ダーク・ファンタジー小説
- 繰り返す日々 ( No.1 )
- 日時: 2025/10/19 23:52
- 名前: ミートスパゲティ (ID: 8ltcwUAv)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
『PPP-PPP-』
甲高い耳障りな機械音とともに朝を迎える。
アラームを止めるついでに、登校時間まで余裕があることを確認し、俺はゆっくりと体を起こす。
「ん…。」
ベットから降り、軽く伸びをする。
窮屈なベットで夜を過ごした体は完全に縮こまってしまっていた。
筋肉一つ一つが伸びるのを全身で感じ、心地よさに襲われる。
そのままリビングへと足を進め、テレビを付ける。
『昨晩、暴力団「関東連合」による、集団誘拐事件で男女合わせ10人が誘拐されるなど…』
また昨日と同じようなニュースが流れている事を確認すると、先程までの心地よさはどこに行ったのか、今度はうってかわり一気に気怠さに襲われる。
いつ頃からだろうか。
ある日を境に、暴力団の活動が急激に活発化し、破壊行動、誘拐などが日常茶飯事に行われるようになった。
最初はどうにか手を打とうとしていた警察も、いつしか手が出なくなり、放置されたままとなっている。
現在、日本において大きな問題となっている。
このニュースと同様、俺の家族も同じように暴力団に誘拐された。
故に、長い時間を一人で過ごしている。
「家族が誘拐された。」なんて言っても、警察には別件で忙しいと相手にされずそのまま終いだ。
生活費などは遠くの祖父母から送られてくるので、一応生活はできる。
とは言え、祖父母にもそれぞれ自分達の生活がある故に、最低限の物だが。
腹が空いている訳では無いが、エネルギー補給のため、いつものように戸棚から食パンを取り出し、無造作に齧り付く。
味はしない。
ジャムやバターは一応はあるのだが、朝は何を食べても同じ様な気がするので別に塗る事はない。
毎日同じ様な事を繰り返している。
口に入っている食パンを噛み締めながらふと、そう思う。
それが善か悪か、なんてわかるはずもない。
ただ、繰り返す日々にうんざりしている事は事実だ。
ダラダラと食べていたせいか、かなり時間が経っていた事に気がつく。
急いで歯を磨き、制服に着替えて学校に向かう。
基本、学校に着くまではスマホをいじっているか、ぼーっとしているかの2択だ。
今日は昨夜余り寝れなかった事もあり、後者を選び、学校に向かって歩いて行く。
朦朧としている意識の中で、また喧嘩をしている声が聞こえる。
もう慣れてしまったためか、特になんとも思わない。
「何だよテメェ。」
「へ?」
急に声をかけられ、俺は抜けた声を出してしまう。
「だから何ガン飛ばしてくれてんだよって言ってんだよ。」
「はぁ…。」
厄介なのに捕まってしまった。
そう思い、足を少し速める。
「おい何逃げようとしてんだ?」
輩は何ともしつこく、俺に付き纏い続ける。
流石に鬱陶しいが、問題を起こすわけにもいかないので、無視を決め込むことにする。
「あ、拓海さん。」
そう決めたその時、誰かが俺の名前を呼ぶ声が聞こえたと同時、輩に自転車で突っ込んだ。
「えぇ…。」
思わずそう声を漏らす。
どういう事かは理解できないが、面倒事に巻き込まれているのは事実だ。
「おはようごぜぇます。奇遇ですねぇ。」
特徴的な喋り方、目立つ茶髪、耳元で輝く金色のピアス。
それはクラスメイトの中嶋宗樹だった。
「何しやがんだ!」
轢かれた輩が右足を抑えながらそう声を荒げる。
「何って、そんな所に立ってるアンタが悪いんでさぁ。」
クソが付くほどの暴論だ。
「お前ナメてたら…」
「うっせぇんだよ。」
輩が口を開くと同時、宗樹はもう動いていた。
目にも留まらぬ速さで的確に相手の鳩尾を殴りつけた。
輩は白目を剥き、地面に倒れ込む。
「うわぁ…。」
朝からとんでもない事に巻き込まれてしまった。
「さぁ、行きやしょうよ。」
宗樹が手招きしてくる。
目の前で人の事を殴り倒す様な奴の近くに寄りたくはないが、進行方向にいるので仕方が無い。
「お前そんな事してよ…。」
「大丈夫ですって。そんなことより早くしねぇと遅刻しちまいますぜ?」
俺の注意を聞こうともせず、宗樹は殴り倒した輩のポケットを漁っている。
「遅刻するも何も、お前がそいつを轢かなかったら何もこうはならなかったんだよ。わかるか?」
繰り返す日々の中で起きたバグの様に、こいつだけは本当に何をするかわからない野郎だとつくづく思う。
「あ、ありやした。」
宗樹は財布を手にしてそう言う。
革製で見るからに高そうな見た目をしている。
宗樹のでは無い事はわかりきっている。
「おい、流石にそれはやめとけよ。」
宗樹は俺の忠告を聞く様子も無く、中身を数え、ご満悦、といった様子でそれを颯爽と自分のポケットに入れる。
そこらの輩よりもよっぽどに悪質だろう。
「奪い合いの世の中ですぜ?こんな事でもしねぇと生き残れませんよ。」
宗樹は上機嫌だ。
「もう知らねぇからな。」
そう言い、宗樹の自転車をパクり、学校に向かう。
「おい、拓海。それ俺の!」
宗樹はそう俺の後を走って追いかけてくる。
「奪い合いの世の中なんだろ?」
これで学習させよう、俺はそう考えたのだが、すぐにその考えが甘かった事に気がつく。
「あ、もういいですよ。」
気づけば宗樹は俺の隣にいた。
それも自転車に乗って。
「は?お前のチャリは…」
「またパクってきやした。それもあげやす。どうせパクったやつですし。」
どんなクソ野郎だと思い、俺は急いで自転車から降り、道の端に止める。
(持ち主の方、すんません。)
心の中でそう謝罪を申し上げる。
暴力団より、こいつの方が問題と言っても過言では無い。
「何してんすか、早く行きますよ。」
宗樹はハンドルに付いているベルを鳴らしながら、学校に向かってペダルを強くこぎ出した。
- 族絡み ( No.2 )
- 日時: 2025/10/19 00:01
- 名前: ミートスパゲティ (ID: xrNhe4A.)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
何とか学校に着いた頃、教室は何やらザワ付いていた。
「何かあったのか?」
クラスメイトの永瀬龍心にそう尋ねる。
「谷が暴走族との関係性が発覚、それがPTAにも伝わって猛抗議。学校側はその対応で手一杯。だから今日は授業なしだとよ。」
龍心はそう簡潔に教えてくれる。
谷というのは俺達、1-1の担任である。
別に好きだった訳では無いが、自分達の担任がそんな事をしていたと思うとかなりショックである。
「遂にあの老いぼれが消えましたか。せいせいしますねぇ。」
そう宗樹が荷物を自分の机に置き近づいてきた。
「お前嫌われてたもんな。」
龍心は笑いながらそう言う。
「本当に。何もして無いんですけどねぇ…。」
宗樹の言葉の通り、学校では何もしてない。
そう、本当に何もしていないのだ。
授業中、試験中、掃除中でも。
嫌われて当然だろう。
そう思っても口には出さない。
何をしてくるかわからないからだ。
「と言うより、これが初めてじゃあないでしょう。」
宗樹の言う通り、教師が暴走族と絡んでいたという事例はこれが初めてでは無かった。
以前にも、2回程同じような事が起こっている。
「ってことは担任変わんのか。」
「そりゃぁそういうことになる。」
例え学校側が谷を許しても、PTAがそれを許さないだろう。
「俺は美人の先生がいいっすね。できたらボン…」
「お前は黙っとけ。」
宗樹が横から口を挟むが龍心に黙らせられる。
「そのうち宗四郎とかも暴走族になるんじゃないですか?」
宗樹が言う宗四郎と言うのは、クラスメイトの一人だ。
かなり自分勝手なところから一部からは恐れられている。
「あいつ人のこと殴ったり、すぐ物取ったり凶暴ですからね。」
「お前も相当だがな。」
自分の事は棚に上げて、こいつは何を言っているんだ。
そう考えていた時だった。
「大ニュースだぜ!」
廊下から叫び声が聞こえる。
「噂をすればだな。」
そう龍心がニヤつく。
「大ニュースだ!」
そう言い、勢い良くドアを開けたのはクラスメイトの渡辺宗四郎だった。
「うるさいんですよ。このクソキノコボケマッシュ。」
宗樹がそう不機嫌そうに暴言を吐き散らす。
「うっさいのはお前じゃ、茶髪ボケクソピアス。」
宗四郎も宗樹に暴言を浴びせ返す。
この二人は犬猿の仲だ。
「そんな事はどうでもいいんだよ。それより、長澤達が暴走族デビューだってよ。」
宗四郎は馬鹿にしたようにそう言った。
長澤達と言うのは、教師たちでも手がかかる程の問題児集団である。
「言った側から…。」
龍心は頭を抱えてうんざりしている。
「まぁ俺らに被害与えないんだったら何でもいいけど。」
宗四郎はそう言った。
「そうだな。」
だが、後に大事件を起こすことなど、この時はまだ誰も予想しなかっただろう。
- 消えた愛人 ( No.3 )
- 日時: 2023/02/19 23:54
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ストライク!」
そう言い龍心はガッツポーズを決める。
「せっかくボウリングしに来たんですし、拓海もやったらどうですかぃ?」
宗樹がそう聞いてくる。
そう、今俺たちがいるのはボウリング場だ。
担任の谷壮亮が暴走族と絡んでいたと発覚し、今日の授業は中止になった。
そのため、真っ昼間からボウリングをしている。
なぜボウリングかと言うと単に宗樹がやりたいからという理由だ。
「さっきからずっとスマホいじってるけどよ、何してんだ?」
そう宗四郎が聞いてくる。
「彼女とメールしてるんすよ。」
そう言うと宗樹はまた玉を持ちレーンに転がす。
「ちげーよ。ただ、今日華恋来てなかったな〜って。」
「やっぱ彼女じゃないすか。」
「黙れ。」
そう言い宗樹を黙らせる。
華恋というのはクラスメイトの一人で陽汰と同じ幼馴染である。
何かあったのではないかと思い、連絡してみる。
だが、いつもは5分程度で返事が帰ってくるのだが10分経った今も帰ってこない。
龍心達の方を見てみる。
まだボウリングを続けていた。
ただ玉を転がしピンに当てて倒すだけだというのによくそこまで飽きないと思う。
ピコン
メールの通知音がなった。
指紋認証をして内容を見てみる。
前田拓海へ
木口華恋を誘拐しました
返して欲しければ、私達『天使』を見つけ出してください
制限時間は今日中です
もし、時間内に見つけられなかった場合、華恋を殺害します
脅しではありません
私達はあなたのすぐ側にいます
そう一通のメッセージが送られてきていた。
チェーンメールということはわかっているのだが、もしもと最悪の結末が脳裏を過る。
「そんな怖い顔して、どうしたんだよ。」
俺に気づいた龍心が俺に声をかける。
「いや、トイレ行きたくて。」
「トイレなら外にあるぞ。」
龍心が出口の方向に指を指す。
「ちょっと行ってくるわ。」
そう言い俺は外に出ようと、出口の扉を開ける。
一瞬、刺されるような視線を感じる。
後ろを振り返るが誰もこちらを見ていない。
(気のせいか…。)
俺はそう思い、走って外へ出る。
あのメッセージが本当なら、華恋を誘拐した犯人は近くにいるはずだ。
宗樹達には悪いが、先に帰らせてもらう。
まずはボウリング場の近くの公園を見てみる。
いたのは小学一年生が5人ほどだけだった。
自分に念の為と言い聞かせる。
探し始めて早2時間。
思い当たるところはすべて探したが、結局何もどこにもいなかった。
もう6:00を回っており、あたりも暗くなってきている。
暗くなってから探すのは困難だ。
「クッソ…。」
そう言い地面を思い切り踏みつける。
「何そんなに怒ってんだよ。」
後ろを振り返ると龍心と宗樹が立っていた。
「何で…。」
「あの時から変だったんだよ。なんか妙に焦ってるみたいでな。」
隠していたつもりが龍心にはバレバレだったようだ。
「で、何なんだよ。」
そう宗樹が聞いてくる。
仕方なく俺はあのメッセージのことを話した。
「一つ思い当たるところがあるとすれば…。」
そう龍心が頭を掻いて言う。
「どこだ?」
龍心は少し間を開け口を開ける。
「旧北天満小学校。」
旧北天満小学校と言うのは今はもう休校した学校であり、今はもう地元のまつりのときくらいにしか使われていないので、人目につかない。
確かに、監禁するならば都合のいい場所だ。
だが、北天満小学校は高い塀に囲まれており小学生では乗り越えられないはずだ。
「あそこは裏道使えば簡単に入れたよな。」
宗樹が龍心に尋ねる。
「あぁ。だからそこから入った可能性もあるな。」
龍心は眠たそうに目を擦っていう。
「善は急げ。早く行くぞ!」
そう宗樹は俺と龍心の手を引っ張る。
少し焦る気持ちがある中、俺は決意を抱く。
殺されたって取り返す。
必ず取り返して見せる。俺はそう心に決めた。
- 偽物 ( No.4 )
- 日時: 2023/01/26 00:20
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
北天満小学校に行く途中、俺はずっと気になっていたことを龍心に聞いてみる。
「なぁ、何で犯人は華恋を誘拐したと思う?」
「んなもん知るかよ。」
まぁ当たり前の返事だ。知っていた方が怖い。
「まぁ思いつくとしたら通り魔的な存在なのか、あるいは…」
「ついたぞ!」
龍心がなにか言おうとしたところを宗樹が大声でさえぎる。
人がいる様子はないが、ほんの少し明かりが灯っているように見える。
「こっちだ。」
龍心はこちらに向かって手招きをする。
そこは正門とは真反対に位置する場所だ。
「ここだ。」
龍心の場所に行ってみると本当に細い道があった。
その道は猫が通るような道で、人は横に向いて入っても壁に擦れるくらいだった。
「ほんとにここにいるんですかぃ?」
宗樹が不満そうに言う。
「ビビってんのか?」
龍心は宗樹をそう軽く挑発する。
「誰もそうと入ってませんぜ。」
宗樹は負けじと言い返した。
そうあれこれ話している間に道から出た。
きつきつだったためグラウンドがやけに広く感じる。
長年整備されていないようで草花が生い茂っている。
「入るぞ!」
宗樹がそう小声で言い校舎のドアをそっと開ける。
相手がどんな者かも知らずに喧嘩を売るのはあまりにも愚策だ。
ーーでさーー
「!」
微かだが誰かの話し声が聞こえる。
手招きだけして声のした方に向かう。
その声は徐々に大きくなっていっている。
入り口から右に奥へ奥へと進んでいくと職員室と書かれている教室がある。
間違いない。ここから声が聞こえる。
龍心と宗樹の方を振り返る。二人共首を縦に振った。
俺は心を決めてドアを開ける。
それと同時に二人が中に向かって走って行く。
俺も遅れを取るわけには行かないので急いで追いかける。
「誰だ!」
その声に反応しその仲間たちが振り向く。
相手の方も気がついたようだがもう遅い。
気づかれたときにはもう手を出している。
宗樹は振り向いた瞬間顔を殴り飛ばした。
「観念しろ。」
龍心がそう脅す。相手はビビって抵抗はしない。
「お前ら何年だ?」
宗樹が一人にそう聞く。
「よ、4年…。」
かなり怖がっているようで声が震えている。
「一個下だぞ。」
宗樹は期待外れと言った様子だ。
「華恋は?」
いちばん重要なことを聞く。
「知らない…。」
そいつは首に横にブンブン振った。
嘘をついているようには見えない。
「何か知ってることはないのか?」
もしないとしたら莫大なタイムロスだ。
「知らない男たちが、女を誘拐してた…。」
「ほんとか!!」
女というのは華恋かもしれない。ここをあたって正解だった。
「誘拐したそいつらは何歳くらいだ?」
少し興奮気味だったため一度落ち着きもう一度聞く。
「多分5年くらい?」
そう言った。5年ならば同学年だ。
「どこにいるんだ!」
興奮を抑えきれずそう聞いてしまう。
「お、扇公園…。」
そいつはビビったようで涙目になっている。
「ありがとう。」
それだけ言うと急いで扇公園に向かう。
「これで情報は全部掴めたな。」
「おう。」
華恋になにか恨みでもあるのだろう。
そう思ったが犯人の考えは全く異なるものだった。
- 怒り ( No.5 )
- 日時: 2024/05/13 23:24
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「扇公園についたが…。」
先程の4年の情報によるとここに華恋を誘拐した犯人がいるらしい。
だが、周りを見渡す限り誰もいない。
「ほんとにいるんですかねぇ?」
宗樹はスマホをいじっている。
「ん?」
「どうした?」
遊具のてっぺんのあたりに人影が見える。
おそらく、あれが華恋を誘拐した犯人たちだろう。
だが背丈はそれほど高く見えず、拓海達と同じくらいに見える。
「あれか…。」
龍心も見えたようでそう呟いた。
「それじゃあ早速…。」
宗樹がありえないスピードで人影の方に走って行く。
「待て!」
龍心もそう言うと全速力で走り出す。
拓海も走り出した頃にはもう宗樹が飛びかかっている。
華麗に腹にパンチを食らわす。
溝内に入ったらしく殴られた相手はその場でヘナヘナと倒れ込む。
「中嶋!?」
誰かがそう言ったが宗樹はそれを聞かずに襲いかかる。
ひとり何もしないというわけにはいかないので急いで龍心達の方に向かう。
「おらあぁ!」
相手も俺が近づいてきたのに気がついたようで構えながら走ってくる。
「フン!」
むかってきた相手を殴り飛ばす。
後ろを振り向くと宗樹が後ろから狙われていた。
「後ろ!」
「あ?」
そう叫んだが、一足遅かった。
振り向いたと同時に宗樹は顔面を殴られそうになる。
「オラッ!」
龍心が宗樹のことを殴ろうとした相手にタックルをし、吹き飛ばす。
「ナイス!」
「借り、1な。」
龍心がそう言う。
「へいへい。」
宗樹は最後の一人を殴り飛ばす。
だが、もう一人残っていた。
「長澤?」
今まで暗闇で顔が見えなかったがよく見てみると、隣のクラスの長澤だった。
「あいつらの言ってたこと本当だったんだな。」
宗樹がそう言った。
「華恋をどこにやった!!」
長澤の胸ぐらをつかみそう言う。
「ここだ。」
指を指した方に回ってみるとそこにはボコボコにされた華恋がいた。
かなり殴られたようである。
「何でこんなことを…!」
俺の心は怒りでいっぱいになり思わず殴りかかりそうになる。
「やめとけよ。」
龍心に腕を掴まれる。
「お前は強いクセに喧嘩を嫌う。だから何か仕掛けないといけねぇだろ?だから華恋を使ったんだよ。」
ーーブチッーー
俺の中で何かが切れる音がする。
「清々しいほどのクズ野郎だな。」
宗樹が髪を掻きながらそう言った。
「お前を殺してやる。」
華恋をあんなふうにしておいて全く持って悪く感じていない。イかれている。
龍心の手を振り払い殴りかかろうとする。
だが横の道で警察が見えた。
その一瞬のスキを涼は見のがさなかった。
一瞬のスキをつき逃げ出す。
「お前ら逃げるぞ!」
「はい!」
そう言い涼と他の仲間達で逃げ出す。
「俺はお前に勝つ。」
それだけ言うと走り去って行く。
「おい!」
もう走って追いかけたって追いつけないようなところにいる。
今はそんなことよりも華恋だ。
急いで病院に連れて行く。
幸い、目の前に病院がある。
華恋の診察をされている間に俺はずっと考えていた。
ーー俺はお前に勝つーー
その意味が理解できない。
また華恋を誘拐するつもりなのかそれか別なのか。
どちらにしろ涼は絶対に許さない。
そう思ったのであった。
- デマ情報 ( No.6 )
- 日時: 2023/01/27 23:07
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「はぁ…。」
俺は病室から出て大きなため息をつく。
「どうだったんだ?」
病室の前では龍心がチョコムースを飲んでいる。
そのため、あたりには甘い匂いが充満していた。
「全治一ヶ月だってよ。」
華恋は表情がわからないくらい顔が腫れていた。
できることなら涼を殺したかった。
だが、それも無理な話だ。
「とりま帰ろーぜ。」
そう龍心に肩に腕をかけられる。
宗樹は先に帰ったようだ。
そのまま病院を出る。
「なんかあったのか?」
「へ?」
急に声をかけられて変な声を出してしまう。
「だってお前、なんかすげー真剣そうな顔してたから。」
実はずっと華恋のことを考えていただけだった。
隠していたつもりが表情に出ていたようだ。
「なんもねぇよ。」
そう言い返す。
「ならいいけどな。」
龍心はそう言い空を見上げる。
月に薄く雲がかかっていて綺麗だ。
「じゃあまた明日な。」
気がつけばそこは龍心の家の前だった。
「おう。」
手を振り返して自分の家の方向に向かって行く。
「ただいまー。」
俺は誰もいない家に向かって声をかけた。
もちろん返事はない。
今日は疲れていたためご飯を食べず寝ることにした。
「おはよー。」
結局、昨日は色々なことを考えていてろくに寝れず寝不足になってしまった。
「おい、お前涼達と喧嘩したって本当かよ!」
「あ?」
宗四郎がそう急に俺のところに近づいてきた。
「誰から聞いたんだ?」
宗樹は別として、少なくとも龍心がそんなことを言うはずがない。
「誰って…涼からだけど?」
やはり思ったとおりであった。
「おい拓海!」
龍心もこちらに駆け寄ってくる。
「どうしたんだよ。」
「あいつ、デマ情報流してんぞ。」
龍心の目は珍しく殺気立っていた。
「どんなだよ。」
「「俺一人で拓海達をボコした」って。」
「は?」
言っていることが真反対だ。
昨日ボコボコにされたのは涼だ。
「あいつ…。」
思わず頭を抱える。どこまで自分が強いと証明したいのだろうか。
ーーキーンコーンカーンコーンーー
授業開始のチャイムが鳴る。
「授業始めますよ〜。」
新しい先生が入ってきた。
「ヤベッ。席座らねぇと。」
そう宗四郎たちが急いで自分の席に戻って行った。
- 逆恨み ( No.7 )
- 日時: 2023/02/19 23:55
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ーーキーンコーンカーンコーンーー
「やっと終わった…。」
今まさに6時間目の授業が終わったとことである。
「一緒に帰ろうぜ。」
そう植谷陽汰が誘ってきた。
「いいぞ。」
陽汰とは保育園からの幼馴染である。
ランドセルに荷物を詰めて教室を出ようとする。
「待てよ。」
「ゲェッ!」
後ろから服を掴まれ変な声を出す。
「俺達とも帰ろうぜ!!」
そこには宗樹達10人程度がいた。
「まぁ、いいけどさ…。」
クラスの半分くらいと帰ることになってしまった。
階段を降りて靴箱から靴を取り出し校門に向かう。
「あ、そういや涼達と喧嘩したんだってな。」
またその話か、と思う。
今日一日その話ばかりだった。
「拓海らが涼達ボコしたらしいな。」
「そうそう…。ってえ!?」
適当に頷いておこうと思ったが予想とは違うことを言われて驚く。
「それ、誰から…。」
「宗樹。」
そう言い陽汰は後ろにいる宗樹に向かって指を指す。
宗樹は何となく察したようで両手を合わせた。
ごめん、という意味らしい。
「あいつ…。」
「まぁいいじゃねぇか。」
陽汰がそう背中をバンバン叩く。
「はぁ。」
「おい!」
後ろで大声が聞こえ振り向く。
なんとそこには一人にの男子小学生に殴れら、頭から血を流しているクラスメイトの浅田淳平がいた。
「テメェ!!」
淳平の近くにいた槌井蓮はキレてそいつを抑え込む。
手には鉄の棒のようなものを持っていた。
「大丈夫か!?」
そう聞いたが返事はない。
とにかく、病院に連れていくことを最優先にする。
この前も行った病院に連れていき急いで血を止めてもらう。
数分後、幸い命に関わることではなかったようで、すぐに戻ってきた。
「大丈夫なのか?」
淳平にそう問いかける。
「頭はくらくらするけど大丈夫だよ。」
淳平は頬をポリポリと掻きそう言った。
頭には包帯がグルグル巻かれている。
「だけど、あいつ、何で淳平のことを狙ったんだろうな?」
クラスメイトの福田荒がそう言った。
確かに、他校のやつだったし、なんの目的もなく淳平を殴ったというわけではなさそうだった。
淳平を狙いっていたのかもしれない。
だが、一つの言葉が脳裏を過る。
"俺はお前に勝つ"
涼が言った言葉だ。
もし、これが涼の逆恨みなら。
「まぁ、外歩くときは気をつけるんだな!」
龍心がそう言いドワっと笑いが生まれる。
だが、その中で一人、俺は考えていた。
- 新たな事件 ( No.8 )
- 日時: 2023/02/15 23:05
- 名前: ミートスパゲティ (ID: so77plvG)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「じゃあな。」
淳平の見舞いを終え皆と別れて家へ向かう。
たんこぶができただけで大したことはないらしい。
だが、まだ引っかかるものがあった。
ーー俺はお前に勝つーー
あの日以来、ずっと引っかかっている言葉だ。
涼のことだからもう一度華恋を襲うということも大いにありえる。
今回も涼の仕業なのだろうか。
もしもそうならば淳平には悪いことをしたと思う。
だが、今日淳平のことを襲った人間は他校の人間だった。
そのため、涼が指示しているという可能性は低い。
個人的に恨みがあったのか、それとも誰かに指示されているのか。
そんなことを考えていると家の前についていた。
ポケットから鍵を取り出し、鍵穴に突き刺してそのままドアノブを回す。
「ガチャ」と音がして鍵が開いた。
靴を脱ぎ、そのままキッチンに向かう。
なにか食べられるものはないか冷蔵庫を漁ってみる。
運良く、食べかけの市販の弁当が残っていた。
割り箸を割り、食べようとする。
「ピコン」
今から一口目だというのにスマホの着信音がなる。
(なんだよ…。)
大切な連絡かもしれないのでしぶしぶメールを開く。
「今から公園来れるか?」
そう、龍心からメールが来ていた。
「はぁ…。」とため息をつき、急いで弁当を口に流し込む。
「いやだ」とは言えないので仕方なく公園に行くことにした。
ポケットにスマホと鍵だけを入れて公園に向かって走りだす。
何のことだろうと思いながら走り続けた。
公園に着いたとき龍心はもうとっくの前から来ていたようだ。
「話ってなんだよ。」
眠たいのでなるべく早めに終わらせたい。
龍心が口を開き何かを言おうとする。
「荒が襲われた。」
「!?」
荒というのは同級生でよく一緒にいるうちの一人だ。
「今どうなってんだ?」
「淳平と同じ有様だ。」
「ッ…!」
ということは病院にいるのだろう。
「こんな偶然、あるもんなんかなぁ?」
龍心がそう言った。
確かに、襲われたのは淳平と荒、二人共よく一緒にいる奴らだ。
偶然にしてもあまりにもおかしい。
少しでも思い当たるフシがないか考えてみる。
ーー俺はお前に勝つーー
やはり真っ先に思い浮かんだのはあの言葉だった。
「思い当たるフシ、あんだろ?」
龍心が俺の心の中を見透かしたように言う。
今黙っていたとしてもいずれは言うことになるのだ。
「涼の言葉、覚えてるか?」
龍心は覚えてるのか、そもそも聞いていたのかすらもわからない。
「あー…あれね。」
龍心は少しの間考え込んでから言った。
「それでも…。」
龍心が何かを考え出す。
「フッ…!」
誰かの呼吸の音が聞こえたので、急いでそちらを見る。
するとそこには、何者かが龍心の後ろに立っていた。
そいつは鉄の棒を握りしめていて、その棒を振り上げ今にも振り下ろしそうになっていた。
「龍心!後ろ!」
「?」
振り向いた頃にはもう遅かった。
鉄の棒が龍心の頭スレスレまで来ている。
俺は思わず目を瞑る。龍心の頭に鉄の棒が当たった。そう思ったときだった。
バンッ
だが、聞こえたのは頭を殴ったような「ゴン」という音ではなく、誰が地面に倒れたような音だった。
急いで龍心の方を振り向いてみる。
後ろには新たな人影があった。
「こんなとことで。何してるんですかぃ?」
「宗樹!!」
この癖のある喋り方。やはりそこには宗樹が立っていた。
「何でここに?」
確かに、龍心が殴られそうになった瞬間に駆けつけたというのは考えにくい。
例えそうでなくてもものすごい偶然だ。
「理由はこいつでさぁ。」
そう言い宗樹は倒れたままの男を指さした。
よく見てみると背は龍心たちと同じくらいで変わった服を着ている。
「この服…。」
龍心も釘付けになってそれを見つめる。
「どうしたんだ?」
確かに珍しい服を着ているがそこまで釘付けになるだろうか。
「この前のやつもこんな服着てなかったっけ?」
龍心がそう言う。
「ビンゴ!」
宗樹はそう言い嬉しそうに手を叩いた。
「ってことは同一人物?」
「ではないみたいだ。」
背の高さも顔立ちも全然違った。ならば何なのだろう?
「これ、なんて読むんですかぃ?」
宗樹がそう困った様子で言っている。
見ていたのはそいつの背中部分だった。
ー堀川軍ー
そう大きく金文字で縫われている。
「なんだろうな?」
龍心はそう答えた。
(ふああぁぁ…。)
何だか急に眠たくなってきた。
「まぁ今日はもう遅いし、明日考えようぜ?」
龍心は俺が眠たそうにしていることに気がついたようでそう言った。
「じゃあまた明日な。」
一刻も早く寝たい俺は急いで帰ることにした。
- 新発見 ( No.9 )
- 日時: 2023/02/19 23:46
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ふああぁぁ…。」
俺は大きく口を開きあくびをした。
昨日、結局あのことが気になりあまり寝られなかった。
幸い、今日は休日なので二度寝することだって許される。
背中に縫われてあった「堀川軍」というのも調べてみたが結局何も分からず終いだった。
『ピーンポーン』
布団に潜り直し二度寝しようとしたとことでインターホンがなる。
どうせ宅急便だろうと思いそのまま無視する。
『ピーンポーン』
『ピーンポーン』
(なんだよ…。)
あまりにもしつこくなり続けるため一度カメラを確認する。
そこに映っていたのは宅急便でもない、龍心と宗樹だった。
わざわざ玄関まで行って扉を開ける。
「よっ!」
そう言い宗樹が勝手に家の中まで入ってくる。
止める気力もないので放っておく。
「おもしれぇことがわかったぞ。」
そう言って龍心も入ってくる。
「おもしろいことって?」
気になり食い気味になって聞く。
「まぁそう焦んなって。」
龍心はそう言い床に腰を下ろした。
「昨日のやつの素性を調べててな…」
龍心はそう言いながら手に持っているスマホをスクロールする。
「これ。」
龍心は一つのサイトを開きそれを俺に見せてくる。
「大阪の暴走族一覧…?」
「あぁ。」
こんなサイトをどこで見つけたのだろうと思いながらも見続ける。
「武道」や「八苦座」など有名な暴走族の名前もあれば、「豊崎連合」や「天満隊」など聞いたことの名前の暴走族の名前などが載ってある。
見ているうちに思ったことはやはり多いということだ。
かなりの量があり軽く150は超えていそうだ。
一番下に近づいてきたころに見覚えのある名前を目にする。
「堀川軍」
間違えない。あのときの暴走族の名前だ。
「な?あったろ?」
龍心はそう自慢げに言ってくる。
詳細も載っているみたいなのでそちらも見てみることにする。
結成年度は2022年、つい最近だ。
総人数も30人とそう多くないらしい。
「堀川ってここですかぃ?」
宗樹はそう言いスマホでマップを開いて見せてきた。
そこには堀川小学校が映っていた。
堀川がつくのはここくらいしかない。
そのため、ここと断定していいくらいだ。
だが一つ気になることがある。
「何でこいつらは俺たちを狙うんだ?」
淳平、荒、龍心。襲われているのはいつも一緒にいる面子ばかり。
偶然と言ってもあまりにもおかしい。
なぜそこまでして俺たちを狙うのかわからない。
「俺たちに恨みを持つ奴らなのか、それとも…。」
龍心がそう言い変に焦らす。
「早く言えよ。」
「推測に過ぎないが涼たちと関係があるのか、だ。」
確かに、涼ならば俺たちに恨みを持っている。
だが、なぜ堀川軍がそれを手伝うのだろうか?
涼も確かだが暴走族のチームを創っていたはずだ。
普通ならば敵対しているだろう。
「何で手伝うんですかねぇ?」
宗樹が俺の言いたかったことを言った。
多分、誰に聞いても同じ考えなのだろう。
「同盟を結んでいたとしたら?」
「「同盟?」」
宗樹と俺の声がシンクロする。
「一つの目的に向かって一時的に同盟を結んでいるのかもな。」
俺たちは涼に勝った。涼は俺たちに復讐をする。
だが今のままでは勝てないことが明確。
だから堀川軍を頼った。
堀川軍にメリットがあるのかは知らないが、おそらくはそういうことなのだろう。
「どうするかな…。」
涼の時みたいに3人でやり合っても人数差がありすぎて勝つことは難しそうだ。
「他のやつも誘ってみるか?」
宗樹がそう提案してきた。
「そうしてみるか。」
龍心も頷いた。
「そうと決まればな…。」
そう言い宗樹は立ち上がり靴を履く。
「俺たち、聞いてくるんで」
龍心も同じように靴を履いた。
「集まり次第連絡するわ。」
そう言い出て行ってしまった。
急に来て急に帰る。
なんとも迷惑な奴らだと思った。
おそらく戻ってくるまでかなり時間があると思う。
俺は二度寝することを決心した。
- 決戦前夜 ( No.10 )
- 日時: 2023/02/19 23:44
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ーーピーンポーンーー
「んん…。」
何やら音が聞こえたため俺は起き上がった。
ーーピーンポーンーー
どうやらインターホンがなっているらしい。
スマホにも着信がたくさん来ていた。
全て龍心と宗樹によるものである。
玄関のカメラも確認してみるとやはりそこには龍心と宗樹が立っていた。
俺は鍵を開けて扉を開く。
すると宗樹は俺の顔を見て嫌な顔をした。
「まさかお前、寝てたのか?」
龍心が呆れた様子でそう言った。
「寝てたって…まぁ?」
「はぁ。」
俺がそう言うと龍心はため息をついた。
寝起きでまだ頭が回っていない。
「そんなことより、仲間誘ってきたぞ。」
そう龍心は言う。
後ろでは宗四郎、蓮、陽汰など見慣れたメンツが揃っていた。
「まぁこんだけしか集まらなかったけどな。」
龍心はそう言い頬をポリポリと掻いた。
「喧嘩はいつすんだよ?」
血の気の多い宗四郎がそう言った。
運動もできるし頭もそこそこいいが短気で怒りやすいのが玉にキズだ。
「淳平の仇は俺が取ってやる。」
そう蓮が言った。
蓮は小柄だが力は以外にあってそこそこ武力はある。
元々純平と仲がいいため仇を討つのに必死なようだ。
「ふぅああぁ…。」
その中で一人眠そうにしているのは陽汰だ。
華恋と同じく、保育園からの付き合いで仲がいい。
仲間が増えたのは嬉しいが、相手がどのくらいの人数なのかわからないので反応しづらい。
「まぁまぁ、落ち着いて。で、喧嘩はいつなんでぇ?」
宗樹が皆を落ち着かせ俺にそう聞いた。
珍しく宗樹が楽しんでいるように見えるのは俺だけなのだろうか。
「…わからねぇ。」
「は?」
俺の言葉に一番に反応したのは蓮だった。
「そんなんじゃいつになっても仇討ちできねぇじゃねぇかよ!」
蓮が珍しく強気で言った。
「一回落ち着け。」
そう陽汰に抑えつけられ黙り込む。
「もうちょい待ってみろ。」
龍心が横から急に言葉を挟んだ。
「それってどういう…」
ーーピロリロリン♪ーー
そうメールの通知音が鳴る。
開いてみるとそこには「堀川軍」と書かれた人物から一通のメールが送られてきた。
5月9日、淀川橋下まで来い。
その一文だけだった。
5月9日とは今日が5月8日なので明日を意味することになる。
「なんでわかったんだ?」
宗四郎が龍心にそう聞いた。
「なんとなくだ。今日涼たちの様子が変だったからな。やけに誰かとメールしてたりな。」
そんなところまで見ていたとは、流石である。
「とりま!明日に備えようってことで、解散!!」
宗樹はそう大きく声を張り上げ、家から出ていった。
他の奴らも同じように出ていく。
皆出ていった頃にはもう9:00を過ぎていた。
かなり長い間話していたらしい。
明日に備えて寝ようと思ったがなかなか眠れそうになかった。
- 初陣 ( No.11 )
- 日時: 2023/02/23 00:15
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ーーピーンポーンーー
「よぉ。」
朝早く、龍心が家に来た。
「そんなガチガチになるなよ。」
そう言い勝手にソファに腰を下ろす。
昨日はやはり寝つけなかった。そのため寝不足だ。
「時間とかはわかってんのか?」
龍心は目をこすりながらそう聞いてきた。
「わからねぇ。あの一文しか送られてきてねぇから。何人かもな…。」
「そうか」と龍心は頷いた。
「まぁ、時間ならだいたい見当はつくけどな。」
「マジか!?」
「あくまでも"予想"だがな」
「わかってる。」
変に焦らしてくるので急かす。
「一回皆を集めれるか?」
「わかった。」
「で、緊急で集まれって何事ですかぃ?」
龍心に言われた通り皆を呼んだ。
「ちょっと聞いてほしいことがあってな。」
龍心はそう言った。
「決戦は今日の22時だ。その時に必要な役割がある。」
「役割?」
宗四郎が首を傾げる。
「それは‥‥‥。」
その一言を聞き場が静まり返る。
「……。わかった。その役割、俺が受ける。」
その中で一人蓮が口を開いた。
「本当にいいんだな?」
龍心が聞いた。
「大丈夫だ。」
その蓮は胸を張って言った。
「皆それでいいか?」
皆黙ったまま頷いた。
「じゃあ22時に淀川橋下で。解散!」
そう言うと皆出ていった。
龍心も靴を履き出ていこうとする。
「ちょっとまってくれ。」
「ん?」
出ようとした龍心を呼び止めた。
「堀川軍ってやつ、何で俺の連絡先わかったんだ?」
ずっと気になっていた。
なぜ俺の連絡先を知っていたのだろうか。
「そんなもん知らねぇよ。」
そう言い龍心は出て行ってしまった。
俺は決戦に向けて腹をくくった。
「揃ったな。」
龍心がそう言うと龍心、俺、蓮という順番に並び直した。
「来たか!」
少し先には堀川軍の総長らしき人物がいる。
左右に二人の隊員がいるだけだ。
「行くぞ!」
龍心がそう叫ぶとそのまま列を乱さないように一目散に駆けてく。
「おらあぁ!」
後ろから何人かの声が聞こえる。
あのときと同じように鉄の棒を持っていた。
一番後ろにいた蓮が殴られそうになる。
総長らしき人物は勝ち誇ったように笑った。
「はっ!」
鉄の棒を持った男たちがこっちに殴り飛ばされてくる。」
「間に合ったか!」
そう宗四郎が言った。
龍心の考えた作戦とは相手が後ろから襲ってくることを想定して、こちらもその後ろから襲うという作戦であった。
蓮はその囮役になったのである。
結果、ギリギリで助かったが、一秒でも遅かったら殴られていたかもしれない。
そんな役を進んでしたのだ。
そこはすごいと思う。
「まだだ!やっちまえ!」
そう言うと左右二人の隊員が鉄バットを取り出し龍心に殴りかかる。
龍心はそれを軽々避け二人一気に蹴り倒した。
「武器使って負けるとかダセェ。」
そう言い唾を吐き捨てる。
「後はお前だけだな。」
龍心がそう総長らしきやつに言う。
「誰に言われた?」
「お、扇會…。」
かなり怯えているようだ。声がガクガクである。
「扇會?」
聞き馴染みのない名前だ。
「なんなんだ?それ。」
そう言い問い詰める。
「な、長澤達のチームの名前…。」
やはり、裏には涼がいた。
「もういい。だが、次にやったら…わかるな?」
「は、はい…!」
そう怯えた様子で言った。
「やっぱり拓海は甘ちゃんですねぇ?」
宗樹がそう言ってきた。
「うるせぇ。」
そう言い、俺たちは初めての抗争に勝利した。
- 寝起きドッキリ ( No.12 )
- 日時: 2024/05/16 00:03
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
喧嘩無双のキャラに寝起きドッキリ!
