ダーク・ファンタジー小説

Re: Cord___CyAN ( No.31 )
日時: 2022/11/28 17:31
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

Episode 9.「Poison」

代表が殺されてから1週間、これといった進展もなく時間だけが過ぎていた。
このまま足踏みをしているだけでは、何も変わらないと思った圭は行動を起こそうとしていた。
「なあ奏太、小暮...黒井の位置特定とかって」
「できません。警備システムを全てくぐり抜け、カメラの死角に立っているので困難でしょう」
「手も足も出せねえってか...」

Re: Cord___CyAN ( No.32 )
日時: 2023/01/04 22:16
名前: ぷれ (ID: 5R9KQYNH)

手がかりすらない状況で、CyANはどうしようもできなかった。
「失礼しま...うわ、カップラーメンの容器そのままにしてある...」
「奏太...誰?」
「ん?梛迪なぎみちじゃん!どしたの?」
クマができた叶魅が、部屋に入ってくる。
それを見た梛迪という少女は、目をやるなり驚いた表情を浮かべた。
「ひっどいクマ...もしかしてこれ全部ここでやってたってこと!?」
「そそ...つーか、僕のことはいいから自己紹介したら?」
「あーそっか。本日からCyAN特別潜入捜査部に配属されました、梛迪夕葉なぎみちゆうはです。よろしくお願いします」
パーカーのポケットから手を出して、礼儀正しくお辞儀をする夕葉を見て、叶魅は倒れそうになりながらも拍手をした。
「えらいえらい、お辞儀できたんだね...」
「それぐらいできるわ!...って、津葉木!?」
限界だったのか、ついに叶魅は倒れてしまった。
連続的に捜索を行っていたので、叶魅の身体はすでに限界だった。
「これでよし。ところで、捜査官が一人謹慎を食らってるって本当ですか?」
叶魅をソファーに寝かせて、タブーのような質問をした。
「...本当です。以前、叶魅さんに手を出そうとして、それで謹慎を...」
隣で驚いた表情を浮かべた圭は、奏太に耳打ちをした。
「おまっ、何で全部話すんだよ!」
「だって、これから付き合っていく仲ですよ?信用させずにどうすんですか!!」
「やっぱり本当なんですね。私、こう見えて情報屋でして...」
名刺を差し出した。
「ひとまず、もうお昼になりますし、外食でもしましょう」

結局どの店も満席で、仕方がなく小暮ッティに来てしまった。
店主の居ない小暮ッティは、どこか寂しい雰囲気を醸し出していた。
「なんも変わってない...津葉木~?何かある~?」
「材料はありそー...」
「なんで新入りが店回してんだよ...」
「ここでバイトしてたらしいですよ。それで叶魅さんを知ってる、らしいです」
奏太が事情を話して、なんとなく納得したようなしていないような...。

Re: Cord___CyAN ( No.33 )
日時: 2023/01/26 10:43
名前: ぷれ (ID: mwHMOji8)

「津葉木さん遅いです早くご飯ください」
藍奈が手元のフォークを叶魅に向けて思いっきり投げると、少し叶魅からずれた壁に刺さった。
「ヒエッ...アホかお前!?普通空腹状態でもフォークは投げないよ!?殺意むき出しじゃねえか!!」
「うるさいぞー津葉木ー。いいから俺らに飯を提供しろー。美味くなかったら減給だからなー」
「うん貴島さん減給はやめましょうかーご飯あげませんよー」
まだ12時だというのに、食欲とはここまで人を活発にさせるのか。不思議なものである。

「はぁー美味かったー」
「津葉木、ここって私のパソコンとか残ってた?」
「残ってるも何も、黒井さんが居なくなってから店一回も開けてないよ」
夕葉は、押し入れの中のパソコンの置いてあるスペースに入った。
サーバーPCなので、サイズと消費電力が規格外という問題のせいで、押し入れの仕切りがなくなっている。
「よし、始めますか。んで?探してほしい人ってのは?」
「黒井影虎34歳。大規模テロ組織神風の組長だ」
渚が割り込み、影虎について話し始めた。
「あー...店長か」
「その様子だと、すでに調べ済みってわけか」
「まあ。それなりに____」
刹那、店の裏から轟音が鳴り響いた。
『やあやあ諸君!』
「これは強襲とかそういうのじゃない。凱旋だよ」

「よー黒井さんよー」
同時刻、圭は影虎と対峙していた。
店の裏を爆発させ、凱旋部隊を築くという訳の分からない外のことをしてきたのだ。
「おー圭久しぶりじゃないかー。今日は雨が降って最悪の天気だが、俺にとっては最高の1日だよ」