ダーク・ファンタジー小説
- 止まらない暴走 ( No.127 )
- 日時: 2024/02/25 23:58
- 名前: ミートスパゲティ (ID: KqRHiSU0)
龍心を気絶させ俺は再び戦いに戻ろうとする。
「う、うわあぁ!」
そう後ろから悲鳴が聞こえる。
「今度は何だよ!?」
俺はそう言いながら悲鳴がした方を見てみる。
そこでは、龍心を運び出そうとした奴らが龍心に襲われていた。
(あいつ…気絶させたはずじゃ…。)
そんなことは今はどうでもいい。
奴らを助けないとヤバいことになる。
龍心は奴らを殴ろうと拳を振り上げている。
俺は奴らの方に転がり込み、運び出そうとしていた二人を抱きかかえ龍心の攻撃を躱す。
「ヴゥ゙…!」
化け物のような鳴き声を龍心は出す。
「お前は後で24時間ぶっ通しで説教だ。」
俺は我を失っている龍心にそう告げる。
だが、その脅しを気にする様子もなく、俺の方に向かってくる。
(来るか!?)
俺はそう構えたが、龍心は俺の真横を走り去りどこかに行ってしまう。
「え?あ、おい!」
俺は急いで龍心を追いかけようとするが追いつけそうにない。
「どんだけ早ええんだよ!」
俺は思わずそう叫ぶ。
「ん?あいつは…。」
龍心が向かった先にいたのは八苦座総長、山下裕也と副総長、藤岡弘。戦闘員の高松香の3人だった。
「相手してやる。」
そう高松が龍心の前に出るが、龍心は超人的な跳躍力で高松を飛び越え、さらに奥へと行く。
「狙いは総長か!そんなことはさせるか!」
そう高松は山下の前に立ち、木刀を構えている。
だが龍心が向かったのは山下の方ではなく、藤岡の方だった。
「グァ!」
化け物のような声を出し、龍心は藤岡に強烈な飛び膝を決める。
「くっ…!」
藤岡はガードが間に合わず、それがモロに腹に入ってしまった。
「副総長!」
高松がそう藤岡の方に駆け寄ろうとする。
「来るな!!」
そう藤岡が叫ぶ。
「へ?」
高松は理由がわからずその場で硬直してしまう。
だが、それが命取りとなってしまう。
「ガアァ!」
龍心が硬直している高松にミドルキックをお見舞いする。
ミドルキックは高松の腕に当たり、その刹那、何かが折れたような音がする。
「んっ…!」
いくら戦闘スペシャリストとは言え、不意打ちは敵わないらしい。
その場で座り込み腕を抑え込んでいる。
後は山下だけになった。
龍心は山下の方に向かって行く。
そして蹴りの構えに入ったその時。
「動くな。」
山下はチャカを抜き、後ろにいた千尋と冬弥にそれを向ける。
「グッ゙!!」
龍心の動きが止まる。
「ガラ空きや。」
山下が見せたのは早撃ち。
的確に龍心の急所を撃っていく。
「ヴゥ゙…!」
龍心は苦しそうな声を出す。
(助けねぇと!)
俺はそう思い山下の方に向かう。
「あんたもや。関西連合副総長。坂本綾也。」
そう奴は俺の名前を呼ぶ。
そして再びチャカを2人の方に向けた。
「龍心先輩!綾也さん!俺らのことはいいんで、こいつをぶっ倒してください!」
そう千尋が言う。
「千尋の言う通りです!さぁ!早く!」
冬弥もそう言った。
2人はそう言うがまだ2人はチャカを実際にくらったことがない。
故に、その威力を知らない。
恐らく2人はBB弾を発射する玩具のピストル程度だと思っているのだろう。
本当の威力はそんなもの比にならないくらいの威力だ。
弾が当たった瞬間にそこに激痛が走り、普通は動けなくなる。
龍心が動けているのはほぼ奇跡と言っても良い。
「ほらほらどうした2人共。ガラ空きでっせ。」
そう言い俺と龍心に1発ずつ弾を飛ばしてくる。
「グゥ!!」
「ッチ!」
避けたいが、動けば2人がどうなるかわかったものじゃない。
だが、このまま待っていてもこちらが消耗するだけだ。
「さぁさぁ、どうしますかお2人さん。」
そう山下は楽しそうに聞いてくる。
そして再び俺達にチャカをお見舞いしてくる。
「グァアァァ!!」
「…ッ!」
俺はまだいける。
だが、龍心は弾をくらいすぎている。
このままじゃ龍心の体が保たない。
俺はどうにかしようと頭を回転させる。
「くっ!」
だが、定期的に山下が弾を撃ってくるせいでまともに考えることができない。
そうしている中で時間は刻一刻と過ぎていく。
戦況は俺と龍心が抜けて戦力大幅ダウンしているのだから押されてるに決まっている。
「さぁ、ペースアップしましょか。」
そう言い山下はもう1つチャカを取り出し俺と龍心に乱射する。
「グゥアアアァァアァァ!!」
「くっっ!!」
駄目だ。このままでは本当にヤバい。
「龍心先輩!綾也さん!」
そう叫ぶ千尋の声が聞こえる。
「もう飽きましたわ。死んで下さい。」
山下はそう言い、俺達のこめかみにチャカを向ける。
そして引き金に手をかけたと同時。
「死ぬのはお前だよ!!」
そう1人の男に後ろから殴られる。
「うおっ!」
そして山下の手からチャカが離れる。
その瞬間を俺は見逃さなかった。
「潰れろ!」
そう俺は思い切りチャカを踏み潰す。
するとそれはパーツが取れてチャカはぐちゃぐちゃになった。
「ヴァ!」
龍心は床に思い切り叩きつけてチャカを壊している。
「2人共大丈夫か!?」
そう聞いてきたのは拓海だった。
「拓海!出てこれたのか!」
俺はそう拓海に聞く。
「あぁ。淳平と蓮、荒が助けてくれた。」
あいつら見ないと思っていたらそういうことだったのか。
「何であんたが…睡眠薬とアルコールを使ったのに…!」
そう山下が悔しそうに言う。
「睡眠薬は昔食ってたキノコに似てた。アルコールだけはちょっと大変だったけどな。」
睡眠薬と昔食ってたキノコが似てたって…。
どんなキノコ食ってたんだよと俺は思う。
「ちなみにだが、そいつは龍心だよな…?」
拓海は俺の横で狂乱化している龍心を指差す。
「あぁ。一応。解離性同一性障害ってやつらしい。」
俺はそう拓海に説明する。
「何話してんねん。お前らはここで殺る。」
そう山下はドスを抜く。
「ここは俺が…。」
そう拓海が前に出る。
だが、それよりも先に龍心がチャカを抜いて山下に乱射した。
「へぇ…。やりますなぁ。」
そう山下は素敵な笑みを浮かべる。
「ここは龍心に任せるぞ。」
俺はそう拓海に言い、千尋と冬弥を連れてその場から離れる。
「大丈夫なのか?あの状態で。」
そう拓海は不安そうに俺に聞く。
「あぁ。めちゃくちゃだけどバリ強い。」
俺は拓海にそう言う。
「さぁ、俺達も戦わねぇとな。」
俺はそう言い、気合を入れるために自分の頬を叩く。
「どこへ行く。」
「逃さんぞ!」
そう俺達の前に藤岡と高松が立ちはだかる。
だが2人共龍心に1発ずつ入れられている。
「さぁ、形勢逆転だ!」
そう言い俺は藤岡に殴りかかった。