ダーク・ファンタジー小説
- Re: 能力の慣れ、研究所。#3 ~ジイサンとの逆心~ ( No.1 )
- 日時: 2022/11/07 21:14
- 名前: ぷちとまと。 (ID: rdX62NDu)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ほんとのこと全部話してやるよ。 1
「ウソ…でも・・・みんな・・・・ベリーは、研究所にッ!・・」
ジイサンとの一問一答が終わった後、アカリの表情は悲しみと憎しみの両方であふれかえっていた。
それもそのはず、ジイサンはボロボロの杖で、布をひっくり返すと防犯カメラがあり、
それを見るとベリーのボロボロの顔があったからだ。日差しが入る明るい空も今はアカリたちを
嘲笑っているかのように、ぎらぎら、ぎらぎらただ光っていた。アイマは、ただただ黙ってアカリを
見つめていた。
「アカリさん・・・だったかな。」
「ううっ・・。」
アカリはまだこらえきれず泣いている。そんなアカリを、ジイサンはやさしく見つめた。
「アカリさん。よくぞ、ここまで生きてきた。生き抜いてきた。あなたの声が、命が、どうか神に届きますよう、お祈り申し上げますぞ。」
ジイサンの優しい、暖かな目で、ようやくアカリは「ありがとう」といった。
🧸5分後🧸
「本当だったんだ。全部。」
隅に追いやられた防犯カメラを部屋に隠してから、アカリはつぶやいた。
「アイマは、研究所に送られている兄妹を見て悲しくなかったの?寂しくなかったの?」
「俺は・・・。」
突然の質問に、アイマは目が赤くなった。そして、目に涙がたまっていく。
「俺も、そうだった。ジイサンの言葉が信じがたかった。悲しかった。お前らが寝たときに、あれが夢となって出てくるのも、怖かった。」
アカリが目を見開く。まるで、アイマのようじゃない。そう、涙目になったアカリが伝えている。
「けど、けどな。」
「俺が、俺たちが、研究所を終わらせる。そう、決めたんだ。」
はにかむような、アカリを元気づけるような笑みに、アカリはまた涙が止まらなくなってしまった。
「死ぬのが怖い、兄弟が人知れず死ぬのが怖い。怖い、怖い、怖い。けど、そうやって怖いを体験していくうちに、なんだか「助けよう」っていう勇気が湧いてくるんだ。俺らで終わらせる、この研究所を。そう、誓ったんだよ。……だから、な、助けようぜ、終わらせようぜ、研究所。俺らはそういう意味で生きてきたんだ。アカリ。」
手を差し出すアイマ。その手は、ただ一つの希望で、アカリはぐしゃぐしゃの顔でも、手をちゃんと取った。
「大丈夫、大丈夫だからな、アカリ。本当のこと、全部話してやるよ。一緒に泣いて、一緒に笑って、最低の人生を生き抜こうぜ。」
「うん・・・!」
アイマたちをみたジイサンは、とある過去のことを思い出していた。まるで、カーテンからのぞく夕日のように、怒りがわいていたあの頃のことを・・・・。