるだけであってジャミルは入っていないの。」
「どこが簡単なのだ!!!」
思わず単純なツッコミをしてしまった。
自称女神は冗談はさておきと言い、話をもどした。
「簡単に言えば体の形は変われど魂は変わらないってこと。要するにあなたの魂は女の子ってことなのよ。」
「魂の形に戻されたから容姿、そして話す口調まで変わってしまったわけなのだな。」
「そういうこと、そしてこれからあなたがいた世界とは別の世界に生まれ落ちて魔王を倒してもらうわ。」
「どゆことなのだ?えっ?は?ん?」
あまりにも意味がわからなすぎて本日二回目の疑問符をきめていた。
「そのまんまよ。このままだとあなた本当に死んじゃうから、私はあなたを助けたいの。」
信じてほしいと自称女神は言った。
「ついさっき人を好きになった所なのだ。人を守り魔王を倒すのを別に承諾してもいいのだが...魂の形のまま生まれ落ちるのだろ。それ生まれ落ちて死んだらヤバいのでは?」
口車に乗せられて死んでいく仲間を魔王に上り詰めるうちに何度もみている。
「そのとおりよ。そして今昇天すればなんの苦しみもないわ。もし生まれ落ちて死ねば魂が無理やりこちらの世界に送られるのでどんな死よりも辛い苦しみをあじわうわ。ですがあなたはどちらにしても地獄の苦しみを味わいます。何万と生命を潰しあざ笑ってきたのです。今更天国にはいけません。」
全くもってそのとおりだ。今更、天国に行けるはずもない。
「わかっておる。今なら自分がどれほど身勝手で嫌われものだったかよくわかるのだ。私は地獄行きを受け入れるのだ。早く私を地獄に連れて...」
その言葉を遮るように彼女は言った。
「ですが生まれ落ちて人を助け善行を積み天国に行って下さい。それが一番いい方法です。殺した数よりもっと多くひとを救い、天国に行って下さい。」
彼女は泣いていた。ひたすらに。
「なぜそこまで私のことを思ってくれるのだ?」
私は何故彼女が私に執着するのかがわからなかった。
「何故って、それは私があなたの”彼女”だからですよ。」
自分の目から涙が溢れてきた。失っていた記憶が失くしていたピースがハマったかのように思い出す。まだ彼女の名前と私の彼女だったということしか思い出せないが、これから思い出していくのだろう。
そうだ私は彼女の彼女なのだ。そしてその彼女の彼女はカミデリテ・ミテ・ジャミル。
「絶対天国に行ってみせる。」
一足先に天国へ羽ばたいていった彼女を見送って、世界へ生まれ落ちた。