仕掛け人・ミートスパゲティ
・内容 バズーカで起こす。
拓海の場合
ドカァン
(拓海)うわっ!何だよ!
結果 普通にビビる
龍心の場合
ドカァン
(龍心)うるせぇ。
結果 無視される
宗樹の場合
ドカァン
(宗樹)何だよ…今日は日曜日だろ?学校なんかねぇよ…。
結果 変な勘違いして二度寝する
陽汰の場合
ドカァン
(陽汰)ん…おはよ。
結果 アラームと勘違いする
宗四郎の場合
ドカァン
(宗四郎)死ね
結果 暴言を吐かれる
純平の場合
ドカァン
(純平)え!?何!?
結果 ガチめにビビる
蓮の場合
ドカァン
(蓮)…。
結果 気づかない
荒の場合
ドカァン
βΩⅡ€⁈
結果 訳の分からない事を言い出す
(ミースパ)ほとんど変なやつばっかじゃん。
(龍心)復讐するぞ。
(一同)おぉー!
(龍心)起きろぉ!
(ミースパ)あっつぅ!なにこれ!?
(宗四郎)本物だからな。
結果 死ぬ。
- チーム結成!? ( No.13 )
- 日時: 2023/02/28 22:41
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「へぇ。そんなことが…。」
俺たちが堀川軍との話をすると淳平は興味深そうに頷いた。
「あーあ!俺も参加したかったなぁ!」
「参加したとしてもお前は真っ先にやられてただろ。」
淳平が言った言葉を遮るようにして宗樹は煽った。
「てかさ、思ったんだけど…」
それまでずっと口を閉じていた荒が急に口を出す。
「こんなことが何回も起こるなら俺らもチーム創ればよくね?」
「「「は?」」」
あまりにも予想外な答えに誰もが驚く。
「お前何ふざけてんだよ。」
宗樹がそう言い絡みに行く。
「ガチやって!」
普段は内気な荒が珍しく大きな声で言った。
そういや、荒も家族を誘拐されたと聞いていた。
「どうする?拓海?」
「え?」
急に話を振られ戸惑う。
確かに、チームを創るのはいざというときに便利だと思うが、そうすれば他のチームから狙われる可能性も上がる。
「いいと思うが…」
だが、やはりこれ以上他の奴らを巻き込むのは嫌だ。
「ってことはいいってこだよな?」
「は?」
俺はいいと思うがしか言っていないが荒がそう言って喜んでいる。
「まぁいいんじゃないか?」
龍心が隣から声をかけてくる。
「家族を拐った正体もわかるかもだぞ?」
「っ…!」
それだけはできるだけ早く知りたい。
だが、それでも巻き込んでいいということにはならない。
「じゃあ誰が総長がいいか決めようぜ!」
陽汰がそう言い出した。
「それなら俺に任せろ!」
宗四郎がそう言い手を挙げる。
「いや、あんたはだめでさぁ。喧嘩っ早いし。」
「おい。てめぇこっち来い。
そう言った宗樹を宗四郎は連れ去る。
「もう投票でよくね?」
そう、蓮が呆れたように言った。
「それがいいな。」
淳平もそう言った。
「わかってると思うが、総長になるからには全ての責任を負うことになる。それでもいいか?」
龍心が皆にそう聞く。
「そんな半端な覚悟なやつなんざ、ここにはいねぇよ。」
「そんくらい皆覚悟の上だよ。」
宗四郎や荒がそう言う。
「なら一斉に指をさすぞ。」
龍心が緊迫した様子でそう言った。
俺は龍心に投票するつもりだった。
頭もいいし喧嘩も強い。総長には匹敵な人物だと思ったからだ。
「せーの!」
さされた指の本数が一番多いのは俺だった。
「…は?」
「決定だな!」
宗四郎がそう言いニヤつく。
「何で俺なんだよ?」
「だって…なぁ?」
陽汰がそう言い皆を見渡す。
「筋肉バカだし。」
「仲間思いだし。」
「喧嘩強えし。」
「これ以上総長に最適なやつがいるか?」
そう全員が言う。
「え…?それでも俺なんかで…?」
「な~に照れてんだよ!」
宗四郎が方を組みに取っ組みかかってくる。
「頑張れよ。"総長"。」
龍心にわざとらしくそう言われる。
「じゃあ決まりだな!」
そう言いチームの総長は俺に決まったのだった。
- 謎のメッセージ ( No.14 )
- 日時: 2023/03/05 22:43
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
その後、龍心が参謀総長、宗樹が特攻隊に選ばれただけでそれ以上大きな変化はなかった。
「まぁはじめはこのくらいでいいでしょ!」
言い方からしてこれから増やしていくつもりなのだろう。
言い出した荒は結局なんの役にも入らなかった。
「ふざけんな!なんで俺にはねぇんだよ!」
そんな中で宗四郎が一人不満げに言った。
「まぁまぁ」と陽汰がなだめるが宗四郎の怒りは収まりそうにない。
「じゃ、今日はここで解散だ!」
龍心はそう声をあげた。
あれから一週間経ったが、結局何も起こらなかった。
結成した意味があったのかはまだ謎だが、それはあえて口に出さない。
ーーピロリロリン♪ーー
スマホの着信音だ。
どうせまた何気のないメールだろう。そう思い起動する。
「は?」
§件のメッセージ
そこにはそれだけが表示されていた。
なにかのバグだろう。そう思い電源を落とす。
再起動したが、やはりそのメッセージは消えない。
あまりにも気味が悪くなったのだ横にスワイプしてメッセージを開かないまま削除しようとする。
€件のメッセージ
£件のメッセージ
¢件のメッセージ
「!?」
何故か削除したはずのメッセージが増えている。
これには流石に動揺を隠せない。
「おーい。いるかー?」
入り口の方から龍心の声が聞こえる。
ーーガチャーー
急いで入り口を開けに行く。
「そんなに急いでどうしたんだよ?」
「これを見てくれ!」
そう龍心に先程の画面を見せる。
「これ何語だよ。」
龍心は全く相手にしていない様子を見せる。
「消してみればいいじゃねぇか。」
龍心はそう言い俺のスマホを取る。
¿件のメッセージ
†件のメッセージ
﹀件のメッセージ
Ω件のメッセージ
やはり増えてしまった。
「なんだよこれ!?」
流石に龍心も驚いている。
今更かと思ったが黙っておくことにする。
「だから言ってるだろ…。」
変押してしまったらウイルスに感染してしまうかもしれない。
「あいつに聞いてみるか…。」
突然龍心がそう言い出した。
「あいつ…?」
- 助っ人 ( No.15 )
- 日時: 2023/03/11 22:23
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「こんな暑い日に…なによ?」
そう言いシャツの胸元をパタパタとして入ってきたのはクラスメイトの羽宮一華だった。
「これをちょっと調べてほしいんだが…」
そう言い龍心が勝手に俺のスマホを持っていく。
「ちょっと貸してね。」
そう一華は言いカバンからノートパソコンを取り出す。
何やらケーブルのようなものでパソコンとスマホをつなぎキーボードを打って操作し始める。
一華は親が情報系の仕事を務めているため電化製品の扱いは得意らしい。
「ん〜…」
少し操作してから難しそうな声を出し手を止める。
「何かわかったか?」
「全然。発信者すらわからなかった…。」
一華はそう言い首を横に振った。
「そうか…。」
結局、まだ何もわかっていない。
「開いてみるか?」
龍心がそう聞いてくる。
何もしないよりマシだろう。
俺は覚悟を決めてメッセージを開く。
あなた達を潰しますあなた達を潰しますあなた達を潰しますあなた達を潰しますあなた達を潰しますあなた達を潰しますあなた達を潰します
「ッ…!?」
気分が悪くなるような文章だ。
思わずめまいがする。
「誰だよ。こんな迷惑メール送ってくるやつは。」
龍心が頭を抑えている。
「そういえば堀川軍のときも誰から送られてきてたんだ?」
龍心がそう言う。
確かに、あのときは気にしなかったがあのときも発信者の名前がなかった。
「誰なんだ…?」
そう考えてもわからない。
「役に立てなくてごめんね。」
一華がそう謝る。
「一華のせいじゃねぇよ。」
そう龍心が言った。
ーーピロリロリン♪ーー
「「「!!」」」
メールの着信音だ。
δ件のメッセージ
と出てている。
覚悟を決めてメッセージを開く。
私達は明日の22:00にあなた達を学校で待ちます。
そのようなメッセージだった。
- 勢力図 結成時 ( No.16 )
- 日時: 2023/03/12 23:26
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
代表的なチーム
・北海道
Ainu
・東北地方
独眼竜
・関東地方
関東連合
・中部地方
東海帝王
・近畿地方
関西連合
・中国地方
三本の矢
・四国地方
讃岐連合
・九州地方
福岡連合
- キャラクター紹介 ( No.17 )
- 日時: 2024/02/08 23:21
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
前田拓海
扇小学校6年。
「悪英雄」初代総長。
優しく、仲間思いだが仲間を傷つける相手には容赦をしない。
喧嘩にはめっぽう強く、悪英雄の中ではダントツでトップ。
パンチングマシーンを壊した経験もあり、剛力の持ち主。
不良の時代を自分の世代で終わらせようとする。
異名は「第六天魔王」。
- キャラクター紹介 ( No.18 )
- 日時: 2024/02/08 23:18
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
永瀬龍心
扇小学校6年生。
拓海と同じく、「悪英雄」創設メンバーの一人で参謀総長。
頭の回転が速く、戦線では指揮をとり、「軍神」と言われている。
歴史を好み、陣形や戦法などを駆使して戦う。
空手、剣術を習っており拓海ほどではないが、武力もかなり高い。
その中でも特に剣術に長けており、その実力は折り紙付き。
- キャラクター紹介 ( No.19 )
- 日時: 2024/02/08 23:20
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
中嶋宗樹
扇小学校6年生。
ボクシングの天才と謳われるほどの武闘派。
「悪英雄」創設メンバーの一人。
神風特別攻撃隊、略して特攻隊隊長。
喧嘩の腕は確かだが、かなり悪質でそこらの輩から物を奪うただのヤバい奴。
異名は「殺し屋」。
- 決戦へ ( No.20 )
- 日時: 2023/03/18 12:38
- 名前: ミートスパゲティ (ID: PEx0ZAEq)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ってことがあったんだが…。」
先程のメッセージの話を皆に話す。
「やっと喧嘩か!」
そう一人張り切っているのは宗四郎である。
誰も喧嘩とは言っていないのに宗四郎に話すと毎回こうなる。
「でも、明日休みじゃね?」
淳平がそう言う。
その通り、明日は土曜日で学校は休みの日なのだ。
「別に学校行かなくてもなぁ…。」
そう面倒くさそうに言ったのは荒である。
確かに行かなければよいだけなのだが、もし華恋のときのようになってしまうと面倒くさい。
「というより、なんでそいつは拓海の連絡先を知ってるんですかぃ?」
宗樹が髪の毛をかきむしりながらそう言った。
宗樹が言う通り、どうやって連絡先を特定したのかだ。
そういえば堀川軍のときも非通知設定で送られてきていた。
「まぁ行けばわかるだろ!」
宗四郎はそう言いウズウズしている。
「せっかくチーム組んだんだし、いいんじゃねぇの?」
蓮までそう言い出す。
「わかった。そうしよう。」
流石に皆にここまで言われて嫌だとは言えない。
「それじゃあ今日は解散だな。」
そう龍心が言うといつも通り皆帰っていく。
全員家から出ていくとシーンとしていた。
もし、明日メールを送ってきた本人に会えば間違えなく喧嘩になるだろう。
不思議と恐怖心はなかった。
だが、喧嘩になることを臨んでいるわけではない。
(あー…考えるだけ無駄だ!)
そう思うことにして俺は布団にくるまった。
「全員集まったか。」
龍心がそう皆に声をかける。
「早く行こーぜ!」
宗四郎はそうウズウズしている。
「もう22時なるぞ。」
「俺が全員ぶっ飛ばしてやるよ。」
皆が口々に言う。
「そろそろ行くか。」
そう言い、俺は覚悟を決めた。
- キャラクター紹介 ( No.21 )
- 日時: 2024/02/08 23:21
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
渡辺宗四郎
扇小学校6年。
「悪英雄」創設メンバー。
龍心と同じく空手を習っている。
自分勝手なところがあり、直してほしいと皆から思われている。
攻撃隊のうちの一つ「白虎隊」を率いる。
- キャラクター紹介 ( No.22 )
- 日時: 2024/02/08 23:23
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
植谷陽汰
扇小学校6年。
「悪英雄」創設メンバーで副長を務める。
拓海とは幼馴染で仲が良い。
6年生で身長180cmを超える巨体で、「鬼」と呼ばれることも。
戦闘に関しては1対1よりも乱戦が得意。
- 敗北…? ( No.23 )
- 日時: 2024/05/13 23:21
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「あいつらだな。」
学校の前に群がっている集団がある。
おそらくあれが呼び出してきたやつらなのだろう。
ざっと数えただけでも50人は超えているだろう。
まともに戦って勝てるとは思えない。
だが、一つ不自然なことがある。
隊服がバラバラなのだ。
「別のチーム同士で喧嘩してるんですかねぇ?」
宗樹が耳元でそうこそっと言う。
「いや、もしかしたら連…」
「やっと来たかぁ!」
龍心が何かを言おうとしていたのを誰かがさえぎる。
それは集団の中の一人だった。
そいつは一段と目立つ格好をしていて真赤のコートのようなものを着ている。
「見つかったか?」
陽汰がそう後ろから言う。
俺は黙ったまま頷いた。
あの男が言ったせいで全員がこちらに気づいてしまった。
「そいつらを殺れ!」
そうその男は叫んだ。
その声と同時に全員こちらに向かって一斉にかかってくる。
「オラッ!」
隣では荒が一人を殴り飛ばしている。
「死ね。」
そう龍心はめんどくさそうにかかって来た相手を蹴り飛ばしている。
「おらあぁぁ!」
一人が殴りかかってきたがあっけないほど簡単に倒せた。
後ろでは他にも淳平達も真剣な顔をして戦っている。
「「ヒャッハー!」」
その中で楽しそうにしているやつが二人だけいた。
宗樹と宗四郎である。
「死ね死ね死ね死ね!」
宗四郎はそう笑顔で暴言を撒き散らしながら尋常じゃないスピードで相手を殴り飛ばしていく。
「雑魚が。」
とにかく殴り続ける宗四郎とは反対に宗樹は一人一人を確実に倒していった。
「あいつらバカだろ。」
蓮が呆れたようにそう言った。
「こいつらいくらやってもキリがねぇ!」
陽汰がそう殴りながら言う。
確かにさっきから殴っても殴っても新しいやつが来るため終わりそうにない。
「一回引くぞ!」
龍心がそう大声で叫ぶ。
「「「おぉ!」」」
全員がそう叫び返した。
「ッチ!」
宗四郎も不満そうにしながらも逃げ出す。
「追いかけろ!」
そう相手も命令したがかなり距離があるためそうすぐには追いつかれないはずだ。
「曲がるぞ。」
そう龍心が言い建物の裏に身を潜める。
「ッチ、どこ行きやがった…。」
まだ近くではあいつらの声が聞こえる。
だが、足音が遠ざかっていくため他の場所を探すことにしたのだろう。
「ふぅ…」
そう淳平が一息つく。
「何で逃げたんだよ。」
宗四郎はまだ不満そうにしている。
「あのまま戦っててもキリがねぇよ。」
龍心は汗を拭きながらそう言った。
「これからどうしやしょうかねぇ…。」
宗樹がそう考え込む。
宗樹が言う通り、まだ周りを囲まれているためむやみには動けない。
「どうするんだ。参謀総長。」
蓮がそう龍心に声をかける。
龍心は何も言わないまま頬杖をついて何かを考えている。
「あ!」
「「「!?」」」
誰かが横で声を出す。
(見つかった…!)
俺の心の中にもはや希望はなかった。
- キャラクター紹介 ( No.24 )
- 日時: 2024/02/08 23:26
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
槌井蓮
扇小学校6年。
「悪英雄」創設メンバー。
身長135cm体重25kgというかなり小柄な体系。
攻撃隊のうちの一つ「朱雀隊」を率いる。
戦闘では小柄な体系を活かし、相手を翻弄する。
龍心ほどではないが頭もいい。
- 喧嘩屋 ( No.25 )
- 日時: 2023/03/27 13:04
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「よぉ。虎徹。」
龍心はそう敵に声をかけた。
「おい!!」
そうみんなに怒鳴られる。
(終わった…)
皆疲れてヘトヘトな状態の時にバレたら勝てるはずない。
「龍心!?」
「は…?」
その男はそう言い龍心に抱きついた。
「痛い」と言いながら龍心はその男を突き放す。
「てかなんでこんなところにいるんだ?」
虎徹と言う男が龍心にそう聞く。
「あー…何か色々あってな。ところで…」
「ようやく見つけたぜぇ!!」
「!!」
最悪だ。見つかってしまった。
男の声を聞いて他の奴らも集まってくる。
逃げようとしても後ろは建物で逃げ道は残っていない。
(最悪だ…!)
相手はジリジリと寄ってくる。
「やめろよ。」
「あ?」
急に虎徹が前に出る。
「聞こえなかったか?やめてやれって言ってんだよ。」
虎徹が強気でそう言う。
「てめぇ、豊崎連合の分際で何言ってんだ?」
男も引かずに反論する。
「前から思ってたが、やりすぎなんだよ。」
「甘いんだよ。それくらいしねぇといけねぇんだ。」
男は髪の毛をかきながら煽ったように言った。
「もし、コイツラを見逃さねぇんなら俺は豊崎連合を抜けてこいつらに味方する。」
「「「!?」」」
全員驚きザワザワしている。
「……。」
少し間が空く。
「ならそうすればいいんじゃねぇのか?お前一人抜けたところで何も変わんねぇよ!」
そう男は大声で叫ぶ。
確かに、味方してくれるのは嬉しいが一人増えただけで勝てるとは考えにくい。
「哀れな奴らだな。」
龍心が隣でそうつぶやく。
「どういうことだ?」
俺は龍心にそう問いかける。
「「喧嘩屋」。売られた喧嘩は絶対に買って勝つ。それがあいつの異名だ。」
「ふぅん…。」
それでもそこまで強くないんじゃないかと思うがまだ見ていないのでわからない。
「全員行け!」
奥にいた涼がそう叫ぶ。
それに続いて堀川軍、豊崎連合も続いて向かってくる。
(やべぇ…!)
そう思ったが体が動かない。
酸欠で意識がフラフラしている。
皆同じ状況だ。
「逃げろ!」
宗四郎が虎徹にそう叫ぶ。
もう相手がギリギリまで来ている。
完全に負けた。そう思っていた。
「フンッ!」
虎徹は大きく腕を振り3人一気に殴り飛ばす。
そのまま一気に何十人もふっ飛ばしていく。
「あれは人間ですかぃ?」
宗樹が苦笑いしながらそういう。
「やべぇな…。」
蓮もそう呟いた。
再び前を振り向くと相手はほぼ全滅状態だ。
涼は気絶していて、堀川軍は殴り飛ばされている。
残りは豊崎連合だけだ。
「うわああぁ!」
そう虎徹が殴られそうになる。
ーーバシッ!ーー
「ハッ!」
肘で腰の部分を殴り地面に叩きつける。
「ふぅ。」
次はこちらに向かって歩いてくる。
少し身構えたがその必要はなかった。
「全員、やったぞ!」
虎徹はそう無邪気に笑った。
「化け物かよ。」
龍心もそうつられて笑う。
拓海達9人VS扇堀豊連合軍60人。
結果は驚異的なものとなり扇堀豊連合軍は敗北を喫した。
その後もこの戦いは「喧嘩屋の祭」と呼ばれ後世に語り継がれた。
- キャラクター紹介 ( No.26 )
- 日時: 2024/02/08 23:27
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
浅田淳平
扇小学校6年。
「悪英雄」創設メンバー。
「奇隊」という隊の隊長を務める。
相手に挑発などを行い、おびき寄せる。
いわば囮のような部隊。
戦闘に関してはあまり強いとは言えず、力も弱い方。
異名は「韋駄天」。
- キャラクター紹介 ( No.27 )
- 日時: 2024/02/08 23:31
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
福田荒
扇小学校6年。
「悪英雄」創設メンバー。
淳平と同じく「奇隊」に属している。
宗樹と同じボクシングジムに所属している。
宗樹には遠く及ばないがボクシングが得意。
- Re: 喧嘩無双 ( No.28 )
- 日時: 2023/04/05 14:51
- 名前: ミートスパゲティ (ID: w93.1umH)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
《〜お知らせ〜》
どうも!ミートスパゲティです!
いつもこの作品を読んでいただきありがとうございます!
お知らせというのはいつもならストーリー編、日常編は週3投稿くらいでしたが、これからは毎日投稿になります!
なので一日にキャラクター・チーム紹介+ストーリー編、日常編となります!
これからもよろしくお願いします!
コメント、リクエストなど全然おっけーです!
「読んだよ!」みたいなやつだけでも全然大丈夫ですよ!
- 悪英雄 ( No.29 )
- 日時: 2023/04/05 23:34
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「あっ!」
抗争が終わったのでそれぞれ家に帰る途中荒がそう大きな声で叫んだ。
「なんだよ…うるせぇな。」
そう宗四郎が不満そうに言う。
今日の抗争であまり戦えていなかったので不満なのだろう。
「チーム名決めてない!」
確かに、チームは結成したもののまだ名前を決めていなかった。
「なかじまーずはどうでぃ?」
宗樹がふざけてそう言う。
「断固拒否。」
そう陽汰が言い張った。
「うーん…何にしよ…」
淳平もそう必死に考えている。
「あのさ、」
「どうした?」
俺はずっと考えていたことを口にする。
「悪英雄っていうのはどうだ?」
俺は皆にそう言った。
「悪英雄…」
少しの間が空く。
「いいんじゃねぇか?」
一番に口を開いたのは龍心だった。
「確かに!」
「まぁ、なかじまーずよりは下ですけどね。」
そう皆口々に言う。
「じゃあチーム名悪英雄に決定だな!」
そう宗四郎が大きな声で言った。
「そう言えばお前はどうするんだよ。」
「え?」
龍心に急に声をかけられた虎徹は動揺する。
「豊崎連合も壊滅させちまったんだし、どうするんだ?」
そう言えば虎徹は豊崎連合と言っていた気がする。
「ん〜…まぁまた探そっかな?」
そう虎徹はニカッと笑った。
「それなら俺らのチームに入れよ!」
そう淳平が言う。
「え?いいのか?」
「いいよな?」
龍心がこちらを振り返りそう皆に聞く。
もちろん。誰も反対するものはいない。
「それじゃあ、入らせてもらうな!」
そう虎徹は大きな声で答えた。
こうして、また心強い味方が一人増えたのであった。
- キャラクター紹介 ( No.30 )
- 日時: 2024/02/08 23:32
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
田口虎徹
豊崎小学校6年。
攻撃隊のうちの一つ「玄武隊」を率いる。
戦闘では先陣を切り、戦闘能力は「悪英雄」の中でもトップレベル。
もともとは「豊崎連合」の特攻隊長だったが裏切り「悪英雄」についた。
- パンチングマシーン ( No.31 )
- 日時: 2023/04/09 22:16
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「見ろ!これ!」
そう宗四郎が自慢げに何かを見せてくる。
これからのことを相談する会議中だったのだが突然大声をあげるので皆の視線がそっちに向かった。
「そんなもんどこで拾ってきたんですかぃ?」
宗樹が呆れたそうにそう言う。
「買ってきたんだよ。フリーマケットでな。」
宗四郎は宗樹に中指を立てながらそう言う。
「せっかく出しやろうぜ!」
淳平がそう言い出した。
「じゃあ俺から!」
そう荒がパンチングマシーンの前に立つ。
「ちなみに小学生男子の平均は50程度らしいぞ。」
龍心がスマホを見ながらそう言った。
「オラッ!」
『68kg』
「「「おぉ…!」」」
平均より18も上だ。
「雑魚だなぁw」
淳平がそう煽る。
「じゃあお前もやってみろよ!」
荒がキレ気味でそう言った。
「おりゃっ!」
淳平がそうヘナヘナのパンチを繰り出す。
『42kg』
「雑魚おつううぅ!」
荒が全力で煽る。
「くそがあぁぁ!蓮!仇取ってきてくれ!」
「え?俺…?」
蓮はそうめんどくさそうに言った。
「早く行け!」
そう淳平が後ろから押す。
「ハッ!」
『52kg』
「平均は超えてるけど…まぁ普通だなw」
荒がまた煽る。
「こいつ殺してぇ…」
蓮がそう小さく呟いた。
「じゃあ次は俺でぇ。」
宗樹がそう言う。
「…!」
ーーーバシン!ーーー
そうパンチングマシーンは大きな音を立てて倒れる。
『78kg』
「「「おお!」」」
全員の大きな歓声が上がる。
「まぁこんなもんでさぁ。」
髪の毛をサッとかいてカッコつける。
「どけ。俺がやる。」
そう言い宗四郎が前に出る。
「龍心!あれ!」
宗四郎はそう龍心に言う。
「へいへい。」
龍心は紙のようなものを取り出して殴る場所に貼った。
「これって…」
そう。それは宗樹の写真だったのだ。
「え?」
当の本人も動揺している。
「死ねえええぇ!宗樹いいいぃ!」
そう勢いよくパンチングマシーンをぶん殴る。
「俺なんかしたっけ?」
宗樹はそうへこむ。
『83kg』
「どんなもんよ!」
そう宗四郎が叫ぶ。
「次龍心やれよ!」
そう淳平が言う。
「あ、面倒くさ。」
そう龍心がソファに横になる。
「頭いいだけで弱いんじゃねぇの!?」
そう荒が煽る。
確かに。力が強そうには見えないが…。
「…んだとてめぇ!」
龍心はそうキレる。
「…ッ!」
そう思いっきり殴る。
『85kg』
「ぐおおおお!負けたあぁ!」
そう一人宗四郎が叫んでいる。
他のやつが喋らないのはあまりに強さに圧倒されたからだろう。
「次は陽汰だな。」
「うーい。」
そうパンチングマシーンの前に立つ。
「えーい。」
陽汰はそう言って適当に殴る。
『89kg』
「すげえ!」
蓮が思わずそう叫ぶ。
「流石ですねぇ陽汰。デブなだk」
「ごめーん。手が滑ったー。」
陽汰はそう言って宗樹に思いっきり右ストレートをブチかます。
「次俺やっていい?」
そう虎徹が出てくる。
「いいけど100以上は出すなよ。壊れるからな。」
そう宗四郎が警告する。
確かに虎徹のパンチなら壊れかねない。
「ハアァッ!」
『94kg』
「「「…」」」
皆声が出ない。
すごすぎるのだ。
「あれ?俺まずいことしたかな…?」
そう虎徹が一人焦っている。
「すげぇじゃねぇですか。「喧嘩屋」。」
そう戻ってきた宗樹が虎徹に向かって言う。
「だからその名前は…」
そう虎徹が恥ずかしそうに言う。
「じゃ、最後だな。」
そう宗四郎がこちらを振り向く。
「え?」
俺は思わず変な声を漏らしてしまった。
「頑張れよ。「総長」。」
陽汰までもがそう言ってくる。
「わかったよ…」
本当はあまりやりたくないのだな皆やっているので仕方がない。
「オラッ!」
そう勢いよく殴る。
だが、それがすべての間違えだった。
「…あれ?」
いつまで経ってもパンチ力が表示されない。
「あ…あ…」
宗四郎がそう今にも崩れ落ちそうになっている。
「てめぇ100kg以上だしやがったな!?」
そう宗四郎が胸ぐらを掴んでくる。
「え…?」
わけがわからず動揺する。
ーー「いいけど100以上は出すなよ。壊れるからな。」ーー
思い出した。
そういえば100kg以上を出したら壊れるのだった。
『測定不能』
驚異的なパンチ力に皆が驚く中、宗四郎はただひたすら叫んでいた。
- 傘下提案 ( No.32 )
- 日時: 2024/02/05 23:22
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「う〜ん…」
あの抗争が終わりはや一週間。
喧嘩もなくなりかなり平和になったと思った。
だが、予想外なことにあの抗争がかなり有名になってしまい、街中を歩いているだけでも噂されるほどだった。
ーー「あれ噂の悪英雄じゃない?」ーー
ーー「うわぁ…。いかにもそれらしそう…。」ーー
ーー「知ってる?それに学校、扇小学校らしいよ。」ーー
酷い言われようだ。
そこまで派手にした覚えはないが…
ーー「扇小学校なら何かダメなの?」ーー
確かに。学校が扇小学校なのが何か関係するのだろうか。
耳を立てて聞いてみる。
ーー「扇小学校といえば…」ーー
「君たちが悪英雄?」
もう少しで聞こえるというところで男の声が邪魔をする。
前を見てみると一人の男がいた。
「そうだけど、なんだよ。」
そう蓮が反応する。
「やっぱり?ちょっとついてきてくれない?」
男は蓮の言葉をガン無視で話しかけてくる。
「はぁ。」と言われるがままについていってしまう。
男は帽子を深く被っているため顔が見えない。
少し歩いたところで男が路地裏に入った。
「おいおい…これってなんかやばいとこなんじゃねぇの?」
荒がそう小さな声で言う。
荒の言う通り、人目もなくかなり不気味なところだ。
「もういいかな…」
そう男は小さくつぶやき手を帽子につける。
少し警戒し身構える。
「ひっさしぶりー!」
が、それは意味のないことだった。
その男は帽子を脱ぎ捨てこちらに向かって満面の笑みを見せる。
「え!?」
そう淳平が反応する。
「知り合いか?」
そう宗四郎が聞いた。
「知り合いって、前の6年じゃねぇか!」
そう淳平が嬉しそうに言う。
「あーっ!」
言われる通り、よく見てみると前6年の坂本綾也だ。
「何でこんなところに連れてきたんだ?」
そう龍心が尋ねる。
「もうすぐわかるさ。」
そう言い綾也は再び歩き出す。
今度は少し大きい倉庫のような場所に出た。
「連れきたぞーレオ!」
綾也はそう大声で叫ぶ。
「お!おかえり!」
そう奥の方から小柄な男子がひょこっと顔を出した。
そいつは前6年のマクリーン・レオだった。
「お前らもチーム作ったのか!」
そうレオは笑いながら近寄ってくる。
「で、何で連れてきたんですかぃ?」
宗樹がそう聞いた。
「あー…それなんだが…」
レオは少し間を置き話し始める。
「うちの「関西連合」の傘下に入らねぇか?」
そう提案してくる。
「…は?」
最初は皆理解できていない。
「お前らが…関西連合?」
陽汰も理解が追いついていないようでそう尋ねる。
「そうだけど…」
そうレオが普通の顔をして言う。
関西連合といえば近畿で最も勢力があるチームだ。
扇小学校が恐れられていたのはそういう意味なのだろう。
「どうすんだ?総長。」
そう隣から龍心が聞いてくる。
俺は少し考えて答えを出した。
「やめておく。」
「そっか…」
拒否したことに戦闘になるかと思った。
が、そんなことにはならなかった。
「くっそー!傘下が一つ増えるかと思ったのにぃ!」
そうレオが子供のように言う。
「怒んねぇのか?」
そう淳平が聞く。
「何で怒るんだよ。入るも入らねぇもお前らの勝手じゃねぇか。」
それを聞いてレオは不思議そうに答えた。
「あ、けどうちのシマは荒すなよ。」
そう綾也があとから付け足した。
「じゃあ!またな!」
そうレオが大きく手をふる。
俺たちも手を振り返して倉庫を出た。
が、この出会いが後に暴走族界を大きく揺るがすことになるなど、誰も思ってもいなかった。
- 決意 ( No.33 )
- 日時: 2023/04/12 23:01
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「あれだぞ。」
「へぇ…あいつらか。」
二人組の男がそう話している。
「それじゃあ、狩るか。」
男は裏路地でそう薄気味悪い笑みを浮かべた。
「次はどこと戦るんだ!?」
倉庫を出たところで宗四郎がそう興奮気味に聞いてくる。
「別にまだ決めてねぇけど…」
そもそもそこまで急ぐ必要ないと思うのだが…。
「よぉよぉ兄ちゃん達ぃ」
そうかなりたちの悪そうな連中が近寄ってくる。
年齢は15程度といったところか。
「んだよ。」
そう淳平が言い返す。
「悪英雄でしょ?お兄さん達の仲間にならない?」
今日はこういうのばかりだ。
先程断っばかりだというのに。
「だから無理って…」
だが俺はそこで言葉を止める。
なにか嫌な予感がし、後ろを振り向く。
ーカキンッー
そうすぐ隣で金属音が鳴り響く。
地面は何かで殴られてすっかりへこんでしまっている。
「外しちゃったかぁ〜。」
背後から4人、仲間らしき人物が鉄の棒を握りしめ近寄ってきていた。
「クソっ…」
周りを見渡してみると後ろで蓮や荒たちが倒れている。
他にも宗樹や龍心たちも襲われていた。
おそらく殴られたのであろう。
人数差はともかく、相手が武器を使っているのにもかかわらずこちらが素手というのはかなりきついだろう。
だが、皆をおいて逃げるわけにも行かない。
(絶体絶命だな…)
そんなことを呑気に思っている暇はない。
覚悟を決めて拳を握りしめる。
そうして殴りかかろうとしたときだった。
ーコツンー
「あ?」
相手の一人の頭にジュースの缶らしきものが当たる。
そちらを見るとそこには綾也がいた。
「テメェ舐めてんのか!?」
そう連中の視線がそちらにいく。
その隙に俺は後ろから一人の頭を殴りつけた。
「いってぇ!」
そう一人は後頭部を押さえて倒れ込む。
だが、そんなことをして仲間が黙っているはずがない。
「何してんだコラァ!」
そう叫び鉄の棒を振りかざす。
「ハッ!」
「んおおお!?」
男はそううめき吹き飛ばされる。
「俺も戦わねぇとな。」
そう襲われていた龍心が復活していた。
「舐めやがって!やっちまうぞ!」
そう言いまた一人、二人と襲いかかってくる。
「喧嘩喧嘩ぁ!」
「世界一の中嶋パンチぃ!」
そう宗四郎、宗樹も復活していた。
「くたばれっ!」
「オラッ!」
離れたところでは蓮や荒も戦っている。
そうして一人、また一人と着々と倒していった。
「何してんだコラ?」
そう聞き覚えのある声がする。
「こっちのセリフだよ。」
そう倉庫からレオが出てきた。
「テメェみてぇなチビにやられるはずねぇだろ!」
そうリーダーらしき男が拳を握ってレオに襲いかかる。
「…チビ?」
そうレオの声が聞こえたかと思った。
「そうだよ!」
そう言い男はレオに殴りかかった。
「……」
レオはそれを黙ったまま避ける。
「何っ!?」
男は大きく振りかぶったパンチをかわされて体制を崩す。
「誰がチビだボケが!」
そう叫びレオは男に絞め技をかける。
「ガハッ!」
そう男はつばを吐き出し倒れた。
「帰るか。」
そう言い綾也が立ち上がる。
「うん!」
レオがそれに明るく返事をして立ち上がった。
「待って!」
俺は反射的に言ってしまう。
「どうした?」
レオはそう立ち止まって振り向いた。
「何で助けてくれたんだ?」
傘下でもなければ関西連合のシマでもないはずだ。
「助けたって別に…」
綾也はそう言うが拓海には助けてくれたように見えた。
缶を当てて気を取り、反撃するチャンスを作ってくれたのだと。
他のやつもおそらく同じだろう。
「その、だから何だ…」
頭ではわかっているのになかなか言葉に出来ない。
その瞬間レオがニコッとする。
「そーかそーか!傘下に入りたいんだな!」
そう大きな声で言う。
「よーし!仕方がないなぁ!」
半強制的だが、拓海もちょうどそれを言おうとしていたところだ。
誰も何も言い返さないため、皆もそれでいいのだろう。
「ということで!悪英雄は今日から関西連合の傘下だ!」
そうレオが無邪気に叫んだ。
- キャラクター紹介 ( No.34 )
- 日時: 2023/04/16 13:32
- 名前: ミートスパゲティ (ID: FLOPlHzm)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
木口華恋
拓海の幼馴染。
拓海が唯一想いを寄せている相手。
一度「天使」に誘拐される。
拓海の心の支えでもある。
- 不吉な予感 ( No.35 )
- 日時: 2023/05/18 18:51
- 名前: ミートスパゲティ (ID: AQILp0xC)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「で、具体的にどんなことをすればいいんだ?」
傘下に入ると入ったものの何をすればいいかなどまだ全く聞いていない。
「あー…そのことなんだが…。」
そう綾也が心配そうに頬を掻く。
目線はレオの方に向いていた。
「とにかく片っ端から倒していって!」
「「「は?」」」
全員の声が重なる。
そんな適当なもので良いのだろうか。
「そこら辺の奴ら全員やればいいってことだな?」
そう宗四郎が指をポキポキ鳴らす。
「そういうこと!君頭いいね!」
「ハハハ!俺を誰だと思っている!」
二人はそう楽しそうに言い合っている。
こちらから見たらただのバカ二人組みなのだが…。
そのことは黙っておくことにする。
「はい。これが敵対組織のリストな。」
そう綾也に資料を渡される。
驚くことにその資料は500ページを軽々超えていた。
「多すぎねぇか?」
龍心がそう尋ねる。
「そりゃそうだ。日本中の組織が書いてあるんだからな。」
そこまで調べる気力がすごいと思う。
「まずは関西の奴らからやっていって〜。」
レオがそう積まれたダンボールの上に寝転がりながらそう言った。
「ってことだ。頼んだぞ。」
そう綾也が肩を叩く。
俺達はそうして倉庫を後にした。
「やれって言われてもねぇ…」
そう蓮が言う。
関西のチームだけでも50ページ以上ある。
「て、ん、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、お、り!」
隣では宗樹がそう適当に決めている。
ーバンッー
「あ?」
荒が誰かとぶつかったようだ。
相手もかなりタチが悪そうだ。
「てめぇなんだよ。」
そうこちらに詰め寄ってくる。
「何だ何だ?」
それに気づいて仲間も近寄ってきた。
「お前らが何だよ。俺らは悪英雄だぞ?」
このまま行けば必ず喧嘩になっしまう。
止めようとするも、下手に刺激してしまうとどうなるかわからない。
「どうしたの?」
その後ろから一人の小柄な男子が近づいてきた。
黒いフードを被っていて顔は見えない。
が、妙な感じがする。
「おたくの奴らが俺らに…」
「やめろ。」
淳平がそう言おうとするも龍心に止められる。
「ここは下がるぞ。」
そう小声で言い背を向けて歩き出す。
「ッチ。何でだよ…」
淳平も不満そうだが仕方なく引き下がった。
他の奴らも皆同じようにした。
宗樹も珍しく黙ったまま引き下がる。
少し歩いたところで曲がって細い路地に入る。
「何で逃げたんだよ!」
そこで淳平が大きな声で叫ぶ。
確かに。それほど喧嘩をしたくない理由があるのだろうか。
「スティンガーでぃ。」
そう壁にもたれかかりながら言う。
「スティンガー?」
「いわゆるメリケンサックみたいなもんでぃ。軽く殴っただけでも相手に大怪我させることができる。おそらく全員持ってるんでしょう。」
そう宗樹が説明した。
とにかく。今日のことをレオ達に知らせなければならない。
そう思い俺達はまた倉庫に向かった。
「悪英雄…か…」
男はそう呟く。
「面白そうじゃないか。」
このことが後に抗争に繋がるとはまだ誰も思っていなかっただろう。
- 武器説明 ( No.36 )
- 日時: 2023/04/20 18:40
- 名前: ミートスパゲティ (ID: e/CUjWVK)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
・スティンガー
いわゆるメリケンサックの原理に近い護身武器だが、攻撃に使うことも可能。
人差し指と中指で握り締め、相手を殴りつける。
力がない者でも、高い勢力を発揮できる。
正当な理由もなく持ち歩くことで軽犯罪法違反になるため、本来なら外に持ち出してはいけない。
- 忍び寄る不穏な影 ( No.37 )
- 日時: 2023/04/21 22:10
- 名前: ミートスパゲティ (ID: Rn9Xbmu5)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「スティンガーねぇ…」
レオの隣でそう呟いたのは6年の山本遥輝だ。
「軽犯罪法ガン無視だな。」
その隣の同じく6年の国崎智がそう言った。
「よっと。」
何か少し考えた後、レオはひょいと積み上げられたダンボール箱から飛び降りて着地を決める。
「そいつらはこっちでやっとくからお前らは関わんな。」
いつもは飄々としているレオがそうかなりキツめの口調で言った。
何かあるのか気になるが、傘下に入ってる以上逆らえない。
「で?どこのチームなんだ?」
そう宗四郎が聞いた。
「えーと…これだ。」
綾也がページをパラパラとめくりとあるページで手を止めた。
「「狩屋」か。…ッチやっぱりか。」
そう綾也は顔をしかめて舌打ちをする。
「何かあったのか?」
そう淳平が尋ねる。
「ん…あぁ。あいにく奴らの傘下でね。」
「奴ら?」
そう荒が頭にハテナマークを浮かべる。
「関東連合か。」
龍心が横からそう小さな声で呟いた。
「あたりだ。」
そうレオが指をパチっと鳴らす。
だから警戒していたのか。
「まぁ、ともかく奴らには手を出すなよ。」
そう綾也が言った。
「あ!」
俺は思わず声を上げる。
「どうかしたか?」
智がそう尋ねてきた。
「あー…いや。ハッカーとか載っていかなーって。」
豊崎連合のときのことを聞きたかったのだが、族の資料なのでハッカーが載っているはずがない。
「それなら心当たりがある。」
「「「!?」」」
そう聞き覚えのない声がする。
倉庫の奥からまた一人出てきた。
「そいつは誰なんでぃ?」
そう宗樹が綾也に聞く。
「泉幸太郎。情報屋だ。」
そう綾也が説明すると男は軽く会釈する。
「で?知ってんのか?」
連がそう尋ねた。
「当たり前だ。確か名前は…池田…祐希?だった気もするが…」
「その話本当か!?」
宗四郎がそう興奮気味に聞く。
「確かそうだった気がする。」
幸太郎は頭を掻きながらそう答えた。
池田祐希というのはクラスメイトの一人で宗四郎とも仲が良い一人だ。
だが、なぜ祐希が豊崎連合につくのだろう。
「まぁ、また情報が入れば教えてやる。」
そう幸太郎はまた奥に消えていく。
「じゃあその件、頼んだぞ。」
レオがそう俺の肩を叩いた。
「わかった。」
俺はそれだけ言い残しまた倉庫を出た。
「準備できてるね?」
男は何かを握りそう言った。
「もちろん。いつでもいける。」
そう仲間らしき人物が言う。
男は黙ったまま頷き楽しそうに言った。
「さぁ。楽しい狩りの時間だ。」
男はそう言い不敵な笑みを浮かべた。
- キャラクター紹介 ( No.38 )
- 日時: 2024/02/08 23:36
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
マクリーン・レオ
近畿最大のチーム、関東連合の総長。
元々扇小学校に通っており、そこで数々の伝説を作ったと噂されている。
統率力に長けており、戦闘能力も化け物。
小さなチームなら一人で楽に壊滅させることも可能なほど。
- 最悪の事態 ( No.39 )
- 日時: 2023/04/25 16:42
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「っと…」
レオに言われた通り適当にそこら辺のチームを片っ端から潰していく。
「これでやっと5チーム目か…」
蓮はそう言い額の汗を拭く。
幸い全て構成人数が5〜10人程度なので、潰すのにそこまで時間はかからない。
「さて、次のところに…」
「ようやく見つけたぞ。」
荒が立ち上がって次のチームの場所に行こうとしたのだが、そこで誰かの声が入る。
聞き覚えのある声だ。
俺は最悪の事態を予想する。
が、本当に最悪なことにその予想は見事に的中してしまった。
「狩屋」だ。
人数は30人程度だろうか。
「さぁ。狩りの時間だ。」
そう総長らしき男が言うと全員が拳を構え殴りかかりに来る。
「クソっ!」
今から逃げようとしたところで間に合わない。
仕方ないので綾也から言われていたある"作戦"を実行することにする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ちょっと来てくれ。」
レオがいなくなって、俺らは倉庫から出ようとしたところで綾也に止められる。
「何だ?」
俺達は言われた通り綾也に近づく。
「はい。これ。」
そう服らしきものを渡された。
「何だこれ?」
宗四郎がそう尋ねる。
「防弾チョッキだ。」
そう綾也は答えた。
「こんなもん何に使うんだよ。」
そう淳平がチョッキを手にとってくるくる回している。
「そうだ。それにレオはやめとけって…」
そう荒まで加勢する。
「あれはお前らのことを心配してだ。それにお前らはそんなヤワな奴らじゃないってわかってる。」
少し間を開けまた話し出す。
「これがあればスティンガーやメリケンサックの威力をある程度防げる。それに…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふんっ!」
相手はやはりメリケンサックを握っていた。
だが、防弾チョッキを着ているため綾也の言う通り効果はない。
「オラッ!」
相手に反撃のボディを入れて吹っ飛ばす。
他の奴らも同じように戦っている。
「何だこいつら!?」
相手はメリケンサックが効かないことにより驚き、士気が低くなっている。
「へっ!」
気づけば宗四郎が相手の総長の懐まで入り込んでいた。
「ッチ!」
そいつは動揺しながらもポケットから何かを取り出す。
スタンガンだ。
スタンガンとは内蔵している電源回路で高電圧を発生させ、電極部分から放電光や放電音を発生させることができる護身武器だ。
その代わり、メリケンサックやスティンガーのように攻撃のために使うこともできる。
「死ねええ!」
そういい男はスタンガンを振りおろす。
「危ない!」
俺はそうとっさに叫んだが、間に合うはずもない。
「ああああああ!」
スタンガンを腹に当てられて宗四郎は大声で叫ぶ。
激痛だろう。
「ははっ!」
そう男は楽しそうに言う。
「なんてな!」
「何!?」
宗四郎は何もなかったように立ち上がる。
「なぜ動ける!?」
男は逃げることも忘れて問いかける。
「こいつのおかげだよ。」
そう宗四郎は服をめくり腹に仕込んでおいた防弾チョッキを見せる。
ー「最悪、スタンガンくらいは防げるはずだ。」ー
綾也がそう言っていたことを思い出した。
「武器を使っても勝てないお前はただの雑魚!ソリーゾ!お前は俺に負ける!」
そう言い宗四郎は見事に右ボディを入れ、グルリと拳を一回転させる。
「ガバッ!」
男はそう言い吹っ飛ばされ倒れた。
「総長が…負けた?」
他の奴らが動揺している。
総長が負けたのならば動揺するのは当然だろう。
「うわあぁ!」
一人が逃げだし、それに続いてまた一人が逃げ出した。
「これで終わりか。」
そう言い宗四郎は手をパッパッと払う。
「さて。レオに報告しに行くか。」
こうして俺達はまた名を挙げていくことになった。
- 細かい設定 ( No.40 )
- 日時: 2023/04/25 22:44
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
・ソリーゾ
宗四郎が人を殴るときの口癖。
パンチを入れグルリと回すことからそう言っている。
ソリーゾとはポルトガル語で「グリン」という意味。
- 新たな敵 ( No.41 )
- 日時: 2023/04/26 22:54
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ってことがあったんだが…」
先程までのことをレオに話す。
が、レオが見せたのは意外な反応だった。
「何やってんだ…」
そう頭を抱えている。
「そんなまずいことしたか?」
俺は思わず聞いてしまう。
「お前らが心配だからってのもあるが、言ったろ?奴らの傘下って。」
ーーー「関東連合か。」ーーー
龍心がそう言っていたのを思い出す。
自分たちの傘下が倒られたら、キレるのは当然だろう。
俺は綾也の方を睨んだが、すぐに目を逸らされた。
「まぁ、どうせいつかは戦るんだからいいだろ?」
そう綾也がレオに言う。
「もうなっちまったことは仕方ねぇ。急いで人数を増やすぞ。」
そう言いレオは頭を抱えるのをやめた。
「人数を増やすって言ってもどうするんだ?」
淳平の言う通り、今からすぐ集めることはできないだろう。
「他の大きなチームを潰して人数を増やす。」
それだけ言いレオは奥に奥にと言ってしまった。
「まぁ、とりあえずがんば!」
そう綾也が肩を軽く叩く。
かなりムカついたが、なんとか抑えることにした。
「はぁ。面倒くさいですねぇ…」
宗樹がそう呟く。
確かに。宗樹が言う通りわざわざ大阪市から羽曳野市まで行くことになってしまった。
「「武道」ってとこを倒ればいいんだろ?」
宗四郎がそう辺りをキョロキョロしている。
「あぁ。そうなんだが…」
その武道というのがかなり面倒くさいチームらしい。
噂によれば木製のチャカを使うとか…。
まぁ、そのときはそのときでどうにかすればいい。
「あれー?ぶどう狩りどこでやってるんだろう?」
そう聞き覚えのある声がする。
その声の方を向いてみるとそこにはクラスメイトの池川怜、秋本心、山﨑若菜、木口華恋の仲のいい女子4人組がいた。
どうやらぶどう狩りに来たらしい。
「おいおい君たち。」
そう明らかにタチが悪そうな連中が寄って行っている。
「俺達と楽しいことしない?」
漫画や小説の中の物語でしか聞かないようなセリフを言っている。
「は?キモ。どっかいってよ。」
そう怜が反応してしまう。
「そうよ。気持ち悪い。」
それに便乗して心まで言う。
黙っていればいいものの、連中の怒りに触れてしまったようだ。
「あんまり調子に乗ってんじゃねぇぞ?」
そう言い、一人の男がポケットから何かを取り出す。
木製のチャカだ。
「キャッ!」
(あいつらが武道…!)
