ダーク・ファンタジー小説

Re: 魔王は人間が好きになったので魔王を倒す ( No.8 )
日時: 2022/06/09 22:42
名前: かまめしきり (ID: p/lGLuZQ)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

玖話 転生魔王の初めてのおつかい(って中編)

ギルドにつくとさっきまで騒がしかった店内が静寂に包まれた。きっと俺たちが来たからだろう。
そんな中ある一人の男がこっちに近づいてくる。

「ここは敗北者の心の癒し場じゃねーぞ。勇者の称号持ちだからってイキってた雑魚風情が。」

やっぱりか。

「おい、それはないだろ。彼女たちだって頑張っていたんだ。過ちなんて誰にでもあるだろ。」

普通はこういう時無視するのが良いらしい。だがついカッとなって反論してしまう。男は私の方を向き舐めたように見下してからエミルの方を向き、また声を荒らげた。相手にされてないようだ。

「俺らが勇者に世界を救ってもらうために何円税金払ったと思ってんだ!」
「おい、いくらなんでもそれは」

そんな事をお構いなしに俺が反論しようとすると、エレナが私の言葉を遮るように答えた。

「申し訳ない。私達の力が及ばず負けてしまったことを深くお詫び申し上げます。」
「お、オイいくらなんでもこんな奴に頭を下げる必要は...」
「この国の人たちは私達を頼りにしてくれていた。生活が苦しい時は募金活動や国民の税金の少しが私達の給料になったりもした。ある人はお金を無償でくれたりもしたわ。私達は魔王を倒せる唯一の存在だったから。魔王を倒せるように全力で手助けしてくれた。もちろんこの人達も。でも負けてしまった。だから私に反論の余地はなんてないわ。」

そう言葉を告げた彼女の眼は涙でいっぱいだった。彼女の涙を見て男は席に戻っていった。

「と、とりあえず俺の冒険者登録と冒険者カードを作るんだろ。」

話を逸らすためでもあるのだが、俺の冒険者カードを発行してもらうと言うのがここにきた目的のひとつだった。ギルドとは素材の買い取り、依頼を受ける場など色々な事をしてくれる。その一つにその恩恵を受けるためには冒険者登録を行い冒険者カードを発行してもらう必要があるのだ。

「そ、そうだったね」

彼女の取り繕うように成形された笑顔は彼女の今の心を映し出していた。


あとがき

久しぶりの投稿になり申し訳ありません。最近新しく書いた小説の方に時間を割いていました。本当に申し訳ない。

そんな小説ですが読んでいただけると嬉しいです。

最後に私は小説を書き始めたのが最近なので分かりづらいことがあったら、私のプロフィールから感想や誤字脱字を受け付けているところに行けるのでそこに書いて下さい。
もちろん感想や誤字脱字の報告もそこに書いて下さい。