ダーク・ファンタジー小説
- 全面戦争 ( No.121 )
- 日時: 2024/02/23 23:07
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「ちょっと待て!拓海の位置が変わってる!」
高速に乗っている途中、そう綾也が急に言い出す。
「奴ら…。どこに移動したんだ?」
そうレオは悔しさ紛れに言う。
「港近くの倉庫だ。待ち伏せするつもりか…。」
そう綾也は唇を噛み締めながら言った。
「取りあえず、智と遥輝に連絡入れてくれ!」
そう俺に指示が飛ぶ。
「わかった。」
俺はスマホを取り出し、智と遥輝のラインにメッセージを打ち込む。
二人共すぐに既読が付いたため、文章は読んだのだろう。
「俺らも早く追わねぇと。あいつら勝手にドンパチ始めるぞ。」
そう関西連合、親衛隊隊長の吉田将太が言う。
「わかってる。お前ら!飛ばすぞ!」
そうレオは声を張り上げ指示を出す。
再び地鳴りのような返事が返ってき、スピードがかなり上がった。
勿論、スピード違反だ。
後ろからは警察が追っかけて来るが、お構い無しで走り続ける。
少しすると、警察は諦めサイレンを止める。
普通はこんなことあっては良いはずがないが、警察も面倒くさくなってきているようだ。
「もう着くぞ。」
俺は前に乗っているレオにそう言われる。
俺は目的地に近づくに連れ、気を引き締めるのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「そこだ。」
俺達は少し倉庫から離れた所から、奴らを見つけようとする。
だが、やはり見つからない。
隠れているのだろう。
「幸太郎、どうする?」
そう綾也が幸太郎に聞く。
「ったく…俺は参謀じゃないってのに…。」
そう幸太郎はため息を付く。
「取りあえず、2部隊に別れるぞ。1つは俺、レオ、綾也、将太の4人が率いる関西連合部隊。もう1つは龍心、陽汰、宗樹、宗四郎、淳平、蓮、荒、虎徹、颯太、涼、流加の11人が率いる悪英雄部隊だ。」
幸太郎はそうチーム分けを発表し、さらに説明を続ける。
「俺達、関西連合部隊は智と遥輝を見つけ出して合流する。お前達はその間、敵を引き付けといてくれ。」
そう幸太郎は言う。
「つまり、囮っていうことだな?」
宗四郎がそう幸太郎に聞く。
「あぁ。そういうことだ。」
囮というのは少し気に入らないが、仕方ない。
「その後、俺達が山下達本隊を叩く。その内にお前達は拓海を助けろ。」
そう幸太郎は作戦を話し終えると、煙草を一本吸い出した。
煙がこちらまで飛んできて咳き込んでしまう。
「それじゃあ、2部隊に別れて…。準備はいいか。」
そうレオが全員に確認をする。
皆首を縦に振る。
「行くぞ!!」
それを確認したレオが耳が痛くなるほどの声を上げる。
「うおおぉ!」
それに合わせるように、他の隊員達も怒声を上げながら倉庫に向かっていく。
すると倉庫の影から敵がライフルを持って現れ、こちらに乱射してくる。
「盾部隊!前へ!」
そう綾也が指示を飛ばすと盾を構えた隊員達が一斉に前に出る。
そしてライフルの弾を全て防いだ。
一度リロードに入ったのか、銃撃が止まる。
「お返しだ!撃ち返せ!」
そうライフルを持った隊員達が八苦座の奴らに向かって撃ち始める。
それは八苦座の奴らとは違い、的確に一人一人を撃ち抜いていく。
「今だ!攻めたたれ!」
そう綾也が指示を出すと、皆一斉に駆け出して倉庫の中へと入っていく。
俺達も置いていかれないようについて行くが、人の波に飲まれ、上手く進めない。
ようやく倉庫の中に入れたと思っとらぎゅうぎゅう詰めだ。
「おいおい。これやべぇんじゃねえのか?」
そう陽汰が言う。
陽汰の予想通り最悪の事態が起こってしまう。
「奴らの頭に撃ち込んでやれ!」
そう予め上の通路に登っていた敵が上から銃を撃ってくる。
こんなに狭い所で撃たれてしまえば、逃げれる所なんてどこにもない。
寧ろ、一斉に逃げようとして将棋倒しになるだけだ。
「痛ぇ!」
「うわあぁ!」
そう阿鼻叫喚の様子だ。
「射撃精度を落としてたのは油断させるためか…!」
そう綾也は悔しそうに言う。
「皆、混乱するな!奴らの思う壺だ!取りあえず広い方に逃げろ!」
そうレオが指示を出す。
すると少しずつ足場が広くなり、自由に動けるようになってきた。
「悪英雄部隊!奴らを錯乱するぞ!」
俺は皆にそう指示を出す。
すると皆銃を乱射したり、ぶん殴ったりとそれぞれ、奴らを錯乱させている。
「逃げろ!」
すると奴らはすぐに逃げ出し奥の広い方へと走り出した。
「おい!待て!」
そう誰かが追いかけようとする。
「やめろ!深追いするな!」
そう俺は言うが聞こえていないようだ。
そいつに続き、多くの奴らが奥に向かっていってしまう。
「あんな攻撃で奴らが逃げるはずがない…。絶対何か考えてるつもりだよな。」
そう蓮が俺に言ってくる。
「あぁ。俺もそう思う。」
そう返事を返しながら、必死に皆を止めようとするが無駄だ。
「クソッ!」
俺は舌打ちをする。
誰も言うことを聞かない。
こんな事で勝てるはずがない。
「もう…面倒くせぇな…。」
俺はそう全身の力を抜いた。