ダーク・ファンタジー小説

Trick-トリック- ( No.3 )
日時: 2012/08/31 22:26
名前: はるく ◆2bvow6Zq4g (ID: TVgEc44v)

【椿】[ー第1話 椿・司の場合ー]

「椿いいいいいいいい!!!!」

朝。時計が7時を指すのと同時に甲高い声が部屋中に響きわたる。

「……るさい…黙れ………」

「うるさいじゃないっ!!とっとと起きろおお!!!」

声の主、双子の妹の司は、俺のかぶっている布団を無理矢理はぎとると、大声でそう叫んだ。

「朝っぱらからうるさいんだよ…近所迷惑だ。」

俺が言うと、司は頬が契れるんじゃないかというほどに頬を膨らませた。

「いいもんっ、そんなこと言う人には見せてあげないんだからね、せっかく良いもの見つけたんだけどなぁ…」

司は何か言ってほしいかのように俺を横目でちらちらと見ながら言った。

「ああはいはい、何見つけたの?」

その途端、司は顔をぱあっと明るくさせるた。
何か言ってもらいたかったんだろう…
でも朝だし、眠いし、寝たいし…

「ねっ、見たい?見たい?見たい見たい見たいっ?」

「はいはい、好きにしたら…」

司は待ってましたとばかりに笑みを浮かべると、ずっと後ろに隠してたものを俺につきつけた。

「何……これ…?」

見ると本のようだ。
赤くて分厚い表紙につつまれた、赤一色の本のようなものがあった。