運良く見つけることができた。
が、今はそれよりも4人を助けることが大事だ。
当たってもそこまで重い怪我はしないだろうが、念の為助けることにする。
「死ね!」
男が引き金を行くのと同時に地面を蹴り飛び出る。
龍心が4人を突き飛ばし、弾を避けさせる。
そのうちに俺が男を殴りつけた。
「ぐあっ!」
幸い男は後ろががら空きだったため、すぐに倒すことができた。
「クソっ!」
だが、仲間の奴らが俺に襲いかかる。
流石に全員相手にするのはキツい。
「ソリーゾ!後ろががら空きいぃ!」
「後方不注意糞野郎共はおきをつけくださーい。」
そう言い宗四郎と宗樹が突っ込んでくる。
全員倒し、俺らはその場を後にする。
が、この後の戦いでこの4人が勝敗を握るなんて思ってもいなかった。
- 武器説明 ( No.42 )
- 日時: 2023/04/27 17:13
- 名前: ミートスパゲティ (ID: xyOqXR/L)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
・チャカ
拳銃のこと。
殺してはいけないので、基本的には弾が木か石になっている。
基本的な構造は本物と変わらない。
牽制、又は遠距離戦で用いられることが多い。
弾の威力は本物に比べればそこまで強くないが、それでも当たるとかなり痛い。
- 増援 ( No.43 )
- 日時: 2023/04/27 20:05
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「待って!」
その場から離れようとした俺達を怜が呼び止める。
「その、ありがとう。」
そう怜が言うと後ろの3人も頭を下げた。
「いいよ。次からは気をつけろよ。」
そう何もしていない淳平が言う。
「武道ねぇ…」
横ではそう龍心が呟いている。
「あんな高度な技術を持ってるなんて、何者でさぁ。」
宗樹もそう呟いた。
確かに、拳銃を木で作るなどかなりの技術がないとできない。
「それもだが、人数もわかってないからな…」
龍心の言う通りなんの情報もなしに来たのである。
「それならこれに載ってるんじゃないか?」
蓮がそう書類を出した。
それは綾也からもらった資料である。
「えーと人数は…100人!?」
横から覗き込んだ荒がそう驚きの声をあげる。
いつもなら一蓮托生を狙ってアタマを潰していたが、今回は桁違いの人数だ。
こちらは7人しかいないのに、そんなもので勝てるはずがない。
「借りるか?」
そう龍心が俺に問いかける。
「ああ。」
借りるというのは人のことである。
綾也によれば、「戦いに行ってくれるかわりに電話をしてくれればいつでも人を送る」ということらしい。
「じゃあ、電話するな。」
そう言い宗四郎が通話ボタンを押し、コール音が数回鳴り響く。
『もしもし。』
そう誰かが出た。綾也だ。
それもかなり息が荒れている。
「援軍頼めるか?」
宗四郎が手早くそう言う。
『すまねぇ。今こっちも戦ってんだ。20人くらいしかできない送れねぇ。』
少し少ないと思ったが、来ないよりはマシだ。
「ああ。それで頼む。」
そう俺が応えた。
『わかった。数十分あればそっちに着くはずだ。』
それだけ伝えられ電話を切られた。
とにかく、援軍が来るまで待つことにした。
早いことに、援軍は本当に十数分で来た。
が、かなりガラが悪そうだ。
「早く移動するぞ。」
龍心が待っている間に調べた「武道」の拠点に向かう。
歩いている途中で「こんな奴らで大丈夫かよ。」「弱そ。」そんな声が聞こえる。
舐められても仕方ないだろう。
それに今は歯向かっている場合ではない。
少し歩くと「武道」の拠点の目の前まで来ていた。
「三部隊にわかれてくれ。」
突然龍心がそう言い出した。
「ふざけんなよ。そんなもんで勝てるわけ…」
そう一人が反抗する。
が、その続きを話すことはなかった。
「いいから別れろって言ってんだ。」
そう龍心が腹に響き渡るような声で言う。
そいつもその威圧に押されて反抗することができない。
その後、全員すんなり別れた。
「お前ら二部隊はここで待機。後の一部隊は俺の言う通り行動しろ。」
そう龍心が言う。
「さぁ。すぐに終わらせてやる。」
そう龍心はニヤリと笑った。
- 釣り野伏 ( No.44 )
- 日時: 2023/05/01 22:42
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「クソ!こんなので本当に勝てるのかよ!」
俺は思わずそう呟く。
ーー「とりあえず突っ込め。勝てないと思ったらすぐに戻ってこい。」ーー
そう龍心から伝えられた作戦を実行しているところだった。
「他に作戦があるわけでもねぇし、仕方ねぇ!」
俺はそう言い相手の本陣に突っ込んだ。
「何だ!?」
いきなりの奇襲に流石の相手も驚いている。
が、それもつかの間。
すぐに体制を立て直し反撃してくる。
(やべぇ…!)
このままなら全滅すると思った俺は引き下がる。
だが、戻ったところで龍心達はいなかった。
(見捨てられたのか!?)
俺はそう考える。
「ぶっ殺してやるよ。」
そう一人が俺に向かって銃を向ける。
まさに絶体絶命だ。
「敵の罠にわざわざかかりに来るなんて、残念だよ。"武道"。」
奥からそう龍心が現れる。
「てめぇ!舐めてんのか!」
そう標準が俺から龍心に変わる。
「今だ!」
龍心がそう大声で叫ぶと横から隠れていた宗樹達が現れる。
「な!?」
側面から突かれた武道はすぐに壊滅状態に陥った。
「クソっ!」
武道の総長が逃げようとする。
「待て!逃がすかっ!」
俺達はもちろんそれを追いかける。
が、急に男がニヤリとした。
男の視線の先には怜達がいた。
「逃げろ!」
そう宗四郎が叫んだ。
おそらく人質にとるつもりだろう。
そうなればこちらも下手に動けなくなる。
宗四郎の声に反応したが、気づくのが少し遅れた。
怜は男に首を絞められたまま連れ去られる。
「やめろ!」
淳平がそう叫ぶもやめるはずがない。
「動くな!動いたらこいつにこの銃をぶっ放す!」
そう仕込んでいた木製のチャカを取り出して、怜のこめかみに当てた。
「……!」
いくら木製とはいえ、あんな至近距離で撃たれてしまえばただではすまない。
仕方なく俺達は命令に従うしかない。
男はそのまま怜を単車に乗せて連れ去る。
「クソっ!」
龍心がそう地面を殴る。
「こんなことして暇じゃない!今すぐ綾也達に連絡するぞ!」
そう龍心は言う。
俺は連れ去られた怜が心配でならなかった。
- 予想外の助っ人 ( No.45 )
- 日時: 2023/05/08 22:43
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ーープルルルルルーー
龍心のスマホから数回コール音が鳴り響くが、そのまま切れてしまう。
「クソっ…!」
龍心はそう何も持っていない左手を強く握りしめた。
綾也達の方での抗争が長引いてしまっているのだろう。
「一つ考えがあるんだが…」
そうそれまで黙っていた連が話し出す。
「祐希に頼んでみたらどうだ?」
「「「!?」」」
あまりにも予想外の言葉だったので一瞬皆が固まる。
「確かに、いいかもしれんませんねぇ。」
少しの間を開け宗樹がそう言った。
「…やらないよりはマシか。」
そう龍心が言った。
「そうと決まれば急いで大阪市に戻るぞ!」
そう宗四郎がタクシーを手を上げて呼び乗り込む。
「そうだな。」
それに続いて続々と乗り込む。
「待ってろよ…」
そう呟く龍心の瞳には何かメラメラと燃えるものを感じた。
「ここか…」
俺は「池田」と書かれた表札を前にポロリとそう呟いた。
思い切ってインターホンを押して見る。
ーーピーンポーンーー
数秒後、扉がガチャリと鳴り開いた。
「どちら様で…って宗四郎!?それに皆も…」
そうテンパっている様子である。
「今日はお願いしたいことがあってな。」
そう宗四郎が言った。
「俺のできる範囲なら何でもするけど…」
そう祐希が頬を掻きながら応えた。
「怜のGPSを辿ることってできるか?」
「…!?」
龍心が横から口を挟む。
少しの間、間が開いた。
「扇會や豊崎連合のときもお前の仕業だったんだろ?」
淳平がそう追い打ちをかけるように行っ言った。
「……。」
祐希は案の定黙り込んでしまう。
「今はそんなことはどうでもいいんだ。やってくれねぇか?」
そう龍心が言った。
「…わかった。やってみる。」
そう少し間を開けて俺たちを部屋に案内しパソコンを操作しだす。
俺はそれ眺めながら無事でいてくれと思うことしかできない自分を情けなく思った。
- キャラクター紹介 ( No.46 )
- 日時: 2023/06/06 22:44
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
名前 前田拓海
誕生日 5/14
血液型 O型
年齢 12歳
趣味 釣り
好きな食べ物 寿司、刺し身
嫌いな食べ物 パフェ、甘いもの
- 共同任務 ( No.47 )
- 日時: 2023/05/21 22:56
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「できたよ。」
祐希がパソコンを操作し始めてから数分後。
祐希は急に手を止めた。
「本当か!?どこだ!」
龍心が真っ先に聞く。
「ここは…柏原市か?」
横から画面を覗いた蓮がそう言った。
ーープルルルルルーー
突如電話の着信音がなる。
俺はすぐに電話に出た。
『もしもし。何かあったか?』
電話をかけてきたのはやはり綾也だった。
俺は今までのことをすべて話した。
『そのことなら心配ない。既に幸太郎が調べてある。奴らのアジトは柏原だ。』
既に調べられていたらしい。
どうやら無駄足だったようだ。
「今から行ってく…」
『その必要はないぞ。』
そう電話口の声が急に変わる。
レオの声だ。
「何でだよ。」
淳平がそう聞き返す。
『もう既に別の奴らを向かわせてある。』
そうレオは言ってきた。
「別の奴らって…」
『ただ今戻りました。』
そう電話の向こうからまた新しい声がする。
『おぉ。お疲れ。今から来れるか?』
そうレオは尋ねてきた。
「まぁ行ことうと思えば…」
『なら来てくれ。頼んだぞ!』
まだ言いかけていただけなのに。
「あの人は本当に…」
そう呟きながらもしぶしぶ倉庫に向かうことにした。
「おーい!来たぞー!」
倉庫に入るやなんや宗四郎がそう大きな声で叫ぶ。
だが、返事はない。
そこにいたのは暴走族らしきチームが立っていた。
「あんたらがあのクソババ四天王を助けてくれたんでぃ?」
宗樹がそう聞く。
「クソババ四天王というのは先程の女子のことかい?」
総長らしき人物が苦笑いしながらそう言った。
口調も優しく悪そうには見えない。
「あぁ。その件はありがとう。」
龍心がそう言った。
「ああ。いいよ。ところで君たちは?」
そう男は聞いてくる。
「俺らは悪英雄。お前らは?」
そう聞き返す。
すると男は表情を明るくして応えた。
「君たちが悪英雄!?兄さんから話は聞いてるよ!」
そうニコニコの笑顔で応えた。
「兄さんって…」
荒が苦笑いしながら呟いた。
「僕達はHD。兄さんがこの名前にしろって言うからさ。」
「さっきから兄さん兄さんって…。誰のことだよ?」
そう淳平が一番気になっていたことを聞いた。
「綾兄だよ。」
そう男は答える。
「りょ、綾兄って…」
そう荒がワナワナとした声で言う。
おそらく考えていることは皆一緒だろう。
「坂元綾也のことだけど…あれ?人違いだったかな?」
そう男は頬を掻く。
「「「ええぇ!?」」
全員の声が重なる。
まずまず、綾也に弟がいることさえ知らなかった。
「ところで、レオと綾也は?」
そう陽汰が聞く。
「二人ならあっちの部屋で話してると思うよ。」
そう倉庫の中にある一つの部屋を指差す。
「おけ!ありがと!」
そういい宗四郎が走り出す。
ドアノブを回してみたが、鍵が閉まっているようだ。
「こりゃ、どうしたものか…」
そう宗樹が言う。
何かそんなに大切な会話なのだろうか。
だとしたらもっと気になる。
「おらあぁ!どけえええぇ!」
そう宗四郎がすごい勢いで走り込んでくる。
思わず俺は飛び退いた。
そのまま宗四郎はドアにぶつかり無理やり開ける。
「うわぁ!!」
そう中でレオが驚いている。
「なんの話ししてるんだよ。」
そう淳平が聞く。
「い、いや?なんにもないけど?」
いかにも怪しい。
「と、いうより綾也弟がいたんだな。」
そう蓮が言う。
「……まぁな。」
少し間を開けてそう言った。
歯切れが悪い答えだ。
「ところで次はどこを潰せば良いんだ?」
そう龍心が聞く。
「あぁ。そのことだが…」
そうレオが何かを言おうとする。
「おい。本当にやらす気かよ。」
そう綾也が言う。
「もしかしたらやり遂げてくれるかもだろ?」
そうレオがいたずらっぽく笑った。
綾也はもう止めることを諦めている。
「今回は陸達と一緒に行ってもらうぞ。」
そうレオが言う。
「陸って?」
そう淳平が尋ねる。
「さっき会ったんじゃないのか?綾也の弟のことだぞ。」
名前を陸というらしい。
「まぁ!とにかくがんば!」
この人はいつでも本当に適当だ。
俺達は仕方なく行くことにした。
が、この抗争が後に大きく悪英雄を変えるということをまだ誰も思っていなかっただろう。
- キャラクター紹介 ( No.48 )
- 日時: 2023/06/06 22:44
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
名前 永瀬龍心
誕生日 6/21
血液型 O型
年齢 12歳
趣味 城巡り
好きな食べ物 チョコバナナ
嫌いな食べ物 こんにゃく
- 接触 ( No.49 )
- 日時: 2023/06/06 22:44
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「それでね…」
そう陸が話しかけてくる。
歳は同じらしいが、陽気な性格のせいなのかどうしても陸の方が年下感がでてしまう。
「てか何でレオ達は八苦座を後にしたんだろうな。」
宗四郎が頭の後ろで手を組みながらそう言った。
「ただ忘れてただけじゃねぇの?」
そう宗四郎の問いに陽汰が応える。
「あんな真面目なやつが忘れてるはすねえだろ。」
そう龍心は言った。
確かに、レオはともかく綾也はそんなことないと思うが…
「ついたぞ。」
そう淳平が言う。
ちょうど西成の街についたようだ。
「わぁ…」
何と言っていいのかわからず俺は思わず声を漏らした。
平気で道路で寝ていたり、ポイ捨てが酷かったりなど
、かなり治安が悪いようだ。
それにたして警察も何もしない。
「こりゃ、どっかが
絡んでるな。」
そう龍心が呟く。
「八苦座か。」
俺はそう尋ねる。
龍心は黙ったまま首を縦に振った。
「っし!」
そう宗四郎が口の前で指を立てる。
宗四郎の見る方にはガラの悪い連中が並んで歩いていた。
背中には「八苦座」と縫われてある。
「あいつらか…」
陽汰がそう小さく呟く。
「とにかく後を追う…」
そう淳平が言おうとする。
だが、途中でその言葉は途切れた。
不思議に思った瞬間、後ろから鼻元をハンカチで押さえつけられる。
「ぐぉっ!」
俺は後ろを見ようと振り向こうとするが力が抜けて思うように動けない。
(睡眠薬か!)
俺はそう思ったがそのときにはもう遅かった。
薬を吸いすぎておりすぐに眠りについてしまった。
- 脱出 ( No.50 )
- 日時: 2023/06/15 18:51
- 名前: ミートスパゲティ (ID: 3KWbYKzL)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「うぅ…」
俺はそう唸るような声を出す。
「ここは…」
ようやく意識を戻した俺は何があったのか思い出そうとする。
何者かに睡眠薬を吸わされたのであった。
隣では龍心や陸たちも寝ている。
揺さぶり起こそうとしたが手足を縛られているようだ。
龍心には申し訳ないが龍心の方に倒れこまさせてもらう。
龍心は「うげぇ」と声を漏らし目を覚ます。
「んだよ…」
そう機嫌が悪そうに言っていたのも束の間、だんだん思い出してきたようだ。
「クソっ…」
龍心はそう軽く舌打ちをする。
「とにかく早くほかの奴らも起こすぞ。」
そう俺は提案する。
「あぁ。」
その提案に龍心は潔く納得し次々と皆を起こしていく。(陽汰と宗樹は例外だったが…)
「まずスマホもねぇこの状況でどう助けを呼ぶかだな…」
龍心はそう呟いた。
手足を縛られてる上にスマホも取られているというのはかなりピンチだ。
「とにかく縄が外れればな…」
そう淳平が言う。
確かにそれさえできればかなり簡単に脱出できるはずなのだが…
かなりキツめに縛られてるためそれは難しいだろう。
(まぁ試してみるか。)
そう俺は考え少し力を入れ両手を引き離そうとする。
ーーブチッーー
そう縄がちぎれた音がし両手が開放される。
「皆、これ結構簡単に…」
俺がそう言おうと皆の方を見ると皆口をあんぐりとあけている。
「ゴリラかよ…」
少しムッとしたが今はそんなことをしている暇はない。
「全員のほどいていくぞ。」
俺はそう言い一人ひとりの縄をほどいていく。
外に人の気配はしない。
全員の縄をほどき終わったあと、息を忍ばせ脱出を試みることにした。
- Re: 喧嘩無双 ( No.51 )
- 日時: 2023/06/17 21:52
- 名前: 黒華 (ID: D.emxQSg)
せんせー!
ここに神様がいまーす!
神神神神神神
あなたの腕と脳みそ丸ごともらいたい
- Re: 喧嘩無双 ( No.52 )
- 日時: 2023/06/19 18:34
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
コメントありがとうございます!
怖いwww
能みそか…
( ᐛ )っ🧠
はい!どうぞ!((ガチで出すなよ
- Re: 喧嘩無双 ( No.53 )
- 日時: 2023/06/19 20:37
- 名前: 黒華 (ID: D.emxQSg)
🧠、ゲットだぜ!
- キャラクター紹介 ( No.54 )
- 日時: 2023/06/22 18:28
- 名前: ミートスパゲティ (ID: hZy3zJjJ)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
名前 中嶋宗樹
誕生日 9月18日
血液型 B型
年齢 12歳
趣味 オンラインゲーム
好きな食べ物 肉料理全般
嫌いな食べ物 ヨーグルト
- 逃走 ( No.55 )
- 日時: 2023/07/06 18:22
- 名前: ミートスパゲティ (ID: 1866/WgC)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ーーーシーン…ーーー
外から音はしない。
誰もいないようだ。
「行くぞ!」
俺はそう皆に合図をする。
扉を開け部屋から出ると外の通路は意外に入り組んでおりまるで迷路のようだった。
「というよりここどこなんですかねぇ…」
そう宗樹が呟く。
「八苦座の本拠地かもなw」
淳平が縁起でもないことを言う。
本当ならどうするんだ…俺はそう心の中で呟く。
「おい、あそこ出口じゃねぇか?」
そう宗四郎が指をさす。
宗四郎が指さした方向を見ると少し光が漏れているところがあった。
「あそこが出口か!」
そう志龍が後ろから猛ダッシュで追い越してきた。
「ちょ!志龍君!危ないよ!」
そう陸が言って追いかける。
「おい待て!」
俺達も志龍を追いかける。
ーーードシッーーー
そのとき俺は誰かとぶつかる。
「志龍急に止まんな…」
そう言いかけて俺は言うのをやめる。
それは志龍ではなかった。
がっしりとした体つきの背中に大きな「八苦座」とかかれた服を着た…
「うおおぉ!」
「チイイィッ!」
そいつは俺に気づくやなんやすぐに殴りかかってくる。
俺は後ろに皆がいるため下がれないので両腕でパンチを受け止める。
(クッソ…!)
が、そのパンチを受けたことにすぐに後悔した。
今までとはレベルが違う。
それでも俺はパンチを受け止め続ける。
「ふううぅん!」
そう男が力を入れ俺は吹き飛ぶ。
「拓海!」
そう陽汰が言い吹き飛んだ俺を受け止める。
「テメェ…何してくれてんだ!」
龍心が男に向かって蹴りを放つ。
「ぬううぅ!?」
思わぬ奇襲を食らった男は少しふらついたが、すぐに体制を立て直そうとする。
「させるか!」
そう龍心は男の脇腹に飛び込み自分の全体重をかけてこかせる。
「今のうちに逃げるぞ!」
そう淳平が叫び皆次々と逃げていく。
「大丈夫か?」
陽汰がそう俺に声をかける。
「ああ、かすっただけだ。」
俺はそう言ったが本当はそんなものではなかった。
恐らく骨にヒビが入ってしまったのだろう。
少し腕動かすだけで激痛が走る。
幸い、外にはあまり見張りはおらずすぐに逃げることができた。
「八苦座…」
俺は思わずそう呟く。
「なんか言ったか?」
そう龍心が聞いてくる。
「いや、何も。」
まだまだ上がいる。
俺はそう思いながら走り続けた。
- リベンジ ( No.56 )
- 日時: 2023/07/08 22:52
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「なるほどねぇ…」
再び倉庫に戻った俺達はレオに先程までのことを話しているが全く真面目に聞いている様子がない。
「で?兵と武器を貸してほしいと。」
「そうだ。」
そう宗四郎が返事をする。
先程は逃げるのに必死で数えてはいなかったが今思い出すとざっと100人ほどはいただろう。
関西連合も一応地方連合なので兵や武器はある程度ある。
「それなら全然…」
「俺らも行こう。」
レオが言いかけているところを綾也がさえぎる。
「綾也それは…」
レオがそう止める。
「そうだよ。俺たちだけでも…」
「いや、行く。」
綾也は一歩も引くつもりはないようだ。
「そんなに言うなら…」
俺は綾也の圧に負けてしまい許可を出してしまう。
「じゃあ早速今から行こうぜ!」
そう淳平が元気よく言う。
綾也は一人テキパキ用意していた。
「何であんなに…。」
「あいつブラコンなんだよ。」
俺の問いかけにレオが応える。
「あー…」
俺はなんとも言えない感情で包まれる。
流石に過保護なのではないかと思いながらもあえて口にはせず、先に行っている綾也達を追いかけた。
- 細かい設定 ( No.57 )
- 日時: 2023/07/09 18:46
- 名前: ミートスパゲティ (ID: EZ3wiCAd)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
・チームの種類
関西連合や関東連合のようなその地方一大きな連合を「地方連合」という。
「武道」や「八苦座」など小さく、連合ではないチームは「無属族」といわれる。
「悪英雄」などどこかのチームに属しているチームは「有属族」といわれる。
- 抗争開始 ( No.58 )
- 日時: 2023/07/09 22:58
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ここだ。」
遥輝がそう言いバイク後ろに乗っていた俺を降りるように言う。
他の奴らも智やレオなどのバイクに乗せてもらって来た。
まぁ、案の定陸は綾也の後ろだったが…。
そんなことはさておき、再び俺達は西成の街に戻ってきた。
ピリピリとしておりいろいろなとことに「八苦座」と刺繍された羽織を羽織っている奴らがいる。
「こっちだ。」
いつの間にか建物の物陰に移動していたレオが俺達を呼ぶ。
「バレたらひとたまりもねぇな…」
荒がそんなことを言う。
ーーーカンッーーー
「あ、やっちまった。」
そう宗樹が言う。
どうやら道に落ちていた缶に気づかず、蹴ってしまったらしい。
もちろん、奴らが気づかないわけがなかった。
「見つけたぞ!」
一人がそう叫ぶと他の奴らも走り寄ってくる。
「めんどくせぇ事になったな…」
陽汰がそう呟く。
パッと見50人ほどだろうか。
一人一人はたいして強くなさそうだが、数が多すぎる。
「ここは俺に任せろ。」
そう智が前に出た。
「おい!流石にいくら強くてもこの数は…」
「あぁ。任せた。」
宗四郎の言葉をさえぎりレオはそれだけ言うとまた走り出す。
「流石にあれは分が悪いんじゃねぇか?」
龍心がそうレオに尋ねる。
龍心の言う通り、相手は数が多い上に武装までしてある。
「いや。大丈夫だ。」
どこからその自信は湧いてくるんだ。
そう言おうとしたが俺はその言葉を抑えた。
「あいつは関西連合の中で、いや…」
そうレオが何かを言いかけて少し間を開ける。
「関西一乱戦が強え男だからな。」
流石に盛ったのではないかと思ったが、今はそんな事考えていても何にもならない。
とにかく、レオの言葉を信じて突き進むしかなかった。
- 総長発見 ( No.59 )
- 日時: 2023/07/10 22:43
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ハァッハァッ…」
かなり走ったと思うのだがまだ本部にはつかない。
「こんなんで息切れしててどうする。」
そうレオが言ってくるが俺は至って普通である。
むしろ10分全力疾走し続けて息切れすらしてないやつのほうがヤバイと思うのだが…
「ん?」
そう蓮が呟く。
「どうしたんだ?」
龍心が後ろを振り返りそう尋ねた。
「いや…誰かに見られてた気がして…」
確かに、どことなく視線を感じる気がする。
「バレてたか…」
綾也はそう軽く舌打ちをする。
俺達が気づいたことを悟ったのかぞろぞろとそこらから八苦座の奴ら出てくる。
「おいおい…」
そう遥輝がそう苦笑する。
「まるでゴキブリですねぇ…」
宗樹がそう言った。
その数は俺達が予想していた数を遥かに上回っていた。
「あそこでだいぶ兵力使ってたと思ってたんだけどな…」
龍心がそう呟く。
「行け!奴らを殺せ!」
そう総長らしき奴が指示をする。
「北王子…」
レオがそう呟く。
それが奴の名らしい。
「まぁいい!こいつら無視してあいつをぶっ殺す!」
そう宗四郎が単騎で突っ込む。
「ちょ!待て!」
淳平がそう止めるがそんなものは聞かず殴りかかってくる奴らを次々払い除けて北王子に近づいて行く。
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。雑魚どもをまず殺るぞ。」
そう龍心が言い構える。
「将を射んと欲すれば将を射たらいいのにねぇ…」
そう宗樹が馬鹿なことを言っているがそれは無視しておく。
「とにかく、こいつらをぶっ殺すぞ!」
そうレオの掛け声に皆がかかる。
俺達も遅れを取るわけにはいかない。
急いで戦うことにした。
- Re: 喧嘩無双 ( No.60 )
- 日時: 2023/07/11 22:36
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
国崎智
関西連合、特攻隊の隊長。
特攻隊長を務めるだけありその実力は本物で、一つのチームを一人で破壊したという伝説すらある。
レオが言うには「関西一乱戦が強い男」。
- キャラクター紹介 ( No.61 )
- 日時: 2023/07/12 22:49
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
坂本綾也
関西連合副総長。
レオとは小さな頃から仲が良く、いつも隣りにいる。
戦闘センスは関西連合の中でもトップに近いらしい。
陸とは兄弟なのだが何か隠していることがあるらしく…?
- 50vs1 ( No.62 )
- 日時: 2023/07/19 22:56
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ふぅ…」
レオたちが戦い始めた頃、もう智は半数以上を殴り倒していた。
「おらああぁ!」
何回やられてもくじけず拳を大きく振り上げかかってくる。
その根性だけは認めてやろう。
「学習しろっつってんだ。」
智はそうバッケステップで振り上げられた拳を避ける。
そのまま勢い余って地面に衝突した男は無様に気を失ってしまった。
「そろそろ終わらせるか…」
俺はそう言いそこに落ちていた角材を拾う。
「死ねええぇ!」
そう3人ほどがまとめてかかってきた。
「何で同じ方向からかかってくんだよ。」
俺はそう言い角材を振り回した。
角材は男たちに当たり皆当たった場所を抑えている。
「クッソっ…!」
相手はもうどうしていいかわからないという様子だ。
「かかってこねぇならこっちから…」
俺はそう相手の方に向かっていこうとする。
が、俺は足を止める。
異様な気配を感じたのだ。
気配の方向を見てみると男が一人、立っていた。
「てめぇ…何者だ?」
俺はそう男に尋ねる。
おそらく並の者ではないだろう。
「俺かい?俺は…」
そう男はフラフラっと俺に近寄ってくる。
「八苦座の山下っていう男だ。」
そう言うと山下は思い切り地面を蹴り猛スピードて詰め込んでくる。
山下の手には木製のドスが握られていた。
(かわせねぇ…!!)
俺はそうとっさに判断し避けることを諦める。
胸元に隠しておいたドスを持ち山下の斬撃を受け止めた。
「へぇ…やるやないの。」
山下はそう言い一度後ろに引き下がる。
「関西連合特攻隊長、舐めんなよ。」
俺はそう余裕そうに笑って見せる。
が、本来そんな余裕などなかった。
斬撃を受け止めてみてわかったことがある。
こいつは"普通の人間"じゃないということを。
智もかなり戦ってきた歴戦の猛者だが、こいつは比べ物にならない。
(レオたちが来るまで…粘らねぇと。)
俺はそう思いもう一度ドスを強く握り直した。
- 偽物 ( No.63 )
- 日時: 2023/07/24 15:00
- 名前: ミトスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「オラっ!」
俺、レオはそう思うがままに拳を振るう。
「大丈夫かー。」
そう言う綾也の声が聞こえる。
「当たり前だ!」
俺はそう答えるとまた殴り始める。
「死ね死ね死ね死ねぇ!」
目の前ではそう宗四郎が暴れ馬のように殴り倒していく。
ヤバいやつだと思いながら自分も人のことを言えないと思った。
「ば、化け物かよ…」
敵の一人がそう言う。
「「化け物」ねぇ…」
俺は苦笑いしながらそいつを殴り倒す。
「そんなこと言われるのは何回目かなぁ…」
そう呟くレオの拳は赤色に染まっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その頃幸太郎は他の情報屋と接触していた。
「知ってるか?八苦座の黒幕。」
裏路地でそう小声で呟かれた。
「もうすこし詳しく教えてくれないか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「北王子ってあれじゃねぇか?」
そう荒が聞く。
「あいつだな!」
まだ決まったわけではないのに淳平が走り出す。
淳平は喧嘩が強いわけではない。
むしろ弱い。
「きっと返り討ちにされるぞ。」
そう蓮が呟く。
皆もそう思っていた。
「オラ!」
そう淳平が後ろから殴る。
そして殴られた北王子はそのままあっけなく倒れた。
「は…?」
いくら不意打ちだとは言えど流石にこれは弱すぎるのではないのだろうか。
「おかしいですねぇ…。淳平のパンチで人が倒れるなんて…。」
そう宗樹が言う。
「いやそれ俺に失礼やぞ?」
「まぁそれは置いといて確かにおかしいな…。」
そう龍心が周りを見渡しながら言った。
「総長にしては弱すぎるし、それに護衛が一人もいない。」
龍心の言う通り、確かに護衛が一人もいなかった。
「おい!聞こえるか!」
そう綾也の声が聞こえる。
「そいつは偽物だ!急いで智のとこに戻るぞ!」
「え…」
どうやら本当に偽物だったらしい。
「けど…今更そんなこと言われてもな…」
北王子は倒れたままだ。
「とりあえず行くぞ!」
そう俺は皆に声をかけ倒れたままの北王子に背を向け智のもとに向かおうとする。
「おいおい、ちょっと待てよ。」
そう聞き慣れない声がする。
「お前らをボスのところには行かせねぇよ。」
声の方を向いてみると何人もの相手がいた。
おそらく幹部クラスだろう。
今までの奴らとは覇気が違った。
「そこどけよ。」
いつのまにかレオと綾也が後ろにいた。
「それは無理なお願いだな!」
そう一人の男はドスを抜き一気に距離を詰めてくる。
ーーーカンーーー
そう木がぶつかり合う音がする。
「先に行け。」
そう遥輝が言う。
「わかった。」
そう言い俺たちはそこを去った。
- 危機一髪 ( No.64 )
- 日時: 2023/07/31 13:25
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
もうその時、智は疲れ切っていた。
「ハァ…ハァ…。」
俺はそう息を整える。
「何やぁ?天下の関西連合もこんなもんかぁ。」
山下はヘラヘラしながらそう笑っている。
「へっ。そんなこと言ってられんのも今のうちだぜ。」
そう俺はわざと余裕そうにして見せる。
が、もう本当は疲れ切っていた。
(体中が痛ぇ…。)
それでも戦わなければならない。
相手の山下は余裕そうに笑っている。
「さぁさぁ!もっと殺り合おうや!」
そうチャカを連射する。
「チィッ!」
俺は身を捩って弾をギリギリでかわす。
最悪なことに、今日はチャカを持ってきていなかった。
(このまま戦うのは不利か…)
そう智は考え込む。
「なら!」
そして何かを思いついたように体制を低くして一気に山下との距離を詰める。
「おぉ!すげぇ加速や!」
そう山下は驚いた素振りを見せる。
「だがな…」
そう急に声のトーンを下げる。
「そんなもんじゃ甘いんじゃ。」
そう言うと山下は地面を蹴り、砂を高く舞い上げる。
「うぉっ!」
俺は突然のことだったので反応しきれなかった。
(目に…砂が…!)
