ダーク・ファンタジー小説

目印 ( No.101 )
日時: 2023/11/07 22:28
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

その時、俺達も龍心を探し回っていた。
「走ってんのはいいんですけど…本当にこっちであってるんですかぃ?」
そう宗樹が虎徹に聞く。
「うん。多分だけど…。」
そう虎徹は小声で答えた。
多分って…。
一番信用性のない言葉だな。
俺はそう思いながらも戦闘を走る虎徹について行く。
かなり細い路地に入ったり曲がったりと、完全に迷路状態に陥っていた。
「あ!ここだ!」
そう突然虎徹が足を止め、言う。
「確かに。さっきまで誰かいたんだろうな…。」
そう蓮が言う。
蓮の言う通り、そこには誰かがすぐ先程までいたことを表す物があった。
ヤニだ。
まだ火はついたままで恐らく捨てられて5分も経っていないだろう。
「やっぱここにいたのか…。」
先程虎徹に龍心を誘拐したのは涼達だと聞いている。
となると扇堀豊連合軍の奴らか天使の奴らだろう。
前者のメンバーはあまり知らないが後者なら少し知っている。
俺が知る中で涼達の仲間でヤニを吸う者…。
流加るか…。」
恐らくそいつだろう。
うちの学校の中でヤニを吸っている唯一の人物だ。
それに、流加は涼達とも仲が良かったような気がする。
「けど、ここにいたのはわかってもそっからどこ行ったかだよなぁ…。」
荒がそう呟く。
荒の言う通り、痕跡はここまででどこに行ったかはわからないからだ。
「ん?」
そう陽汰が声を出す。
「どうしたんだ?」
宗四郎がそう尋ねた。
「何か甘い匂いしねぇか?砂糖みたいな…。」
そう陽汰が言う。
確かに、少し甘い匂いがするような気もした。
「この液体からかな…。」
そう颯太が言う。
そこには何かが溢れて濡れたアスファルトがあった。
「確かに…これからですねぇ…。」
そう宗樹が地面に鼻を近づけ匂いを嗅ぐ。
てか、抵抗もなくよくそんな事できるなと思う。
「本当だ。コーラみたいな匂いするな。」
そう淳平も同じように匂いを嗅ぐ。
「コーラ…。」
そう冬弥が呟く。
「そういや、龍心先輩さっきまでコーラ飲んでました!」
そう千尋が思い出したように言う。
「本当か!」
俺は思わず食い気味なって聞く。
もしそれが本当ならかなりのヒントになるからだ。
「はい。絶対です。」
そう千尋が確信したように言う。
「それならこの後を辿って行ったら龍心の所に着くってことだよな。」
そう陽汰が言う。
「あぁ。多分な。」
幸いなことにまだまだ奥に同じような後が続いていた。
「けど、それだけじゃわからなくない?たまたま違う人が溢したって可能性もあるし…。」
そう颯太が言う。
「言われてみればな…。」
俺は思わずそう言う。
冷静に考えてみれば確かにそれだけでは証拠として薄い気もした。
「なぁ…これ矢印みたいになってねぇか?」
そう荒が言う。
確かに、言われてみれば矢印に見えないこともない。
「ほら、それにこっちも。あれも…。」
そうその先にある溢された所も次々と見に行く。
「本当だ…。」
荒の言う通り、全て矢印のような形をしていた。
「それじゃあさ、これ辿ってけば龍心とこに着くんじゃね?」
そう淳平が言う。
「多分な。」
他の奴が何の理由もなくそんな事をするとは思えない。
それに、もう時間があまりなかった。
「急がねぇと何されてるかわかんねぇ。早く行くぞ!」
俺はそう皆に言う。
皆、首を縦に振りその矢印を辿って行った。
だが、俺達はこの時はまだ知らなかった。
これが罠だということに。