ダーク・ファンタジー小説
- Re: ナイトメア・サバイバル / Episode29更新!! ( No.76 )
- 日時: 2012/05/06 17:19
- 名前: Kuruha ◆qDCEemq7BQ (ID: 2QWuZ1bi)
Epilogue『おわりのおわり -True enD-』
9月12日(水)08:25/秋笠 藍
ホームルームまでの貴重な時間。その時間を有効活用して、俺は眠りについていた。
そしてその間、俺はとても不可解な夢を見ていた。
こうやって目覚めても、そこは≪夢の世界≫で、そして俺たちは“殺し合い”をさせられるのだ。
「おはよう。随分と眠そうだな」
「あ、ああ……」
起きた俺に気付いたクラスメイトの国吉が、近くに寄ってくる。……そういえば、こいつには入院している妹がいたって。
「そういえば、お前って妹いたよな?」
「は? 何言ってんだよ。まだ寝ぼけてんのか?」
……え?
「いやいや、今日の放課後見舞いに行くって、昨日いってたじゃないか」
「言ってねぇよ、んなこと。お前ホントに大丈夫か? 一時間目サボって保健室で寝ててもいいぞ?」
あれ、確かにそんなこと言ってた、ような。
本当に?
そう聞かれると自信がない。おぼろげに、ふと思っただけだ。
「じゃあ、お言葉に甘えて、ちょっと寝てくるわ。二時間目には帰ってくるから」
国吉の「おう」という声に見送られて、俺は教室を出た。
廊下は登校して来たばっかりでまだ鞄をしょっている奴や、他クラスの友人に会おうと教室をでた奴らで溢れていた。じつににぎやかだ。——なのに、俺の中には赤黒く変色した静かな廊下のイメージが思い起こされている。
まるで学校内で誰かが死んで、血が流れた後のような。
「失礼しまーす……」
保健室には誰も居なかった。そしてふと、普段はケガ人が座るスツールと、応急手当用の救急箱が目に入った。
そういえば、ここで誰かの手当てをした……?
おぼろげながらに、俺が誰かの腕に包帯を巻いている図が浮かんできた。それが誰かは覚えていないが。
まあいいか。
そう思って、俺は保健室特有の硬いベッドに身を預けた。
また夢を見た。今度は、小さいころの俺が、衰弱して死にそうになっている夢だった。
一緒にいた女の子。名前も顔もわからないけど、この俺はその娘のことが好きだった。
本当に、誰なんだろう……。
多分、夢の話だから実在するわけじゃないだろうけど。
教室に戻る最中、落し物を見つけてそれを拾おうとしたとき、何か聞こえた気がして、動きを止めてしまう。もうあと少しでそれに届きそうだったのに。
そして、本当は何も聞こえてなんかいないのに。
落ちている注射器型のシャープペンシルを拾って、あたりを見回してみる。
授業中なので当然、誰もいない。
もちろん、殺されそうになってなんか——
あれ?
どうして、殺されそう、なんて考えが?
教室に戻って、授業に参加しても、全く身に入らない。上の空な心地で、今日の不思議な体験について考えていた。
二つの夢。保健室。落し物。
……ダメだ。思い出せない。
あれ?
どうして“思い出す”んだ?
何かを忘れているのか? 俺は。
俺は一体何を忘れたんだ————?
-THE END-