まずい、視界が塞がってしまった。
と、思っている矢先に背中に強烈な痛みが走る。
「ガハッ!」
俺はそう何かを吐き出し後ろに飛び退いた。
視界は少し戻ってきていた。
(せめて…せめてレオたちが来るまで時間を稼がねぇと…!)
そう俺は思い周りを見渡す。
「オラッ!」
俺は落ちていた石を拾い、山下に投げつける。
「そんなもん、当たらへんで。」
そう山下は身を捩り石をかわした。
「死ね山下ぁ!」
俺は山下が振り向くと同時にドスを抜き山下の顔元に刺そうとする。
「ぬぅおおぉ!?」
山下も想像していなかったのか驚きの声を上げている。
が、皮一枚で避けられ少し切れて血が出るくらいだった。
「全然大丈夫やでぇ?」
そう山下が言ってくる。
(もう…体が動かねぇ!!)
全身が痛すぎる。
少し動いただけで酸欠になるほど息があれていた。
「さぁ、さよならや。」
動けない俺を見下し無慈悲に山下はチャカを向ける。
もう終わりだと思い目を閉じる。
「させるかああぁ!」
そう聞き覚えのある声がする。
レオの声だ。
レオはそう山下に標準を向けたチャカを撃った。
「大丈夫か!!」
綾也がそう俺に駆け寄ってくる。
「あぁ。ギリギリな。」
そう俺は答えた。
「あの距離から当てる正確性…。あんた何者や?」
そう山下がレオに尋ねる。
「お前は知らなくていい。」
そうレオは冷たく言う。
「ケチな人やのぅ。さて、増援も来たらしいし、そろそろ帰るわぁ。」
そう山下はバイクに乗り帰っていく。
「あいつが山下か…」
そう綾也が呟く。
「何で知ってんだ?」
俺はそう尋ねる。
「あいつが八苦座の総長だからだよ。」
ならあの強さもわかる。
「よく戦い続けれたな。」
呆れたようにそうレオが俺を見た。
「うっせ!」
そう俺は綾也の肩を借り、立ち上がる。
「まぁ、今日は帰るか。」
そう俺たちも帰る準備を始めた。
- チャカ使い ( No.65 )
- 日時: 2024/02/08 23:38
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「マジカルバナナー♪」
俺はそう言いながら手に持っているチャカをぐるぐる回す。
「ふざけてんのか!?」
そう一人の男が声を上げた。
「あー…ごめんごめん。いたんだw。」
俺はそう、わざと煽る。
「テメェ!この人が誰だかわかってんのか!?」
その隣の男がそう言った。
「さぁ。そこら辺にいるモブだろ。」
「クソガキ…!!」
そう男は顔を真っ赤にする。
「このお方は日本一のチャカの使い手だぞ!」
「!…」
俺はその言葉に反応する。
「日本一のチャカの達人ねぇ…」
俺はそう唇の周りを舐める。
「それなら俺と勝負してくれないかい?」
俺はそうチャカのセーフティを外す。
「へっ。舐めんなよガキが。」
相手の男もチャカを取り出した。
「蜂の巣になっとけ!」
そう男はチャカを乱射する。
「当たんねぇよ。」
凡人がむやみやたらに撃ったところで当たるはずがない。
「さぁ。死ね。」
俺はそう言い男の懐まで潜り込みチャカを放つ。
「うグッ!」
木製とはいえど中身はほぼ本物と変わらない。
威力は絶大だろう。
そして少しすると男は腹を抑えたまま倒れた。
「見えなかった…。」
一人の女がそう呟く。
(構成員に女まで…。どうなってんだ?)
遥輝も今までいろいろな組と殺り合ってきたが、構成員に女がいるのは初めて見た。
(まぁいい。)
とりあえず早く帰りたい。
俺はそう思いチャカを乱射する。
「うおっ!」
「痛ぇ!」
その弾は全て見事なことに奴らの額に当たる。
「とったぞ!」
そう急に後ろから声がする。
真後ろでは一人の男が酒瓶を振り上げていた。
(やべぇ…!)
俺は急いでチャカを男に向ける。
が、そのチャカから弾が出ることはなかった。
「ガチッ」と中から鈍い音がする。
(詰まった!)
振り上げられた酒瓶は徐々に近づいてくる。
何とか身を捩ってかわそうとする。
「ほおあぁ!」
そう声が聞こえたと同時に目の前にいた男が蹴り飛ばされる。
「大丈夫か!?」
そう俺に声をかける。
「お前は…」
確かこいつは陸とともにいた奴だ。
「おたくの将軍さんは大丈夫なんかよ。」
俺はそう言う。
「陸ならばもう一人護衛がついている。」
(護衛て…)
本当に将軍みたいだと俺は思う。
まぁそんなことはおいておく。
先程の蹴りを見ると戦闘能力は中々のものだ。
「ちゃっちゃとこいつら殺って帰るか。」
俺はそう言い首を鳴らす。
「あぁ。そうしよう。」
そう言い俺達は目の前にいる敵を殺り始めた。
- キャラクター紹介 ( No.66 )
- 日時: 2023/08/09 22:50
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
山本遥輝
関西連合武道派の構成員。
関西連合きっての早撃ちの達人でチャカの扱いが得意。
チャカの腕だけではなく喧嘩も強く、殴り合いでも十分強さを発揮する。
- 悪英雄会議 ( No.67 )
- 日時: 2023/08/25 16:06
- 名前: ミートスパゲティ (ID: lCrzzWFh)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
『宗樹のお悩み相談室!!』
「………。」
「何やってんすか…俺ら…。」
ーーーーーーーーー1時間前ーーーーーーーーー
「ふぅ…」
倉庫…いやヤサにつくやすぐにレオは椅子に腰を落とした。
「だから八苦座攻めはやめろと言ったんだ。」
その隣では綾也がブツブツと怒っている。
おそらくその理由は陸のことだろうがあえて言わないでおこう。
「悪かったって。」
そうレオは言っているがすまなさそうに思っている気配はない。
綾也はそんなことは聞いておらずまだ文句を言い続けていた。
「あの、俺らは…」
俺がそうレオに聞く。
本当にこのタイミングで良かったのかはわからないが綾也の文句はなかなか終わりそうにない。
「あぁ、そうだな。」
助け舟が来たと言わんばかりにレオはその話にがっついてくる。
「お前らはよく働いてくれたし休んでいいぞ。」
そう綾也が横から口を挟む。
確かに、今よくよく思い出してみればこの1ヶ月間ほとんど関西連合の抗争に駆り出されていた。
そのくらいの休みはもらってもいいだろう。
「りょ、綾也ちょっともう少し考えた…」
そうレオが綾也をなだめようとする。
「そんなことよりさっきの話だ。」
そう言うと綾也はまたブツブツ話しだす。
なかなか終わりそうにない。
そう思い俺たちはその場から退散した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「第一回、悪英雄会議ー!」
そう陽汰ができるだけの声をだしてそう言う。
「せっかく休みもらったんですし休めば…」
そう言おうおした宗樹の口を宗四郎が殴り飛ばす。
「で、具体的なことなんだが…」
前の方で殴り合っている宗樹と宗四郎を放っておいて陽汰が話を続ける。
「まずは構成員の増加、それで詳しい役割を決めたいんだが…」
陽汰にとっては珍しくまともで真面目な提案だ。
確かに、今のところ悪英雄の構成員はこの10人たらずだ。
そんなものでは他の大きなチームには太刀打ちできない。
それに、人数が増えたらもちろんそれをまとめる奴も必要だ。
今の悪英雄にはどちらも欠かせない。
「えーと…なんだっけ?」
そう龍心に尋ねる。
なるほど。
珍しくまともだと思ったら龍心に言われたことを言っていたらしい。
龍心は昔から人の前に立つことを嫌っている。
その性格だからだろう。
「まぁそれは後でいいか。で、まず構成員を増やす案なんだが何か考えある人ー。」
「学校で集めればいいんですのにねぇ。」
宗四郎との殴り合いを終えた宗樹がボソッと言う。
「それいいな。それで決定!」
そう陽汰が一瞬で決めてしまった。
流石にこれには俺も黙ってみていれない。
「せめてもうちょい詳しく考えてくれ。」
俺がそう言うと再び場が沈黙する。
「悩み解決とかでどうだ!?」
そう淳平が自信満々に言う。
「確かに、それはいいかもな。」
そう蓮も賛成する。
「よし!じゃあ淳平君頑張って〜。」
そう宗樹が笑顔で送り出そうとする。
「お前もだよ。」
そう龍心に背中を押される。
「え…?」
そう宗樹は理解が追いついていない様子だ。
「後、宗四郎。頼んでいいか?」
そう龍心は宗四郎に言った。
宗四郎は心底嫌そうな顔をしている。
「ゴミを見るような目で見ないでくだせぇ。」
「実質ゴミだろ。」
そう宗四郎は冷たく吐き捨てる。
宗樹のメンタルは完全に破壊されたらしい。
ただただ何も言わずうつむいていた。
「じゃあ俺らはこっちのことしとくわ。」
そう陽汰達は背を向けさる。
「……。」
取り残された宗樹達は無言のままだった。
- 初めての客 ( No.68 )
- 日時: 2023/09/05 16:50
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ふぅわあぁ…」
俺は「宗樹のお悩み相談室!」と書かれた机の椅子に座りながら大きなあくびにをした。
「なかなか来ないもんなんですねぇい…。」
今淳平と宗四郎の二人は買い出しに行っている。
まぁ宗四郎はそのままフラフラしてどこかにいくだろう。
そのため、ほとんどここには帰ってこない。
「ちょいと寝ますか。」
そう俺は机にうつ伏せになり目を閉じる。
「…の…。」
そう声が聞こえたような気がする。
目を開け前を見てみるとまだ幼い娘が立っていた。
恐らく小3程度だろう。
まぁ、このくらいの歳のこの悩みなど限られている。
恋愛相談か宿題を手伝ってほしいなどだろう。
だが、その娘の相談は一風変わっていた。
「さて、どんな悩みだい?」
そう俺は尋ねる。
「お兄ちゃんを助けてほしいの!」
そうその娘は大声で言う。
俺は想像の斜め上の相談を言われた一瞬戸惑うが、その娘の目は本物だった。
「お兄ちゃんって?」
俺は冷静に聞いてみる。
「6年生の菊下颯太。いじめられてるの。」
菊下颯太というのは宗樹の同学年だった。
あまり関わりは深くないがいじめられているような様子はなかった。
(バレないようにやってるんでしょうねぇ。)
だから先生も何も言わないし誰も目撃者がいない理由がわかる。
普通の奴なら自分の評価が下がるのを恐れて見つけたとしても見て見ぬふりをするだろう。
「こっちは評価なんか気にしてませんからねぇ。」
そう独り言を呟く。
「ところでそのいじめられてる奴らってわかるんですかぃ?」
そこから探さないと行けないとなるとかなり時間がかかる。
「その人たちなら知ってる!」
そうその娘は答えた。
そこまで知っているなら自分でもできそうな気がするが。
思わずそう思う。
「じゃあ俺はそいつ等をしばくだけですねぇ。」
初めの依頼にしては簡単だ。
これならすぐに終わらせれる。
「それと今日はもう遅いんで帰りましょう。」
そう俺はその娘を家に帰そうとする。
遅いのもあるが、本当はできるからこんな幼い娘に殴り合うところなど見せたくなかったからだ。
「はい…。」
そうその娘は渋々といった感じで帰っていった。
俺はそれを最後まで見守った後娘からもらった写真をもう一度見る。
その写真に写っていたのはクラスでも数少ない真面目な巡だった。
こんな奴が本当に…。
そんな事を考えているうちにある重要な事に気づく。
「やべ、どこにいるのかわからねぇ…」
うっかり聞き忘れていた。
「結局時間がかかりますねぇ…。」
探そうと思い校舎に入る。
(ん?)
俺は思わずそこを2度見する。
誰もいないはずのクラスの教室に電気がついているのが見えたのだ。
(もしかしてあそこに…)
バレないうちに早く行こうと急いで校舎の中に入り、上の階へと続く階段を駆け上る。
電気のついていたクラスは4階の教室の6年のクラスだった。
3階の踊り場まで来ると誰かがいる声がする。
俺は更に駆け上がりその声がする教室の扉を蹴破る。
「誰だ!」
そう一人の男が叫ぶ。
そう言われてもこちらは一言も声を発さない。
(なるほど…複数人でリンチってわけか…)
胸クソ悪いことをする。
その複数人の男を見渡す。
そこには巡の姿もあった。
巡の下には丸まってうめいている颯太の姿があった。
「てめぇ、そいつを離せ…」
「お兄ちゃん!」
俺がそう言おうとした時後ろから甲高い声がする。
あの娘だった。
「帰ってなかったのか!?」
俺は動揺を隠しきれない。
「そいつ等も捕まえろ!」
そう巡が他のやつに指図する。
俺一人ならいいのだが娘を守りながら戦うのは少しキツイ。
まずは俺の方に来た奴らを殴り飛ばし娘を守る。
そう思っていたので構えていたが奴らはとんでもない行動に出る。
娘を二人がかりで捕らえようとした。
「てめぇ…!」
どこまでも胸クソ悪いことをすると思う。
(この距離からは間に合わねぇ!)
俺は咄嗟に落ちていた鉛筆を投げ一人の男の気を向ける。
「なんだ!」
簡単にその男は乗ってくれた。
その声に反応してもう一人もこちらに気を向ける。
「オラァ!」
俺は体を丸めそのままタックルしそいつ等を吹き飛ばす。
「うごぉ!」
吹き飛ばされた二人は壁にぶつかりあえなく倒れた。
「や、やべぇ…」
そう巡はビビり散らかしている。
「いじめた代償、払うんだな。」
そう俺はいい握りしめた拳を巡の顔面に向けて放つ。
しっかりと手応えを感じ巡はそのまま後ろ向きに倒れた。
「大丈夫ですかい?」
そう俺は颯太に言う。
「あ、ありがとう…」
颯太は弱々しくそう言った。
「お兄ちゃん!!!」
娘は勢いよく颯太に抱きついた。
「ごめんな…心配かけて…。」
とても傷つけられていたのだろう。
涙がそれを表していた。
「あー…お代の件ですが…。」
流石にこの娘に族に入れなどは言えない。
「か、代わりに僕が受けます!」
そう颯太は言う。
「それなら私も!」
娘も颯太と同じように言った。
「わ、わかりました…。」
俺はその気迫に負け簡単に許可を出してしまう。
そう俺が言ったのを聞き兄弟は嬉しそうに顔を見合わせる。
こうして心強い(?)仲間が二人も増えたのだった。
- 武器 ( No.69 )
- 日時: 2023/09/07 18:34
- 名前: ミートスパゲティ (ID: 16oPA8.M)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
宗樹が依頼をこなしていたその時、龍心はあることを考えていた。
(武器がほしい…)
そう考えていた。
武器があるだけでかなり戦闘が楽になる。
大人数の場合ならなおさらだ。
そこで拓海に相談しようと考えていた。
『プルルルルル…』
電話をかけてみたものの数回コール音が鳴り響くだけだった。
音を消しているのだろう。
そう思い、拓海の家まで行き、インターホンを鳴らしてみることにした。
「……。」
やはり反応はない。
出かけているのだろうか。
待っている時間もないので、一人で行くことにする。
俺が向かうのは関西連合のヤサだ。
倉庫のシャッターをノックするとすぐに綾也が出てきた。
「どうした?一人で。」
そう綾也は俺に尋ねる。
「武器について知りたい。」
俺がそう言うと綾也は黙って中に入れてくれた。
ヤサの中は案外広い。
リビングのように使っているところもあれば武器庫のために使っている部屋もある。
作戦会議のための個室もあった。
「レオは?」
俺がそう尋ねる。
「今は一人で喧嘩ふっかけに行ってる。」
一人でって…。
相変わらずやることが恐ろしい。
「で?どんなことが知りたい。」
綾也はある部屋の前で立ち止まって俺にそう聞く。
「種類、数、値段とかだな。」
俺はそう言う。
「そうゆうの系なら実際に見てもらった方がいいな。」
そうその部屋の扉を開け中に入れてもらう
「やべぇな…」
俺はその景色を見て思わず呟く。
部屋の中にはありとあらゆるところに拳銃が落ちていた。
単純にピストルのようなものもあればアサルトライフルのようなものもあった。
もちろん全て木製だが、黒塗りにしてあるためパッと見なら本物に見える。
「種類はこんなもんだ。」
扉の前で立ち尽くしていた俺に綾也が話しかける。
「だいたい何丁くらい持ってんだ?」
俺はそう綾也に聞く。
「これでも200丁あるかないかだ。もちろん、壊れたら即処分だ。」
これでもって、200丁もあれば十分すぎる。
「値段は…買うならアサルトなら安くても3000くらいはするな。」
思っていたよりは安かったが、それでもまだ高い。
まぁおそらくそれほどの高度な技術が必要なのだろう。
「ん?」
そこで俺に一つの疑問が浮かぶ。
「そんな金どこでも仕入れてんだ?」
中学生でもバイトはできるが、生活費や食費、その他諸々合わせてかなりの額になる。
バイトだけなら稼ぎきれると思えない。
「こっちだって売ってるからな。」
そう綾也が俺の問いかけに答える。
「売ってるって…作れるのか?!」
俺がそう驚いて尋ねる。
「俺らアホにそんな大層なことはできねぇよ。他の奴がしてんだ。」
そう綾也が言う。
「他の奴って?」
俺は気になり問いかける。
「俺らの仲間だよ。腕のいい奴がいるからな。」
これを作れるとは相当な腕の持ち主なのだろう。
まぁ何はともあれ勉強になった。
一度してみるのもありかと思う。
「まぁ少し譲ってやってもいいが…。」
そう綾也が言い出す。
「本当か!?」
俺は思わず食い気味に聞く。
タダほど良いものはない。
「あぁ。いいぞ。その代わり…」
そう綾也がニヤリと笑う。
そして大量の資料を持ち出してくる。
「これ、よろしくな!」
そう言いその資料とパソコンを俺に渡してきた。
まとめろという訳か。
まぁ何もせずもらえるわけないよな。
そう思い俺は渋々その仕事を始めた。
- 徹夜の成果 ( No.70 )
- 日時: 2023/09/09 23:17
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ただいまー、って誰もいねぇよなぁ…」
そう抗争から帰ってきた俺は真っ暗な倉庫で一人で呟く。
そこまで大きいチームではなかった。
だがまぁなんとも粘り強かった。
それに加えてスマホの電源が切れてしまい帰るのにも一苦労した。
昼には帰ると言っていたのにかなり遅れてしまった。
「このチャカもダメか…。」
俺はそう今回の抗争で使ったチャカを床に捨てた。
その投げ捨てたチャカが光を反射し俺は警戒の体制を取る。
俺はそのままおそるおそる近づく。
「綾也か…って龍心!?」
綾也かと思って声をかけたのは龍心だった。
「労働労働労働労働労働。」
龍心は休む暇もなくそう言い続けながらパソコンをキーボードをひたすら叩き続ける。
「モ〇スターって…。どんだけだよ。」
俺がそう呟くとようやく龍心は気がついたらしい。
「お前のとこの副総長イカれてるな。」
そうこちらを振り向き一言だけ言うとまた目線をパソコンに戻し操作し始める。
(綾也か…)
関西連合は地方連合と言うだけあって、仕事も多い。
普段は下の奴らが大人数でしてるけど、今はほとんど抗争に貸し出されているため綾也が一人でするしかなかったのだろう。
それを龍心に押し付けたってわけか。
「てかなんでお前がここに?」
俺はそう龍心に聞く。
のこのこめんどくさい仕事をわざわざしに来るやつなんかこの世界に誰一人もいない。
何か理由があるのだろう。
「悪英雄から転職して社畜になりました。」
そう訳のわからないことを言いながら必死にキーボードを叩き続けている。
「話通じねぇな。」
俺はそう呟き理由を聞くことを諦める。
まぁ、仕事中の綾也もいつもこんな感じだからもう慣れているが。
腕時計を見てみるともう夜中の2:00だ。
「家に帰るまで時間がかかるし…。」
ここで寝るしかないな。
そう思い俺は地面に布を引き簡易の布団を作る。
俺はその布に寝転がりまぶたを閉じる。
キーボードの音だけが聞こえる中、俺の意識は暗闇へと落ちていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「んおぉ…。」
俺は体を起こす。
「痛ててて…」
やはり失敗だったか。
布が薄すぎたせいか、体中が痛む。
外を見てみると太陽はかなり高くまで上がっていた。
もう昼頃だろう。
寝すぎたなと思いつつも痛めた体をもみほぐす。
「龍心は…」
そう思い俺は再び中に入る。
龍心はというと結局昨日一睡もしなかったのだろう。
仕事を終えパソコンをつけたまま寝ていた。
「って、データ飛ぶぞ!?」
俺は急いでそのデータを保存し電源を消し充電コードを繋げた。
パソコンの充電は残り2%。
本当にデータがとぶところだった。
「あ。」
結局何でここに来たのか聞いていなかった。
聞こうと思い起こそうとするが随分と気持ちよさそうに寝ているため起こそうとは思えない。
「待っててやるか。」
そう思い俺は龍心の寝ている隣の椅子に座る。
「グゥ~…」
俺の腹の音だ。
朝飯を食っていない上にもう昼だ。
当たり前だろう。
コンビニで何か買ってこようと思い俺は立ち上がる。
「よぉ。」
ちょうどその時、綾也がビニール袋を持って倉庫に入ってきた。
「やっぱここにいたか。」
そう綾也が言うと「ホイ。」といいビニール袋事投げてきた。
中にはおにぎりがいくつか入っていた。
「流石だな。」
俺はそう言うと早速おにぎりを食い始める。
「ところで何で龍心がいるんだ?」
そう綾也に尋ねる。
倉庫にいたのは綾也だけだから知っているはずだ。
「武器がほしいって言ってたから仕事終わらせたらやるって言ってさ。」
そう綾也が俺の隣の椅子に座る。
「鬼かよ。んなもんいくらでもあげたのに…。」
龍心が気の毒で仕方ない。
「まぁ、それは置いといて本当に1日で終わらすとはな…。」
綾也も少し引いている。
元はと言えばあんたがやれって言ったんだろう。
そう言いたい気持ちをこらえ俺も頷く。
「ん…。」
そんな話をしていると龍心がムクリと起き上がった。
「ヤベ!データ!」
起きたと途端真っ先にパソコンを見てそう言った。
「安心しろ。俺が保存しといた。」
俺がそう言うと龍心は安心したように机にうつ伏せになった。
「お疲れさん。」
そう綾也が手をたたきながら言う。
その途端、また龍心は凄いスピードで起き上がり綾也の方を見る。
「さぁ、武器だ。」
そう言う龍心の目は血走っていた。
どんだけやらされたんだよ。
「こっちだ。」
俺がそう思っていると綾也が立ち上がり倉庫の方に向かう。
「チャカ10丁、サブマシンガン5丁、アサルト3丁。それぞれ弾を2000発ずつ付ける。」
そして扉を開きそう言った。
綾也にしてはかなり良い褒美だ。
まぁ、徹夜で働かしたんだからそれくらいがちょうどだろう。
龍心は黙ったまま首を縦に振った。
綾也がトランクケースの中に入れて龍心に渡した。
紙袋か何かに入れてサツに見られたらおしまいだ。
「ケースは今度返せよ。」
そう綾也は龍心に警告する。
龍心は背を向けたままこちらに向かい親指を上に立てる。
「また頼むわー!」
そう綾也が去りゆく龍心の背中に向かい大声で叫ぶと龍心は歩みを止めこちらを振り返る。
「二度とゴメンだ。」
口ではそう言っているが顔は笑っていた。
そして再び歩きだす。
その背中はおもちゃを手に入れた子供のようだった。
俺はそれを見て複雑な感情になる。
「何をぼやっとしてんだよ。」
そう綾也に背中をたたかれる。
「痛えよ。」
そう俺は言った。
武器を貰った子供が喜ぶ。
そんな世界聞いたことがない。
だが今の日本ではそれが当たり前に起きているのだ。
こんな時代は早く終わればいい。
俺はそう思った。
だが待っていたら誰かがやってくれるというわけではない。
自分で変えないといけないのだ。
この世界を。時代を。
そう思い俺は拳を強く握りしめる。
二度とあんな悲劇が繰り返されないために。
俺は歩みを止めてはいけない。
そう思い俺は綾也のあとを追いかけた。
- 作者からの報告 ( No.71 )
- 日時: 2023/09/11 22:51
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
こんにちは!
ミートスパゲティです。
この作品を読んでくださっている方に報告です。
なんと今回!夏の小説大会にて金賞をいただけました!
この作品に投票してくださった皆様、本当にありがとうございました!
これからも皆様が面白いと思えるのような作品を書き続けていこうと思うので今後とも皆様、ぜひともお願いします。
そして小説の内容についての報告で毎週月曜、1話とその中の投稿予定を書いていきます。
投稿日はズレることもあるのでそこはご了承ください。
以上、ミートスパゲティからの報告でした!
これからもこの作品を読んでいただけると幸いです。
では!!
- 皆の休日 ( No.72 )
- 日時: 2023/09/13 20:10
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LdHPPNYW)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「今回は!作者ミートスパゲティが悪英雄の皆の休日を晒していこうと思います!」
・拓海、陽汰の休日
大概二人でと共に釣りに出かけています。
拓海は稀に華恋とデートにでかけていることm…おっと誰か来たようだ。
・龍心の休日
休みの日であろうと組のために働くことが多いです。
武器の調達や情報の整理などを行っています。
それらのことをしていない日は宗樹達でかけていることが多いです。
・宗樹の休日
あまり家から出ません。
ダラダラゲームをしながら家で過ごしています。
ですが、無理やり宗四郎に外出をさせられることも多くあります。
・宗四郎の休日
ほとんど外で遊んでいます。
誰でもいいから誘っては夜まで遊び続けます。
まぁ…色々と束縛し過ぎでs…((
・淳平の休日
宗四郎と同じようにほとんど外で遊んでいます。
サッカーの練習に公園に出かけることが多いです。
世に言う暇人ですね☆
・蓮の休日
こちらは今までとは違ってほとんど勉強に時間を費やしています。
真面目ですね。
まぁ、ガリ勉とは言い難い見た目ですg…((
・荒の休日
ほとんど宗樹の家でゲームをして遊んでいます。
たまにボクシングの練習に行きますがほとんど適当に受けています。
クソガキじゃねぇk((
「お前。散々俺らのこと煽って覚悟できてんだろうな?」
「ひっ…!宗四郎様。決してそのようなおつもりでは…」
「黙れ下等種族!」
この後、30分近く殴られました☆
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(水) 龍心が調達してきた武器を使い暴れまわる…
(木) 密着!華恋と拓海のイチャイチャデーt((
(土) 休み終了!京都まで「魔異妓」の使者を護衛
- チャカで暴走 ( No.73 )
- 日時: 2023/09/13 23:15
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「うおおぉお!」
俺は休む暇もなくチャカを打ち続ける。
「許さねええええ!龍心んんん!」
なぜこうなったのかと言うとーーーーーーーーー
「ただいま。」
そう俺は誰もいない家に声をかけた。
「疲れた…」
俺はそう自分のベットに倒れ込んだ。
先程まで華蓮が熱を出したと言うので看病をしていた。
料理を作ったり、代わりに家のことをしたりと大忙しだった。
「手だけでも洗うか。」
そう俺は起き上がり洗面所へ行く。
手を軽く洗った後、来客を知らせるランプが光っていた。
少し前に来ていたようだ。
「宅配便も何も頼んでねぇけどな…。」
そう不思議に思いながらも映像を確認する。
そこには龍心が映っていた。
俺の名前を呼んだ後反応がなかったからか背を向け何処かに向かっていった。
「何だったんだろうな。」
そう思い再び俺は自分の部屋に戻ろうとする。
ーーーピーンポーンーーー
その時突如インターホンが鳴った。
「はいはい。」
そう言い急回転して玄関に向かう。
「よぉ。」
そこには龍心が立っていた。
その手にはトランクケースが掴まれている。
「何だ?それ。」
そう俺が龍心に問いかける。
「まぁその話は中で。それと他のやつ呼べるか?」
そう龍心が聞いてくる。
「いいけど…何でだ?」
そういう俺の問いかけを無視し龍心は家の中に入る。
俺はポケットからスマホを取り出しいつものメンバーに連絡した。
「で、それなんなんだよ。」
手を洗い終え、リビングの机の近くに座っている龍心に尋ねる。
「これはな…。」
そう言いながら龍心はトランクケースを開けた。
その中からは想像を絶するものが出てきた。
チャカにアサルト、サブマシンガンにそのままが入っていたのだ。
「お前、えらい物騒なもん持ってきたな…。」
俺はそれを見て思わず呟く。
「レオのところで徹夜で働いて貰った。」
そう言う龍心の目の下には薄っすらとクマができていた。
「邪魔するぞー。」
そう陽汰の声が聞こえる。
丁度みんな来たようだ。
「で、何なんだよ。」
そう宗四郎が床にあぐらをかいて座る。
「これを一回試してほしいんだが…。」
そう龍心はチャカを取り出す。
そのチャカを見た瞬間皆から歓声があがる。
「これレオ達が使ってたやつだろ?」
そう淳平が言いチャカを手に取る。
「これで戦ってこいってか?」
流石、蓮。
物わかりがいい。
「面白そうだしやろうぜ!」
志龍がそうチャカを持ちながら言う。
「賛成でさぁ。丁度暇してたんで。」
そう宗樹は言いチャカを宗四郎に向けている。
宗四郎はそのチャカを無言で奪い向き返した。
「まぁ、適当にザコいとこ頼むわ。」
そう龍心が適当に言う。
「俺が最初だ!」
そう淳平が飛び出す。
「おい!待て!」
そう志龍達もあとに続く。
「上手くいってくれればいいが…。」
そう龍心が心配そうに呟く。
まぁ、あいつらが負けるわけはないが俺も妙な胸騒ぎを感じていた。
「そーだな。」
そう俺は言い考えるのは無駄だと思い深く考えるのをやめた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ここだな。」
そう陽汰が声をひそまして言う。
「もう待てねぇ!」
そう宗四郎が飛び出し撃ち始める。
「何だ!」
相手は混乱状態に陥っている。
「また勝手に…!」
そう蓮が少しキレ気味に撃ち始めた。
俺達は撃つ暇もなく相手は殲滅された。
「これもっといけんじゃね?」
そう志龍がいらないことを言い出す。
「確かに。それはそうですねぃ。」
そう宗樹も賛成する。
まぁ、もう少しならいいだろう。
俺もそう思い黙っていた。
それからはとにかく皆で撃ちまくった。
途中からは弾が無くなってチャカでぶん殴る事になったけどな。
後から次々と増援が来て大変だった。
俺達は怒りの持って行き場がなく思わず叫ぶ。
「「「「「龍心!絶対許さねええええ!」」」」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ハークッション…。」
そう龍心が急にくしゃみをする。
「どうした?風邪か?」
俺はそう聞く。
「いや、わかんねぇ。」
そう言い龍心はまた大きなくしゃみをした。
- 拓海と華恋のイチャイチャデート ( No.74 )
- 日時: 2023/09/14 22:53
- 名前: ミートスパゲティ (ID: exZtdiuL)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ったく…ひどい目あったぞ!」
そう宗四郎がキレるのも無理はない。
たった6人で50人ほどと戦わされたのだから。
「龍心!お前のせいだぞ!」
そう淳平が怪我をしたところをさすりながら言う。
「あのなぁ。俺はちょっと倒してこいって言っただけで地方連合と揉めてこいなんて一言も言ってないんだからな。」
だが、龍心は冷静に対応する。
その言葉に皆ぐぅの音も出なかった。
「そもそも総長に責任があると思わねぇか?」
そう龍心がアホなことを言い出す。
「確かに…。」
まぁ、そのアホな意見に志龍達は納得してしまったのだが。
「よし!直接拓海に文句言いに行くぞ!」
そう淳平が立ち上がる。
「どこにいるかわかんねぇだろ?」
そう。蓮の言う通り拓海は今絶賛お出かけ中なのだ。
「怪しい…。」
そう宗樹は一人で呟いている。
「どうした宗樹。頭おかしくなったか。」
そう龍心が聞く。
「どうも怪しいんでさぁ。拓海の奴、出かける前ずっとソワソワしてたんでさぁ。」
確かに宗樹の言う通りなぜか落ち着きがないように見えた。
「!」
俺の頭に一つの考えが浮かぶ。
「これは!」
志龍も気づいたらしくそう声を上げる。
他の皆も気づいたのかお互いに顔を見合わせ合いうなづきあう。
「「「「「「「女だ…!」」」」」」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ハックション!」
そう別の所で拓海は大きくくしゃみをした。
「どうしたの?」
そう横にいた華恋が顔を覗き込んでくる。
「いや。なんでもない。」
そう俺ははぐらかす。
昨日の龍心のくしゃみといい…。
まさか本当に龍心が風邪でそれが感染ってしまったのか。
もしくはあいつらが俺の話を…
「ねぇってば!」
そんな華恋の声で俺は現実世界に戻ってくる。
「何だよ。急に大声あげて。」
「急にって…さっきからずっと呼んでるのに拓海が無視するんじゃん。」
そう華恋は呆れたような顔をする。
そうだったのか。全く聞こえていなかった。
今俺は華恋と買い物に来ていた。
「ところでさ、こっちとこっちどっちがいいと思う?」
そう華恋が両手に持った2つの服を変わる変わる見せてくる。
「うーん…こっちかな。」
俺は少し悩んだ後に右で握っている紺色の服を選んだ。
「じゃあこれ買おーっと。」
そう華恋がレジに並びに行く。
俺は華恋に「外で待ってる。」とだけ伝える。
俺は店の外に出てレジに並んでいる華恋を見ながら思う。
(可愛い…。)
もう気持ち悪いと思われてもいい。
ほんとに可愛い。
俺はそんなクソ恥ずかしいことを考えながら龍心に華恋が好きだと相談したことを思い出す。
「告白すればいいじゃねぇか。」
(いやいやいや!待て俺!華恋とはそういう仲じゃない!)
そう必死に自分を制止する。
「何してんの?」
目の前には服を買い終えた華恋がいた。
「い、いや!何も!?さ、早く行こうぜ!」
そう必死ではぐらかす。
「変な拓海。」
それだけ呟くと華恋はまた歩き出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あいつ華恋とデートだと…!?」
「許せんなあ…許せんなあ!」
そう宗樹達の妬みの声が聞こえる。
「黙ってついていくぞ!」
そう軽く二人を叩きバレないように歩き出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「今日は楽しかったー!」
華恋がそう満足そうに言う。
その言葉が聞けただけで俺は良かった。
かなり長い時間買い物をしていたようだ。
あたりはもう真っ暗で静かだ。
(告白…か。)
そう俺は心のなかで呟く。
「どうしたの?」
華恋はまたもや顔を覗き込んできた。
俺はギクッとし飛び上がりそうになった。
「今日の拓海なんか変だよ?なんかあるの?」
そう華恋が言う。
(俺だって…男だ!)
そう腹を括る。
「あ、あのさ!」
そう告白を決意し言いかけようとしたその時。
『ピロン』
そう動画の撮影音が鳴る。
「馬鹿!音は切っとけって言っただろ!」
そう草むらの中から宗四郎の声が聞こえる。
いや、宗四郎だけではない。
宗樹、陽汰、それに龍心達までいた。
「お前らずっと…!」
そう今までのことを思い返す。
あんなのを見られてたら恥ずかしいどころじゃ済まない。
横にいる華恋も顔を赤らめていた。
「お前ら…」
そう俺はベンチから立ち上がる。
「やべっ!」
本能で危険を察知したのか淳平が真っ先に逃げ出す。
「逃げろ!」
それを追いかけるように蓮達も逃げていった。
「お前らの脳内のデータ全部消してやらぁ!」
そう俺の声だけが公園にこだました。
- キャラクター紹介 ( No.75 )
- 日時: 2023/09/15 16:14
- 名前: ミートスパゲティ (ID: SkZASf/Y)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
山下祐也
八苦座初代総長。
とにかく狡猾で戦闘センスは智を上回る。
政治面でも非常に優秀で、闇サイト等を使い金を集めている。
- チーム紹介 ( No.76 )
- 日時: 2024/05/15 23:59
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
悪英雄
大阪を中心に活動する小さいチーム。
関西連合の傘下に入り着々と力をつけて来ている。
メンバーの出身が扇小学校ということもあり、他の組からは少し危険視されている。
- 護衛任務 ( No.77 )
- 日時: 2023/09/16 22:51
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「よし。集まってくれたか。」
そう綾也は皆の前で言う。
ちなみにだがレオはと言うと、後ろで大いびきをかいてすっかり寝ていた。
実は関西連合からもらっていた休みが今日丁度終わったのだ。
「実はさっそくしてほしい事があってな。」
そう綾也は例のチームが詳しくかいてあるサイトを見せてくる。
「「魔異鼓」…?」
俺はそこに書かれている文字を読みをあげる。
「そうだ。今回はこのチームの護衛を頼みたい。」
何かと思えばそういうことが。
護衛なら侵攻などよりも楽だろう。
「わかった。その任務、受けよう。」
俺はそう言うと綾也はニカッと歯を見せ笑った。
「何だよ…戦わねぇのかよ…。」
宗四郎は一人そう残念そうに呟く。
平和が一番なのにな。
あいつの平和は大好き日本人の魂はどこに行ったのやら。
「おっと。そろそろ時間だ。頼むぞ。」
そう言うといかつい奴らが俺達を囲んだ。
「あ、そうだ。」と言い綾也がこっちを振り返る。
「行きはそいつらの後ろに乗せてもらってくれ。」
それだけ言うとまた歩き出した。
俺達は綾也の言われた通り一人ひとり単車の後ろに乗せてもらう。
そのまま京都まで突っ走ることになったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「着いた…。」
蓮が思わず声を漏らした。
京都につくまでの道のりは思ったより快適だった。
すぐに付いたし何よりも風があたって気持ちよかった。
まぁ、スピード違反で警察に追っかけられたりしたこと以外は。
たが流石というかそんな時は冷静に対応していた。
素晴らしいと思う。
「「魔異鼓」との合流地点はここだ。」
そう一人が説明してくれる。
「ありがとう。」
そう龍心が礼だけすると、皆それぞれ帰っていく。
「さて、何をするか…。」
俺はそんなことを呟きながらもスマホで例のサイトを開く。
魔異鼓についてもう少し調べてみようと思ったのだ。
ーーーーーーーーーー十分後ーーーーーーーーー
調べてわかったことを発表しよう。
とりあえず関西連合の傘下らしい。
だが、参加というところは同じだとしても俺達とは治めている面積が違った。
魔異鼓は京都をほとんど平定しているらしい。
一県を治められるなんて普通に凄いと思うが。
まぁ、その凄いチームを傘下に引き入れる関西連合がどれだけすごいのかな皆さんもうおわかりだろう。
「それにしても遅いなぁ…。」
そう淳平が愚痴をこぼす。
「まぁまぁ。気長に待とうぜ。」
そう陽汰がなだめる。
「すまん!遅れてしまった!」
そう聞き覚えのない声がする。
「噂をすればなんとやらだ。
そう龍心が言った。
目の前には大きく「魔異鼓」と書かれた服を羽織っている人物と、その部下らしき者が何人もいた。
だが、皆名前の割には顔が優しい。
「今回は護衛、感謝する。」
恐らく総長の男がそう頭を下げ、何か手土産のようなものを渡してこようとする。
「いやいや。礼など受け取れません。」
そう龍心が丁重にお断りする。
(龍心はこういうの得意だからな…。)
俺は内心そんなことを思う。
今日の任務の具体的な内容は魔異鼓を大阪の関西連合のもとまで送り届けることらしい。
「ささ、行きましょう。」
そうその総長らしき男の隣りにいた者が皆をリードする。
俺達もついていくが忘れてはいけない。
今日は護衛という任務のために来たのである。
他の皆もピリピリとした空気を漂わせている。
「ここらへんは大丈夫だと思います。」
そう俺の隣から急に声がする。
そこには一人の男が立っていた。
(こいつ…!気配がなかった!)
