ダーク・ファンタジー小説
- Re: ナイトメア・サバイバル【オリキャラ募集中!】 ( No.35 )
- 日時: 2012/04/21 00:22
- 名前: Kuruha ◆qDCEemq7BQ (ID: pOz8vLGm)
Episode13 『図書室 -LibrarY-』
9月12日(水)12:20/秋笠 藍
教室に置いてあった弁当を無事確保し、何事もなく昼食を終えた俺たちは、廊下をただただ歩いていた。
理由は、あづ——叶葉が願いを叶えたいから、すなわち誰かを殺したいと思ったからだ。
「もうここまでくれば好戦的な人しか残ってないでしょ。だから、歩いてれば会えるんじゃない?」
と、そんな楽観的なことを言いながら校舎内を徘徊する。やっぱり人が減っているせいか、なかなか出会うことは出来ない。
「ねぇ、そういえば。藍には何かないの? 願い事」
叶葉がこっちを向いて尋ねてきた。……そういえば、まったく考えていなかった。
それをそのまま伝えると、叶葉は少し嬉しそうにほほえんだ。
「そう。じゃあ、私が願いをかなえてもいいわね」
そう言うと、叶葉は歩調を速めて再び誰かを探し始めた。
ガタン、と何処からか物音が聞こえた。それはすぐ近くの図書室からだった。
「……誰かいるかも。行ってみましょ」
扉を開け、音の根源を探してみるが、なかなか見つからない。そもそもこの学校の図書室はだだっ広いから、すぐには見つからないのもうなずける。
しかしその数分後、その少女はいきなり姿を現した。
「うっ、うわぁあああああっ!!」
そう叫び声を上げて俺に向かってくる彼女。そのナイフの先端は確実に俺を狙っていた。
「藍ッ!」
叶葉が俺の名を呼ぶ。すぐに駆けつけてくれるだろうが、断然に彼女の方が早い。
——どうする? このまま死ぬか?
まただ。またあの声。俺の声だ。
答えは決まっている。……死にたくない。
——殺してでも?
ああ、そうするしか方法はない。
すっと、身体の自由が利かなくなる。不思議な感覚だが、もう慣れてしまった。
手元には、いつものあの拳銃。俺はその銃を彼女に向けると、容赦なく発砲した。
弾は彼女の鳩尾のあたりに当たった。「う、ぐ……っ」とうめき声を上げる彼女にとどめを刺すべく、俺は今の“意思”に従って長テーブルの向かいで倒れている彼女の方へ歩いた。
彼女を見下せるくらいまで近づくと、その脳天に銃口を突きつけた。
「……もう、いやだよぅ……。殺すのも殺されるのも、痛いのも……」
最後まで聞かず、俺の指は引き金を引いた。乾いた音が静かな図書室内にこだまする。それは人の命を奪う音だ。
身体が返ってくる。自分の“意思”で動かせるように戻ったのだ。そうなった途端、さっきまで受け入れていた状況を拒絶し始める。
赤いリボンをつけた一年生の彼女はもう動かない。また、俺が殺した……?
「……さあ、もう行きましょ。早くしないと、一時間経っちゃう」
そうか。昼食をとっていた分、一時間の感覚が鈍っていたが、もうそんな時間だ。急がないと、叶葉は死んでしまう。
自分に悩んでいる暇はない。そう、思い込んで俺は叶葉と一緒に図書室を後にした。