ダーク・ファンタジー小説

準備 ( No.120 )
日時: 2024/02/23 23:27
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)

山下ボスさん。これでいいんですか?」
組員の一人が俺、山下裕也にそう聞いてくる。
「あぁ。これも"あの人"の為や。」
俺はそれだけ答えると再び煙草を吸う。
「裕也。そろそろ奴らが来るぞ。」
そう、うちの副総長の藤岡弘ふじおかひろむがチャカを片手にそう言ってきた。
「そうか。」
そう俺は返事をし、軽く体をほぐしておく。
「つったりしたら元も子もないからな。」
そう隣では戦闘員の高松香たかまつきょうが入念にストレッチをしている。
「さぁ、来い関西連合。全面戦争や。」
俺はそう覚悟を決めるのだった
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「拓海の場所が特定できた!難波だ!」
そう綾也が声を荒げる。
「何でそんな所に…。」
俺はそう独りでに呟く。
「八苦座奴ら…図りやがったな!」
そう智が舌打ちをしている。
「どういうことだ?」
宗四郎がそう尋ねる。
「八苦座は俺達を呼び寄せるために拓海のことを誘拐したんだろ。」
そうレオが答えた。
「何でわざわざ呼び寄せるんだよ。」
そう淳平が不思議そうに言う。
「八苦座からしたら関西連合がいても何のメリットもねぇ。寧ろデメリットばっかだ。」
そう言いレオは一度一息つく。
「例えば領土。八苦座は関西を中心として活動してるが、ここら一帯は関西連合が所持してる。だから八苦座からしたら邪魔でしかねぇんだよ。」
そうレオは説明を終えた。
「大体の理由はレオの言った通りだ。だが、もう一つ付け足すとすれば奴らは関東連合の傘下ってところかな。」
そう綾也は言う。
関西連合と関東連合は真っ向から対立している。
その為、八苦座が関西連合を攻撃しても奴らにはメリットしかないのだ。
「細かいことはいい。早く行くぞ。」
そう遥輝は既に用意を終わらせていた。
「待て、遥輝。恐らく全面戦争になる。できるだけの勢力を集める。」
そう綾也は片手でスマホを握り誰かに電話をかけながら言う。
「時間がかかるだろ。俺が先に行っていて見張っといてやるよ。」
そう遥輝は綾也の言葉を無視してバイクを発進させる。
「あ!おい待て!」
そう綾也が止めるがお構いなしだ。
「もうあぁなったら止めれねぇよ。俺が追っかける。」
そう智は言い、バイクに乗り遥輝を追いか始める。
そしてあっという間に米粒程度の大きさになってしまった。
「あいつら…自分勝手な行動しやがって…。」
そう綾也がため息を付いている。
今回は綾也に同情する。 
自分勝手な行為がどれだけ害悪なのかは俺も宗樹と宗四郎のお陰でよく知っている。
「綾也、こっちは準備OKだ。」
そうレオは後ろに武装した軍隊を引き連れながら言う。
本当の戦争みたいになってきたなと思う。
「こっちももうちょいでOKだ。」
そう綾也は忙しそうに電話しながらレオに返事をする。
「俺らも用意した方がいいか?」
そう蓮がレオに聞いている。
「あぁ。今回だけは特別にお前らにうちの武器と装備を貸してやる。」
そう言いレオは俺達のことを倉庫に案内する。
「この中から好きなの選べ。」
そう言いレオは戻ってしまう。
「うひょー!流石に多いな〜!」
そう荒が楽しそうに言っている。
「早く選べよ。」
そう遠くからレオの声がする。
「わかったー!」
淳平も負けじと大声で返事を返すが、目はすでに装備の方に釘付けだ。
(俺も選ばねぇと。)
我に返り、取りあえず動きやすそうな奴を選んでいく。
そして皆決まったところでレオ達に報告しに行く。
「んじゃ、行くぞ!」
そうレオが言うと、地鳴りのような返事が返っていき、それぞれ自分のバイクに乗っていく。
勿論、俺らは無いので後ろに乗せてもらう。
拓海を救出しに行く途中で、俺達も近い内にバイクを買おうと思ったのであった。