ダーク・ファンタジー小説

Re: カガミヨカガミ(No.3) ( No.3 )
日時: 2022/08/08 11:01
名前: みずま (ID: XLYzVf2W)

三 色褪せた


 朝。レースのカーテン越しに白い光が差すいつもの寝室。鳥が鳴いている。

 「おはようございます。坊ちゃん。」

 「……おはよう。」

 いつもの女性がベッドメイキングのために入ってくる。いわゆるメイドさん。

 今日も何気ない日常の一部に過ぎなかった。

 …はずだった。



 服に袖を通す。髪を整える。そして、薄い化粧。

 一応国民を代表した「美しい顔」として生きているから。身支度はしっかりしないとな。





 …………。






 …見た目に気を遣うのはとてもいいことだと俺も思う。ただ、生まれつきの顔が少しよかっただけで、地位が上になってこんなに生活が裕福になって。

 
 俺は日本の美しい顔上位十人のうちの一人。九位。

 
 だが、九位になった瞬間から親と引き離され、日本の「顔」として生きるべく常に美しくあることを強いられ。ずっと化粧をしているような状態。




 なんだか最近は、













 自分のもとの顔が思い出せない。