内心そう焦るが極力顔に出さないようにする。
「どうしてですかぃ?」
宗樹がそう尋ねた。
「ここら辺は魔異鼓が治めている土地なんで。なかなかそういう輩はいないと思います。」
そう、優しく言った。
この男、一見優男に見えるが恐らく凄い戦闘センスの持ち主だ。
「まぁ、そんな奴らがいても俺達がぶっ飛ばすがな!」
そう宗四郎が言う。
そんな宗四郎の一言で皆笑い、少し場の空気が和んだ。
これなら案外楽に終われるかもしれない。
そう思った俺が馬鹿だった。
この任務が恐らく、今までに一番キツかった。
- キャラクター紹介 ( No.78 )
- 日時: 2023/09/17 23:09
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
西上瑠騎
魔異鼓の二代目総長。
初代総長にその指揮の才能を見出されて暴走族になる。
京都を統一できたのもほぼほぼ瑠騎のおかげと言っても良い。
指揮だけではなく、自ら戦闘し手柄を上げることもある。
- チーム紹介 ( No.79 )
- 日時: 2023/09/17 23:13
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
関西連合
日本の中では2〜3を争う大きさの連合。
大阪を拠点とし、関西に一大勢力を築いている連合。
その幹部ほとんどが扇小学校出身である。
他の連合やチームとの取引でかなりの富や武器を持っている。
- 野宿 ( No.80 )
- 日時: 2023/09/19 16:11
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
俺達が魔異鼓の護衛を始めてから早2時間。
特にこれと言った変化はなかった。
「もう少しで京都抜けるぞ。気引き締めてけ。」
そう龍心が俺達に警告する。
ちなみに、歩いて魔異鼓のヤサから関西連合のヤサまで行くには10時間かかるらしい。
足が棒になるわ。
てか、魔異鼓の皆さんは単車は持ってるらしいんだがこちらに合わせて歩きにしてくれた。
やっぱ凄い人は器が違うなと思う。
それに比べうちのメンバーは「疲れた。」「歩けない。」などずっと言っている。
電車で行けば言いという声もあったが、綾也いわく「社内で待ち構えられたら終わりだし、降りる時に挟まれる可能性がある」とやめさせられた。
というか、総長直々に行くんだな。
あれ?けど綾也は魔異鼓の使者って言ってなかったっけ?
「なぁなぁ、魔異鼓の使者を護衛するって話だったよな。」
そう俺は隣りにいた陽汰に尋ねる。
「どっちかの手違いだろ。」
そう陽汰は適当に受け流す。
そうなのだろうか。
まぁ、どちらにせよ考えたところでわかりゃしない。
「ふわぁ…」
目の前では宗樹があくびしている。
こいつという奴は…。
だが、気づけばかなり日も暮れてきていた。
「今夜はここで野宿するというのはどうでしょう。」
そう魔異鼓の幹部らしき者が言う。
俺達は顔を見合わせ頷きあう。
「わかりました。」
そう渡っていた橋の下に降り、川の近くまで行く。
「それでは準備いたします。」
俺はそう言い、陽汰が肩に吊り下げていた簡易のテントを開く。
ワンタップ式のテントなので組み立てが楽ですぐできる。
「先に入っててください。」
そう蓮がエスコートする。
「おぉ。すまんな。」
そう魔異鼓の総長が中に入っていく。
それに続き幹部らしき者達皆入っていった。
「俺こういうの苦手なんですよねぇ。」
そう宗樹が小さな声で呟く。
「俺もだ。」
その呟きに淳平が反応した。
「アホ二人は黙ってろ。」
そう宗四郎に殴られる。
頭を殴られた二人はそこを抑えていた。
宗四郎もこういうのは苦手そうに見えるが得意な方だ。
「こちら食料です。」
そう後ろでは龍心が魔異鼓の皆さんに食事を配っていた。
中身はコンビニのおにぎりとお茶だけという、本当に簡単なものだが。
「皆も入ってきて。」
そう魔異鼓の総長から声がかかる。
「失礼。」
そうわきまえながら中に入る。
「敬語やめて。対等な関係なんだからさ。」
そう魔異鼓の総長は言う。
あなたと私達では天と地がひっくり返っても埋まらないくらいの差があるんですが。
俺は内心そんなことを思う。
「それならお言葉に甘えて。」
そう初めに言ったのは志龍だった。
そう言えば志龍はこの任務が始まってから一度も喋ってなかったような気がする。
どれだけ敬語が苦手なんだよ…。
「それじゃあ俺も。」「なら俺も。」と次々と皆敬語をやめていく。
「じゃあ俺もだ。」
遂には龍心までもだ。
それなら俺も敬語をやめさせてもらう。
「自己紹介が遅れたな。俺は西上瑠騎。こっちが森下進でこいつは北上達規だ。」
そう3人分の自己紹介を終える。
「俺は前田拓海。こっちが永瀬龍心でこいつが植谷陽汰。中嶋宗樹と渡辺宗四郎後は槌井蓮と浅田淳平、それから福田荒だ。」
そうこちらも自己紹介を終えた。
「ん?さっき志龍って言って…。」
そう不思議そうに瑠騎が聞く。
「それはこいつでさぁ。」
そう宗樹が荒を指す。
「そいつは荒って…」
「こいつの厨二が目覚めたときの名でさぁ。」
そう宗樹が笑いながら言う。
「そんな話するんじゃねぇ!」
そう叫ぶ荒の声だけがこだました。
この時俺達は気づいていなかった。
俺達に忍び寄る不穏な影を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(火) 遂に敵に見つかる。魔異鼓が襲撃される。
(木) 悪英雄、地獄を見る。
(金) 敗北寸前へ、魔異鼓、悪英雄共に壊滅状態に。
(土) まさかの援軍。反撃開始。
- 急襲 ( No.81 )
- 日時: 2023/09/19 22:57
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
飯を食い終わった後は少し魔異鼓の皆と話した。
話はかなり盛り上がり、もうとっくに1時間は超えていた。
「まだ寝ねぇのか?」
そう宗四郎が言う。
俺も時計で時間を確認してみるともう11:00は過ぎていた。
「いや、そろそろ寝るわ。」
そう言い瑠騎が寝転がる。
「俺もそうしよー。」
そう進も同じように寝転がった。
「じゃあ俺も…」
そう宗樹が同じように寝ようとする。
俺はそれをすかさず止める。
「お前は寝れねぇよ。」
そう俺は言う。
「何でですかぃ?」
そう宗樹は俺に問いかける。
「寝てる時に襲われたらどうするんだ。」
そう俺は宗樹に言う。
「寝ながら戦う。」
「アホなこと言うな。」
俺はそう言いこのアホな会話を終わらせる。
「とにかく、起きとけよ。」
俺は宗樹にそれだけ告げテントから出て外を見張っておく。
テントの中では魔異鼓の皆が寝息をたてて寝ていた。
「何も起こらなければいいけどな。」
そう隣で龍心が呟く。
「変なフラグたてんなよ。本当に何か起こったらどうするんだよ。」
そう蓮が言った。
「まぁ、大丈夫だろ。」
淳平がそう能天気なことを言っている。
まさかこの後、蓮の言っていたことが実現するなんて、夢にも思っていなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「眠ぃ…」
見張りを始めてからもう3時間も経った。
結局あれから何も起こらず平和な時を過ごしている。
「暇だな…。何か起こらねぇかな。」
そう宗四郎が川に向かって石を投げる。
その石は水面で3回跳ね、そのまま沈んでいく。
「ッ!」
俺は突然ただならぬ殺気を感じ咄嗟に振り向く。
振り向いた方向では月の光を反射した黒いチャカが見えた。
「全員隠れろ!」
そう俺は皆に指示を出す。
「撃て!」
その次の刹那、一人の合図を初めに、「ダダダダダ」と一斉射撃が始まる。
皆物陰に隠れているため幸い弾が当たることはないが、これだけ撃たれていたら流石にチャカで反撃するということも難しい。
「何だ何だ!?」と魔異鼓の皆も起き上がる。
「そういや、拓海。お前ライト持ってたよな。」
そう岩越しに龍心の声が聞こえてくる。
「持ってるけど…こんな時に何すんだよ。」
俺は龍心に尋ねる。
「いいから。お前らは俺の合図で一斉に撃つんだ。」
そう龍心が全員に指示を出す。
皆その指示を聞き、手にチャカを握る。
「3…2…1…今だ!」
その合図と共に俺達は岩陰から思い切って頭を出す。
その瞬間だけ銃声は鳴り止んだ。
「眩しい!」
そんな声が聞こえる。
恐らく龍心のライトで目潰しをされたのだろう。
ーーーーーーーーーダダダダーーーーーーーーー
今度はこちらの反撃が始まる。
皆一心不乱にチャカを撃っている。
龍心のライトのおかげで相手がこちらからは見える。
だが、相手もプロらしい。
絶対に頭を見せないようにしている。
当たったとしても全て急所は外されていた。
ーーーーーーーーーパキッ!ーーーーーーーーー
突然何かが割れた音が鳴り目の前がまた真っ暗になる。
撃ってきていた相手の弾がライトに当たったのだろう。
「やべぇ!」
岩陰から飛び出ていた宗四郎がそう言いすぐさま岩にまた隠れる。
「キリがねぇ!」
そう言う声が聞こえる。
それと同時に大勢の敵が橋から飛び降りこちらに走って近づいてきた。
「クッソ!」
そう俺は思わず言う。
遠距離戦もたが、近距離戦にもこちらに分はない。
「死んどけ!」
俺はそう襲いかかってきた相手の一人を殴り飛ばす。
だが、次の刹那には相手からの反撃の拳が飛んでくる。
(相当鍛えられてるな…。)
多分今まで対峙してきた中で一番の強敵だろう。
これは一瞬でも集中力を切らせたら負ける。
俺はそう思いただ目の前の相手と戦うことだけに没頭する。
だが、ここから事態は更に深刻化していく。
- 武器説明 ( No.82 )
- 日時: 2023/09/19 22:59
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
・ドス
ナイフのこと。
こちらもチャカと同じように殺してはいけないため木製にされてある。
それでもかなりの攻撃力が期待できる。
近距離戦ではよく用いられる武器の一つ。
- キャラクター紹介 ( No.83 )
- 日時: 2023/09/20 20:20
- 名前: ミートスパゲティ (ID: tVX4r/4g)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
北川達規
殴り合いの喧嘩が大の得意。
チャカなどの取り扱いも長けていて、戦闘では大活躍する。
それに反して政治などの頭脳戦は大の不得意。
- 地獄 ( No.84 )
- 日時: 2023/09/23 23:39
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「はぁ…はぁ…。」
俺はそう肩で息をする。
その乱れた呼吸を一度整えようと、岩陰に逃げ込もうとする。
現実はそう甘くない。
「どりゃあ!」
一人の男が鉄棒を俺に向かい振り上げる。
俺に振りかざされるのは空気が切り裂けるほどの袈裟斬りだ。
その鉄棒は俺の肩を斜めから切り裂こうとする。
俺は棒が当たる寸前に、関西連合がチャカのおまけにくれたドスを懐から取り出し、鉄棒を受け流す。
受け流された相手はそのまま鉄棒に引っ張られ、体制を崩す。
その隙を見逃すわけもなく俺はドスで相手の目元を斬る。
「うわぁあ!」
目元を斬られた相手は出血するまぶたの上を抑える。
その隙に俺は岩陰へと逃げ込んだ。
チャカの装填を終え、少し息を整えた後俺は周りの状況を確認する。
宗四郎、宗樹、達規はもちろんのこと、先程まではずっと笑っていた荒が真顔で殴り続けている。
人間って怖いな。
陽汰は一発もらうごとにカウンターで的確に倒していき、蓮や淳平、進は後ろから援護射撃を行っている。
龍心と瑠騎はチャカとドスをうまく使い分けて戦っている。
「見つけたぞ!」
そう真後ろで声が聞こえる。
俺は握っていたチャカの標準をそいつの顔面に合わせ、額に向かって銃弾を放つ。
その銃声につられ他の奴らも集まってくる。
一人ひとり、的確に眉間を撃ち抜いていき、対処しきれない場合はドスで切り刻む。
再びチャカが弾切れになった俺はリロードしようとし、あることに気づく。
(弾がもうねぇ!)
チャカを撃ちすぎた。
だがそんなことを思っている暇もない。
気づけば目の前には鉄棒がギリギリまで迫っている。
身を捩って何とかかわすものの、二の矢はすぐに迫ってくる。
地面に倒れ込んで無防備な俺にその男は容赦なく、その棒を俺に振り下げる。
俺はそのダメージを少しでも減らそうと腕を顔の前に置く。
強い衝撃を覚悟し、腕に力を込める。
「どっりゃあ!」
俺の腕に棒は振りかざされることはなく、相手の悲鳴と誰かの声だけが聞こえる。
「大丈夫か!?」
達規はそう俺に向かい手を差し伸べる。
「あぁ。ありがとう。」
その手を握り俺は立ち上がる。
「てか中学生男子一人2メートルくらい蹴り飛ばすって…。どんな脚力してんだよ。」
俺はそう達規に冗談交じりに聞く。
「サッカー部だからな。」
あ、意外と真面目な答えだったわ。
そういうのを期待していたのではないが、まぁいいだろう。
「ん?」
そう達規が突然そう言う。
「どうしたんだ?」
達規の視線の先を見てみると、そこには一人の水簿らしい男性がいた。
「おっさん。あぶねぇから早く逃げろ。」
そう達規は忠告する。
「それはどうも。」
そう男性は言いこちらを見る。
その目を見た瞬間、俺の動物的勘が何かを訴えかけてくる。
ーーーーーーーこいつはヤベェ…!ーーーーーー
「達規すまん!」
そう思った俺は急いで達規を押し倒す。
俺の勘は正しかった。
その直後、俺達のいた場所に銃弾が何発も飛んできた。
「何でバレたのかなぁ…」
そう言う男の口は、裂けるほどニヤけていた。
この直後、悪英雄は壊滅状態に陥ることになる。
- 細かい設定 ( No.85 )
- 日時: 2023/09/21 23:16
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
・チームの人数
地方連合は構成員の数が1000人から10000人が普通。
有属族の場合は100人から500人程度、無属族の場合は10人から100人程度が基本である。
- 壊滅寸前 ( No.86 )
- 日時: 2023/09/22 23:47
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「何者だよ…お前!」
俺はその男に向かいそう叫ぶ。
「遠くから来たんだし、手柄持って帰らないとなぁ…。」
そいつは俺の問いかけに向かい答える素振りもなく、そう言う。
「どうした!?」
そう龍心が駆け寄ってこようとする。
「止まれ!」
俺はそう龍心を制そうとするが、間に合わない。
その男はもうすでにチャカを撃っていた。
「ッ…!」
龍心は皮一枚でその弾を交わす。
「おいおい…やべぇな…。」
そう遠くから見ていた宗四郎が言った。
「いい加減失せろ!」
そう進が言い、懐から何かを取り出す。
それを勢いよく地面に投げつけ、急いで離れる。
「目を隠せ!」
そう叫びを聞いた俺達は瞬時に目を隠す。
次の瞬間、あたりは眩い光に包まれる。
「目が、目がぁ!」
「痛ぇ!」
そう群がっていた敵は一斉に目を押さえ座り込む。
「閃光弾か…」
俺達の目の前にいる男はなんともない様子だ。
目にかけているグラサンが光を遮ったのだろう。
「お前も死ね!」
そう進が言い、チャカを放つ。
だが、男は見向きもせずにそれを躱す。
それどころか、瞬時にカウンターの弾を撃つ。
「ぐおぉ!」と言い進は身を捩り、何とか弾を躱す。
だか、その時にはもう男は進の目の前まで来ていた。
ドスで腹を刺そうとしている。
「そうはさせねぇ!」
そう達規が飛び出し、槍のようなものを振るう。
男はその槍も片手で受け止めへし折る。
だが、そのおかげで男に一瞬の隙が生まれる。
「死ね!」
そう瑠騎が言いチャカを撃つ。
その弾は見事、男がドスを握っている方の腕に当たる。
「へぇ…。」
そう男は呟き、一度進から距離を取る。
俺は今がチャンスだと思いチャカを取り出し、狙いを定める。
だがその瞬間、俺の背筋に冷たいものが走る。
「もう皆殺すわ。」
そう男が唐突に言い、懐から大量の爆弾らしき物を取り出す。
それを周囲に投げつける。
その直後大きな爆発音とともに爆弾が爆発する。
「ガハッ!」
飛び出していた荒が爆風をくらい遠くにふっ飛ばされる。
爆弾自身の威力はそこまで強くないようだが、相当な数を持っているようだ。
そして、一番厄介なのはすぐに爆発すること。
投げつけられたらほぼ回避は不可能だろう。
「それなら…。」
俺は瞬時に落ちていた板を拾い男に突進する。
「やめろ!自殺行為だ!」
そう龍心の声が聞こえる。
確かに、普通ならそうなるだろう。
だが俺にも作戦があった。
男はやはり俺に向かって爆弾を投げつける。
それと同時に俺も木の板を真正面に投げる。
木の板に弾かれた爆弾は男の方に吹き飛んでいく。
「消しとべや!」
そう俺はチャカを抜き乱射する。
弾を避けようとすれば爆弾に当たり、爆発する。
だが動かなければ弾の餌食になる。
完璧な作戦のはずだった。
だが男は迷うことなき爆弾の方に駆け寄る。
それどころかその爆弾を持った。
その行為には場にいた全員が驚く。
だが、そんなことをしている余裕はない。
「ごめんな。これ火ついてへんねん。」
そう男は気づけば耳元で呟いており、俺の足元に何かがぶつかる。
(やべぇ…!)
そう思った時にはもう遅かった。
爆弾は爆発を起こし、俺はなすすべもなく吹き飛ばされる。
「次はお前らや。」
そう冷酷に男は呟き全員の場所ピンポイントに爆弾を投げつける。
すべての爆弾は全く同じタイミングで爆発し、皆吹き飛んでしまう。
そして、先程まで閃光弾で目を潰されていた奴らが少しずつ視力を取り戻し、復活してくる。
もはや俺達になすすべは無かった。
- まさかの援軍 ( No.87 )
- 日時: 2023/09/23 23:38
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ぐ…おぉ…。」
体を起こそうとするだけでも激痛が走る。
あれから俺達はなすすべもなくボコボコにやられている。
「今日はこいつを殺れば終わりだ。」
そう言い瑠騎にチャカを向ける。
「やめろおぉ!」
そう達規が後ろから折れた槍の破片で刺そうとする。
だが、そんな攻撃が効くわけもなく、男は後ろ蹴りを達規にいれる。
「おっらぁ!」
進はコンクリを持ち男に投げつけた。
男はひらりと見を躱すとコンクリは地面に当たり砕けた。
何の意味もない攻撃のように見える。
だが、それはチャンスでもあった。
この男は毎回自分が攻撃を受けないように必ず躱していた。
それがわかっていた俺はスタートを切りドスで脇腹を刺そうとする。
「いい加減死ねや!」
そうすべてを賭けた一突きをくらわせる。
だが、現実は無慈悲であった。
男は俺の手首を持ち、一回転させる。
「うがあぁぁ!」
その激痛に絶えれず俺は思わずドスを離す。
「先にお前から死ね。」
そしてそのドスを俺に向かい振り下ろす。
「やめろおおおぉ!」
そう龍心が叫びチャカを乱射する。
その内の一弾が上手く当たり、男はドスを離す。
「ちょこまかと…。」
そう男は少しキレ気味で言う。
「お前らが時間を稼いだところで誰も来やしねぇ!」
そう男が懐からまたもや大量の爆弾を取り出す。
「させねええぇ!」
マフラー音と共にそう聞き慣れた声がする。
綾也だ。
その後ろには虎徹も乗っている。
綾也はバイクから片手を離し、チャカを撃つ。
その弾は男の持っていた爆弾に当たりその場で爆発する。
「すげぇ…!」
そう淳平が思わず声を漏らしていた。
土煙が舞い、男が見えなくなる。
その煙から徐々に人影が見えてくる。
「酷いことすんねぇ。」
そうまた男の口角が上がる。
「おっと、来たのは俺達だけじゃねぇぞ。」
そう綾也が言う。
後ろからは大量の隊員達が来ていた。
それは男と他の隊員たちを合わせたとしても遠く及ばないほどの人数だった。
「ッチ…。」
分の悪さを理解したのか男は背を向け歩いていく。
「待て!」
そう蓮が叫びチャカを撃つ。
男は見向きもせずにその弾を全て避けた。
「あいつは…!」
綾也が男の後ろ姿を見て何かを呟く。
「知ってんのか?」
俺はそう聞いた。
「何で奴らがここに…。」
だが俺の言葉など聞いていないようでずっと独りでぶつぶつ何か言っている。
「てか、何でここがわかったんだ?」
そう龍心が虎徹に尋ねている。
確かに、魔異鼓の護衛をすることがわかっていてもここで野宿するということは知らなかったはずだ。
「それは佑樹がお前らのスマホをハッキングしたんだよ。」
ハッキングという言葉には少し抵抗があったが、助かったので文句は言えない。
「とりあえず、帰るか。」
そう綾也が言う。
俺はその言葉の通り怪我をした仲間を連れ、ヤサに帰った。
- 内通者 ( No.88 )
- 日時: 2023/09/26 23:03
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「結局あいつは誰だったんだよ。」
そう俺は綾也に尋ねる。
あの男との戦闘を終え、瑠騎達を北野病院まで連れて行った帰り道のことだった。
「死酢苦…何であいつらがここに…。」
そう綾也は呟く。
「死酢苦って…関東連合の傘下じゃねぇか!?」
そう龍心が声を上げる。
「あぁ。よく知ってるな。」
そう綾也が言う。
龍心いわく、「無限労働時に見つけた。」らしい。
「てか、何で魔異鼓の総長を連れてくんだよ。」
そう綾也が俺達に言った。
「え?俺らに来るようにって綾也さんからメールで来てたんすけど…。」
そう魔異鼓の中で唯一軽症だった進が言う。
「あ?俺は使者を送るようにって言ったが…。」
そう言いながら綾也はスマホをいじり「ほら。」と言い俺達に画面を見してくる。
確かにそこには「使者を送るように」と書いてある文章が映っていた。
「けど俺の方では…。」
そう進もスマホを操作し始める。
「ほら。これ…。」
その画面を見ると今度は「直々に来るように」と読み取れる文が書かれてあった。
「何だ、バグか…?」
そう陽汰が言う。
「いや、他のところでは正常に使えてる。誰かがわざとやってんだろ。」
そう綾也は言う。
「それはつまり…内通者がいるってことか?」
淳平がおそるおそるそう聞く。
「あぁ。恐らくそうだろう。」
綾也は冷静に答えた。
なぜ冷静でいられるのかは謎である。
「関西連合に所属している兼インターネットの扱いが得意なやつと言えば…。」
そう綾也が言う。
「おい。それは佑樹のことを言ってんのかよ。」
そう宗四郎がキレ気味に言う。
「そいつだけじゃねぇよ。」
そう龍心が横から口を挟んだ。
「じゃあ誰…」
「情報屋、幸太郎か…。」
俺は思わず声を漏らす。
「「「!?」」」
その言葉には皆が驚く。
「おい、幸太郎はお抱えの情報屋じゃねぇのかよ?」
そう荒が聞く。
「それでも裏切る可能性がないとは言えん。」
そう綾也は冷酷に言う。
確かに、幸太郎が裏切っていないという証拠はどこにもない。
「このさいハッキリさせるが一番だな。」
そう蓮が言う。
「そーだな。」
そう綾也が言った。
だが、その言葉は少し悲しそうに聞こえた。
「ガキはさっさと帰って寝ろ。」
そう綾也は俺達に言う。
「ガキって…。綾也はどうすんだよ。」
俺はそう問いかける。
「ヤボ用だよ。」
そう綾也はこちらを向いて言う。
暗いため表情は見えない。
だが、その声は何かを決心した声だった。
俺はなんとも言えない不安を感じながら家へと帰った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(火) お悩み相談室復活!龍心と拓海で後輩の頼みを聞く。(前編)
(水) お悩み相談室復活!龍心と拓海で後輩の頼みを聞く。(後編)
(木) 関西連合の中での内通者を探す。思わぬ人物が…!?
(土) 関西連合の皆で寿司パーティ!!
- 後輩の頼み 前編 ( No.89 )
- 日時: 2023/09/28 16:59
- 名前: ミートスパゲティ (ID: 69bzu.rx)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
魔異鼓の護衛から帰ってきて早一週間。
あれからと言うものの、関西連合からは少し休むようにと言われておりすることもあまりない。
どの理由でまたお悩み相談室を再開することになった。
「拓海も龍心も暇でしょ?一緒にしましょうよ。」
そう宗樹が俺たちを半ば強引に誘ってきた。
断ろうとしてもフル無視で強制連行された。
行くしか選択肢ないよな。
(理不尽すぎだろ。)
俺はそう思いながらも仕方なくすることにした。
龍心も不満げで、用事があるや何や言っていたが俺と同じように最後は無理やり連れてこられた。
そして連れてきた当の本人は「ちょっと散歩してくる。」と言い、かれこれ三十分程帰ってきていない。
「あいつ絶対殺す…。」
そう龍心が呟いている。
まぁ、無理もない。
任務を終えつかの間の休息の時間を壊されたのだ。
そう思うのも仕方がないだろう。
「てか、なかなか客こねぇなぁ…。」
そう俺は思わず声を漏らす。
ここに来てから1時間は経っているが誰も来る様子はない。
「あ?誰か向かってきてねぇか?」
そう龍心が言う。
そう言う龍心の目線の先には小4と思われる二人が並んでこちらに向かってきていた。
「あれって…冬弥と千尋だよな…。」
そう龍心が言った。
「誰だ?それ。」
俺がそう聞くと龍心は丁寧に説明してくれる。
なんでも、一度厄介な輩に絡まれていた時に助けてやったらしい。
そこから懐かれて、たまに遊びに行ったりもするとかしないとか。
だが、その二人が何の用だろう。
遊びのお誘いでも今日龍心がここに来るということは誰も知らないはずだ。
「龍心先輩!何でここに…。」
そう龍心が冬弥と説明した方が声を上げる。
「どうしたんだよ。二人で。」
そう龍心が二人に声をかける。
「いや。相談と言うか…。」
今度は千尋と説明された方が話し出す。
「早く言えよ。それとその怪我もどうしたんだよ。」
龍心の言う通り、二人は怪我を負っていた。
しかもかなり深傷だ。
冬弥の方は腕が折れたのか包帯でぐるぐる巻になっているし、千尋の方は松葉杖をついて歩いていた。
「その…俺達喧嘩して…。」
そう冬弥がしぶしぶという感じで口を開く。
「4年の高橋って奴、知ってますか?」
そう千尋が龍心に尋ねた。
「あぁ。聞いたことはある。何でもチームを建設したとか…そうだよな拓海?」
そう俺に話を振ってくる。
ここでかよ。
だが、4年の高橋と言う名なら俺も聞いたことがある。
かなり厄介な奴で、他の学校と揉めたと聞いている。
「そうだと思う。」
まぁ、ここは適当に流しておくのが一番だろう。
巻き込まれんのも嫌だし。
「そいつが急に4年の奴らを片っ端から襲っていって…。俺達は抵抗したんですけど数が数でこの有り様です。」
なるほど、集団リンチか。
数の暴力の恐ろしさはよく分かる。
なんせ、この前の護衛任務でもそうだったからな。
「そいつを殺ってほしいってことか…。」
そう龍心は二人に言った。
「殺るまではちょっと…。」
流石に殺すという言葉には抵抗があるのだろう。
「大丈夫だよ。こいつは人を殺したりしねぇからさ。」
そう俺は言う。
すると二人は安心したように胸をなでおろした。
けどまぁ半殺しぐらいまではするだろうけどな。
「今そいつらはいんのか?」
そう龍心が二人に尋ねる。
「はい。多分ですけど…。」
千尋がそう答えた。
「よし。そうと決まれば早速行くか。」
そう龍心が急に立ち上がる。
「え?でも本当に相当な数がいて…」
そう冬弥が言う。
「大丈夫大丈夫。慣れっこだから。」
そう龍心が言う。
それなら俺はここで退散…。
「もちろん、拓海も一緒にな。」
そう首根っこを掴まれる。
「窒息するぞ。」
俺はそう言い龍心の手を払い除ける。
結局、俺も行くことになんのか…。
まぁ仕方ないけどな。
そう自分に言い聞かせ、龍心達が向かう校舎の方に俺も足を進めていった。
- 作者からのお知らせ ( No.90 )
- 日時: 2023/09/27 17:21
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
こんにちは!
ミートスパゲティです。
いつものこの作品を見ていらっしゃられる方、本当にありがとうございます!!
今日から2日に一回、イラスト掲示板の小説イラストのところに一人ずつ画像を載せていきます。
是非、見てください!
それではまた!
- 後輩の頼み 後編 ( No.91 )
- 日時: 2023/09/28 19:00
- 名前: ミートスパゲティ (ID: idHahGWU)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ここか…。」
俺達は一気に高橋がいる四階まで駆け上がった。
例の教室の前で俺達は少し息を整えながら懐からチャカを取り出す。
今回の依頼はいいらしい。
後で話し合ってみると言っていた。
話し合うって…。
自分達の腕を折ってきた奴とよくそんな事をしようと思う。
まぁ、俺達は依頼人の言うことを聞いていればいい。
そう考えていると龍心がこちらに合図を出す。
俺は軽く頷き中に入る準備をする。
次の瞬間、龍心はドアを蹴破り教室の中に入り込む。
「悪英雄だ!全員手を上げろ!」
少々警察っぽくなってしまったが仕方がない。
これも依頼のためだ。
「笑わせんなよ!」
そうアホなやつが飛びかかってくる。
「相手の力量くらい見極めろ。」
結局その男は龍心のボコボコにされていた。
流石にちょっと可哀想だが、馬鹿なこいつが悪い。
今の光景を見てから誰もかかってこようとしない。
だが、こちらからすればありがたい。
高橋さえ捕縛できればいいからだ。
「高橋を出せ。」
龍心がそう言う。
すると他の奴らが一斉に一人の男の方を向いた。
なるほどあいつが高橋ってわけか。
「そのままこっちにこい。」
俺はそう言う。
だが行ったら何をされるのかわかっているのか、高橋は出てこようとしない。
「どうした?怖くてこれねぇか?」
そう龍心が煽る。
「てめぇ…煽りやがって…!」
頭にきたのか高橋はバットを持ちこちらに向かってくる。
奴の狙いは俺達ではなかった。
そう。後ろにいた冬弥と千尋の二人であった。
「させるか!」
俺はそう言いチャカの引き金を引く。
俺の弾は見事高橋の持っていたバットを弾いた。
高橋は急いでバットを取りに行こうと走り出す。
だが、俺がそれを許すわけがない。
バットを握らせないように急いで走り出す。
それとほぼ同時、龍心もスタートを切る。
龍心の狙いもバットかと思えば全く違った。
そのまま龍心は高橋に飛びかかり絞め技をかける。
「龍心!今回の依頼は捕縛で…」
「依頼ではな。これはあくまで俺の行動だ。」
そう龍心はそれを聞く耳も持たず締め続ける。
すると急に話したかと思うと今度は顔を殴る。
「痛え!」
そう高橋は叫ぶ。
その顔は恐怖で引きつっていた。
「いいねぇ、その顔!」
そう言う龍心の顔は笑顔でいっぱいだった。
完全にサイコパスになってるよな。
いや、そんなことを考えている暇ではなかった。
「やめろ!」
これ以上放って置くと本当に殺してしまいそうだ。
俺は全力で止めようとする。
が、やはり聞く耳を持たない。
「龍心先輩!やめてください!」
「ほんとに死んじゃいます!」
二人も必死に止めようとする。
すると正気を取り戻したのか殴るのをやめた。
「謝れ。」
そう龍心が高橋に言う。
「本当にごめんなさい!」
高橋が龍心に思い切り謝る。
「俺じゃねぇ。二人にだ。」
そう龍心が冬弥と千尋を指さした。
「本当に…ごめん!」
高橋が深々と頭を下げる。
「いいよ。これからはすんなよ。」
「うん。冬弥の言う通り。」
やはりお人好しな二人だ。
高橋はその言葉を聞きワンワン泣いている。
これで良かった。
俺はそう思った。
- 取引 ( No.92 )
- 日時: 2023/09/28 23:06
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「うおおおおお!」
宗四郎がそうゲーム機のボタンを押しまくる。
「拓海もやれええええ!」
淳平はそう俺に向かって叫ぶ。
「はいはい…。」
仕方なく俺もゲームに参加する。
今やっているのは某人気ゲームのような銃撃戦ゲームだ。
ーーーーーーーーーピロリンーーーーーーーーー
スマホの着信音が鳴る。
(何だ…?)
俺はそう思いゲーム機を一度置き、スマホを確認する。
送り主は綾也だった。
「何だろ…。」
俺はそうそのメッセージを確認しようとする。
「拓海相手えぇ!」
そう宗四郎の声が聞こえる。
あ、忘れてた。
ゲーム機を置きっぱなしだったのだ。
「ちゃんとしてくれよぉ…。」
淳平はなぜか泣き気味だ。
「ごめんて。」
俺はとりあえず謝っておく。
いや、今はメッセージを確認するほうが先だ。
ヤサに来てくれ
その一文だけが送られてきていた。
「綾也からヤサに来いって言われたんだが…行くか?」
そう俺が聞くと皆めんどくさそうな表情を見せる。
仕方がない。
俺ひとりで行こう。
「俺も行く。」
そう龍心が立ち上がる。
「俺もやることねぇしな…。」
それに続き陽汰も立ち上がった。
結局、まさに行くメンバーはこの3人になった。
「それにしても何だろうな。」
陽汰がそう言う。
「どうでもいいことだろ。」
龍心はそう答えた。
だが、俺にはどうもそう思えない。
不安な気持ちでヤサに一歩一歩近づいていくのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よく来てくれた。」
ヤサに入ると、そう綾也達が出迎えてくれた。
それだけではなく、レオ、智それに遥輝も待っていた。
「何だよ。こんなメンツで。」
そう龍心が皆に聞く。
「以前言ったと思うが恐らくうちの組に内通者がいる。それを見つけるのを手伝ってほしい。」
そう綾也が言う。
「何で俺達なんだ?」
陽汰がそう尋ねる。
「俺達は大体マークされてる。だからほぼほぼ行動パターンがバレてるんだ。」
智がそう言う。
なるほど。
それならあまり知られていない俺達が適任だろう。
「でもタダではなぁ…。」
龍心がそう悪そうに笑う。
「何だ?武器がほしいのか?」
レオがそう聞く。
「いや…それなら…。」
以前チャカの性能を試すために揉めた「大大阪連合」を滅ぼすのに力を貸してほしいとのことだった。
「「大大阪連合」か…。あいつらは歯向かってくるし丁度いいかもな。」
「大義名分にもなるし。」とか言い軽く承諾してくれた。
それならこちらも約束を守らなければならない。
また明日から忙しくなりそうだ。
俺はそう思った。
- 寿司パーティー ( No.93 )
- 日時: 2023/10/01 22:46
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「お前らにはよく働いてもらった!ってことで…。」
レオがそう言い、手を合わせる。
「寿司パーティーだ!!いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
そう回転寿司で叫ぶ。
周りの人に見られまくっているがお構い無しだ。
「マグロうめぇ!」
そう淳平が豪快に一口でマグロを食べる。
横にいる龍心は黙々と寿司を食べ続けていた。
もうすでに結構な量を食っている。
(意外と大食いなんだな。)
そう思いながら俺も好きを頼む。
今日の寿司パーティーはレオ達が日頃の疲れを癒やすために企画したパーティーだ。
その他にも他の奴の顔も覚えておきたいとのことだった。
他の奴とは、宗樹達がお悩み相談室で集めた他のメンバーのことである。
実は俺ももう二人のことは知らない。
誰かと思い少し期待している。
「ん、ほおときまひた。」
そう宗樹が口に寿司を頬張りながら何かを言っている。
まぁ、何を言っているのかは全くわからないが。
「悪英雄って…ここですか。」
そう一人の男子が俺に尋ねる。
「颯太!」
俺はその男に見覚えがあった。
同じ6年の知り合いだ。
「拓海!悪英雄だったんだ…。」
颯太は少し驚いたような素振りを見せる。
驚きたいのはこっちもだがひとまず颯太を席に座らせる。
その後ろにちょこんといた小さな女の子は颯太の妹らしい。
颯太と一緒に入ったとか。
大丈夫なのか…。
俺は少しそういう不安を抱いている。
そしてそのさらに後ろにいた男二人組が冬弥と千尋だ。
この二人はこの前の依頼で会ったことがあるため知っていた。
「え?四人だけ?」
そうレオが不思議そうな顔をする。
逆に後何人来ると思っていたのか。
てか、もう椅子ギュウギュウ詰めだし。
「お前ら、どんな集め方してんだ?」
綾也がそう尋ねてくる。
俺は相談室制度について話すとレオ達が皆顔を見合わせる。
「そんなんじゃいつまで経っても増えねぇぞ?」
遥輝がそう呆れたように言う。
「じゃあどうすればいいんだよ。」
宗四郎がそう問いかけた。
「関西連合とか大きなチームになってきたら張り紙だけで1日で10人は集まる。」
そう智が言う。
1日で10人…。
俺達は一ヶ月ほどかけてようやく4人なのに…。
だが、関西連合程の知名度はない。
地道にやるしかないな。
俺はそう思いレーンに流れてきた寿司を取る。
「うまい。」
思わず声が漏れる。
回転寿司など久しぶりに食べた。
恐らく最後食べたのが父親とだろう。
「父さん…。」
今どこにいるのだろう。
この世にいるかもわからない。
だが、必ず会えるということだけ信じている。
俺は他の寿司を食べる。
(何か…辛い?)
