ダーク・ファンタジー小説

Trick-トリック- ( No.8 )
日時: 2012/08/31 22:17
名前: はるく ◆2bvow6Zq4g (ID: TVgEc44v)

その後のことは覚えていない。
何か大きな音がして、それからー…

「気がついたか?」

前から父さんの声がした。
回りを見渡すと、どうやらここは車の中らしい。
でもここにいたのは俺と、父さんだけ。
司も、母さんも見当たらなかった。

「父さん……あの…」

俺の聞きたいことが分かったのか、俺が言う前に父さんが口を開いた。

「別れたよ。もう会わない。」

会わない……?
会えない?司とも…?
何で?

別れるのは分かる。
あんな生活、俺だって耐えられない。
でもそれより……!!

「司!司は!?何で母さんのとこにやった…!?」

俺は運転席にいる父さんを怒鳴り付けた。
父さんは俺の目も見ずに言った。

「都合がいいから、とか言ってた…俺もよく知らないんだよ。目を開けたらもう………」


身体中に寒気がした。