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ダーク・ファンタジー小説
- Trick-トリック- ( No.1 )
- 日時: 2012/08/20 17:19
- 名前: はるく ◆2bvow6Zq4g (ID: .IC0EKL8)
ーBrackー
[ープロローグー]
風が通る緑の草原。
そこに1人の少年が立っていた。
歳は7歳ぐらいだろうか。
真っ白な服に、少し大きめのズボン。橙色の髪は、風になびいて輝いた。
「椿いいいいいいいいっ!!!」
少年の10mほど後ろから、大きく手を振る少女がいた。
少女は少年とよく似ていて、真っ白な服に身を包み、橙色の髪を後ろで束ね、青色の瞳をキラキラ輝かせながら走っていた。
途中大きな石につまずき、地面に倒れ混んだが、すぐに体制をもとに戻すと、再び走り出した。
やっとの思いで少年の元にたどり着くと、少女は後ろを振り返り、また大きく手を振った。
少女が手を振った方向から、こんどは2人の親らしき人がやって来た。
此方も橙色の髪をなびかせ、2人を追うように走ってきた。
「もうっ、椿速すぎるんだよ!待ってって言ったのにぃっ!」
親が到着すると、少女は少年の方に振り返り、頬を膨らませながら言った。
少年はそれを見て、笑いながらも謝った。
親はそんな2人をみて微笑んだ。
なんて仲の良さそうな明るい家族なんだろう…
仲の良い兄妹に優しい親、誰が見ても羨ましく思うだろう。
だが、それは此方の感想だ。
一見仲の良い家族に見えても、実際は違うかもしれない。
明るい家族に見えても、それは全部嘘かもしれない。
真実を知っているのは、『自分』だけなのだ。
彼等にこの先なにが起こるのか、何で喜び、何で悲しみ、何で苦しみ、何で泣くのか。
他人にはわからないことだろう。
これからは『彼等』の視点から話を見ていこうか。
勿論、苦手な人はUターンで。
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