ダーク・ファンタジー小説

Trick-トリック- ( No.14 )
日時: 2012/09/13 22:25
名前: はるく ◆2bvow6Zq4g (ID: woIwgEBx)

「分かったのならいいけど…」

母は溜め息まじりにそうこたえた。
そして、最後にまた、同じように一言告げた。

「先祖様は何らかの理由でこの家をそんな家系にしたのよ。占いを外すだけでも例外だわ。 それなのにあなたが、占い師という仕事をさぼってばかりいたら、ここの評判は落ち、今までの先祖様の努力も水の泡よ。」

占いを外すな、なんて言われても難しい話だ。
一生『評判の占い師』をとおし続けるつもりなのだろうか、そんなこと出来るはずない…

「いい?これからのためには、あなたも頑張らないといけないの。分かったわね? さ、今日は公園で仕事があるんだから、さっさと行くわよ。」

そう言うと母は黒い何かを私に放り投げた。

母が私に投げた黒いもの…
魔女の羽織るマントのようにも見えるそれは『ローブ』だった。

どうにも占い師には必要だとか。
二次元の世界なら「魔力が上がるアイテムよ♪」という理由で着るような物だが、この現実でそんなことが起こるわけもない。
気になった私は一度、母親に聞いてみたことがあった。
答えはこう、「雰囲気づくりよ、」。
そんな理由でいちいち着るのが鬱陶しい…

他から見ればどう考えても『魔女っ子コス』としか見られないだろう。
しかし私にそんな趣味はない。
私は毎回嫌々ローブを着るハメになるのだ。

「はぁ………」
大きな溜め息を一つつくと、私はローブを羽織って公園へと向かった。