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ダーク・ファンタジー小説
- Re: マリオネット ( No.6 )
- 日時: 2022/11/23 16:45
- 名前: @いなりちゃん (ID: 8kWkLzD1)
第6話『涙』
車はスルスルと森の中の小道を走りだす。
孤児院が小さく、小さくなっていく。
森の中は静かで川や木でいっぱい。
“すんごいところ”ってどんな場所なんだろう。
とっても大きい街とか…??
うずうずしながら窓の外を見ていると、
薄暗い小道でブウウンと静かに車が止まった。
あれ?こんなところで止まっちゃったけど…
どうしたのかな。
「あ…あの、車止まっちゃいましたけど…?」
私が尋ねると、運転手さんは不思議な顔をして言った。
「うん?院長に言われた場所はここだよ。さあ、降りて。」
「え…」
運転手さんにうながされ、慌てて車から降りると、
目の前には、草木に囲まれた赤黒い屋根の大きな家がポツンと立っていた。
“すんごいところ”ってここ——?
周りを見渡しても豪邸以外には草と木だけ。
ええと…。マーマードさん、場所まちがえちゃったのかなぁ。
一回孤児院に戻って…。
焦って振り向くと、さっきまで乗っていた茶色い車は、
ブウウン…と小さく音を立ててUターンし、そのまま行ってしまった。
「ちょ、ちょっと待って!!」
急いで追いかけようとしたら、小石につまずいて転んでしまった。
「ぅぅ…」
地面について擦りむいた手や足が痛い。
なんで?…車はなんで、私を置いて行っちゃったんだろう…。
マーマードさんは最初から、ここに私を置いていくつもりで…??
そ、そんなこと、な…いよね…。
ポロリと涙が流れる。
私、これからどうすれば——
【つづく】
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