ダーク・ファンタジー小説
- 連れ去られた拓海 ( No.115 )
- 日時: 2024/02/08 23:07
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ただいまー。」
陽汰がそう言い、俺達は講堂に戻ってきた。
「龍心さん!」
すると急に日向が走ってきた。
焦っているのか呼吸が荒い。
「そんな焦って、どうしたんだ?」
俺はそう聞いてみる。
「拓海さんが…いないんですよ!」
そう突然言い出す。
「は?」
俺は予想外のことを言われ思わず間抜けな声を出してしまう。
「どうせ、そこらへん散歩でもしてるんでしょうよ。」
宗樹がそう言う。
「いや、一人で動ける様子じゃなかったですよ!それに使って毛布もなくなってるし…。多分、誰かに連れ去られたとか…。」
そう日向は必死に言う。
「連れ去られたところ見てたのか?」
蓮がそう尋ねる。
「俺は拓海さんが食べれそうな物買ってこようと思ってコンビニ行ってたんで見てませんけど…。多分亮介が見てたと思います。」
そう日向は言った。
「すいません。俺その時トイレに行ってて…。」
そう亮介は言った。
「そんな長い時間かかったのか?」
俺はそう聞く。
もし連れ去ったとしたなら、運ぶのにかなりの時間がかかるはずだ。
「えぇ。大きい方だったので…。」
そう亮介は恥ずかしそうに言った。
俺は一度周りを見渡してみる。
日向は毛布を使っていたと言っていた。
「なぁ。毛布って誰のやつなんだ?」
俺はそう尋ねる。
「さぁ…。そこらへんにあったやつですから…。」
だが、見渡してみる限り毛布がありそうな場所などなかった。
「誰も見てないところ、何も言えないなぁ…。」
そう虎徹が呟く。
「まぁ、もうちょっと待ってみたらどうでしょう。宗樹さんの言ってた通り、散歩に行ってるだけかもしれませんし。」
そう亮介が言う。
確かに、その可能性も捨てきれない。
「なら、もう少し待ってみるか。」
それから約一時間後。
拓海はまだ帰ってこない。
「これは本当に連れ去られた説が濃厚かもしれませんねぇ…。」
そう宗樹が小さく呟く。
その時、颯太が息を切らしながら講堂に戻ってきた。
「家のインターホン鳴らしてみたけど、出なかった…。多分誰もいないっぽいよ。」
そう途切れ途切れに言う。
これは本格的にヤバいかもしれない。
「佑樹、一華。拓海のスマホ逆探知できるか?」
俺はそう二人に聞いてみる。
「やってみるから、龍心のスマホ借りてもいい?」
「ん?別にいいけど。」
俺は佑樹にスマホを渡すとパソコンを取り出し、操作しだす。
一華も同じくマウスを動かし始めた。
「俺達はどうすればいい?参謀総長。」
そう荒が聞いてくる。
「そうだな…。周辺を調べてきてくれ。あとその呼び方やめろ。龍心でいいだろ。」
俺はそう言う。
「別にいいだろ。な、参謀総長。」
これは完全に煽ってきてるな。
俺はそう思いながらも冷静に対応する。
「んじゃ、行ってくるわ。」
そう言い荒、颯太、淳平、流加、涼、陽汰の六人が周辺を探しに行った。
「どうだ?いけそうか?」
俺はパソコンを操作している二人に聞いてみる。
「うーん…。ちょっと面倒くさいけどもうちょっとでいけそう!」
一華がそう言った。
「ならよかった。」
俺はそう言う。
拓海がいない今ここでは俺と陽汰が拓海の代わりだ。
せっかく役割をもらったのだから、それを果たさなければいけない。
俺はそう思い、さらに頭を回転させる。
まず拓海を誘拐した犯人を探そうと考えた。
(コンビニに買いに行った…。トイレにいた…。)
俺は頭をフル回転させる。
(コンビニ…トイレ…。)
この二つが何か関係あるような気がして頭から離れない。
「!!」
俺は一つの考えが頭に思い浮かぶ。
そうか。これなら辻褄が合う。
「できたよ!」
そう一華の声がする。
そう俺が閃いたとき、丁度逆探知も終わったみたいだ。」
一華にできたという画面を見せられる。
「ここは…難波の方じゃねぇか。」
そう後ろから覗き込んでいた宗四郎が言う。
「あっちらへんではあんまいい噂は聞きませんけどねぇ…。」
宗樹の言う通り、大阪の中でも少し治安の悪い方と噂されている。
「何でこんなところに…。」
佑樹がそう言う。
「わからん。ただ、この短時間でここまで動けるとなれば何か乗り物を使ってるのは確実だな。電車、いや車か…。」
進んだ経路までわかるらしい。
それを辿ってみると高速道路に乗っていることから車ということがわかる。
「車ってことは、相手は成人してんのか?」
そう宗四郎が聞いてくる。
「そこまではわからん。ただの運転手か。それともグルなのか。」
「とりあえず、早く迎えに行かないとヤバそうですねぇ。」
宗樹の言う通りだ。
どこの馬の骨かもわからん奴らに誘拐されているなら一刻も早く助けなければならない。
「出る用意だけはしといてくれ。俺は六人に電話する。」
俺がそう言うと四人は準備を始める。
「あの…。俺達は…。」
そう日向が聞いてくる。
「念の為二人共ついて来てくれ。」
俺はそう言う。
この二人には少し言いたいことがあるからな。
そんな事を考えていると電話が繋がる。
『もしもし。どうした?』
「拓海の場所がわかった。難波の方だ。」
『ってことはやっぱり誘拐されてたのか。』
「多分な。とりあえず早く帰ってきてくれ。」
『わかった。』
それだけ言うと電話を切られた。
難波といえば八苦座の本拠地がある場所でもある。
これは好機だ。
俺はそう思いレオに電話をかける。
そして事情を説明し、一緒に来てもらうことにした。
「待ってろよ。拓海。」
そう言い俺も用意を始めたのだった。