ダーク・ファンタジー小説

Trick-トリック- ( No.16 )
日時: 2012/09/29 18:37
名前: はるく ◆2bvow6Zq4g (ID: /..WfHud)
参照: 遅くなってすいません…><


「はい、ここ座って。」

公園に着くなり母は占い用の小さな机(元々用意していたのか…)の前にもう一つ椅子を置き、私をそこに座らせた。

「いい?ちゃんと見ておいて。暇があればあなたにも………あ、早速お客さんよ。」

見ると、20代にいくかいかないかほどの青年が立っていた。「この歳でまだ占いなんて信じるのか、そんなことやってないで現実を見ろ」なんて言葉が喉まで上がってきたが、仮にも占い師の家系にいる私がそんなことを言うわけにもいかない。

「今日はどんな御用でしょうか…?」

初対面なのに「今日は」なんて、また来るかどうかもわからない人に言うのもおかしいんじゃないか……そんなことを思いながらも、とりあえず私は母の占いを見ていることにした。

「そうですね……何かもう、この先僕がまともに将来やってけるかってことに不安が…ね……。頼る人も居ないし、此処へ……」

「まあ、そうですか。でも貴方の周りにも、力になってくれる人は必ず居ますよ。私には分かります。」

母は少し顔に笑みを浮かべてそう言った。青年は「そうですか…」と、少し緊張ぎみになって言った。