気づいた時にはもう遅かった。
舌中に辛さが走り鼻がツーンとする。
わさびだ。
誰がいれたのか。
俺はそう思い周りを見渡す。
陽汰と龍心は無言で食っているし、蓮も荒も宗四郎も寿司を食っていた。
淳平はなぜかラーメンをすすっているし、関西連合のメンバーと新参四人ははまずまず手が届かない。
となると残っているのは一人だけ…。
すぐ隣を見てみると宗樹がわさびを持って笑っている。
「てめぇ…。」
俺は怒りが爆発しそうなのをこらえる。
宗樹はニマニマしながら寿司に手を伸ばす。
そしてその寿司を口に入れた瞬間宗樹に異変が起こる。
「かっっっっら!」
そう宗樹は水を一気に飲み干す。
今度は龍心が宗樹の寿司に大量のわさびを塗っていた。
このわさび合戦が続きすぐにお開きの時間になってしまった。
今日は関西連合の奢りらしい。
「そのかわり、この前みたいな時はすぐに来てくれよ!」
綾也がそう俺の肩を叩く。
「そんなことがなければいいがな。」
俺はそう言う。
こうして、俺達の少しの間の楽しみの時間は終わったのであった。
- 噂 ( No.94 )
- 日時: 2023/10/10 22:58
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「なぁ、知ってるか。」
「何をだよ。」
「この組に裏切り者がいるらしいぜ?」
「そんなまさか。」
そう男達の話し声が聞こえる。
「俺も聞いたぞ。なんたって、他の組に情報を渡してるとか。」
「エゲツねぇ奴だな。」
そんな会話を遠くから見つめていた一人の男が笑う。
「ほらな。すぐ広まった。」
そう言ったのは龍心だ。
「本当に。気持ち悪いほどすぐ広まりましたねぇ。」
俺達はレオ達からのお願いで、関西連合内の裏切り者を探すことになった。
だが、一人ひとりに聞き込むのも面倒なので何かいい案がないかと考えていた時に龍心がだしてくれた案がこれだ。
まず、一人に裏切り者がいると言う。
するとそいつも他の奴にその事を言う。
そして次々広まっていくという作戦だった。
初めはそんな上手くいくはずないと思っていた。
だが、その予想は外れ、見事作戦は成功した。
「けどこれじゃあ皆に噂が広まるだけで裏切り者は見つからねぇぜ?」
そう宗四郎が言う。
確かに。そんな噂を流すだけならば裏切り者は出てくることはない。
「まぁ。あと1日待ってみろ。」
龍心はそう悪そうに笑った。
龍心のことだ。何か考えがあるのだろう。
俺はそう思うことにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
龍心が言ったその翌日、早速変化が起こり始めた。
何故か噂がピタリと止んだのだ。
陽汰が聞きに行った所、誰かに「その噂はデマだ。」と言われたらしい。
レオや綾也、幹部の皆はともかく、他の奴もそんな事を言ってメリットがあるとは思えない。
ということは…。
「誰が消してんな。」
そう蓮が呟く。
蓮が言った通り誰かが自己的にやってるとしか思えない。
「こっからは聞き込み祭りだ!」
そう龍心が言う。
皆明らかに嫌そうな顔をしたが、契約なのでしないといけない。
「しゃーねぇな。」
そう皆が聞き込みを始める。
嫌そうにしていたが、意外と皆真面目に取り組んでいた。
そして聞き込みが始まり3時間ほど。
集まった情報を整理するために皆を集める。
そして皆が言う奴を順番に並べていけば、黒幕にたどり着けるという作戦だった。
龍心が無言で作業を続けること数分。
龍心は驚いたような顔で1枚の紙を見つめる。
そこにはレオ達から貰った組織図の一つに大きな丸がつけられていた。
「おいおい…こいつって…。」
その人物は俺達が予想にもしないような人だった。
- 犯人 ( No.95 )
- 日時: 2023/10/12 23:20
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「最後にもう一度聞くが、本当に噂を消せっていう命令はだしてないな?」
そう俺はレオに聞く。
今俺達は聞き込みの結果を霊体に報告しに行っていた。
「あぁ。神に誓う。」
そうレオは答えた。
「俺らが聞き込みでたどり着いた犯人が…こいつだ。」
そう1枚の写真を取り出す。
「おいおい…。」
そう綾也は予想もしていかったという声を出す。
「噓だろ…。」
智さえもそう言っていた。
その写真に写っていた人物。
それはそう。泉幸太郎だった。
「こいつならたしかに情報を持ってるな。」
そう遥輝が言った。
「今から幸太郎のところに行ってくるけど…。」
そう言いレオ達の方を見る。
二人共頭を抱えていた。
「すまん。今は無理だ…。頭がおかしくなりそうだ。」
そう綾也が答えた。
レオに関しては幸太郎を人一倍信用していた。
ショックがかなり大きいようで、黙ったままうつむいている。
「おい。行くぞ。」
そう宗四郎が俺の方を叩いた。
「あぁ。」
宗四郎は単純なように見えて、実はちゃんと周りの奴のことも見ている。
今回の行動はレオ達の事を考えてだろう。
「それじゃあ行ってくる。」
そうレオ達に伝え、俺達は幸太郎の下へと向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
予め幸太郎には来るようにと言っておいた。
もしここで逃げたとしたら確信犯だろう。
俺は複雑な気持ちを抱え、約束の場所へ向かう。
「よ。」
だがそこには当たり前のように幸太郎が立っていた。
俺は少し驚いたが平静を保つ。
「単刀直入に言う。噂を消すように言ったのはお前か?」
そう俺は幸太郎に向かって言った。
「あぁ。俺だ。」
幸太郎は否定する素振りもなくそう答えた。
「何でそんなことしたんだよ。」
そう荒が尋ねる。
「だって。俺は裏切り者じゃねぇからな。」
幸太郎はそう答えた。
「情報を流したってのは?」
そう龍心が問いかける。
「……それは本当だ。」
少し間を開け幸太郎がそう言った。
「やっぱり裏切ってんじゃねぇか!」
宗四郎がキレ気味に言う。
「すまん。だが、関西連合を裏切るつもりじゃなかったんだ。」
そう幸太郎が言った。
「そんな言い分、信じれるはずがねぇ…」
「おーい!兄ちゃん!」
そう聞き覚えのある声が宗四郎の声を遮る。
「佑…樹?」
兄ちゃんと言っていたのは佑樹だった。
「ちょうどいいところに。」
幸太郎がそう佑樹に言う。
「あれ?皆?ってこれどういう状況…。」
佑樹はこの状況を理解できていないらしい。
「俺は佑樹に頼んで情報を流した。けどそれは妹のためなんだ。」
そう幸太郎が言った。
「妹の…ため?」
俺は訳がわからず思わず声を漏らす。
「俺と佑樹には妹がいる。その妹を助けたかったんだ。」
そう幸太郎が言った。
「俺と佑樹って…佑樹は関係ねぇだろ。」
そう淳平が言った。
「いや、同じ妹…こう言ったほうがわかりやすいか。俺と佑樹は兄弟…いや、兄弟だったんだ。」
「は?」
突然の告白に場が呆然とする。
「兄弟だったってのは?」
龍心が冷静に尋ねた。
「俺らの親が離婚した時、離れ離れになった。だから名字が違うんだ。」
確かに。それならさっき佑樹が幸太郎に向かって兄ちゃんと言っていたのも辻褄が合う。
「頼む。自分勝手だというのは重々承知だ。俺達の妹を…救ってくれ!」
そう幸太郎が頭を下げる。
それを真似て佑樹も頭を下げた。
「……わかった。レオ達に言っておく。」
レオ達がどのように言うかはわからない。
だが、俺もその気持ちをわからなくはなかった。
なぜなら俺…いや俺達だって同じ理由で暴走族になったのだから。
幸太郎がやったのは許されないことだ。
だが、俺はレオ達がそれを許してくれるよう心の中で願っていた。
- 説明会 ( No.96 )
- 日時: 2023/10/14 23:11
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ってわけで幸太郎は情報を流したらしい。」
そう幸太郎に言われたことを全てレオ達に伝える。
「妹のために…。」
そう綾也は小さく呟く。
ブラコンの綾也だからこそ共感できることもあるのだろう。
「幸太郎と会ってくる。」
そうレオは立ち上がった。
「それなら俺達も…」
「一人で行かせてくれ。」
そう智が言おうとしたがレオがその言葉を遮った。
「……わかった。」
智は渋々といった様子で椅子に座った。
レオは無言でスタスタ歩いて行く。
俺は気になりそのままバレないようについて行く。
もちろんその後ろからは龍心達もついてきていた。
レオは幸太郎が待っている部屋の前まで来て一度立ち止まった。
そして息を整えるとその中に入っていく。
俺は気になり扉の隙間から中の様子を伺う。
「…レオ…!」
レオを見た幸太郎がそう言う。
「お前が情報をバラまいたんだって?」
レオは強い口調でそう言う。
表情は見えないが怒っていることは確かだった。
「そのことは本当にすまなかった!」
そう幸太郎が深々と頭を下げた。
「いくら妹のためだからって勝手に情報をバラまかれたら困る。」
そうレオは言う。
「っ…!」
幸太郎は何も言わずに唇を噛み締めた。
「だが、お前という存在はうちの組には必要不可欠だ。だからな…」
レオは急に優しい口調になり幸太郎に歩み寄る。
「これからも頼むぞ。」
ということは許してくれたということだろう。
それを見ていた俺はそっと胸を撫で下ろす。
龍心達も同じように少しホッとしていた。
「ありがとう……!」
そう幸太郎はボロボロと泣き崩れる。
「おいおい。そんな泣くなよ〜。」
そうレオは笑いながら幸太郎の肩を叩いた。
「もうこんなことすんなよ。」
レオはそう言った。
幸太郎はまだ泣き続けていた。
「それと…。」
そう言い急にレオが俺達が隙間から見ている扉の方を睨む。
俺は反射的に引っ込んでしまった。
「そかにいるんだろ。出てこいよ。」
いつからかはわからないがバレていたようだ。
「完璧な作戦だったはずなんですけどねぇ…。」
そう宗樹がノコノコと出ていく。
「嘘つけ。お前作戦も何もなかっただろ。」
それに続き宗四郎も出ていってしまった。
「お前らならやると思ったよ…。」
そうレオが頭をポリポリかく。
「それと、お前らもな。」
そう言いレオは俺達の後ろを睨んだ。
「な、隠れるのは無理だって言ったろ。」
気づけば後ろに綾也がいた。
「拓海達はともかく、何でお前らもいんだよ…。」
そうレオはやれやれだといった様子で首を振った。
「俺はやめとこうって言ってたんだけど智がどうしてもってさぁ〜。」
そう遥輝が明らかな嘘をつく。
「は?お前が行こうって言ったんだろ!」
智ももちろん反抗する。
こうやって見てるとあまり俺達と変わらない気がした。
「ところで、幸太郎の妹は何されてんだよ。」
そう陽汰が尋ねた。
「大大阪連合の奴らに誘拐されちまったんだ…。」
そう幸太郎は悔しそうに言う。
「!!」
それに一番に反応したのは綾也だった。
「それはちょうどいい。奴らを潰すための大義名分を考えてたところだ。」
関西連合は俺達との契約で内通者を探る代わりに大量の武器と大大阪連合の処分を約束していた。
そんな関西連合にとって仲間の身内が誘拐されたというのは好都合だった。
「てか、まず大大阪連合ってどこの奴らなんだよ。関西連合の傘下でなければ関東連合の傘下でもないんだろ?」
そう龍心が聞く。
確かに。いくら連合レベルの組と言えど関西連合との差はかなりある。
後ろに誰かいるのは当然だろう。
「それが一番厄介でなぁ…。」
そう智が苦虫を噛みつぶしたような表情になり言う。
「お上の回し者なんだよ。」
そう遥輝が言った。
「お上?」
俺は聞き覚えのない言葉を聞き、思わず声を漏らす。
「それは何かの組か?」
そう蓮が尋ねる。
だが、その問いには遥輝が首を横に振るだけだった。
「この際だから説明しておく。」
そう綾也が言った。
「暴走族の頂点は知ってるか?」
そう綾也が俺たちに問いかけてくる。
「関西連合…いや、関東連合か?」
そう荒が答えた。
「もっと上がいる。それがお上達の「COJ」だ。」
そう綾也はまたしても聞き覚えのない単語を挙げる。
「そのしーおーじぇい?ってのは何なんだよ。」
そう淳平が聞く。
「conqueror of japan。略して「COJ」だ。直訳すると「日本の覇者」って意味だ。」
随分と壮大な名前だなと思う。
「で、そいつらの何が厄介なんだ?」
俺はそう問いかける。
そこそこ大きい連合だとしても関西連合は日本トップクラスに大きい組だと聞いたことがある。
それ以上の組などなかなかないだろう。
「全暴走族界の頂点。いわば天皇や朝廷みてぇなもんだ。」
そう綾也が答えた。
「全暴走族の…頂点…?」
あまりにも壮大すぎて頭が追いつかない。
「まぁ、そんなところだ。」
そんなところだ。じゃない。
(そんなやべぇところに喧嘩売りに行こうとしてんのか…。)
俺は思わず頭を抱える。
「明日、大大阪連合を早速潰しに行く。お前らもついて来い。」
そうレオから集まるよう命令がかかる。
まさか戦わされるのではと思い俺は思わず顔をしかめる。
「そんな顔したって戦えとは言わねぇよ。」
そうレオが笑いながら答えた。
「お前たちにとってもいい経験になると思うしな。」
そうレオは言った。
後ろではいかにも怪しそうな綾也と龍心の取引が行われていた。
まぁ、チャカを渡しているところだから怪しいのだが。
「ま、何でもいいから絶対来いよ。」
そうレオに言われ追い出された。
なんて自分勝手な奴だと思う。
だが、レオがそこまで言うものだというのは少し期待していた。
俺は変な気持ちで家に帰った。
- 戦 ( No.97 )
- 日時: 2023/10/16 23:15
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「よぉ。遅かったじゃねぇか。」
ヤサに着くやなんやレオがそう言ってくる。
「遅かったって…。」
細かい時間などは知らされていなかったから遅れないように6時には行こうとなり全員でかなり早く来たのだが、関西連合のメンバーは皆もう準備を終わらせていた。
「もう行くぞ。ほらお前らもこれ持て。」
そう遥輝が言い、一人ずつに木製サブマシンガンを手渡してくる。
「これって俺らにも戦えってことじゃ…。」
淳平はそうおそるおそる言う。
「バーカ。そんな物騒な事させねぇよ。」
そう綾也が言う。
今までに何度もさせられてきたのだが…。
そう言いたい気持ちをぐっと抑える。
「ほら。乗った乗った!」
いつの間にか単車に乗っていたレオがそう急かしてくる。
俺は「ほら。早く。」というレオの言葉に従い、レオの後ろに乗せてもらう。
龍心達も綾也や他の組員達の後ろに乗せてもらっていた。
「ヘルメットだけは被っとけ。」
そう手渡されたヘルメットを反射的に受け取ってしまう。
「そんなスピードださねぇならいらないんじゃ…。」
そう俺は聞く。
「バカ。飛ばすぞ。しっかり掴まっとけ!」
そうレオが言いエンジン音を鳴らす。
「おい。バカちょっと待てええええぇ!」
俺の声は虚しく風に消えていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「最悪だ…。」
単車から降ろしてもらった宗四郎がそう言った。
下道で飛ばしに飛ばしまくって終いにはスピード違反で警察に追いかけ回されるは散々な目にあった。
「てかお前ら免許持ってんのかよ。」
そう龍心が尋ねる。
「持ってねぇに決まってるだろ。」
そう綾也はあっさり答えた。
よくよく考えたら当たり前だな。
まずまず未成年だし。
これで警察に捕まったら未成年運転、二人乗り、スピード違反と道路交通法違反しまくってるし、それ以外にもいろいろやってるから少年院は確定だろう。
「止まれ。」
とかまぁ、いろいろ考えていると綾也の声を発する。
俺らは命令通り止まり、綾也は他の奴らにいろいろな命令を下していた。
「おいおぃ。組員達どっか行っちまいましたよ?」
そう宗樹が不安そうに言う。
「これも作戦だ。」
そうレオはニカッと笑う。
そこから見える白い歯はとても眩しかった。
「この配置は…魚鱗の陣か?」
少し遠くから様子を見ていた龍心がそう呟く。
「よくわかったな。」
そう綾也が答えた。
「てかさ、おかしくね?こんな近くにいるのに何で大大阪連合の奴ら出てこねぇんだよ?気づいてねぇのか?」
淳平がそう言う。
確かに。ヤサの目の前でこんな大人数が移動しているのに何故気づかないのだろう。
「気づいてるよ。恐らく奴らも中で陣を立ててるんだろ。」
そう智が言った。
「そろそろ行くぞ!」
そうレオが叫ぶ。
その声で皆が一斉に入っていった。
「今から連合対連合の戦い方を見せてやるよ。」
そうレオは言う。
見せたかったと言っていたのはこれだろう。
だが、俺達はまだそんな人数もいないのだが…。
そんなことを考えているうちに皆が次々と中入っていく。
「行くぞ。」
そう言う龍心の声に反応し、俺も中へと入った。
「オラっ!」
「死ねっ!」
「守れ!陣を崩すな!」
中に入ると大勢の奴らが叫んでいる。
「相手は方円の陣…まずいんじゃねぇのか?」
そう龍心は不安そうに綾也に聞く。
「何で不安そうにしてんだよ。」
そう宗四郎が問いかけた。
「魚鱗の陣は正面突破に長けてるが側面からの攻撃には弱えんだよ。対する方円の陣は円形の陣。俺らを飲み込んで袋の鼠にしたいようだがそう簡単にはさせねぇよ。」
そう綾也が軽く説明する。
「けどこのまま待ってても側面から破られて終わりだぞ!?」
龍心はそう不安そうに言う。
龍心がここまで焦るとは珍しい。
それほどのことなのだろう。
「まぁ待て。今に見とけよ。」
そう綾也は自信ありげに言う。
「別動隊!今だ!」
そう綾也の甲高い声に思わず耳を塞ぐ。
その命令でどこから現れたのかわからない組員達が側面の奴らを背後から撃退していく。
だが、数が多いからかなかなか打ち破れそうになかった。
これもレオ達が言っていた「お上」の仕業なのだろう。
「けどな、戦はそこが目的じゃねぇんだよ。」
そう綾也が呟く。
綾也の目線の先を見るとそこでは一人の小柄な男が大柄の男を倒していた。
そのうちの小柄な男はよく見るとレオであった。
「お前らの総長は俺が倒した!速やかに降伏せよ!」
そう叫ぶレオの声に反応し皆次々逃げていく。
「す、すげぇ…。」
こんな大きな戦いを一瞬で終わらせてしまった。
「どうだ?面白かったか?」
そう綾也がこちらを向き聞いてくる。
「まぁな。けど、俺達はまだまだこんなことしねぇと思うけどな。」
俺がそう言うと綾也は小さく笑っていた。
ここから敵の総長を叩き起こして降伏させ、正式にこの領地を渡すことを証明させるなどやることはまだまだ沢山あるようだが、俺達は特別に返してもらった。
「すごかったなぁ〜。」
帰り道の途中、荒がそう声を漏らす。
「てか、レオ強すぎだろ。」
そう陽汰が言った。
それには本当に同情する。
地方連合の総長だからそれなりの強さなはずだが気づかないうちに一瞬で倒してたからな…。
「そういや最近見ねぇけど虎徹は?」
そう蓮が急に話を逸らす。
「あいつは完全に豊崎の奴らを統一したらしい。そろそろ会いに来るって。」
最近忙しくて完全に忘れていた。
一人で学校中制覇って…。
まぁあの強さだからあり得るか。
なんとなくだが、また忙しくなりそうな気がした。
- 誘拐 ( No.98 )
- 日時: 2023/10/17 23:13
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「…んでさ。」
俺の名前は永瀬龍心。
レオ達に戦いを見せてもらった1週間後、俺はつかの間の平和を楽しんでいた。
今は友人の田口虎徹、冬弥と千尋と拓海達と待ち合わせしているところまでバスで移動していた。
「もうそろそろじゃないっすか?」
そう千尋が声を出す。
「そろそろ降りるか。」
そう俺は言う。
そして皆立ち上がり、順番に精算していく。
バスの運転手のおっさんに軽く会釈してからバスを降りる。
「ここからは歩きだな。」
そう虎徹が言う。
「この調子なら10分以内に着きそうっすね。」
そう冬弥が言った。
バスを降りてからずっと真っすぐ行った所に拓海達と待ち合わせしているところがあった。
「正式に豊崎占領したからな。その報告しに行かねぇとダメだよな。」
そう虎徹が呟く。
「お前は真面目すぎるっつーの。そんなんしなくてもいいのによ。」
俺はそう言った後、小声で「まぁその方がありがたいが。」と付け足す。
「それにしても一人で学校中制覇ってすごいっすよね〜。」
そう千尋が言った。
「ほんとほんと!俺等じゃ到底無理っす!」
そう冬弥も重ねるように言った。
「そんな褒めても何も出ねぇぞ?」
そう虎徹は言うが顔は嬉しそうな表情をしていた。
(何だ…?この気配?)
俺は急いで後ろを振り返る。
誰かに見られているような気がしたからだ。
虎徹を見てみるも何も感じていなさそうだ。
もちろん。冬弥と千尋もだ。
だが、やはり見られている気がする。
俺は注意しながら道を進む。
少し細い道に入った時、その気配はより大きくなる。
「今だ!龍心を捕まえろ!」
そう聞いたことのある声がする。
「何だ!?」
俺と虎徹は瞬時に反応する。
少し遅れて冬弥と千尋も反応した。
だが、反応した時にはもう遅い。
大勢の奴らが飛びかかってきていた。
俺は瞬時に横蹴りをかます。
虎徹はぶん殴ってふっ飛ばしていた。
相変わらずどんなパワーしてるんだよと思う。
だが、こんな狭い所で、しかも大勢に襲われてしまったら勝ち目がない。
ふと後ろを見ると冬弥と千尋が殴られかけていた。
二人共尻餅をついて動けない。
「オラっ!」
俺は瞬時に駆けつけその腕を弾き返す。
だが、そこに隙が生まれ取り押さえられてしまう。
「龍心!」
そう虎徹がこちらに駆け寄ろうとしてくる。
「逃げろ!」
俺はそう叫んだ。
「龍心を捕まえろ。」ということはあくまで俺が目的なのだろう。
「でも…。」
虎徹は何か言いたげだ。
「でもじゃねぇ!拓海に伝えてくれ!」
俺はそう必死に訴えかける。
俺の気持ちが伝わったのか、虎徹は冬弥と千尋を連れ走り出す。
「もう誰もいねぇよ。さっさと出てこいよ。」
俺は先程命令し誰かに向かって取り押さえられたまま問いかける。
「久しぶりだな。」
そう一人の男が後ろから出てきた。
「お前は…!」
俺はそう言おうとしたが首根っこを叩かれ意識を失ってしまった。
- 最悪の予想 ( No.99 )
- 日時: 2023/10/19 22:58
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「龍心の奴ら遅いなぁ…。」
俺は思わずそう呟く。
虎徹が正式に豊崎を治めたということで報告しに来るので連れてくるという話だったのだが、待ち合わせ時間をとうに超えているのに来る様子は無かった。
「何かあったんじゃねぇか?」
そう荒が心配そうに言う。
「どうせただの遅刻でさぁ。まぁ万が一何かあってもあの龍心だ。大丈夫でしょう。」
そう宗樹が言う。
確かに。簡単にやられることはないと思うが…。
「やっぱ不安だよなぁ…。」
あの龍心だ。
遅刻することなど滅多にない。
結局俺は不安な気持ちで待つことになってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから30分後、結局龍心は来ない。
「本当に今日来るように言ったのか?日にち間違えたんじゃねぇの?」
陽汰がそう聞いてくる。
「あぁ。確実に今日だ。朝、龍心にも連絡を入れた。」
そう俺は答える。
「クッソ!電話も出ねぇぞ?」
そう電話をかけていた宗四郎がそう言う。
「おいおい。これそろそろ本当にやべぇやつなんじゃねぇの?」
淳平がそう言う。
「縁起でもねぇ事言うなよ。」
そう蓮が言った。
「いや。案外あり得るかもだぞ。」
そう陽汰は言う。
「あれ?案外ガチな感じ?」
淳平は冗談で言ったようだが、他の皆はかなり不安に感じていた。
「おーい。遅れてごめん!」
そう颯太がこちらに駆け寄ってくる。
ちなみに今回は妹は来ていない。
それを見て宗四郎が何かを思いついた様子を見せる。
「颯太。お前家豊崎の方角同じだったよな?」
そう颯太の肩をガシッと掴み宗四郎が言った。
「え?そうたけど…。何で?」
訳がわかっていない颯太は混乱している。
「来る時龍心達見なかったか?」
そう宗四郎が興奮気味に聞く。
「見てないよ。」
「そっか…。」
そう颯太が答えると宗四郎は頭を抱える。
「龍心君に何かあったの?」
そう颯太が聞く。
「龍心が来ねぇんだよ。もしかしたら何かあったんじゃないかって。」
「何かあった…。」
そう宗四郎が答えると颯太は何かを思い出したように考える素振りを見せる。
「何か思い出したか!?」
そう宗四郎が食い気味に聞く。
「関係あるかわからないけど、路地で喧嘩してる人達がいたなーって。大柄な人と小さい子二人と皆と同じくらいの人が一人。」
そう颯太が言う。
「それって…。」
そういい宗四郎が俺の方を向いてくる。
「あぁ。龍心達の事だな。」
恐らく大柄な奴は虎徹、ちっこいの二人は冬弥と千尋。そして俺らと同じくらいの背の奴が龍心だろう。
「拓海!」
そう大声を出しながら寄ってくる奴がいる。
「虎徹!?」
そう俺は驚きの声を上げた。
「どうしたんだよ。そんな焦って走ってきて。」
そう陽汰が声をかける。
後ろには冬弥と千尋もいた。
「龍心が…誘拐された!」
「!!!」
俺達の最も当たってほしくなかった予想は当たってしまった。
「とにかく、急いで助けねぇと!」
俺らはそう言い、走り出した。
- 拉致 ( No.100 )
- 日時: 2023/10/21 00:04
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ぅあぁ…。」
眠りから覚めた俺はそう唸り声を出し、体を起き上がらせる。
(ここは…?)
そう思い周りを見渡す。
そこは薄暗く灰色の壁と所々何かを加工する機械のようなものが置かれていた。
もう使われていない工場か何かなのだろう。
(そうだ…俺はあいつらに捕まえられて…。)
何故自分がこんなところにいるのか、少しずつ思い出してきた。
"奴ら"に捕まえられ、ここに拉致られたのだろう。
ここに虎徹達がいないということは恐らく逃げ切れたのだろう。
それだけは不幸中の幸いだ。
「とにかく、ここから逃げねぇと…。」
そう俺は手足に縛られた縄を解くためにジタバタと動くが、縄は外れそうにない。
「お目覚めか?」
そう一人の男がドアを開け、部屋の中に入ってくる。
「いつ見てもムカつく面してんな。」
俺はその男を軽く挑発する。
「それはお互い様だ。」
男は俺の挑発を受け流し、そのまま近づいてくる。
「涼…。何のために俺を拉致る?」
俺はそう男…いや、元扇堀豊連合軍の総大将の一人であり天使の総長、長澤涼に尋ねる。
「単純な話だ。お前ら悪英雄をぶっ壊すためだよ。」
そう涼は俺の前に座り言う。
なるほど。俺を人質に取ったって訳か。
だが、俺はスマホもポケットにあることは確認済みだ。
「甘いな。あいつらはすぐここを特定して来るぞ。」
幸太郎も佑樹もいる。
幸太郎は情報屋のため、殆どの情報は耳に入るはずだ。
そしていざとなれば佑樹が俺のスマホをハッキングして特定してくれるだろう。
「それを利用するんだよ。」
そう涼は俺の予想していた斜め上の答えを出す。
「お前、永瀬龍心という存在は悪英雄にとって必要不可欠。必ずお前の仲間はお前を助けに来る。」
「そこであいつらを潰そうってわけか?無理に決まってんだろ。あいつらはお前らなんかに負けねぇ。」
「当たり前だ。俺だって奴らに勝てるなんて思っちゃいない。そのためのお前だ。」
そう涼は言い終えると懐から何かを取り出す。
「おいおい…。」
嫌な汗が流れるのがわかる。
涼が懐から取り出したもの、それは紛れもない刺身包丁だった。
「これでお前の首を跳ねるか、悪英雄を解散するか。奴らに選ばせてやる。せいぜい楽しみにっているんだな。」
涼はそう言うと部屋から出ていく。
(さっきの刺身包丁。何か引っかかる…。)
俺はそう考えを巡らせる。
だが、少し経つとそれが無駄だということに気づいた。
今は何もできないのだから。
「今は気長に待つしかねぇよな。」
そう俺は思い、縄を解くことを諦めて再びコンクリートの硬い床に寝転んだ。
- 目印 ( No.101 )
- 日時: 2023/11/07 22:28
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
その時、俺達も龍心を探し回っていた。
「走ってんのはいいんですけど…本当にこっちであってるんですかぃ?」
そう宗樹が虎徹に聞く。
「うん。多分だけど…。」
そう虎徹は小声で答えた。
多分って…。
一番信用性のない言葉だな。
俺はそう思いながらも戦闘を走る虎徹について行く。
かなり細い路地に入ったり曲がったりと、完全に迷路状態に陥っていた。
「あ!ここだ!」
そう突然虎徹が足を止め、言う。
「確かに。さっきまで誰かいたんだろうな…。」
そう蓮が言う。
蓮の言う通り、そこには誰かがすぐ先程までいたことを表す物があった。
ヤニだ。
まだ火はついたままで恐らく捨てられて5分も経っていないだろう。
「やっぱここにいたのか…。」
先程虎徹に龍心を誘拐したのは涼達だと聞いている。
となると扇堀豊連合軍の奴らか天使の奴らだろう。
前者のメンバーはあまり知らないが後者なら少し知っている。
俺が知る中で涼達の仲間でヤニを吸う者…。
「流加…。」
恐らくそいつだろう。
うちの学校の中でヤニを吸っている唯一の人物だ。
それに、流加は涼達とも仲が良かったような気がする。
「けど、ここにいたのはわかってもそっからどこ行ったかだよなぁ…。」
荒がそう呟く。
荒の言う通り、痕跡はここまででどこに行ったかはわからないからだ。
「ん?」
そう陽汰が声を出す。
「どうしたんだ?」
宗四郎がそう尋ねた。
「何か甘い匂いしねぇか?砂糖みたいな…。」
そう陽汰が言う。
確かに、少し甘い匂いがするような気もした。
「この液体からかな…。」
そう颯太が言う。
そこには何かが溢れて濡れたアスファルトがあった。
「確かに…これからですねぇ…。」
そう宗樹が地面に鼻を近づけ匂いを嗅ぐ。
てか、抵抗もなくよくそんな事できるなと思う。
「本当だ。コーラみたいな匂いするな。」
そう淳平も同じように匂いを嗅ぐ。
「コーラ…。」
そう冬弥が呟く。
「そういや、龍心先輩さっきまでコーラ飲んでました!」
そう千尋が思い出したように言う。
「本当か!」
俺は思わず食い気味なって聞く。
もしそれが本当ならかなりのヒントになるからだ。
「はい。絶対です。」
そう千尋が確信したように言う。
「それならこの後を辿って行ったら龍心の所に着くってことだよな。」
そう陽汰が言う。
「あぁ。多分な。」
幸いなことにまだまだ奥に同じような後が続いていた。
「けど、それだけじゃわからなくない?たまたま違う人が溢したって可能性もあるし…。」
そう颯太が言う。
「言われてみればな…。」
俺は思わずそう言う。
冷静に考えてみれば確かにそれだけでは証拠として薄い気もした。
「なぁ…これ矢印みたいになってねぇか?」
そう荒が言う。
確かに、言われてみれば矢印に見えないこともない。
「ほら、それにこっちも。あれも…。」
そうその先にある溢された所も次々と見に行く。
「本当だ…。」
荒の言う通り、全て矢印のような形をしていた。
「それじゃあさ、これ辿ってけば龍心とこに着くんじゃね?」
そう淳平が言う。
「多分な。」
他の奴が何の理由もなくそんな事をするとは思えない。
それに、もう時間があまりなかった。
「急がねぇと何されてるかわかんねぇ。早く行くぞ!」
俺はそう皆に言う。
皆、首を縦に振りその矢印を辿って行った。
だが、俺達はこの時はまだ知らなかった。
これが罠だということに。
- 涼達の作戦 ( No.102 )
- 日時: 2023/11/03 22:43
- 名前: ミートスパゲティ (ID: okMbZHAS)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
一方その時、龍心は考えていた。
(奴らは何が目的だ…?俺を人質にしての悪英雄の解散か?いや、それならスマホは持たせてねぇはずだ。)
そう俺は一人でグルグル頭を回転させていた。
「龍心。来い。」
そう外で見張っていた一人の男に言われる。
そう。中筋流加だった。
「てめぇ。ヤニ臭ぇんだよ。」
俺はそう言いながらも奴に言われた通り、奴の元に行く。
両手が縛られた今、戦っても勝ち目はないだろう。
流加は煙草を吸いながら俺の前を歩いていく。
そして階段を登り始めた。
それからすぐ、屋上までたどり着きそこで待っておくように指示された。
そして涼がこちらに寄って来た。
「龍心。今からお前の目の前でお前の大切なもんがぶっ壊れるんだ。よく見とけよ。」
そして俺に向かいこう言った。
「は、訳わからねぇこと言ってねぇで早く開放しやがれクソが。」
そう俺は言い返した。
「ハッ。強きだな。だがそれがいつまで続くかな。」
そう言うと涼はまたどこかへ行ってしまった。
そして見張りがいなくなったと同時に俺は少し周りを確認する。
(当たり一面柵だらけ。両手が使えねぇから登ることすらできん。てかまず、一応4階だからな…。ここに来た時の扉は…開いてるが確実に見張りはいるだろう。)
どう頑張っても逃げれないようになっていた。
(ここで餓死させる気か?)
俺はそう考えるがすぐにその考えは失せた。
目の前で大切なものが壊れると言っていた。
(何する気なんだよ…。)
俺はそう不安になる。
そして、意味もなく少し歩き回ってみた。
柵の方に寄って下を見てみる。
「!?」
驚くことに真下には拓海達がいたのだ。
「拓…」
俺はそう叫びかけるがその先を言う事は許されなかった。
「誰が喋っていいと言った。」
そう後ろから流加が俺の口を塞いできたからだ。
「お前らは神か何かかよ。」
俺はそう言ってやる。
「どうだろうな。それより、もう少しであいつらに会えるぞ。」
そう流加は俺に言う。
「本当か!?」
俺は敵だということは忘れて思わずそう聞く。
「あぁ。」
そう言い流加は薄気味悪い笑いを浮かべた。
だが、こんな会い方なら会わなかったほうがマシだった。
俺はそう後悔することになる。
- 公開処刑 ( No.103 )
- 日時: 2023/11/04 22:16
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「!あいつらじゃねぇのか!?」
コーラを溢された後を追ってきていた時、急に宗四郎が指を指しそう言った。
指差した先にはある特服を着た男たちが立っていた。
「「天使」…。やっぱり涼達の仕業か…。」
俺はそう言う。
コーラの後もここで途切れているので間違いないだろう。
天使の特服を着たそいつらはある一つの建物を囲むようにして立っていた。
「どうする?ゴリ押しで入り込むか?」
そう虎徹が俺に聞いてくる。
「いや、人数が多すぎる…。この人数じゃ恐らく勝機は無い。」
俺は虎徹にそうキッパリ言う。
「そのことなら問題ないぞ。」
そう横から陽汰が言った。
「何で…」
「拓海!」
俺の言葉を遮るように聞き覚えのある声がする。
「レオ!?綾也も…。」
そこにはいつもの関西連合二人組が立っていた。
「今日は偶然空いててな…。陽汰から連絡があったから龍心が拐われただって?」
そう綾也が言ってくる。
事情は全て知っているようだ。
「あぁ。だから今助けようとしてたとこなんだが…。」
俺はそう言い嫌そうに男たちの方を見る。
「なるほど。俺らがあいつらを殺ればいいんだな?」
そうレオが言ってくる。
「あぁ。頼む。」
そう俺が言うとさっそくレオと綾也が飛び出していく。
「誰だ!?って…関西連合の総長と副総長!?何でこんな所に…。」
男達はすぐに二人の正体がわかったらしい。
それに戸惑いを隠せない様子だった。
「退け。カス共。」
そう綾也が言い一人を殴り飛ばす。
「お前はサンドバックだ!死ね死ね死ね死ね死ね!」
レオはそう一人の男を殴りまくっている。
「ヤベェ!逃げろ!」
そう一人が逃げ出すとまた一人、二人と逃げていく。
そうして男達は最終的には一人残らず消え失せてしまった。
「相変わらずヤベェな…。あの二人。」
そう淳平が横で言っている。
「一応関西トップの二人だからなぁ…。」
俺はそう言った。
綾也がこっちに向かって手招きしてくる。
「皆、入るぞ!」
そう俺は皆に言いレオと綾也を先頭に中に入り込む。
やはり中にも敵が待ち構えていた。
「こいつらは俺らが殺る。先に行け!」
レオに言われた通り俺達は校舎内を探し回る。
だが、どこにもいる様子は無い。
(クッソ…どこに…。)
俺がそう考えているとふと男達の会話が耳に入った。
「奴らを屋上に行かせるな!」
どこからかはわからないがそのような会話が聞こえた。
「皆聞こえるか!龍心は恐らく屋上にいる!」
俺はありったけの声でそう叫ぶ。
すると皆上へと続く階段へと足を伸ばす。
「屋上へは行かせねぇ!」
そう一人の男が立ちふさがる。
「退いてくだせぇ。目障りなんでさぁ。」
そう宗樹が前に出てその男を殴り飛ばした。
その上にもまだ敵がいるのかと思えば来るのは下からばかりだ。
何か不自然さを感じながらも俺達は上に上がっていく。
「屋上への扉だ!」
そう荒の声が聞こえる。
俺達はその扉を押しくぐり屋上に出る。
そこには両手が縛られた龍心がいた。
「拓海!!それに皆も…。」
龍心もそう俺達に言ってきた。
「お〜。感動の再開かい?」
そうどこかで聞いたことのある声がする。
「てめぇ…涼!」
そう。その声の主は天使総長、長澤涼だった。
隣にはやはり予想通り流加がいた。
「お前らぶっ殺してやる。」
そう宗四郎が言い奴らに近づく。
「それ以上近づくな。」
そう涼は言う。
そして懐から何かを取り出した。
「それは…。」
そう。奴が取り出したのは刺身包丁だった。
「今からこいつ、永瀬龍心の公開処刑を始める!!」
そう叫んだ涼はスポットライトのように満月の光に照らされていた。
- 作者からのお知らせ ( No.104 )
- 日時: 2023/11/05 22:35
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
こんにちは!
ミートスパゲティです!!
今日の投稿では投稿日数やイラスト投稿などについてのお知らせとなります。
・投稿日数について
以前、毎回月曜日に予告してから投稿するというスタイルでしたが、スケージュール的にも厳しく、不定期投稿になってしまっていました。
大変申し訳ございませんでした。
これからは週3、4投稿になると思います。
いつ不定期になるのかはわからない為そこはご了承ください。
・イラスト投稿について
これも以前、2日に1回投稿すると言っていましたが、投稿日数と同じようにスケージュール的にも厳しいのと投稿したイラストが消えていた為、今管理人様に質問させていただいています。
管理人様からの返事が返ってきてからですが、これからは100閲覧につき一人のペースで投稿していこうと思います。
そしてこれも投稿日数と同じように、いつ不定期になるのかはわからない為、予めご了承ください。
そして、3000閲覧ありがとうございます!!
これからもこの作品を読み続けてもらえれば幸いです。
- キャラクター紹介 ( No.105 )
- 日時: 2024/02/08 23:34
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
長澤涼
扇小学校6年。
天使初代総長であり、扇堀豊連合軍の元総長の内の一人。
非常に冷酷、狡猾な性格であり過去に華恋を拐ったり龍心を拉致したりとしたことがある。
だが、その後龍心に勧誘され悪英雄に入る。
今は心を入れ替え、悪英雄の財務隊隊長を務めている。
戦闘能力は淳平と同じくらいで、そこまで強くないが、人を操るカリスマ性を持つ。
- 新しい仲間 ( No.106 )
- 日時: 2023/11/06 22:40
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「永瀬龍心の公開処刑を始める!!」
そう言い涼は手に持った刺身包丁を大きく振り上げる。
「待ってくれ!どうやったら止めてくれる!?」
そう俺は思わず言う。
そう言われた涼はニヤリと笑う。
「龍心!大丈夫か!?」
その時突然レオと綾也が扉を蹴り入ってくる。
「おぉ。関西連合も登場か。それなら…。」
そう涼は気持ちの悪いほど口角を上げた。
「悪英雄、並びに関西連合の解散だ。そして二度と暴走族と関わるな。」
「「「!!」」」
そこにいた全員が固まる。
「そんな内容が承諾できる訳がねぇだろ!」
そう宗四郎が叫ぶ。
「……そうすれば、本当に龍心を助けてくれるのか?」
そうレオが言う。
「おい!レオ何寝ぼけたこと…」
「いいんだ。綾也。他にも皆で一緒に楽しく暮らすとかあるだろ?」
そうレオが言う。
「それでいいだろ?拓海?」
そう急に俺に振ってくる。
「俺は…。」
俺は答えを出せない。
俺達だけならともかく、レオ達にも迷惑がかかってしまう。
「俺達ならいいんだ。」
そうレオは俺の心を読んだように言った。
龍心に向けられた刃が少し近づく。
「解散しま…」
「いや。しねぇよ。」
そう縛られた龍心が言う。
「お前何言って…」
「解散なんかしなくていいよ。さぁ、俺の首を跳ねてみろ。」
そう龍心が涼に言う。
「は…?お前死ぬんだぞ!?」
涼は予想外のことを言われ驚いている。
「ほら、斬ってみろ?」
そう龍心は余裕そうに言った。
そしてまだ言葉を続ける。
「その"なまくらの刃"で斬れるなら、な?」
今度は龍心が口角をつり上げる。
「何で…それを!!」
そう涼がキレたように言う。
「月の明かりに反射してなかったからな。本物だったら反射するはずだろ?」
そう龍心がニヤリと笑い、涼の握っている刺身包丁に手を掛け立ち上がる。
「死んどけ!」
そう横から流加の攻撃が飛んでくる。
龍心はそれをまともに食らったがビクともしない。
「お前がな。」
龍心はそう言い、流加に強烈なアッパーを繰り出す。
それをモロに食らった流加は一発で気絶した。
「さて…涼。」
そう龍心が涼に歩み寄る。
「ヒッ…!」
先程の龍心を見て腰が抜けて動けないようだ。
「お前はうちの組に入らねぇか?」
そう龍心は予想外のことを口にする。
「……は…?」
涼も理解が追いついていないようだ。
「おい龍心!そいつは華恋を誘拐してお前のこと拉致した奴だぞ!?」
俺はそう思わず声を上げる。
俺は涼が入るなんて絶対にごめんだ。
「確かにそうだが、こいつの狡猾さと金に関する能力は異常と言ってもいい程ある。」
そう龍心は俺に向かって言う。
「いいだろ?その代わり…。」
誰も許可を出していないのだが…。
そんな俺を無視して龍心が俺に言い涼に顔を近づける。
「裏切ったら殺す。」
そう低いトーンで言った。
ここまで脅されたら流石に裏切りはしないだろう。
「入るか?」
そう龍心は再確認する。
「俺なんかが入っていいなら…。」
そう涼が言う。
「だってよ。よかったな。」
そう龍心はニコニコ笑顔で言ってくる。
皆口をぽかんと開けていた。
綾也は呆れて笑っていた。
こうして、龍心の誘拐劇は迎えたと同時にある一人の男が仲間になった。
俺はまだ涼が仲間に加わることに抵抗があったが、新しい頼もしい仲間が増えたことに少し嬉しさを感じていた。
- 作者からのお知らせ ( No.107 )
- 日時: 2023/12/05 22:57
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
今回は>>104で投稿したお知らせの追加内容となります。
・キャラクター紹介について
キャラクター紹介はイラスト投稿と同様、100閲覧につき一人とします。
都合により、少し早めることがありますがご了承ください。
・小説の内容の訂正について
投稿した小説におかしな表現があったり、誤字脱字、名前や地名の間違えなどがあった場合、気付き次第変更いたします。
内容を大幅に変更したり、結果が変わったりすることは無いと思います。
尚、変更した箇所は1番上の本文で報告いたします。
詳しい変更内容は>>110「詳しい変更内容」をご確認ください。
表示するの変更内容ははその1週間分だけです。
ご注意ください。
・キャラクター紹介について
この作品に登場するキャラクター達をある程度紹介してしまった場合、キャラクター紹介の投稿を一時停止する場合がございます。
その時は新キャラが登場するごとに更新いたします。
このくらいです!
