ダーク・ファンタジー小説

Trick-トリック- ( No.4 )
日時: 2012/08/31 22:10
名前: はるく ◆2bvow6Zq4g (ID: TVgEc44v)

「知りたい?知りたい?知りたい知りたい知りたいっ?」

もういいよこの会話…
俺がその赤い表紙を手に取り、めくってみる。
すると、そこには懐かしい記憶があった。

緑の草原ー……
5年前家族で遊びに行ったときの写真かー…
家族全員で撮った写真。
皆仲良く笑いあって、幸せそうだ。
あの頃にもどれたらどれだけいいだろう…

「私達が7歳のころだね、懐かしいな〜」

いつの間にか司も俺のベッドの上に寝転がって、隣で写真を見ていた。

「ちょ、これ俺の布団!わかる!?俺の……」

「そうそう、この時!椿が私達おいて走ってっちゃってさ〜、」

司は俺の話に聞く耳ももたず、思い出にひたっていた。

「あ〜っそうそうこの時ーっ!お母さんが〜……」

司は次々とページをめくり、長い間思い出にひたった後、最後にこう言った。



「あの頃は幸せだったよね……」



そう言う司の顔は、切なく、どことなく悲しそうに見えた。