あと、コメントとか全然おっけーなんでじゃんじゃんしてきてください!
リクエストとかあれば特別小説とか書くんで!
だからお願いします!!
コメントしてきてください!!
- キャラクター紹介 ( No.108 )
- 日時: 2024/02/08 23:35
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
谷山流加
扇小学校6年。
元天使の幹部で武道派。
戦闘センスはかなり高いはずだが、龍心には相手にもされなかった。
涼と共に悪英雄に入り、心を入れ替え財務隊副隊長を務める。
- 正しい組員の集め方 ( No.109 )
- 日時: 2023/11/07 22:51
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「よし。皆揃ったな。」
そう前に立っている宗四郎が言う。
「これから…何だっけ?」
そう宗四郎が龍心に聞く。
「組員を増やす方法。」
龍心は呆れたように言った。
「そう。それそれ!今から組員を増やす方法を考えようってこで何か案ある人挙手!」
そう宗四郎が皆に呼びかけるが誰も手を挙げない。
「はい!そこの中嶋君!」
そう宗四郎は突然手も挙げていないのに宗樹を指名した。
「何で俺…まぁいいですかぃ。皆脅して仲間にさせ…」
「何て事言うんだよ。」
そう俺は思わず途中で止めてしまう。
「何でぇ。いい考えじゃないですかぃ。」
そう宗樹は言う。
こいつは本当に正しいと思ってる様子だ。
「拓海の言う通りだ。脅して仲間にしたとしてもまともに働かねぇ。いざという時に裏切られる。」
そう龍心は言う。
「はい。ってことでその提案は無し!中嶋君はバカ!」
「ひどくないですか?」
そう宗樹は言うが宗四郎はお構い無しだ。
また再び沈黙が始まるがそれを破るように一人が手を挙げる。
涼だ。
「はい!涼!」
そう宗四郎は涼のことを当てる。
「金で雇えば…」
「それもさっきと同じじゃねぇか?」
そう蓮が言う。
確かに。それも裏切られて「はい、さよなら。」みたいな感じになりかねない。
「どうするか…。」
珍しく陽汰が本気で悩んでいる。
「俺に提案があるんだが…。」
そう龍心が立ち上がる。
「以前、綾也に聞いたんだが掲示板で呼びかければ一発らしい。」
そう龍心が言う。
「掲示板って…通報されかねないんじゃ…?」
そう不安そうに淳平が言う。
「普通のサイトならな。そういう専門のサイトがあるらしい。」
そう龍心が自分のスマホの画面を見せる。
最初は健全なサイトに見えるが下の方に行くほどそういう関係のものが増えてくる。
「これで探そうってか?」
そう荒が聞く。
「まぁ、やってみる価値はあるかもな。」
虎徹もそう言った。
「それなら、早速募集しとくぞ。」
龍心がそう言いスマホの画面をいじりだす。
初めはそんな上手くいくはずもないだろうと思っていたがこの予想は大きく外れたのだった。
- 詳しい変更内容 ( No.110 )
- 日時: 2024/02/08 23:40
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
2/8 キャラクター紹介の内容を大幅に変更しました。以前の設定のままでは、辻褄が合わない可能性があるので、改めて読んでいただければ幸いです。
※この内容は1週間ごとに更新されます。
- 受付 ( No.111 )
- 日時: 2023/12/11 22:37
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
龍心が利用した掲示板作戦。
そんな上手くいくことはないと思っていたがその予想は大きく外れる。
何と一夜の間に200人程からコメントが来たらしい。
「おいおい…マジかよ。」
「ここまで上手くいくと逆に怖いな。」
そう淳平と荒が言う。
「けどよ、こん中に裏切ろうとしてる奴とかやる気ない奴もいるかもしれねぇってことだろ?」
宗四郎が龍心に尋ねる。
「いや。それには関しては大丈夫だ。」
龍心がそう言う。
そういう系統の話は細かい説明のところでしておいたらしい。
「てことで、裏切ったりやる気のないやつは来ないってこと。」
そう龍心が言う。
龍心って案外適当なとこあるよな。
俺はそう思う。
「で、どこに来んだよ?」
そう宗四郎が聞く。
「確かに。200人が集まれる場所なんてなかなかねぇぞ?」
俺もそう付け足す。
第一、200人全員来るという保証もない。
「それに関しては問題ねぇょ。レオから倉庫借りてる。」
そう龍心は言った。
「お前はどれだけ用意周到なんだよ…。」
「もっと褒めろ。」
俺がそう言うと龍心はそう言い返してきた。
最近龍心もぶっ壊れてきたような気がする。
「ん?てかいつ来るんだ?」
そう淳平が不思議そうに聞く。
「えーとな。10:00くらいだな。」
そう龍心がマイペースな口調で言う。
今は9:50だから…。
「残り十分だぞ!?」
そう俺は思わず声を上げた。
「そうだけど?」
龍心は相変わらず急いでいる様子はない。
「え?ヤバくね?」
そう陽汰も言う。
「とにかく急ぐぞ!!」
俺はそう全員に言う。
すると皆急いで倉庫の方に走り出したのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ…はぁ…。」
俺は肩で息をする。
「龍心のせいでひどい目あったぜ…。」
そう荒がほざいた。
「っるせぇ…。俺もヘトヘトなんだよ…。」
そう龍心本人も息がかなり荒れていた。
「まだまだだなぁ〜。」
そう宗四郎が言う。
後ろで淳平も縦に首を振っていた。
この二人はサッカー部なため体力もそうとうある。
「宗四郎はともかく、淳平みたいなもやしのどこに体力があるのか…。」
そう宗樹がボヤいている。
「そんなことはどうでもいいだろ。開けるぞ。」
そう蓮が言いシャッターを上げる。
すると門前には大量に人が集まっていた。
「マジかよ…」
宗四郎はそう言い呆気にとられている。
「これは200人上回ってるだろ…。」
300人、いやそんなものではなかった。
本当にアリの群れのように群がっていた。
「全員一列に並んで!名前聞いてくぞ!」
そう龍心が出せる限りの声を出す。
ちなみに今回の受付の仕方は龍心がいる机に並ばせ、名前を言わせていくという方法だった。
指示がどうしても全員には通りきらないので、そこは俺達でフォローする。
そして何とか龍心がいる机までの列ができた。
だが、動くにつれてやはりどうしても列は崩れてしまう。
「どんどん前に詰めてけ!」
「はみ出すな!前に合わせろ!」
そう俺らは指示を出すが人数が全然足りない。
そこで助っ人を呼ぶことにする。
「どうしたんだよ。」
「こいつらを並べればいいんだな?」
そう、俺達が呼んだ助っ人とは虎徹、涼、流加、颯太の四人だった。
「終わったやつから奥にいけ!」
「名前ぱっぱと言って!」
たかが四人。されど四人。
かなり楽になった。
そうこうして2時間程。
「終わったぁ。」
「疲れた…。」
ようやく全員の受付が完了したのだ。
それぞれその場に倒れ込んでいる。
龍心に関しては無言で机に突っ伏していた。
龍心が書いていた名簿を見てみると500人丁度の名前が記されていた。
「これでうちのチームも500人超え…。ようやく互角に戦えるようになるな。」
俺はそう独り言を言う。
「それならちゃんとした地位も決めねぇとな!」
そう宗四郎が急に立ち上がる。
「それはまた今度にしてくれ……。」
そう龍心が消え入りそうな声で言った。
- 悪英雄作戦会議2 ( No.112 )
- 日時: 2023/12/20 22:54
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「第二回悪英雄作戦会議〜!!」
そうこの前のように陽汰が大声を上げる。
ちなみに今いるのは俺の家だ。
「今日は組織の構成決めてくぞ〜。」
そうカンペを読みながら陽汰は言う。
「ようやくか!!」
宗四郎は乗り気である。
まぁ一番楽しみにしていたのは宗四郎だったからな。
「……。」
黙ったまま足を組んで座っているのは流加だ。
少しだけ楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。
まぁ、この際何でもいい。
「とにかく話し合ってくださーい。」
陽汰が教師的なことを言う。
すると速攻で話し合いが始まった。
意外に真面目な話し合い。
それは3時間を超えて行われた。
何にせよ、組織の未来についてだからな。
だが、多分一部の奴らはそんな事を考えていない。
自分がやりたいからだろう。
理由は何にせよやってくれるなら問題はない。
話し合いの結果は佑樹と一華がパソコンにまとめてくれている。
慣れた手つきでキーボードを押すその姿はまるでプロそのものだった。
ちなみに今回は一華も手伝ってくれている。
あのメッセージ以来チームの話はしていなかったが今回話してみると是非参加したいということだった。
「よっし…終わった〜。」
話し合いが終わってからしばらくし、一華はそう言い一息つく。
佑樹もキーボードを打つ手を止めた。
「二人共ありがとな。これ。」
そう言い龍心は二人に缶コーラを渡す。
「ありがと。」
佑樹はそう言い受け取り、一華に関しては受け取った瞬間飲み始めた。
「資料はどこにあるんだ?」
そう俺は佑樹に尋ねる。
「もうちょいで印刷されると思うよ…ほら。」
そう言い印刷された資料を俺に手渡してくる。
俺はその資料を手に取り軽く目を通す。
「うーん…すげぇ量だな…。」
隣から淳平覗いていたようだ。
俺の耳元でそう呟く。
「焦ったぁ…。耳元で急に声出すなよ。」
俺はそう淳平に言うが反省している様子は無い。
もういつものことなのだからいいのだが。
「これ、明日発表するんでしょ?」
一華がそう聞いてくる。
「あぁ。」
もちろん。場所はいつも通り関西連合のヤサだ。
「しっかし…これだけの量言うって…めんどくせぇなあ〜。」
そう宗四郎が言う。
話し合いで一番楽しそうにしていたのにもうやる気を失っている。
「発表しねぇと幹部とかも決まったことにならねぇぞ。」
「明日の発表楽しみだなぁー!」
単純な奴だ。
まぁ、それが宗四郎の良さでもあるのだが。
「ま、また明日ですねぇ。」
宗樹はそう言いそそくさ帰る準備をしている。
「俺も帰るか。」
そう龍心達も帰る準備をしだした。
「じゃあな。」
そう言い皆家から出ていく。
「あぁ。また明日。」
俺はそう皆を見送るのであった。
- 構成発表 ( No.113 )
- 日時: 2024/05/16 22:55
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「寝れねぇ…。」
俺はそうヘッドの上で呟く。
明日の発表に緊張して寝れないのだ。
「まぁ、羊でも数えてたら寝れるか…。」
俺はそう思い羊を数え始める。
(羊が1匹、羊が2匹…)
そしてそれからどのくらい経っただろう。
(羊が8946匹…マジで寝れねぇ!)
もうついに羊が四桁に突入してしまった。
時計を見てみるともう4:30。
ここから寝ても集合が6:00なため寝れたとしても一時間程度しか寝れない。
(もう起きとくか。)
そう思い俺は体を起こす。
そして立ち上がり洗濯物を取り込み始める。
同時にたたむのも同時に終わらせ、部屋に掃除機をかける。
これは俺だけでなく親がいない組は全員やっていることだ。
"一人"を除いて。
宗樹。あいつは全く持って家事をやらない。
この前家に行ったときは足の踏み場もないくらい洗濯物が散らかっていた。
そんなことを考えながら一通り家事を終わらせた俺は軽く朝食をとる。
食パンにジャムを塗っただけの物だが。
そして気づけばもう4:30。
「ちょっと早えけど。向かうか。」
俺は家を出て集合場所に向かう。
今回発表する場所はそう、北天満小学校だ。
今は使われていない廃校で使われるとしても地域の行事だけだ。
また倉庫で行おうとしたが、綾也に
「あんな大人数、うちの倉庫じゃ入り切らねぇよ。」
と言われ別の場所にしようということで北天満小学校にしたのだ。
一応元学校だったということだけもあってまぁまぁデカいし。
そうこうしているうちに着いてしまった。
「ここだっけな…。」
昔宗樹達と入った裏門を探す。
「あったあった。」
見つけてしまえばもうこちらのもの。
簡単に入れてしまうのだ。
「おぉ。来たか。」
中に入ると龍心と宗四郎が出迎えてくれた。
「お前ら早すぎだろ。まだ5:00だぞ。」
そう俺は二人に言う。
「俺だって時間ギリギリに来るつもりだったのに…。」
そう龍心が言う。
「は!俺が3:00に家まで言ってピンポン鳴らし続けてやったぜ!」
「自慢げに言うことじゃねぇよ。」
そうなぜかドヤ顔しながら言ってくる宗四郎に思わずツッコむ。
「とは言えもうそろそろ皆来るだろ。」
そう龍心が言う。
噂をすればなんとやらだ。
「おーす。」
そう淳平と蓮、荒の家近い組が裏門から入ってくる。
そしてそのすぐ後に虎徹、涼、流加、颯太の四人が来て大体の面子は揃った。
「まだ来てねぇのは電子機器組と遅刻常習犯組か。」
そう蓮が言う。
電子機器組は一華と佑樹、遅刻常習犯組は宗樹と陽汰のことだ。
「ごめーん!遅れた!」
それから少し経ち一華と佑樹が合流する。
「遅れましたぁ。」
そしてそれとほぼ同時に宗樹&陽汰コンビが合流した。
「ようやく全員揃ったか。」
淳平がそう言う。
今の時間はちょうど6:00。
隊員達が来るのが6:15だからあと15分しか猶予はない。
「急いで準備するぞ!」
俺はそう全員に言う。
すると一斉に皆が動き出し、自分の役割を果たす。
遅刻常習犯組は立ったまま寝ていたが。
どんだけ眠いんだよ。こいつらは。
「拓海ー。」
一華がそう言い駆け寄って来る。
「これ、一応台本。」
そう言い冊子を渡してきた。
「お、ありがとう。」
俺は中身を確認してみる。
一応昨日全部覚えたが、作ってくれたのに見ないのは申し訳ないので軽く目を通すくらいはしておく。
「残り5分だぞ〜。」
そう龍心が言う。
「もうやること終わったし、いいんじゃね?」
そう淳平が提案する。
裏門の近くにはかなりの人が集まってきていた。
「いいか?拓海。」
俺はそう龍心に聞かれ咄嗟に
「いいよ。」
と言ってしまった。
(やべぇ。まだ心の準備が…。)
「門開けるぞ〜。」
陽汰がそう言い裏門を開ける。
するとバーゲンセールのように人が流れ込んできた。
「こっちに入れよ〜。」
陽汰がそう皆を講堂に誘導していく。
「拓海は先行っとけ。」
そう龍心に言われるがままに講堂のひな壇の上に乗らされる。
(う…。思ってたより緊張するな…。)
俺は軽く深呼吸をして息を整える。
誘導が終わり開放された陽汰達はひな壇の下で皆と一緒にこちらを見上げていた。
(うげぇ…俺一人かよ。)
俺はそう思いながらも発表を開始する。
「今から隊の種類、所属隊を発表する。名前が呼ばれた奴は前に出てこい。」
俺がそう言うとザワザワしていたのが一瞬で静かになる。
「まず総長は俺、前田拓海がやらせてもらう。そして戦闘での戦略を立てる参謀総長。これは永瀬龍心に務めてもらい、いざというときの俺の代理、副総長は植谷陽汰に務めてもらうことにした。」
そう俺が言うと龍心と陽汰は前に出てくる。
「ここからはちょっと早めに言っていくぞ。 特別攻撃隊隊長、中嶋宗樹。」
宗樹名前を呼ばれるとのっそのっそと歩いてくる。
「攻撃隊は四つに分ける。青龍隊隊長、菊下颯太。白虎隊隊長、渡辺宗四郎。玄武隊隊長、田口虎徹。朱雀隊隊長、槌井蓮だ。」
ちなみに攻撃隊の名前の由来は四神からだ。
「奇兵隊隊長、浅田淳平。親衛隊隊長、福田荒。財務隊隊長、長澤涼。副隊長、谷山流加。情報隊隊長、泉佑樹。副隊長、羽宮一華。これで全員だ。」
俺はそう言う。
「あとの細かい所属チームは佑樹、一華に聞いてくれ。」
そう俺は丸投げする。
二人の方を見てみるとすごい眼力で睨んできていた。
だが、それに反応するほどの体力は残っていない。
俺は舞台から降り、そのまま眠りについたのだった。
- 司令 ( No.114 )
- 日時: 2024/02/08 00:04
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ぉーぃ。おーい。」
俺は誰かの声で目を覚ます。
「お。起きたか。」
そう言い龍心が俺の顔を覗き込む。
「心配したんだからな。舞台降りた瞬間気失ったんだから。死んだかと思ったぜ。」
気づかなかっただけで宗四郎もいたようだ。
「心配すんな。寝不足だ。」
そう俺は二人に言う。
「まぁ、本人がそう言うならいいが。気つけろよ。」
そう宗四郎は言いどこかに言ってしまった。
「あいつどこ行くんだ?」
そう俺は龍心に尋ねてみる。
「レオから召集かかってんだとよ。俺も後で行くぞ。」
そう龍心が言う。
「何の召集なんだ?」
「ん?さぁ。多分次の相手のことだろうよ。」
「あーね。」
結局、関西連合からの司令は魔異鼓の護衛で最後だったはずだ。
あれから恐らく2ヶ月くらい経っただろう。
そんな事を考えているうちに龍心は外に行く用意をしだしている。
「あ、ちなみに一応この二人に任せるから安心しろ。」
そう龍心が男二人を紹介する。
「山下日向って言います!こっちは…」
「山下亮介です。」
そう二人の男が自己紹介を済ませる。
恐らく兄弟なのだろう。
顔つきもよく似ている。
「じゃあ、お前ら。よろしくな。」
そう龍心が二人に俺のことを託す。
「任せてください!」
恐らく兄の方の日向が言った。
「じゃ、行ってくる。」
龍心はそう言い講堂から出て行った。
「拓海さん、大丈夫ですか?」
そう日向が聞いてくる。
「あぁ。ただの寝不足だよ。」
俺はそう答える。
すると日向は小声で「よかった…。」と呟いていた。
「あ、床に直接は背中痛いでしょう。こっち毛布挽いたんで。こっちにどうぞ。」
そう日向が入口側の方を指差す。
「ありがとな。」
俺は言葉に甘えそっちに移動する。
そして毛布に寝転ぶ。
その瞬間、睡魔に襲われ眠りに落ちそうになった。
「すまん。もうちょい寝るわ。」
そう俺は日向に言う。
「わかりました。」
そう確認だけすると俺はまぶたを閉じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「兄さん。こっちでいいの?」
「うん。このまま乗せるよ。」
日向と亮介の声か?
何か話してるようだ。
聞こうとするが頭がぼーっとしてわからない。
眠い。
そうして俺は再び眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「次の司令だが、本格的に八苦座を潰しに行こうと思ってる。」
そうレオは俺達に司令を下す。
「八苦座って…。綾也の弟達と一緒に戦ったやつですかぃ?」
そう宗樹が聞く。
「あぁ。最近は関西だけではなく東の方にも勢力を伸ばし始めてると聞く。これ以上大きくなられても厄介だからここで潰すことにした。」
そうレオが説明する。
「今回も弟達と一緒にか?」
淳平が尋ねた。
「いや。HDは今他の所と殺り合ってる。だから俺らと悪英雄だけだ。」
そう綾也が言った。
「ついに関西連合直々にか。」
俺はそう呟く。
「もしかしたら化けるかもしれないからな。早めに潰すのが一番と考えた。」
綾也がそう言うなら仕方ない。
「その司令、受ける。」
俺はそう言う。
「ありがたい。まぁ、拒否権はなかったがな。」
レオは笑いながらそう言う。
いや、笑い事じゃねぇよ。
俺はそう思ったのであった。
- 連れ去られた拓海 ( No.115 )
- 日時: 2024/02/08 23:07
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ただいまー。」
陽汰がそう言い、俺達は講堂に戻ってきた。
「龍心さん!」
すると急に日向が走ってきた。
焦っているのか呼吸が荒い。
「そんな焦って、どうしたんだ?」
俺はそう聞いてみる。
「拓海さんが…いないんですよ!」
そう突然言い出す。
「は?」
俺は予想外のことを言われ思わず間抜けな声を出してしまう。
「どうせ、そこらへん散歩でもしてるんでしょうよ。」
宗樹がそう言う。
「いや、一人で動ける様子じゃなかったですよ!それに使って毛布もなくなってるし…。多分、誰かに連れ去られたとか…。」
そう日向は必死に言う。
「連れ去られたところ見てたのか?」
蓮がそう尋ねる。
「俺は拓海さんが食べれそうな物買ってこようと思ってコンビニ行ってたんで見てませんけど…。多分亮介が見てたと思います。」
そう日向は言った。
「すいません。俺その時トイレに行ってて…。」
そう亮介は言った。
「そんな長い時間かかったのか?」
俺はそう聞く。
もし連れ去ったとしたなら、運ぶのにかなりの時間がかかるはずだ。
「えぇ。大きい方だったので…。」
そう亮介は恥ずかしそうに言った。
俺は一度周りを見渡してみる。
日向は毛布を使っていたと言っていた。
「なぁ。毛布って誰のやつなんだ?」
俺はそう尋ねる。
「さぁ…。そこらへんにあったやつですから…。」
だが、見渡してみる限り毛布がありそうな場所などなかった。
「誰も見てないところ、何も言えないなぁ…。」
そう虎徹が呟く。
「まぁ、もうちょっと待ってみたらどうでしょう。宗樹さんの言ってた通り、散歩に行ってるだけかもしれませんし。」
そう亮介が言う。
確かに、その可能性も捨てきれない。
「なら、もう少し待ってみるか。」
それから約一時間後。
拓海はまだ帰ってこない。
「これは本当に連れ去られた説が濃厚かもしれませんねぇ…。」
そう宗樹が小さく呟く。
その時、颯太が息を切らしながら講堂に戻ってきた。
「家のインターホン鳴らしてみたけど、出なかった…。多分誰もいないっぽいよ。」
そう途切れ途切れに言う。
これは本格的にヤバいかもしれない。
「佑樹、一華。拓海のスマホ逆探知できるか?」
俺はそう二人に聞いてみる。
「やってみるから、龍心のスマホ借りてもいい?」
「ん?別にいいけど。」
俺は佑樹にスマホを渡すとパソコンを取り出し、操作しだす。
一華も同じくマウスを動かし始めた。
「俺達はどうすればいい?参謀総長。」
そう荒が聞いてくる。
「そうだな…。周辺を調べてきてくれ。あとその呼び方やめろ。龍心でいいだろ。」
俺はそう言う。
「別にいいだろ。な、参謀総長。」
これは完全に煽ってきてるな。
俺はそう思いながらも冷静に対応する。
「んじゃ、行ってくるわ。」
そう言い荒、颯太、淳平、流加、涼、陽汰の六人が周辺を探しに行った。
「どうだ?いけそうか?」
俺はパソコンを操作している二人に聞いてみる。
「うーん…。ちょっと面倒くさいけどもうちょっとでいけそう!」
一華がそう言った。
「ならよかった。」
俺はそう言う。
拓海がいない今ここでは俺と陽汰が拓海の代わりだ。
せっかく役割をもらったのだから、それを果たさなければいけない。
俺はそう思い、さらに頭を回転させる。
まず拓海を誘拐した犯人を探そうと考えた。
(コンビニに買いに行った…。トイレにいた…。)
俺は頭をフル回転させる。
(コンビニ…トイレ…。)
この二つが何か関係あるような気がして頭から離れない。
「!!」
俺は一つの考えが頭に思い浮かぶ。
そうか。これなら辻褄が合う。
「できたよ!」
そう一華の声がする。
そう俺が閃いたとき、丁度逆探知も終わったみたいだ。」
一華にできたという画面を見せられる。
「ここは…難波の方じゃねぇか。」
そう後ろから覗き込んでいた宗四郎が言う。
「あっちらへんではあんまいい噂は聞きませんけどねぇ…。」
宗樹の言う通り、大阪の中でも少し治安の悪い方と噂されている。
「何でこんなところに…。」
佑樹がそう言う。
「わからん。ただ、この短時間でここまで動けるとなれば何か乗り物を使ってるのは確実だな。電車、いや車か…。」
進んだ経路までわかるらしい。
それを辿ってみると高速道路に乗っていることから車ということがわかる。
「車ってことは、相手は成人してんのか?」
そう宗四郎が聞いてくる。
「そこまではわからん。ただの運転手か。それともグルなのか。」
「とりあえず、早く迎えに行かないとヤバそうですねぇ。」
宗樹の言う通りだ。
どこの馬の骨かもわからん奴らに誘拐されているなら一刻も早く助けなければならない。
「出る用意だけはしといてくれ。俺は六人に電話する。」
俺がそう言うと四人は準備を始める。
「あの…。俺達は…。」
そう日向が聞いてくる。
「念の為二人共ついて来てくれ。」
俺はそう言う。
この二人には少し言いたいことがあるからな。
そんな事を考えていると電話が繋がる。
『もしもし。どうした?』
「拓海の場所がわかった。難波の方だ。」
『ってことはやっぱり誘拐されてたのか。』
「多分な。とりあえず早く帰ってきてくれ。」
『わかった。』
それだけ言うと電話を切られた。
難波といえば八苦座の本拠地がある場所でもある。
これは好機だ。
俺はそう思いレオに電話をかける。
そして事情を説明し、一緒に来てもらうことにした。
「待ってろよ。拓海。」
そう言い俺も用意を始めたのだった。
- キャラクター紹介 ( No.116 )
- 日時: 2024/02/10 23:26
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
菊下颯太
扇小学校6年。
攻撃隊のうちの一つ「青龍隊」隊長。
悪英雄に入った理由は「宗樹のお悩み相談室」であり、願いを叶えた代わりに悪英雄に入ることになった妹と一緒に入ったことが原因。
戦闘を好かず、温厚な性格。
なぜ、攻撃隊の青龍隊隊長に任命されたのかは謎。
- キャラクター紹介 ( No.117 )
- 日時: 2024/02/12 23:21
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
中川冬弥
扇小学校4年。
合気道を習っており、その腕前はかなりのもの。
戦闘に関しては積極的に参加することはないが、自分や仲間を守るためならば別らしい。
千尋と一緒に参謀隊に入っている。
噂だが、頭もかなり切れるらしい。
- キャラクター紹介 ( No.118 )
- 日時: 2024/02/12 23:25
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
紀田千尋
扇小学校4年。
龍心の空手の後輩。
かなり好戦的な性格で、売られた喧嘩は買ってしまうタイプである。
運動神経がいいため、戦闘では軽やかなステップで相手を惑わす。
所属部隊は冬弥と同じ参謀隊。
- 八苦座の目的 ( No.119 )
- 日時: 2024/02/19 23:53
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
(硬ぇ…。動きにくい…?)
俺は背中と腕に違和感を感じ目を覚ます。
そこは先程まで寝ていた講堂ではなく、暗いコンクリートの部屋だった。
「どこだ…ここ?」
俺は立ち上がろうとするが、上手く立ち上がれない。
それどころか、何故か体に力が入らない。
ぼーっとして頭も回らなかった。
「おぉ。起きたんか。」
俺は聞き慣れない声を耳にする。
「誰だ…?」
姿は見えないがどこからかは声がする。
「ここ、ここだって。」
そう後ろから声がする。
振り向いてみると一人の男が立っていた。
「あんた…見たことあるような…。」
駄目だ。知っているはずなのに頭が回らないせいで何も考えれない。
「そんなことは置いといて。喉乾いてるやろ?」
そう言い俺はコップを手渡される。
「今それしかなくてな。我慢してくれ。」
コップの中を覗いてみると泡立っている。
恐らく炭酸水だろう。
「何も入ってないよな?」
俺はそう男に尋ねる。
「そこまで言うなら先飲んだるわ。」
そういい男はそのコップの中の液体を飲む。
「な?大丈夫やろ?」
そう男は平気な仕草を見せる。
いつもの俺なら断っていたかもしれないが、判断能力が低下していたせいか、俺はそれを受け取り飲み干してしまう。
味に特に異常は無い。
麦のような味がしただけだ。
何かはわからないが毒物は入っていないようだ。
「で、ここどこなんだよ?」
俺は男に聞く。
「八苦座の本拠地。」
男はポケットから煙草を取り出し、俺の前で吸い始める。
(八苦座…。)
いくら頭が回らなくとも、そのくらいは覚えている。
一度俺達と戦った相手だ。
「何で俺を拉致する。」
俺はそう聞く。
「拉致って…そんなつもりは無かったんだけどな。」
男は一度口から白い煙を出し、一息つく。
「目的は?」
俺は早めに会話を終わらせようとする。
何をされるかわかったもんじゃないからな。
「関西連合の滅亡。」
奴は一言。そう言った。
「そんなもんできるわけ…」
「できるんだよ。いいか、良く聞け。これは忠告だ。」
そう言い奴は俺に話し始める。
「今、全国の連合がお前ら関西連合を潰しにかかってる。滅亡も時間の問題だ。」
奴はそう言った。
「そんなことあるわけ…」
俺は再び突然睡魔に襲われる。
「ようやく効き目が出たか。」
そう奴は崩れ落ちる俺を見下しながら言う。
「さっきの液体はアルコールだ。賭けだったが、お前"も"あの人と同じで弱いみたいだな。」
そう奴は俺に向かって言う。
「何を…す…る気だ…!」
俺は意識が朦朧とする中で言葉を絞り出す。
「別に、お前に害は与えない。有効活用させてもらうだけだ。」
そう奴は俺に吐き捨て、部屋を出て行った。
「待…て……!」
そんな俺の声が届くはずもなく、奴はどこかに行ってしまった。
- 準備 ( No.120 )
- 日時: 2024/02/23 23:27
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「山下さん。これでいいんですか?」
組員の一人が俺、山下裕也にそう聞いてくる。
「あぁ。これも"あの人"の為や。」
俺はそれだけ答えると再び煙草を吸う。
「裕也。そろそろ奴らが来るぞ。」
そう、うちの副総長の藤岡弘がチャカを片手にそう言ってきた。
「そうか。」
そう俺は返事をし、軽く体を解しておく。
「つったりしたら元も子もないからな。」
そう隣では戦闘員の高松香が入念にストレッチをしている。
「さぁ、来い関西連合。全面戦争や。」
俺はそう覚悟を決めるのだった
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「拓海の場所が特定できた!難波だ!」
そう綾也が声を荒げる。
「何でそんな所に…。」
俺はそう独りでに呟く。
「八苦座奴ら…図りやがったな!」
そう智が舌打ちをしている。
「どういうことだ?」
宗四郎がそう尋ねる。
「八苦座は俺達を呼び寄せるために拓海のことを誘拐したんだろ。」
そうレオが答えた。
「何でわざわざ呼び寄せるんだよ。」
そう淳平が不思議そうに言う。
「八苦座からしたら関西連合がいても何のメリットもねぇ。寧ろデメリットばっかだ。」
そう言いレオは一度一息つく。
「例えば領土。八苦座は関西を中心として活動してるが、ここら一帯は関西連合が所持してる。だから八苦座からしたら邪魔でしかねぇんだよ。」
そうレオは説明を終えた。
「大体の理由はレオの言った通りだ。だが、もう一つ付け足すとすれば奴らは関東連合の傘下ってところかな。」
そう綾也は言う。
関西連合と関東連合は真っ向から対立している。
その為、八苦座が関西連合を攻撃しても奴らにはメリットしかないのだ。
「細かいことはいい。早く行くぞ。」
そう遥輝は既に用意を終わらせていた。
「待て、遥輝。恐らく全面戦争になる。できるだけの勢力を集める。」
そう綾也は片手でスマホを握り誰かに電話をかけながら言う。
「時間がかかるだろ。俺が先に行っていて見張っといてやるよ。」
そう遥輝は綾也の言葉を無視してバイクを発進させる。
「あ!おい待て!」
そう綾也が止めるがお構いなしだ。
「もうあぁなったら止めれねぇよ。俺が追っかける。」
そう智は言い、バイクに乗り遥輝を追いか始める。
そしてあっという間に米粒程度の大きさになってしまった。
「あいつら…自分勝手な行動しやがって…。」
そう綾也がため息を付いている。
今回は綾也に同情する。
自分勝手な行為がどれだけ害悪なのかは俺も宗樹と宗四郎のお陰でよく知っている。
「綾也、こっちは準備OKだ。」
そうレオは後ろに武装した軍隊を引き連れながら言う。
本当の戦争みたいになってきたなと思う。
「こっちももうちょいでOKだ。」
そう綾也は忙しそうに電話しながらレオに返事をする。
「俺らも用意した方がいいか?」
そう蓮がレオに聞いている。
「あぁ。今回だけは特別にお前らにうちの武器と装備を貸してやる。」
そう言いレオは俺達のことを倉庫に案内する。
「この中から好きなの選べ。」
そう言いレオは戻ってしまう。
「うひょー!流石に多いな〜!」
そう荒が楽しそうに言っている。
「早く選べよ。」
そう遠くからレオの声がする。
「わかったー!」
淳平も負けじと大声で返事を返すが、目はすでに装備の方に釘付けだ。
(俺も選ばねぇと。)
我に返り、取りあえず動きやすそうな奴を選んでいく。
そして皆決まったところでレオ達に報告しに行く。
「んじゃ、行くぞ!」
そうレオが言うと、地鳴りのような返事が返っていき、それぞれ自分のバイクに乗っていく。
勿論、俺らは無いので後ろに乗せてもらう。
拓海を救出しに行く途中で、俺達も近い内にバイクを買おうと思ったのであった。
- 全面戦争 ( No.121 )
- 日時: 2024/02/23 23:07
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「ちょっと待て!拓海の位置が変わってる!」
高速に乗っている途中、そう綾也が急に言い出す。
「奴ら…。どこに移動したんだ?」
そうレオは悔しさ紛れに言う。
「港近くの倉庫だ。待ち伏せするつもりか…。」
そう綾也は唇を噛み締めながら言った。
「取りあえず、智と遥輝に連絡入れてくれ!」
そう俺に指示が飛ぶ。
「わかった。」
俺はスマホを取り出し、智と遥輝のラインにメッセージを打ち込む。
二人共すぐに既読が付いたため、文章は読んだのだろう。
「俺らも早く追わねぇと。あいつら勝手にドンパチ始めるぞ。」
そう関西連合、親衛隊隊長の吉田将太が言う。
「わかってる。お前ら!飛ばすぞ!」
そうレオは声を張り上げ指示を出す。
再び地鳴りのような返事が返ってき、スピードがかなり上がった。
勿論、スピード違反だ。
後ろからは警察が追っかけて来るが、お構い無しで走り続ける。
少しすると、警察は諦めサイレンを止める。
普通はこんなことあっては良いはずがないが、警察も面倒くさくなってきているようだ。
「もう着くぞ。」
俺は前に乗っているレオにそう言われる。
俺は目的地に近づくに連れ、気を引き締めるのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「そこだ。」
俺達は少し倉庫から離れた所から、奴らを見つけようとする。
だが、やはり見つからない。
隠れているのだろう。
「幸太郎、どうする?」
そう綾也が幸太郎に聞く。
「ったく…俺は参謀じゃないってのに…。」
そう幸太郎はため息を付く。
「取りあえず、2部隊に別れるぞ。1つは俺、レオ、綾也、将太の4人が率いる関西連合部隊。もう1つは龍心、陽汰、宗樹、宗四郎、淳平、蓮、荒、虎徹、颯太、涼、流加の11人が率いる悪英雄部隊だ。」
幸太郎はそうチーム分けを発表し、さらに説明を続ける。
「俺達、関西連合部隊は智と遥輝を見つけ出して合流する。お前達はその間、敵を引き付けといてくれ。」
そう幸太郎は言う。
「つまり、囮っていうことだな?」
宗四郎がそう幸太郎に聞く。
「あぁ。そういうことだ。」
囮というのは少し気に入らないが、仕方ない。
「その後、俺達が山下達本隊を叩く。その内にお前達は拓海を助けろ。」
そう幸太郎は作戦を話し終えると、煙草を一本吸い出した。
煙がこちらまで飛んできて咳き込んでしまう。
「それじゃあ、2部隊に別れて…。準備はいいか。」
そうレオが全員に確認をする。
皆首を縦に振る。
「行くぞ!!」
それを確認したレオが耳が痛くなるほどの声を上げる。
「うおおぉ!」
それに合わせるように、他の隊員達も怒声を上げながら倉庫に向かっていく。
すると倉庫の影から敵がライフルを持って現れ、こちらに乱射してくる。
「盾部隊!前へ!」
そう綾也が指示を飛ばすと盾を構えた隊員達が一斉に前に出る。
そしてライフルの弾を全て防いだ。
一度リロードに入ったのか、銃撃が止まる。
「お返しだ!撃ち返せ!」
そうライフルを持った隊員達が八苦座の奴らに向かって撃ち始める。
それは八苦座の奴らとは違い、的確に一人一人を撃ち抜いていく。
「今だ!攻めたたれ!」
そう綾也が指示を出すと、皆一斉に駆け出して倉庫の中へと入っていく。
俺達も置いていかれないようについて行くが、人の波に飲まれ、上手く進めない。
ようやく倉庫の中に入れたと思っとらぎゅうぎゅう詰めだ。
「おいおい。これやべぇんじゃねえのか?」
そう陽汰が言う。
陽汰の予想通り最悪の事態が起こってしまう。
「奴らの頭に撃ち込んでやれ!」
そう予め上の通路に登っていた敵が上から銃を撃ってくる。
こんなに狭い所で撃たれてしまえば、逃げれる所なんてどこにもない。
寧ろ、一斉に逃げようとして将棋倒しになるだけだ。
「痛ぇ!」
「うわあぁ!」
そう阿鼻叫喚の様子だ。
「射撃精度を落としてたのは油断させるためか…!」
そう綾也は悔しそうに言う。
「皆、混乱するな!奴らの思う壺だ!取りあえず広い方に逃げろ!」
そうレオが指示を出す。
すると少しずつ足場が広くなり、自由に動けるようになってきた。
「悪英雄部隊!奴らを錯乱するぞ!」
俺は皆にそう指示を出す。
すると皆銃を乱射したり、ぶん殴ったりとそれぞれ、奴らを錯乱させている。
「逃げろ!」
すると奴らはすぐに逃げ出し奥の広い方へと走り出した。
「おい!待て!」
そう誰かが追いかけようとする。
「やめろ!深追いするな!」
そう俺は言うが聞こえていないようだ。
そいつに続き、多くの奴らが奥に向かっていってしまう。
「あんな攻撃で奴らが逃げるはずがない…。絶対何か考えてるつもりだよな。」
そう蓮が俺に言ってくる。
「あぁ。俺もそう思う。」
そう返事を返しながら、必死に皆を止めようとするが無駄だ。
「クソッ!」
俺は舌打ちをする。
誰も言うことを聞かない。
こんな事で勝てるはずがない。
「もう…面倒くせぇな…。」
俺はそう全身の力を抜いた。
- キャラクター紹介 ( No.122 )
- 日時: 2024/02/23 23:12
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
藤岡弘
八苦座副総長。
戦闘センスは比較的低い方だが、頭脳に関してはずば抜けている。
人の心理を利用するのを得意とし、抗争の時に作戦を考えているのが弘で、どの作戦も必ず成功している。
- キャラクター紹介 ( No.123 )
- 日時: 2024/02/23 23:22
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
高松香
八苦座の戦闘員の一人。
戦闘員と言っても、他の奴らとは比べ物にならない程強く、武力のみならば裕也を上回るとも噂される程。
礼儀を重んじ、必ず正々堂々と戦う。
どの武器も使い慣れており、戦闘のスペシャリスト。
- キャラクター紹介 ( No.124 )
- 日時: 2024/02/23 23:22
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
泉幸太郎
関西連合お抱えの情報屋であり、参謀総長(?)も務める。
ハッキングを得意とし、逆探知は勿論のこと、メッセージの書き換え、個人情報の入手、パスワードの入手などなど、インターネットに関することを得意とする。
勿論、情報屋としても優れており、どんな情報でも必ず掴んでいると噂されるほど。
- キャラクター紹介 ( No.125 )
- 日時: 2024/02/23 23:25
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
吉田将太
関西連合親衛隊隊長。
合気道を嗜んでおり、攻めよりも受けを得意とする。
抗争の時は本隊の近くにおり、指一本、本隊に触れさせないようにしている。
頭脳に関してはそこまでで、来た敵を取りあえずぶっ飛ばすという考えである。
- 暴走 ( No.126 )
- 日時: 2024/02/25 23:04
- 名前: ミートスパゲティ (ID: gF4d7gY7)
「クソッ…戦いにくいなぁおい!」
俺は思わずそう叫ぶ。
今現在、八苦座との抗争中の真っ最中だった。
俺達は八苦座の罠にまんまとかかり、動きにくい倉庫の中に誘導されてしまった。
「んぉ!?」
俺は急に後ろから押されて思わず間抜けな声を出してしまう。
「おい!押すなよ!」
「仕方ねぇだろ!敵がそっちに行ったんだから!」
そう隊員同士で言い合いになっている。
(どうなってる!?)
誰かが「敵がこっちに来た」と言っていたが、誰もこちらには逃げて来ていない。
俺は辺りを見渡すと、上の通路に恐らく逃げてきたと思われる奴らを見つけた。
「全員、目潰れとけ!」
そう一人の男が何かを投げつける。
俺は瞬時にそれが何かを理解した。
「閃光弾だ!目を塞げ!」
そう叫んだが時すでに遅し。
間に合わない奴もいれば聞こえていない奴もいるはずだ。
(ここで戦力ダウンはヤベェ!)
ただでさえ押されているのに、ここで戦える人数が減ってしまえば負けは確定するようなものだ。
どうしようかと考えている俺の横を何かが凄い速さで走り抜けていく。
「何だ!?」
俺はそれを確認しようとする。
それは龍心であった。
だが、背中は猫背、腕はだらんと垂れ下がっておりいつもの龍心とはかけ離れている。
「うぉっ!?」
龍心は男が持っている閃光弾をチャカで真上にはじき飛ばす。
その後、上の通路へと続く階段を驚くほどの速さで登っていく。
そして閃光弾をキャッチし、倉庫の外へと思い切り投げ飛ばした。
閃光弾はコンマ1秒の所で爆発し、もう少しで全員の目を潰されていたところだった。
そして、その後全員を通路から蹴り落としチャカで無防備になった背中を撃っていく。
(何かおかしい…。)
いつもの龍心ならそこまでしないはずだ。
やったとしても蹴り落とすくらいだろう。
追い打ちをかけるなんて龍心らしくない。
上の通路の奴らを蹴り落とした龍心はそこから飛び降りすぐさま、別の場所へと移動する。
その時に少し見えた龍心の顔はまるで能面のように無表情だった。
移動している時に、仲間に当たってもお構い無し。
それどころか何人も吹き飛ばしながらどこかに向かっている。
(やっぱりおかしい!)
すると急に方向変換し、ものすごいスピードでこちらに向かってくる。
「綾也!!」
レオはそう俺の名前を呼ぶ。
「わかってる!」
俺はそう返事をし、向かってくる龍心を止めようとした。
だが、その途中で龍心はチャカを抜きこちらに撃ってくる。
「うおっと!」
俺は皮一枚でそれを交わすが危ないところだった。
「どうしたんだよ!」
俺はそう龍心に問いかけるが、返事をする様子はない。
それどころか今度はドスを抜いて俺を刺そうとしてくる。
「やめろ!」
俺はそう言いながら避けるが龍心は手を止めない。
龍心はドスを避けて体勢が悪い俺にチャカを向ける。
(まずい…これは避けれねぇ!)
俺はそう覚悟を決め、腕を顔の前にクロスしておく。
「おらああぁ!」
だが、弾は俺に当たることはない。
宗四郎が龍心を吹き飛ばしたのだ。
「何したんだよ!龍心!綾也だぞ!?」
そう宗四郎は必死に説得しようとする。
だが、龍心は宗四郎にまでドスを向ける。
「無駄だ!今の龍心は龍心じゃない!」
そう遠くから虎徹の声が聞こえる。
「どういうことだよ!?」
俺はそう聞き返す。
「解離性同一性障害だ!いつもの龍心じゃねぇ!」
解離性同一性障害というのはいわゆる多重人格というやつだろう。
「仕方ねぇ!」
俺はそう言い、龍心の首根っこ辺りを手刀で叩く。
「カッ…!」
すると龍心は気絶し動かなくなった。
「ちょっとだけ寝といてくれ。手が空いてるやつ!こいつを外に運び出しといてくれ!」
俺はそう指示を出すとまた戦いに向かった。
- 止まらない暴走 ( No.127 )
- 日時: 2024/02/25 23:58
- 名前: ミートスパゲティ (ID: KqRHiSU0)
龍心を気絶させ俺は再び戦いに戻ろうとする。
「う、うわあぁ!」
そう後ろから悲鳴が聞こえる。
「今度は何だよ!?」
俺はそう言いながら悲鳴がした方を見てみる。
そこでは、龍心を運び出そうとした奴らが龍心に襲われていた。
(あいつ…気絶させたはずじゃ…。)
そんなことは今はどうでもいい。
奴らを助けないとヤバいことになる。
龍心は奴らを殴ろうと拳を振り上げている。
俺は奴らの方に転がり込み、運び出そうとしていた二人を抱きかかえ龍心の攻撃を躱す。
「ヴゥ゙…!」
化け物のような鳴き声を龍心は出す。
「お前は後で24時間ぶっ通しで説教だ。」
俺は我を失っている龍心にそう告げる。
だが、その脅しを気にする様子もなく、俺の方に向かってくる。
(来るか!?)
俺はそう構えたが、龍心は俺の真横を走り去りどこかに行ってしまう。
「え?あ、おい!」
俺は急いで龍心を追いかけようとするが追いつけそうにない。
「どんだけ早ええんだよ!」
俺は思わずそう叫ぶ。
「ん?あいつは…。」
龍心が向かった先にいたのは八苦座総長、山下裕也と副総長、藤岡弘。戦闘員の高松香の3人だった。
「相手してやる。」
そう高松が龍心の前に出るが、龍心は超人的な跳躍力で高松を飛び越え、さらに奥へと行く。
「狙いは総長か!そんなことはさせるか!」
そう高松は山下の前に立ち、木刀を構えている。
だが龍心が向かったのは山下の方ではなく、藤岡の方だった。
「グァ!」
化け物のような声を出し、龍心は藤岡に強烈な飛び膝を決める。
「くっ…!」
藤岡はガードが間に合わず、それがモロに腹に入ってしまった。
「副総長!」
高松がそう藤岡の方に駆け寄ろうとする。
「来るな!!」
そう藤岡が叫ぶ。
「へ?」
高松は理由がわからずその場で硬直してしまう。
だが、それが命取りとなってしまう。
「ガアァ!」
龍心が硬直している高松にミドルキックをお見舞いする。
ミドルキックは高松の腕に当たり、その刹那、何かが折れたような音がする。
「んっ…!」
いくら戦闘スペシャリストとは言え、不意打ちは敵わないらしい。
その場で座り込み腕を抑え込んでいる。
後は山下だけになった。
龍心は山下の方に向かって行く。
そして蹴りの構えに入ったその時。
「動くな。」
山下はチャカを抜き、後ろにいた千尋と冬弥にそれを向ける。
「グッ゙!!」
龍心の動きが止まる。
「ガラ空きや。」
山下が見せたのは早撃ち。
的確に龍心の急所を撃っていく。
「ヴゥ゙…!」
龍心は苦しそうな声を出す。
(助けねぇと!)
俺はそう思い山下の方に向かう。
「あんたもや。関西連合副総長。坂本綾也。」
そう奴は俺の名前を呼ぶ。
そして再びチャカを2人の方に向けた。
「龍心先輩!綾也さん!俺らのことはいいんで、こいつをぶっ倒してください!」
そう千尋が言う。
「千尋の言う通りです!さぁ!早く!」
冬弥もそう言った。
2人はそう言うがまだ2人はチャカを実際にくらったことがない。
故に、その威力を知らない。
恐らく2人はBB弾を発射する玩具のピストル程度だと思っているのだろう。
本当の威力はそんなもの比にならないくらいの威力だ。
弾が当たった瞬間にそこに激痛が走り、普通は動けなくなる。
龍心が動けているのはほぼ奇跡と言っても良い。
「ほらほらどうした2人共。ガラ空きでっせ。」
そう言い俺と龍心に1発ずつ弾を飛ばしてくる。
「グゥ!!」
「ッチ!」
避けたいが、動けば2人がどうなるかわかったものじゃない。
だが、このまま待っていてもこちらが消耗するだけだ。
「さぁさぁ、どうしますかお2人さん。」
そう山下は楽しそうに聞いてくる。
そして再び俺達にチャカをお見舞いしてくる。
「グァアァァ!!」
「…ッ!」
俺はまだいける。
だが、龍心は弾をくらいすぎている。
このままじゃ龍心の体が保たない。
俺はどうにかしようと頭を回転させる。
「くっ!」
だが、定期的に山下が弾を撃ってくるせいでまともに考えることができない。
そうしている中で時間は刻一刻と過ぎていく。
戦況は俺と龍心が抜けて戦力大幅ダウンしているのだから押されてるに決まっている。
「さぁ、ペースアップしましょか。」
そう言い山下はもう1つチャカを取り出し俺と龍心に乱射する。
「グゥアアアァァアァァ!!」
「くっっ!!」
駄目だ。このままでは本当にヤバい。
「龍心先輩!綾也さん!」
そう叫ぶ千尋の声が聞こえる。
「もう飽きましたわ。死んで下さい。」
山下はそう言い、俺達のこめかみにチャカを向ける。
そして引き金に手をかけたと同時。
「死ぬのはお前だよ!!」
そう1人の男に後ろから殴られる。
「うおっ!」
そして山下の手からチャカが離れる。
その瞬間を俺は見逃さなかった。
「潰れろ!」
そう俺は思い切りチャカを踏み潰す。
するとそれはパーツが取れてチャカはぐちゃぐちゃになった。
「ヴァ!」
龍心は床に思い切り叩きつけてチャカを壊している。
「2人共大丈夫か!?」
そう聞いてきたのは拓海だった。
「拓海!出てこれたのか!」
俺はそう拓海に聞く。
「あぁ。淳平と蓮、荒が助けてくれた。」
あいつら見ないと思っていたらそういうことだったのか。
「何であんたが…睡眠薬とアルコールを使ったのに…!」
そう山下が悔しそうに言う。
「睡眠薬は昔食ってたキノコに似てた。アルコールだけはちょっと大変だったけどな。」
睡眠薬と昔食ってたキノコが似てたって…。
どんなキノコ食ってたんだよと俺は思う。
「ちなみにだが、そいつは龍心だよな…?」
拓海は俺の横で狂乱化している龍心を指差す。
「あぁ。一応。解離性同一性障害ってやつらしい。」
俺はそう拓海に説明する。
「何話してんねん。お前らはここで殺る。」
そう山下はドスを抜く。
「ここは俺が…。」
そう拓海が前に出る。
だが、それよりも先に龍心がチャカを抜いて山下に乱射した。
「へぇ…。やりますなぁ。」
そう山下は素敵な笑みを浮かべる。
「ここは龍心に任せるぞ。」
俺はそう拓海に言い、千尋と冬弥を連れてその場から離れる。
「大丈夫なのか?あの状態で。」
そう拓海は不安そうに俺に聞く。
「あぁ。めちゃくちゃだけどバリ強い。」
俺は拓海にそう言う。
「さぁ、俺達も戦わねぇとな。」
俺はそう言い、気合を入れるために自分の頬を叩く。
「どこへ行く。」
「逃さんぞ!」
そう俺達の前に藤岡と高松が立ちはだかる。
だが2人共龍心に1発ずつ入れられている。
「さぁ、形勢逆転だ!」
そう言い俺は藤岡に殴りかかった。
- 酔拳 ( No.128 )
- 日時: 2024/02/26 20:17
- 名前: ミートスパゲティ (ID: oKgfAMd9)
「死んどけ!」
俺はそう藤岡に対し、拳を振り下ろす。
「あんたの事は知ってるよ。関西連合副総長、坂本綾也。」
そう俺の名前を言いながら俺の攻撃を軽く躱す。
「へぇ。そりゃ光栄だね!」
俺はすぐさま次の攻撃に繋げるが、それも簡単に躱されてしまう。
(何だ?こいつ…。攻撃がかすりもしねぇ…。)
俺はそう思いながらも攻撃の手を緩めない。
だが、どんな攻撃も奴には通じない。
「坂本綾也。主に拳を用いた近距離戦を得意とする。よくする連携は右ミドル、左ボディ、左ハイ。」
そう奴は俺がその連携を出す直前に攻撃全てを言い当てやがった。
そして奴は落ち葉のように、攻撃をひらりと躱す。
(何なんだよ…こいつ!)
俺は内心焦っていた。
こんな奴、今まで初めてだ。
「次はこっちのターンだ。」
そう奴はドスを構える。
俺はそれを躱そうと移動するが、奴は俺と向きと全く同じ方向に移動し、俺に攻撃を当てる。
「ッチ!」
俺は舌打ちをしバックステップを踏もうとする。
「それも計算済みだ。」
奴は俺がすると予めわかっていたかのように、俺の足を踏み動きを止める。
そして再びドスで腹を抉った。
「ぐっ…!」
本物程では無いが、痛さはかなりのもの。
俺は思わず反応してしまう。
「大丈夫かい?」
そう奴は俺に言ってくるが、到底心配しているとは思えない。
「離れろっ!」
俺はそう叫びながら右のポケットからチャカを取り出そうとするが、先手を打たれて右手をやられる。
(こいつ…どこまで計算済みなんだよ!)
このままではまずい。
やる事全てを止められる。
俺はどうしようかと考える。
「こないならこっちからだ。」
だが、奴がそれを許すはずもなく俺に攻撃を仕掛けてくる。
ドスを振り上げ肩に刺してこようとする。
俺は何とか左手で庇おうとするが次の瞬間、左足に激しい痛みが走る。
「くっ…!」
奴は俺の左足にチャカを突きつけていた。
そしてドスが振り下げられるその時。
「ウガッ!」
狂乱化した龍心が藤岡の方に吹っ飛んでくる。
「何だ!?」
藤岡は龍心に当たり吹き飛ばされる。
「ナイスだ!」
俺はそう言いチャカを構える。
「そうはさせない!」
藤岡はそれを阻止しようと立ち上がり、驚くほど的確な射撃で俺の手を撃ち抜こうとするが、俺はわざとチャカから手を離す。
「予測できないようなことをしねぇとな。」
俺はそう言い、片足を高く上げる。
「何だその構えは。おちょくっているのか?」
そう藤岡が不機嫌そうに言う。
「大真面目さ。さぁ、来いよ。」
俺はあえて奴をおちょくり、攻撃を仕掛けさせようとする。
「貴様っ…!」
そう奴は案の定、ドスを構え近づいて来た。
そしてドスを振り上げ、俺に刺そうとした瞬間。
俺は全身の力を抜き、そのまま倒れそうになる。
「死ね!」
体制を崩した俺に奴はドスを振り下ろす。
次の瞬間、俺は上げていた足を地面につけ、もう一方の足で奴の顔を蹴り上げる。
「ぐはっ…!」
アッパーと同じ原理だ。
俺はそのままその足で奴を蹴り飛ばす。
「クソッ!」
奴はすぐに立ち上がり、チャカで反撃してくる。
だが、俺はそれをひらりと躱し、奴に急接近する。
「くっ!」
奴は腹に力を入れる。
俺はそのまま奴の腹に突きを入れるフリをして寸止めをした。
「へ?」
奴は何も起こらなかったことに驚き力を抜く。
その瞬間俺は突きを入れた。
「ガハッ!」
奴は唾を吐き出しその場に倒れ込んだ。
そして俺は奴との戦いに勝利した。
ちなみに俺が使ったのは酔拳だ。
やはりドスとチャカだけではやっていけないということで何かしら武術を習得しようとなったのだ。
俺だけではなく、レオや智も他の武術だが習得している。
(さて、拓海と龍心は…。)
俺はそう思い2人の方に振り向くと、驚きの光景が待っていた。
- Re: 喧嘩無双 ( No.129 )
- 日時: 2024/02/28 15:00
- 名前: みぃみぃ。 (ID: t7GemDmG)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ミートスパゲティさん、ちょっと聞きたいことがあって…。
NOVELCAKEという小説サイトで、「喧嘩無双」という作品を見つけました。
内容も全く同じ、作者の名前も「ミートスパゲティ」となっていました。
おそらくなりすましだと思います、もしミートスパゲティさんだったらもうしわけありません。
ミートスパゲティさんだったら教えてくれると幸いです、通報しに行ってきます。
なんか暗い話でごめんなさい!!
あと応援してます!!!
- Re: 喧嘩無双 ( No.130 )
- 日時: 2024/02/28 16:19
- 名前: オッチン可愛い🧸 (ID: qz0OyxjY)
ああ、みたことあるよ。うちノベルケイクに移住?したから、、。ミートスパゲッティさんが書いたと思った、、
- Re: 喧嘩無双 ( No.131 )
- 日時: 2024/02/29 16:15
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
>>129 あ、それ僕ですね…w
最近、他に小説投稿サイトあるのかな〜と思って投稿してみたんですよね〜。
なりすましじゃないので安心してください!
疑ってくれてありがとう御座います!
もし本当になりすましならヤバいですからね…。
今のところカキコとNOVELCAKEだけで投稿してます。
もし他のサイトであったらそれはなりすましだと思ってください!
それと応援ありがとう御座います!
>>130 オッチン可愛い🧸さんもNOVELCAKEしてるんですね!
もし名前とか教えて頂ければ読みに行きます!
- Re: 喧嘩無双 ( No.132 )
- 日時: 2024/02/29 20:37
- 名前: みぃみぃ。 (ID: t7GemDmG)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
そうなんですか!?!?疑いまくってごめんなさい!!!
そんで私もNOVELCAKEやってます!名前はそのまんまです!!
あと本当にごめんなさい!!!!!!!
- Re: 喧嘩無双 ( No.133 )
- 日時: 2024/02/29 21:54
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
>>132 全然大丈夫ですよ〜!
みぃみぃ。さんもNOVELCAKEしてるんですね!
今から読みに行きます!
- Re: 喧嘩無双 ( No.134 )
- 日時: 2024/03/07 15:40
- 名前: オッちん可愛い🧸 (ID: qz0OyxjY)
夢乃椎奈でーす
- Re: 喧嘩無双 ( No.135 )
- 日時: 2024/03/08 22:56
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
おけです!
読みに行ってきます!
- 拘束された2人 ( No.136 )
- 日時: 2024/03/12 22:55
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「2人共無事か…っていねぇ!?」
俺は2人の安否を確認しようと2人が戦闘していた場所を見てみるが、そこには誰もいない。
辺りを見渡してみてもやはり見当たらない。
「作戦は成功したみたいだな…。」
そう気絶していたはずの藤岡が言う。
「作戦ってどういうことだよ!」
俺は奴の胸ぐらを掴み、そう聞く。
「へっ…。見てたらわかるさ…。」
奴はそう弱々しく言う。
「拓海!龍心!」
俺は大声で2人の名前を呼びながら辺りを探し回るが、返事もなく、見つからない。
「クッソ…どこにいんだよ…。」
俺は舌打ちをする。
その直後だった。
「全員止まれ!」
そう大地が揺れる程の大声が聞こえる。
「前田拓海と永瀬龍心は俺達が拘束している!こいつらが殺されたくなければ今すぐ悪英雄は降伏しろ!」
そう山下が叫んだ。
その隣には高松がいる。
「あの野郎…!」
俺は悪態をつく。
奴らの言う通り拓海と龍心は、2人の手によって拘束されていた。
拓海は必死にもがいているが問題は龍心だ。
狂乱化が終わったようで眠っている。
「おい!モタモタするな!早く降伏しろ!」
高松はそう声を上げる。
倉庫内が一気にざわめき始める。
そんな中、俺は1人考え続けていた。
「どうすれば助けれる…。」
降伏するわけにはいかない。
かと言っても早く何か策を立てないと2人が危ない。
「何も思いつかねぇ…!」
俺1人で八苦座のトップ1とトップ3から2人を助ける事なんてほぼ不可能だ。
もし、ここにレオや智、遥輝がいたら何か違ったかもしれないが、3人共行方が掴めない。
「取り敢えず電話かけてみるか。」
急いでポケットからスマホを取り出しレオに電話をかける。
『もしもし!何だ?」
レオはすぐに電話に応答した。
「今どこにいる?」
そう俺は単刀直入に聞く。
『どこって…綾也と一緒に倉庫の中に入っただろ。』
「けど、こんな狭い倉庫の中で会わないなんてことあるか?」
『確かに…。』
「何か目印みたいなもんあるか?」
『目印って言われても…。あるとすれば倉庫の上の方に「2」って書かれてるくらいだ。」
俺はそう言われ天井を上の方を見る。
するとそこには「1」と書かれてあった。
「2…?ありがとう!一旦切るわ。」
『おう。』
そう言いレオとの通話を終える。
次に智と遥輝にかけてみる。
すると2人の所には「3」と書かれてるようだ。
何故見えている数字が違うのか。
その謎が解ければ、大きなヒントになると思った。
(もしかして…。)
俺はその瞬間1つの考えが脳裏を過る。
その考えから数字の謎も解ける。
俺はもう一度山下と高松が立っている場所を確認してみる。
2人が立っているのは倉庫の一番奥だが、後ろに心做しか奥に続いているような気がした。
(やっぱり…!)
恐らくこの考えであっている筈だ。
「今から5分以内に降伏するか決めねぇとこいつらマジで殺すぞ!」
そう高松が急かしてくる。
時間がない。
俺は急いでもう一度3人に電話をかける。
「さぁ、形勢逆転だ。」
- 2人を追って ( No.137 )
- 日時: 2024/04/24 13:32
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「おい!綾也、どうすんだよ!?」
そう丁度電話をかけ終わった頃に宗四郎達が駆け寄ってきた。
「まぁ見とけって。」
俺はそう言う。
「見とけって…5分経つまで後1分もねぇぞ?」
そう陽汰が聞いてくる。
「まぁまぁ、落ち着いて見てろ。」
俺はそう皆を宥める。
そして約束の5分は刻一刻と近づいてくる。
「おい!残り10秒だぞ!さっさと降伏しろ!」
そう高松が大声を出す。
(頼む…間に合ってくれ!)
俺は内心焦っていた。
思ったよりも3人の合流が遅いからだ。
「5…4…」
ついに地獄のカウントダウンが始まってしまった。
「3…2…」
(頼む!!)
俺はそう唇を噛みしめる。
その時だった。
「1…」
「ゼロおぉ!」
そう叫びながらレオ達が山下達の後ろから出てくる。
「何でお前らがここに…!」
そう山下は焦っている。
「どりゃあぁぁ!」
焦っている山下を無視し、遥輝は山下を殴り飛ばした。
「総長!」
そう高松が吹き飛ばされた山下を救出しにいこうとする。
「お前の相手は俺だよ!」
そう智がチャカを取り出し、高松の急所を的確に撃ち抜いていく。
「ぐっ!」
高松は痛みで一瞬動きが止まる。
「死ね!」
そう智は高松の腹をドスで抉った。
「ぅ…!」
高松は抉られた場所を抑えて倒れ込む。
「お前ら!撤退や!」
そう山下が指示を出す。
すると全員が戦闘をやめ、逃げる準備を始める。
そして驚くほどのスピードで、逃げ去って行った。
「おい!拓海と龍心がまだ連れ去られたままだ!」
そう虎徹が声を上げる。
「俺達も追うぞ!」
そうレオが皆に指示を出し、それぞれ自分のバイクに乗る。
悪英雄のメンバーは俺達の後ろに乗る。
「幸太郎、場所は?」
「このまま真っ直ぐ行って次の信号を左だ。」
幸太郎は片手にタブレットを持ちながら、そう言う。
「ここを左…。そんでそこで右だ。」
幸太郎の指示通りに進んでいると狭い路地の近くに着いた。
「この奥の建物みたいだな。」
そう幸太郎が言う。
そこには小さな雑居ビルのような建物が建っていた。
「お前らは待っててくれ。」
俺はそう関西連合、悪英雄の幹部以外にそう伝える。
あまりに人数が多すぎたら、狭い建物の中で戦いにくいと思ったからだ。
そうしてレオを先頭として狭い路地を進んで行く。
建物中に入り、人の気配がする1つの部屋の前まで来た。
その部屋の扉の前でそれぞれが武器を構え、中に入る準備をする。
レオはこちらを向く。
俺達が首を縦に振ると、レオは扉を蹴破った。
「関西連合だ!」
そう言い、俺達は中に入り込む。
するとそこには驚きの光景が待っていた。
- 同盟成立 ( No.138 )
- 日時: 2024/05/03 23:25
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
部屋の中に入るとそこには如何にも高級そうなソファーが綺麗に並べられており、その上に拓海、龍心、山下、高松の四人が座っていた。
まぁ龍心に関しては気絶しているの方が正しいかもしれない。
「関西連合様ですね。お待ちしておりました。」
部屋の一番奥にある社長が座ってそうな椅子に腰掛けている男が立ち上がり、俺達に話しかけてくる。
「まずはこれまでの数々のご無礼にお詫び申し上げます。今までの関西連合様に対する攻撃はこの場に集まってもらう為でした。」
男はそう言い深く頭を下げる。
「そもそもお前は誰なんだよ。」
智が男にそう尋ねた。
「申し遅れました。私、『八咫烏』天神隊若頭、四條千手と申します。」
そう四條と名乗る男は再び深々と頭を下げる。
「八咫烏?そんな組聞いたことねぇが…。」
横で綾也がそう呟く。
レオ自身も地方連合レベルとなればほとんどの組を覚えているが、その中に『八咫烏』なんて組が無かった筈だ。
「八咫烏…!?」
そんな中、幸太郎が一人驚いたような声を上げる。
「知ってるのか?」
俺はそう聞いてみる。
「知ってるも何も、情報屋界隈で『八咫烏』を知らねぇ奴なんていねぇよ!」
そう幸太郎は言う。
「そんな有名なのか?」
淳平が幸太郎にそう尋ねる。
「有名レベルの話じゃねぇよ。四国・中国地方の地方連合だよ。」
「ん?」
俺は幸太郎の話で引っかかる所があった。
「けど四国地方の地方連合は「讃岐連合」だろ?それに中国地方だって「三本之矢」がいるじゃねぇか。」
そう綾也が言う。
そう。俺が引っかかっていたのはそこだった。
四国地方も中国地方も別の地方連合が支配しているのだ。
「それは一年前の話だ。今は「八咫烏」が支配してる。」
確かに。俺達が作った書類は去年のデータを基に作った物だった。
だが、地方連合が一年もの間で滅ぼされるものなのだろうか?
それにもし地方連合程の大きなが滅ぼされたとしたならすぐに情報が入ってるくるはずなのだが…。
「私達も有名になったものですね。」
俺が色々考え込んでいる時に男は再び話し出す。
その時の男の表情は少し嬉しそうにも見えた。
「さて、さっそくですが本題に入らせて頂きます。」
そう男が言うと同時に全員な息を呑む。
「単刀直入に言います。我々と同盟を結んで頂けないでしょうか。」
そう男は思いも寄らない事を言ってくる。
「何であんた達みたいな二地方も治めてる組が俺達なんかと同盟を組もうと思ったんだよ?」
そう綾也が四條に問いかける。
「我々も関西連合様と同じ目的だからです。」
「同じ目的?」
「はい。我々も平和の世を創りたいと思っております。その為に関西連合様と協力し、平和な世を創る為に暴走族を殲滅しようと考えております。」
確かに。平和な世を築くという点では目的は一致している。
だが、それ以上に圧倒的な戦力を持ち合わせているという点がかなり大きい。
ここで味方につけられれば天下泰平の世を築くのもかなり楽になる。
「良いでしょう。これから共に協力していきましょう。皆もそれで良いな?」
俺はそう聞くと誰も首を横に振る奴はいない。
俺は四條の手を握った。
四條も握り返してくる。
こうして、関西連合と八咫烏の同盟が成立したのであった。
- 解離性同一性障害 ( No.139 )
- 日時: 2024/05/01 23:22
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
俺は気が付けば真っ暗な空間にいた。
(またこの夢か…。)
ということはまた症状が出たのだろう。
(まぁ、俺が悪いんだけどな。)
あの時に症状を出したのは龍心自身だった。
起きたら皆に解離性同一性障害のことを説明しないといけない。
(俺の場合は症状が変わってるからな。)
普通、解離性同一性障害の場合、症状が出ていた時の記憶は無い。
だが、龍心の場合は体の主導権がもう一人の自分に握られているだけで記憶はある。
とはいえ、その時に意識があるというだけで今回の様に真っ暗な空間にいるだけなので、自分が今何をしているかは分からない。
言ってしまえば眠っている状態だ。
(また滅茶苦茶にしてるんだろうな。)
一番最近に症状が出たのは2ヶ月前だった。
その時は家にいた筈が、隣の区まで移動していたという事が起きた。
今回はどうなっているのか。
考えるだけでも恐ろしい。
目を凝らしてみると人影が見える。
その人影の正体は俺だ。
もう一人の俺は地面に座って何処かを見つめている。
「なぁ。そろそろ体返せよ。」
俺はそう奴に話しかけるが、奴からは何の返事も返ってこない。
奴は無表情のまま何処かを見つめ続けている。
「何見てんだよ。」
俺はそう奴の視線の先を見ようとする。
すると激しい睡魔に襲われる。
(そろそろか…。)
体の主導権が返ってくるのだろう。
俺はそのまま眠りについた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「――心、龍心、起きろ。」
誰かの声が聞こえる。
恐らく拓海の声だろう。
俺は目を開き、体を起こす。
恐らくここは、関西連合の倉庫だろう。
「お、起きたのか。」
「あぁ。」
そう言い綾也が近づいてきた。
すると綾也に続き、俺の周りには続々と皆が集まって来る。
「今回本当にすまなかった。これから説明…」
「そのことはもう虎徹から聞いた。何でこの事隠してたんだよ。」
そう宗四郎が俺の話を遮って言う。
「……変に心配をかけられたくなかったから。って言ってもただの言い訳にしかなんねぇよな。」
俺はそう一息つく。
「本当は早く忘れたかったんだ。あんな事。」
「あんな事?」
そう宗樹が頭にはてなマークを浮かべる。
「俺さ、昔殺されかけたんだ。知らねぇおっさんに。裏路地歩いてたら刃物握ったおっさんを見かけて。丁度誰かを殺そうとしてたんだろうな。」
そこまで話し、俺は一度間を開ける。
「そん時に俺に見つかって計画は失敗に終わった。その腹いせに俺の事を殺そうとしたんだと思う。そん時に初めて本当に殺されると思った。俺は生きる為に近くにあった鉄パイプでおっさんの顔面をぶっ叩いた。おっさんが呻いてるうちに俺は逃げた。そん時のトラウマで俺は解離性同一性障害になっちまった。」
俺が話し終えると少しの沈黙が流れる。
「そんな事が…。すまん…。」
そう淳平が呟く。
「気にすんな。もう昔の事だ。そんな事より取り敢えず、すまなかった。」
俺はそう立ち上がり頭を深く下げる。
「いや、その事はもういい。だからこれからは隠し事はすんな。」
そうレオは俺に優しく言う。
「わかった。」
俺はそう返事をした。
「ならこの話はこれで終わりだ。いつまでも過去の事思い出しても何も進まねぇ。俺達は平和な世を創る為に前に進むだけだ。違うか?」
そう遥輝が言う。
「遥輝の言う通りだ。『八咫烏』とも同盟を結んだ。俺達も早く勢力拡げてくぞ! 」
そうレオがそう言う。
そう。こんな所で止まっている場合では無いのだ。
俺の様な思いをする人が一人でも減るように。
俺達は暴走族を殲滅しなくてはならない。
「気合い入れてくぞ!」
「おぉ!!」
耳が痛くなる程の俺達の大声は倉庫の中に木霊した。
- 次の司令 ( No.140 )
- 日時: 2024/05/13 23:19
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「神戸に行ってほしい?」
「あぁ。」
俺と龍心と宗樹、そして宗四郎は土曜日の昼に綾也に急に呼び出され、そう告げられた。
「『八咫烏』と同盟も結んだ。俺達が足引っ張る訳にもいかねぇ。だから完全に関西を統一する事にした。」
そう綾也は言う。
「完全に関西を統一って…。まだ統一できてなかったのか?」
そう宗四郎が尋ねる。
「まだ"完全"には出来てないだけだ。大阪は『大大阪連合』の件で、京都は『魔異鼓』が完全に統一したが、残りの兵庫、奈良、滋賀、和歌山の四県が統一出来てない。そこでお前達に兵庫を統一してほしい。」
「別に構わないが…兵庫なら『八咫烏』と挟んで簡単に潰せるんじゃないか?」
そう俺は尋ねる。
俺達が東側、『八咫烏』が西側から攻撃したら簡単に潰せる筈だ。
「『八咫烏』も俺達と同じでまだ四国と中国完全には統一出来てないらしい。まだ『讃岐連合』の奴らや『三本之矢』の元幹部達が暴れ回ってるらしい。」
讃岐連合も三本之矢も地方連合だ。
八咫烏がいくらでかい組とは言えど、地方連合二組を相手にするのはかなりキツいだろう。
「向こうも大変だな。」
宗樹が他人事のように言う。
その視線は明後日の方向を向いていた。
「あ、それとここに寄って行って欲しい。」
そう言い綾也は俺達にスマホの画面を見せてくる。
「どこだ?ここ。」
そこにはマップで映し出された一つの店が映っていた。
見た感じ洋食屋っぽい感じだ。
「まぁいいから。損することはねぇよ。」
綾也はそう俺達に言う。
「で、神戸の何て組潰してきたらいいんだ?」
そう龍心が聞く。
「『神奈』。神戸、姫路、丹波そして淡路島を拠点として活動する『大大阪連合』に次ぐ巨大な組だ。気をつけてほしいのはあいつらは武器の使いに慣れてる。慎重にいけよ。」
そう綾也が言う。
「ま、取り敢えずぶっ潰してきたらいいんだろ?」
そう宗四郎が言う。
「そういうことでさぁ。」
宗樹がそう答える。
こいつらは何も分かっていないようだ。
「明日にでも行っていいか?」
そう俺は綾也に尋ねる。
「あぁ。もちろん。だがそこに寄るのは忘れるなよ。」
余程大切なのか年を押してくる。
「分かったって。」
俺はそう言い、他のメンバーに明日神戸に行けるかをメッセージで聞く。
幸い、誰も用事がある人はいないようで明日行くことになった。
「まぁ、取り敢えず頼むわ。」
そう綾也は俺達に伝える。
「任せろ!」
そう宗四郎が返事をする。
「なら帰りますか。」
そう宗樹はもう入ってきたシャッターに向かって歩き出していた。
「あ!ちょ待て!」
宗四郎がそう急いで宗樹を追いかける。
俺も宗四郎の後を追いかけるが、途中で龍心が追いかけて来ていないことに気づいた。
「龍心。帰ろうぜ。」
そう俺は龍心に声をかける。
「すまん。先帰っといてくれ。」
そう言われた。
何やら綾也と話している。
俺は言われた通り、先に宗四郎達と一緒に帰ることにしたのであった。
- 模擬刀 ( No.141 )
- 日時: 2025/10/18 23:28
- 名前: ミートスパゲティ (ID: xrNhe4A.)
「模擬刀が欲しい?」
「あぁ。」
俺が話を終えた後、そうすぐに龍心が聞いてきた。
「模擬刀なら何本かはあるが…。お前使えんのか?」
俺はそう尋ねる。
ドスなら兎も角、模擬刀ともなると扱いがかなり難しくなる。
模擬刀を扱える奴はそうはいないだろう。
「一応、爺に教えてもらった。」
「爺って…。」
まずまず龍心の爺が刀を扱えるのかを知らないので何とも言えない。
「一応、免許皆伝はは受けた。」
俺が疑っているのに気がついたのか、龍心はそう言う。
「免許皆伝!?」
剣道をあまり知らない俺でも免許皆伝の凄さくらいはわかる。
確か、奥義を全て伝授された剣士のみが受けれた筈だ。
この若さでは異例だろう。
「てか、お前免許皆伝受けてるなら自分のがあるんじゃねぇのか?」
俺はそう龍心に聞く。
「いろいろあってな。」
そう適当にはぐらかされてしまった。
「まぁいい。武器庫から好きなの選んで持って来い。」
気にはなるが、別に深掘りする理由は無いので、そう言い武器庫の鍵を渡す。
「ありがとう。」
そう言うと龍心は武器庫の中へ入って行った。
(とは言え、あいつやべぇな…。)
俺はそう思わず頭を抱える。
どこの中学生が免許皆伝を受けれるというのだろうか。
(いや、待てよ。あいつが嘘を付いてるって可能性も十分ある。)
そう、その可能性も十分あるのだ。
そもそも中学生が免許皆伝なんて、話がぶっ飛び過ぎてる。
そんなことを考えている内に、龍心は一本の模擬刀を持って武器庫から出てきた。
「これ貰っていいか?」
そう龍心は武器庫から持って来た一本の模擬刀を俺に見せる。
特にこれといった特徴はなく、The・模擬刀という感じの物だ。
「いいが…。お前本当に模擬刀使えんのか?」
俺はそう探りを入れる。
「だから使えるって。」
龍心はそう言い自分の右側に模擬刀を差す。
普通、刀は自分が左利きであろうと自分の右側に差す筈だ。
そもそも龍心は右利きな筈だ。
俺の中で龍心への疑いが深まる。
「折角だ、見せてくれよ。」
俺はそう龍心に言う。
「別にいいけど…。疑ってんのか?」
そう龍心が聞いてくる。
「いや、そういう訳じゃなくて普通に。見てみてぇんだよ。」
俺は何とか躱す。
龍心も自分が疑われていると気がついたらいい気はしないだろう。
「そっか。てか、何か壊していい物ねぇか?」
「壊していい物…。こんなんはどうだ?」
俺はそう龍心に言われたので何故か倉庫に転がっていた丸太のような物を見せる。
「それ何かで固定しててくれねぇか?」
そう言われたので、俺はコンクリートブロック2つを外から持ってきて丸太を挟む。
「これでいいか?」
俺がそう聞くと、龍心は頷く。
「抜刀術とかでいいか?」
そう聞かれたので俺は咄嗟に頷いてしまった。
まぁいい。
これで龍心が嘘をついているか知る事ができる。
それに、プロの抜刀術なら俺も見たことがある。
たまにショート動画に流れてくるのだ。
「久しぶりだからな…。」
保険をかけているのか、龍心は自信無さげな事を言う。
そして模擬刀の柄の部分に手を添える。
次の瞬間だった。
龍心が目にも止まらぬ速さで模擬刀を抜き、丸太を斬りつける。
模擬刀は丸太に食い込み、半分以上まで進んでいた。
「マジか…。」
ある程度斬れるとは言え、ここまで斬れるとは思っていなかった。
下手したら人間を殺せるレベルだろう。
「やっぱちょっと鈍ってるか。」
そう言い、龍心は模擬刀を鞘に直す。
これで鈍っているなら、全力ならどうなるのか。
考えるだけで恐ろしい。
「模擬刀は持って行っていいぞ…。」
「助かる。ありがとう。」
龍心はそう言い、刀を撫でる。
こうして俺は、龍心の恐ろしさに気づいたのだった。
